大橋みつるの平和ト-ク・・世直しご一緒に!

世界の変化を見ながら世直し提言
朝鮮・韓国・中国・ロシアとの友好促進
日本語版新聞紹介

大軍拡を中止し、消費税減税やインボイスを廃止すべきだと訴え。日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞受賞は核兵器廃絶こそが核の脅威から逃れる唯一の道であることを世界に発信したと指摘。

2025-03-09 | しんぶん赤旗を読んでください。

2025年3月9日(日)

2025国際女性デー

平和とジェンダー平等を

世界に連帯 各地で行動

 国際女性デーの8日、戦争する国づくりを止め、命、暮らし、権利を守ろうと「世界の女性と手をつなぎ、平和・ジェンダー平等へ」を合言葉に全国各地で集会やイベントが行われました。

中央大会・銀座パレード

田村委員長メッセージ

写真

(写真)ジェンダー平等の社会実現を求めてパレードする人たち=8日、東京都中央区

 東京都内では2025年国際女性デー中央大会が開かれ、昨年、女性差別撤廃委員会の日本報告審議で、選択的夫婦別姓などの勧告が行われたことを受け、「国連の勧告を生かして―女性の権利を国際基準に」と題して文京学院大学名誉教授の山下泰子さんが講演しました。日本共産党の田村智子委員長がメッセージを寄せ(全文)、女性差別撤廃条約選択議定書の批准を政府に迫ることや選択的夫婦別姓の今国会での実現に向けての決意を述べました。日本共産党の吉良よし子参院議員があいさつしました。

 集会に先立って銀座パレードが行われ、約100人が寒空のもと、「ジェンダー平等社会を実現しよう」「戦争する国絶対反対」「核兵器なくそう」「セクハラ禁止 パワハラ禁止」などとコールをしながらアピールしました。

 大軍拡を中止し、消費税減税やインボイスを廃止すべきだと訴え。日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞受賞は核兵器廃絶こそが核の脅威から逃れる唯一の道であることを世界に発信したと指摘。日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求めようと呼びかけました。

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3月1日は「赤旗」日曜版の創刊66周年。都議会自民党の裏金リストで判明しました。さらに訂正した政治資金収支報告書の内容も虚偽の疑いが…。スクープです。

2025-03-01 | しんぶん赤旗を読んでください。

2025年2月28日(金)

日曜版3月2日号

都議会自民党の裏金リスト入手

参院比例5人ワンチーム 山下よしきさん

写真

 「都議会自民党」は1月に裏金問題について謝罪しました。ところが、その時に公表した「裏金」議員数や裏金の金額などが虚偽である疑いが、日曜版編集部が入手した都議会自民党の裏金リストで判明しました。さらに訂正した政治資金収支報告書の内容も虚偽の疑いが…。スクープです。

 「暗闇の中光る、ぼくたちの灯台」と作家の池澤夏樹さん。作家のアルテイシアさん、漫画家のやくみつるさん、憲法学者の小林節さんからも応援メッセージが寄せられました。

 日本共産党の田村智子委員長は国会で、収入別の税負担のなかで、消費税が低所得者層だけでなく中間所得層も含めて最も重くのしかかっていることを明らかにし「今こそ消費税の減税を」と迫りました。

 日本共産党の躍進で新しい政治への展望を開こうと全国を駆ける5人の参院比例予定候補。今回は山下よしき参院議員を紹介します。

 3日から開かれる核兵器禁止条約第3回締約国会議を前に、同条約作成で大きな役割を果たしたオーストリアの大使にインタビューしました。

 埼玉県八潮市の下水道管破損による道路陥没事故。専門家は全国どこでも起きる危険があると警告します。

 「ひと」は、俳優の高畑淳子さん。

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 告発されたのは、都議会自民党の菅野弘一、小宮安里、石島秀起、三宅正彦、発地(ほっち)易隆、鈴木純の6都議と元都議、事務担当者2人。

2025-02-24 | しんぶん赤旗を読んでください。

2025年2月24日(月)

裏金自民都議ら9人告発

上脇氏 パー券収入中抜きなど

 神戸学院大学の上脇博之教授が、都議会自民党のパーティー収入などをめぐる裏金事件で、政治資金パーティーで得た寄付を中抜きしたうえ政治資金収支報告書に記載していなかったなどとして、自民党の東京都議ら9人を刑事告発したことが23日までにわかりました。

