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島本理生『あなたの呼吸が止まるまで』

2008-01-22 15:47:01 | ノンジャンル
 朝日新聞の年末特集記事「2007年 心に残った一冊」の対談で言及されていた島本理生さんの「あなたの呼吸が止まるまで」を読みました。
 舞踏家で、普段はその公演の資金作りのため、一日中大道具の製作の仕事をしている父を持つ12才の野宮朔(さく)は、父の公演のチラシを作った佐倉という青年と知り合います。母は舞踏に熱中する父に愛想を尽かし離婚し、父と朔の二人暮らしで、家事はもっばら朔の仕事です。学校で「ノルウェイの森」を読む朔の唯一の友人は、やはりはっきりと自分の思っていることを言うので友人がいない鹿島さんと正義感の強い男子の田島君です。夏休みには山の中での父の公演で、様々の人に出会い、学校では朔や鹿島さんをいじめるクラスメイトと戦います。私は父の帰りが遅い時、赤い立派なノートに物語を書いています。そしてある日、父が帰って来ないので、不安になって唯一連絡先を知っている佐倉さんに電話すると、彼の自宅に呼ばれます。そこでノートの物語を読まれ、佐倉さんにキスされ、体を触られ、彼の性器をしごかされ、彼は射精します。このことは2人の秘密だよ、という彼の言葉を後に私は部屋を飛び出します。それから私はひきこもり、父は気晴らしにプラネタリウムに連れて行ってくれて、父を好きであることを再認識します。父の公演の後、私が忘れて行ったノートに付箋を沢山つけて、佐倉さんは私に返します。私は佐倉さんを憎み、佐倉さんに電話をかけ、佐倉さんとの話を書いて将来出版すると言うのでした。

 すべて朔の一人称で語られる形で書かれていて、朔は小6の少女がここまで考えるか、というぐらい、個人の人生について、自分の人生について考えます。読んでる私は彼女の次から次へと変わる思考についていくのが精一杯で、人生ってこんなに複雑なものだっけ?と思ってしまいます。ノートに書かれた物語の内容も最後まで明かされず、著者のサービス精神に疑問を感じました。筆力はある方だと思いますが、これからもこの著者の作品を読もうという気にはなれませんでした。皆さんはどうお感じになるでしょうか?