gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

エルマンノ・オルミ監督『ポー川のひかり』

2009-09-09 16:04:00 | ノンジャンル
 岩波ホールで、エルマンノ・オルミ監督の'06年作品「ポー川のひかり」を見ました。
 夏休みに入った大学の歴史博物館。守衛は多数の古書が開かれて床に釘付けされているのを発見します。証人たちにより、前日に宗教哲学の教授がその部屋にいたことが分かります。そして追想シーンに。夏休みにポー川の畔の荒れ果てた小屋を発見した教授は、その修復に取り掛かり、町のパン屋の娘に好意を持たれ、川辺に不法に住む人たちからは、その風貌から「キリストさん」と呼ばれ親しまれます。夜ごとに開かれる音楽パーティに興じる人々。小屋は立派に修復されますが、市当局が川に港を作るので、不法にそこに住んでいる人たちに退去を迫り、重機が押し寄せます。教授はその強引さに怒り、学問の無力さを呪って大学の歴史博物館の事件を起こします。結局、教授は釈放されますが、川辺に住む人々のもとへは帰ってきませんでした。
 ポー川の風景が美しく、特にラストシーンの靄に煙る冬の風景は見事でした。最初はミステリーの趣きですが、次第に環境問題が浮上し、最後は恋愛映画になるという、テーマが次々と変わる不思議な映画でもありました。夏休みの平日第一回目の上映にもかかわらず、中高年の観客で満員でしたが、このような地味な映画がなぜこれほどの動員力を持つのか謎です。イタリアの美しい風景を見たい方にはオススメです。