 告発状によると、東京都議会自民党会派の政治団体「都議会自民党」は2019年に21政党支部に計1824万円、22年に13政党支部に1049万円を寄付として支出。いずれも収支報告書に記載せず、「組織的な『中抜き』裏金づくりがなされていた」としています。

 また、21年の「前年からの繰越額」が訂正されたことで、20年と21年に「保有していなかった325万円を2年連続多く架空計上」したと指摘。「悪質な虚偽記入であったことは明らか」だとしています。

 この事件は、「しんぶん赤旗」日曜版の特報を受け、24年1月に上脇氏が刑事告発したことが発端。会計担当者には今年1月、罰金100万円と公民権停止3年の略式命令が出されています。

 今回の告発内容は、今年1月に都議会自民党が開いた会見や21年から23年分までの収支報告書を一斉に訂正したことで判明した事実をもとにしたとしています。告発状は2月14日に提出されました。 

 告発されたのは、都議会自民党の菅野弘一、小宮安里、石島秀起、三宅正彦、発地(ほっち)易隆、鈴木純の6都議と元都議、事務担当者2人。

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 高度経済成長期以降に整備されたインフラの老朽化が急激に進んでいます。50年を経過した下水道管の割合は42年に40%になり、橋の75%、トンネルの53%が40年までに建設後50年以上になります。

2025-02-13 | しんぶん赤旗を読んでください。

しんぶん赤旗 主張

道路の陥没事故

大型開発優先の抜本的転換を

 埼玉県八潮市の県道陥没事故は、インフラの老朽化がもたらす危険や住民への影響の大きさを見せつけています。運用から42年になる下水道管の腐食によるとみられ、穴に転落したトラックの運転手はいまだ行方不明です。

 下水道に起因する道路陥没は2022年度に約2600件起きています。下水道管の標準耐用年数は50年とされ、腐食のおそれが大きい箇所は政令で5年に1回以上の点検が求められています。この下水道管は21年度の点検では「直ちに工事は必要ない」との判定でした。点検の期間・方法の見直しを含め、老朽インフラへの対策が急務です。

■加速化する老朽化

 高度経済成長期以降に整備されたインフラの老朽化が急激に進んでいます。50年を経過した下水道管の割合は42年に40%になり、橋の75%、トンネルの53%が40年までに建設後50年以上になります。

 12年の中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故を受け政府は13年に「インフラ長寿命化基本計画」を策定し、現在は25年度を期限に第2次計画が進められています。

 しかし、国交省自身、「地方公共団体管理のものを中心に早期に修繕が必要なインフラが多数存在したまま」と認めています。下水道は地方自治体管理で、21年度から23年度の点検で「速やかに措置が必要」と判定されたうち、24年3月末までに対策が完了したのは44%にとどまります。

■自治体任せ改めよ

 水道事業は独立採算制が原則とされます。しかし、自治体の予算と技術系職員の不足で、この原則の維持が困難になっています。水道職員数は1995年に6万2千人いましたが、22年には3万9千人にまで激減。自治体リストラとともに、行政が担ってきた業務を民間に開放する規制緩和が現場の技術力を低下させる原因となっています。必要な技術者を国の責任で確保することが不可欠です。

 能登半島地震を受け、水道の耐震化も課題となりました。ところが、政府の24年度補正予算に盛り込まれた補助制度は、水道料金値上げを誘導する仕組みになっています。住民負担増とセットのやり方は改めるべきです。

 自公政権は競争力・産業インフラ機能強化などとして不要不急の大型開発に巨額の予算を投入しています。

 整備新幹線、高速道、空港建設が進められ、東京外環道(関越―東名)の建設費は20年には約2兆4千億円に膨張。国際コンテナ戦略港湾整備では24年1月までに1兆円近くが投入されています。

 国民の安全・安心のため大規模開発・新規建設優先からインフラの維持・更新、防災・減災優先に根本的に切り替えることが不可欠です。

 特に国は自治体任せを改め、抜本的な支援策を打ち出すべきです。▽点検を繰り返し行うため市町村の点検費用などを国が全額補助する▽国の「防災・安全交付金」を増額し地方の要求額に100%応える▽市町村の単独事業となっているインフラの維持管理費を補助対象に拡充―などで財政難による必要な修繕の「先送り」が起きないようにすることが求められています。

