コロッケは子供の頃は大変なごちそうでした。日頃忙しい母は、いつも日曜日の夕飯のおかずに作ってくれました。コロッケは材料費が安価なせいか、最近は手頃な価格で売られているため、作らず買う家庭も多いはずです。
恥ずかしいですが、私も時短を迫られているので、ずいぶん長い事作っておりません。
これは従姉が作ってくれたコロッケです。
私の亡くなった叔母(父の姉)は料理が得意でした。しかも味付けが抜群。その娘が従姉。従姉の作る味は、叔母の味を受け継いでいるのです。ですからコロッケも絶品で、美味しい味付けです。関西では竹園コロッケが評判ですが、そのコロッケより美味しいのです。
安価な材料で手間をかけて料理をおいしく作ることは大切なことですが、皆忙しさにかまけてできなくなっています。
美味しい料理を作っても、
食べてしまえば一瞬でなくなってしまうから、そんなものに時間をかけたくない。
平気でこうおっしゃっている方を見かけます。
決してそうではないのですよ。
一度食べた美味しい味というのは、ずっと頭に残っているのです。
毎日の食事は、栄養を補給するだけのものではなく、一緒に食べる人や食材との一期一会のもの。
生きていくための栄養補給なら一流シェフなんて必要ないのです。
シェフという職業があるのは、人間が食事をする人、食事するもの、食事する場所を大切にしているからです。
そう思えば、毎日の食事はないがしろにできないことがわかります。
最近の私は、簡単に作ることができるものが多くなっています。
何回かに一度は、人の心にずっと残る料理を作りたいと従姉のコロッケで感じました。