神戸市兵庫区にある、東山商店街。神戸の台所と呼ばれているこの一帯は、アーケードの左右に、八百屋さん、魚屋さん、乾物屋さんなど食べ物を中心とした専門店が立ち並び賑わっています。昨日は、用事でこの商店街に行きました。
用事が終わり、いつも立ち寄るのが、生地屋さんです。割と手頃な値段の生地なのに、さすが神戸、ハッとするほどおしゃれで素敵な柄の生地が沢山あります。
御夫婦で長い間お店を経営しておられます。ここ数年、主人や母の介護で東山商店街にはなかなか行くことができずにおりましたが、昨年久しぶりにお店に寄ってみました。
相変わらず優しい笑顔のご主人が対応してくださいました。そしてそばには奥様がおられました。
お店で生地を選んでいると、ご主人は、奥様に、レジのことや、生地の扱いなど、噛んで含めるように、いちいち丁寧に説明を繰り返しておられました。私は、気になってしばらく様子を見ていました。
どうも数年の間に奥様に異変が起きているご様子でした。でも、ご主人は奥様に優しく声をかけて、一緒に店番をしておられました。
私も認知症の母と一緒にいるので、なんとなく状況は理解できましたが、わざわざ、そんな話を持ち出すのも失礼と思い、黙って買い物をして帰っておりました。
しかし、昨日は、可愛い生地を見ると、嬉しそうにする私の母の話から、今抱えている介護の大変さに話が進みました。
ご主人は、三年前から様子が変わってきた奥様のお世話をするようになったそうです。元気な時は、なんでもバリバリ難なくこなす賢い奥様だったとお話くださいました。決して声を荒げることもなく、大切に守ってあげている様子に、奥様への深い愛情が感じられました。長年苦労を共にしてきた夫婦だからこそなのかもしれません。
御自身だって大変なのに、私の事情を聞いてくださり、すごく心配してくださいました。本当に優しいご主人です。
今日も奥様の介護をしながら、お二人で仲良くお店にいらっしゃるはずです。ご高齢ですが、できるだけ長くお店をしていただきたいと願っています。