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ホワイトハウス前では市民やパレスチナ系団体などによる抗議集会が行われ、参加者は「パレスチナは売り物ではない」などと怒りの声を上げました。

2025-02-06 | しんぶん赤旗を読んでください。

2025年2月6日(木)

米・イスラエル首脳会談

「米国がガザを所有」

トランプ氏 住民移住後に

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(写真)抗議の声も 米イスラエル首脳会談が行われたホワイトハウスの周辺で、パレスチナの解放を求めてデモ行進する人たち=4日、ワシントン(柴田菜央撮影)

 【ワシントン=洞口昇幸】トランプ米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相は4日、米ホワイトハウスで会談しました。トランプ氏は、パレスチナ自治区ガザの住民全員を域外に移住させた後、米国がガザを掌握・所有し、「経済発展」させると述べました。パレスチナ人の民族自決や国家建設の思いを無視するとして、強い反発が出ています。

 トランプ氏が2期目就任後にホワイトハウスで外国首脳と会談するのは初めて。会談冒頭トランプ氏は、イスラエルの攻撃で住居や建物が徹底的に破壊されたガザについて「住むことはできない、別の場所が必要だ」と述べ、ガザ域外への恒久的再定住を主張。その資金は「大きな富を持つ近隣諸国が負担することができる」と述べました。

 会談後の共同記者会見で、トランプ氏は、「米国がガザを掌握する」と発言。不発弾の処理や破壊された建物を撤去した後に「地域の人々のための無数の雇用や住宅を供給できる経済発展を生み出す」と述べました。

 同日、ホワイトハウス前では市民やパレスチナ系団体などによる抗議集会が行われ、参加者は「パレスチナは売り物ではない」などと怒りの声を上げました。

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「日本の政治の革新になくてはならない新聞だと思います。ぜひ、危機を脱してください。わたしもわたしなりに増やす努力をしてみます」(京都)などです。

2025-02-01 | しんぶん赤旗を読んでください。

2025年2月1日(土)

きょう「赤旗」創刊97周年

なくてはならぬ 私の教科書…

「100万人読者回復・10億円募金」 熱いエール

6500万円

                                     本文と写真は無関係です。

きょう2月1日は「しんぶん赤旗」創刊97周年です。日本共産党が第4回中央委員会総会で呼びかけた「タブーなく真実を報道する『しんぶん赤旗』を守り、発展させよう/100万人読者回復・10億円募金」(本紙12日付掲載)をうけて、19日間で6572万円の募金とともに熱いメッセージが、全国から寄せられています。

 「『赤旗』は絶対になくしてはならない。いてもたってもいられない気持ちで募金しました」(沖縄)、「いつも『赤旗』に励まされています。お手伝いさせてください」(神奈川)、「毎日届く『赤旗』は、私にとって政治・経済の教科書です。なくなるなんて考えられません!」(千葉)、「北斗七星の光が失われることのないように、研ぎすまされた権力への追及を願っています」(秋田)、「日本の政治の革新になくてはならない新聞だと思います。ぜひ、危機を脱してください。わたしもわたしなりに増やす努力をしてみます」(京都)などです。

 山下芳生副委員長は「緊急の訴え」(29日付掲載)のなかで、「『大運動』の最初の月であり、『100万人読者回復・10億円募金』を訴えた最初の月に、読者拡大で後退したのでは、国民に対する責任を果たすことはできません」と強調し、必ず前進を勝ち取ろうと全党に呼びかけました。これに応えた大きな奮闘と協力が広がっています。

募金先 郵便振替

 口座番号 00170-7-98422

 加入者名 日本共産党中央委員会

 *通信欄に「赤旗募金」と記入のうえ、住所、氏名、職業をお書きください。

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大軍拡の背景にあるアメリカいいなりの政治、財界・大企業の利益優先の政治という「二つのゆがみ」に切り込み、財源の裏付けがある確かな道を示しました

2025-01-31 | しんぶん赤旗を読んでください。

2025年1月31日(金)

