スカパーの260チャンネル「洋画★シネフィル・イマジカ」で、ヴィム・ヴェンダース監督の'74年作品「都会のアリス」を再々見しました。
砂浜のボードウォークの下に座り込んで風景のポラロイド写真を撮るフィリップ(リュディガー・フォグラー)。彼はモーテルに泊まりながら車でニューヨークに着くとドイツに帰る旅費の前借りをするために出版社を訪ねますが、ライターなのに1ヶ月写真ばかり撮っていたことを責められます。車を売って空港へ行くと、ドイツの空港はストで閉鎖されていてアムステルダム行きの翌日の便を勧められ、小学校低学年ほどの娘・アリス(イエラ・ロットレンダー)を連れた英語が不自由なリザ(リザ・クロイツァー)と知合い、飛行機が出るまで一緒にいてくれるように頼まれます。結局彼女らの部屋に一緒に泊まったフィリップは翌朝起きると、男に会うために午前中アリスを預かってほしいというリザの書き置きを発見しますが、待ち合わせ場所に彼女は現れず、ホテルには先にアリスとアムスに行っていてほしいという伝言が残されていました。アムスでもリザは現れず、アリスが唯一知っていた祖母の住む町にバスとモノレールで行き、レンタカーでアリスの覚えている祖母の家を探しますが、やがてアリスはこの町ではないと言い出します。嘘をついていたアリスに愛想を尽かしたフィリップは警察に彼女を引き渡しますが、食事がひどいと言ってアリスは警察を脱走しフィリップの元へ戻り、警察の情報から祖母の家の本当の場所を教えます。しかしようやく探し当てた家には2年前からイタリア人が住んでいて、その前の住人のことは一切分からないと言うのでした。憂さ晴らしに泳ぎに行った二人は公園で知合った女性の家に泊まらせてもらい、翌朝早くその家を抜け出しますが、立ち寄ったドリンクスタンドで見た新聞でフィリップはアリスが公開捜索中なのを知ります。フェリーに乗っていたところを警官に見つかり、アリスは親元に帰されることになり、フィリップは彼女と一緒に列車に乗って、物語を書くつもりだと彼女に語ります。列車の窓を開けて外を眺める二人を外から捕えたカメラは空高く上昇して広大な大地を写し出すのでした。
元祖ロードムービーとも言える映画で、ふんだんな縦の移動撮影があります。あらゆる乗り物が出て来ますが、最後にやっと列車が出て来るところもシャレていました。「ミファラシドミシラ」が連続するCANによる音楽が物悲しい雰囲気を醸し出しますが、イエラ・ロットレンダーのおしゃまさんぶりが映画を明るいものにしていました。空港の回転扉の中に入ってぐるぐる回っている最初に登場するシーン、フィリップに母が頼ることが分かって作り笑いするシーン、母が現れなくて空港のトイレに閉じこもって泣き出したところに、フィリップが祖母のいる町を思い出させようと町の名前を列挙していき、それに対して様々なニュアンスで「ナイ(違う)」と言い続けるシーンなど、魅力的なシーン満載です。私はヴェンダースの映画の中ではこの映画が一番好きです。未だ見ていない方には文句無しにオススメです。
砂浜のボードウォークの下に座り込んで風景のポラロイド写真を撮るフィリップ(リュディガー・フォグラー)。彼はモーテルに泊まりながら車でニューヨークに着くとドイツに帰る旅費の前借りをするために出版社を訪ねますが、ライターなのに1ヶ月写真ばかり撮っていたことを責められます。車を売って空港へ行くと、ドイツの空港はストで閉鎖されていてアムステルダム行きの翌日の便を勧められ、小学校低学年ほどの娘・アリス(イエラ・ロットレンダー)を連れた英語が不自由なリザ(リザ・クロイツァー)と知合い、飛行機が出るまで一緒にいてくれるように頼まれます。結局彼女らの部屋に一緒に泊まったフィリップは翌朝起きると、男に会うために午前中アリスを預かってほしいというリザの書き置きを発見しますが、待ち合わせ場所に彼女は現れず、ホテルには先にアリスとアムスに行っていてほしいという伝言が残されていました。アムスでもリザは現れず、アリスが唯一知っていた祖母の住む町にバスとモノレールで行き、レンタカーでアリスの覚えている祖母の家を探しますが、やがてアリスはこの町ではないと言い出します。嘘をついていたアリスに愛想を尽かしたフィリップは警察に彼女を引き渡しますが、食事がひどいと言ってアリスは警察を脱走しフィリップの元へ戻り、警察の情報から祖母の家の本当の場所を教えます。しかしようやく探し当てた家には2年前からイタリア人が住んでいて、その前の住人のことは一切分からないと言うのでした。憂さ晴らしに泳ぎに行った二人は公園で知合った女性の家に泊まらせてもらい、翌朝早くその家を抜け出しますが、立ち寄ったドリンクスタンドで見た新聞でフィリップはアリスが公開捜索中なのを知ります。フェリーに乗っていたところを警官に見つかり、アリスは親元に帰されることになり、フィリップは彼女と一緒に列車に乗って、物語を書くつもりだと彼女に語ります。列車の窓を開けて外を眺める二人を外から捕えたカメラは空高く上昇して広大な大地を写し出すのでした。
元祖ロードムービーとも言える映画で、ふんだんな縦の移動撮影があります。あらゆる乗り物が出て来ますが、最後にやっと列車が出て来るところもシャレていました。「ミファラシドミシラ」が連続するCANによる音楽が物悲しい雰囲気を醸し出しますが、イエラ・ロットレンダーのおしゃまさんぶりが映画を明るいものにしていました。空港の回転扉の中に入ってぐるぐる回っている最初に登場するシーン、フィリップに母が頼ることが分かって作り笑いするシーン、母が現れなくて空港のトイレに閉じこもって泣き出したところに、フィリップが祖母のいる町を思い出させようと町の名前を列挙していき、それに対して様々なニュアンスで「ナイ(違う)」と言い続けるシーンなど、魅力的なシーン満載です。私はヴェンダースの映画の中ではこの映画が一番好きです。未だ見ていない方には文句無しにオススメです。