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イングマール・ベルイマン監督『この女たちのすべてを語らないために』

2008-02-02 18:26:17 | ノンジャンル
 スカパーの260チャンネル「洋画★シネフィル・イマジカ」で、イングマール・ベルイマン監督の'64年作品「この女たちのすべてを語らないために」を見ました。
 偉大なチェリストのフェーリックスの葬儀が行われています。5人の愛人と夫人は皆遺体が本人に似ているが別人のようだと言います。楽し気なジャズが流れ「葬儀の4日前」の字幕。「有名な評論家のコーネーリウスが巨匠ヘーリックスの夏の別荘を訪ねる」の字幕。使用人イルケルと久しぶりの再会を喜び、抱き合うコーネーリウス。彼はフェーリックスの伝記を書くために訪れたのでした。巨匠は多くの女と暮らしています。評論家は巨匠の像を倒してしまい、女性たちの見守る中、元に戻すのに醜態をさらしてしまいます。評論家に最初に声を掛けてくれたのは、巨匠の妻のアデライーデでした。蜂ん子(ビビ・アンデルセン)ともう1人の愛人が巨匠と寝る予定表を作っています。蜂ん子は評論家を誘惑し、自分の部屋へ招き入れます。蜂ん子は楽しい音楽をかけ、2人はついたての後ろに姿を隠すと「検閲を考慮して、以下タンゴで代用する」の字幕。白黒の画面で2人はタンゴを踊り、一瞬カラーになり、蜂ん子が赤のドレスを着ているのが分かりますが、評論家がダンスに夢中になっている間に蜂ん子は消えてしまいます。評論家が寝ていると、黒衣の女性トラヴィアータが入って来て「今晩は私の番よ」と言い、拳銃を乱射し、去って行きます。「インケルはマネージメントの多忙」の字幕。次々のかかってくる電話に出るインケル。イソールデが評論家に話しかけて来て、巨匠がくれた名前もこの家もしゃれてるでしょ、と言って来て、巨匠と親密なのを自慢する。チェロの音が聞こえて来ると、イゾールデは「私は彼の楽器」と言って横たわってしまいます。聖セリーリアは傘の柄を評論家の背中に当てて銃で脅しているように見せかけ、評論家を庭に落として遊びます。彼女はタバコ会社の社長の娘で、フェーリックスという名前のタバコを売り出し、巨匠に訴えられ、怒りを鎮めるために彼女が贈られたのだと言います。父は少女には手を出さないだろうと思っていましたが、誘惑したのは娘の方でした。そして評論家もまた誘惑されてしまいます。アデライーデは評論家を的にして射撃の練習をします。評論家は男の心も打ち抜く女だと言います。白黒で葬式のシーンが繰り返されます。「葬儀の3日前」の字幕。自然の中で書き物をしていた評論家は鳥のフンを眼に浴びてしまいます。巨匠のあずま屋に行くと、巨匠は昼寝をしています。アヒルの浮き袋をつけて評論家は池で泳いでいると、蜂ん子とトラヴィアータが話していて、ドラヴィアータが巨匠がチェロのレッスンをしてくれないと嘆くのを蜂ん子が慰めます。愛人たちと夫人が屋外のテーブルに一同に会し、巨匠がひどい男だと彼の昼寝しているところへ押しかけますが、彼の演奏が始まると、皆うっとりとしてしまいます。また葬式の場面。遺産を計算するイルケルは自分の取り分が97エーレしか残らないのが分かり、酒を飲みます。「葬儀の2日前」の字幕。女たちの前で演奏する巨匠。風呂に入ったまま書き物をする評論家。蜂ん子の部屋に忍び込もうとすると、ベッドに近づいたところを写真に撮られ、別人の部屋と分かります。通りがかったイソールデに蜂ん子の部屋を聞くが、今度はマダム・チュッリーの部屋に来てしまい、彼女は自分の金で巨匠は有名になったと言い、ロウ人形館の創始者で、今では自分がロウ人形だと言います。一緒にいたトリスタンは30年前まっではチェリストだったが、ハーグの演奏会で巨匠に敗れ、妻も奪われ、その時に心は死に、巨匠が運転手に雇ってくれたと言います。部屋を出ると、銃を乱射する女に出会い、逃げ出して入った部屋には巨匠の手紙がありました。「葉巻が‥‥」の字幕。花火に引火し、その箱を持って火花を散らしながら評論家は家の中を走り回ります。「決定的瞬間」の字幕。インケルはそんな評論家を撮影します。「花火と騒動」の字幕。火花が至る所で散り、人々は逃げまどいます。バルゴニーでは巨匠がハンカチを振り、愛人たちは皆自分に振っていると思います。「この花火は何かの象徴ではない」の字幕。ケガを負った評論家はインケルに私生活についてどう書けばいいかと尋ねると、あきらめろと言われます。インケルは評論家が女装する案を思い付き、写真を撮り、巨匠に見せに行くと、間違えて愛人のベッドに近づく評論家の写真を見せてしまい、巨匠をカンカンに怒らせてしまいます。巨匠が評論家の作った曲を演奏してくれないので、評論家は名声を後世に残すには伝記しかなく、私はあなたの伝記は書かないと言います。「演奏3時間前」の字幕。巨匠は伝記を書いてもらいたいため、批評家の書いた曲を演奏すると言います。「世紀の瞬間が近づく」の字幕。ラジオ局で前奏が始まりますが、巨匠は何も弾かずにその場で死んでしまいます。巨匠の演奏をレコードで聞く喪服姿の一同。評論家は伝記は「外面」「内面」「彼の音楽」「マエストロの私生活」の4章からなり、本文を読み出すと、事実と違う、と愛人が論争を始めます。そして4章の原稿はアデライーデが盗んでいました。そこへ無名のチェリストが現れ、愛人たちの世話を受けたいと言い、演奏を始めます。画面のこちらに向かって評論家が「おしまいだよ」と言って映画は終わります。

 随分長いあらすじになってしまいましたが、それだけ内容が充実していると言う事です。スラプスティック・コメディあり、エロティックで、楽しく、無邪気。美人の夫人と愛人5人という夢のような生活。巨匠は最後まで顔を見せないのも演出の妙でしょう。ベルイマン監督の初めてのカラー作品ですが、撮影監督のスヴェン・ニクヴィストは薄い色を効果的に使い、装置も人工的で映画の内容にピッタリでした。私はベルイマンは難解な暗い映画より、こうしたコメディの方が多くの才能を発揮していると思いますが、皆さんはどう感じるでしょうか?

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