日曜版2日号

暮らし守る道は―田村委員長が代表質問

給食費無償化全都へ 光る共産党都議団

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 暮らしの困難を打開し応援する予算へ―日本共産党の田村智子委員長は衆院本会議の代表質問で、大軍拡の背景にあるアメリカいいなりの政治、財界・大企業の利益優先の政治という「二つのゆがみ」に切り込み、財源の裏付けがある確かな道を示しました。ジャーナリストの脇正太郎さんは「日米同盟絶対」の政治を正面から問う、日本共産党の論戦に注目します。

 元タレントの中居正広さんの性加害疑惑をめぐり、フジテレビの企業風土と人権意識が問題になっています。識者に聞きました。

 『坂の中のまち』を出した作家の中島京子さん。創作と時代への思いは―。

 6月の東京都議会議員選挙。野党第1党の日本共産党都議団(19人)は、学校給食無償化などホンモノの改革の党として数々の実績をあげてきました。

 トランプ政権に立ち向かう米市民の姿を「世界.net」で。

 身体機能が衰える「フレイル」―自宅でできる予防法を「健康らいふ」で。スポーツは都並敏史さんがイングランド・プレミアリーグで活躍する三笘薫選手を語ります。

 「戦後80年」企画は風船爆弾と歴史の教訓。開発の背景、風船爆弾用の和紙の産地や放球基地跡を取材しました。

 「都議会自民党」の裏金事件。共産党都議団の証拠文書公表で新疑惑が…。

 「ひと」は、俳優の竹下景子さん。

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森川明後援会代表世話人の開会あいさつに続いて、京都民医連の中川洋寿会長や、京都総評の梶川憲議長、民主青年同盟や、北陸新幹線延伸に反対する右京区民の会の代表らがリレートーク。

2025-01-14 | しんぶん赤旗を読んでください。

2025年1月14日(火)

党派超え宝の議席守り抜く

京都 参院選勝利へダッシュ集会

写真

(写真)そろい踏みをする、(右から)渡辺・井上・倉林・堀川・森川の各氏=13日、京都市左京区

 日本共産党京都府委員会は13日、京都市左京区で「参議院選挙勝利へダッシュ集会」を開き、井上さとし参院議員・比例代表予定候補、倉林明子参院議員・京都選挙区予定候補が決意表明しました。メイン会場の京都教育文化センターに300人が参加し、オンラインで250カ所で視聴がありました。

 森川明後援会代表世話人の開会あいさつに続いて、京都民医連の中川洋寿会長や、京都総評の梶川憲議長、民主青年同盟や、北陸新幹線延伸に反対する右京区民の会の代表らがリレートーク。福山和人弁護士は「党派を超えて声を広げて倉林さん、井上さんはじめ共産党の宝の議席を守り抜こう」と訴えました。

 倉林氏は「看護師として医者にかかれず亡くなる人をみてきた。貧乏をなくしたいというのが原点」、井上氏は「核兵器廃絶、学問の自由を守る共産党の姿に感動し入党した」などと自己紹介。倉林氏は「参院で自民党政治を終わらせる。京都1000年の愚行=北陸新幹線延伸を勝利して止める」、井上氏は「いのち優先の政治、核兵器禁止条約参加を。軍事費を復興予算の3倍も出す逆立ち政治を参院選で終わらせよう」と呼びかけました。

 渡辺和俊京都府委員長が、自民党政治を大本から変える党の値打ち・政策を広げ、党勢拡大で力をつけて参院選に必ず勝利しようと呼びかけました。

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第二は、財界・大企業中心、日米軍事同盟絶対という自民党政治の「二つのゆがみ」に正面から切り込み、自民党政治を終わらせるたたかいの先頭にたって奮闘することです。

2025-01-13 | しんぶん赤旗を読んでください。

2025年1月13日(月)

第4回中央委員会総会

志位議長の中間発言

 日本共産党の志位和夫議長が第4回中央委員会総会の初日(10日)に行った中間発言は次のとおりです。


写真

(写真)発言する志位和夫議長=10日、党本部

 たいへんに積極的な討論が続いていると思います。

 決議案とその内容の基本点は、田村委員長の提案報告でのべた通りです。国際問題と理論問題は、新春インタビューでまとまってお話しする機会がありましたので、ぜひお読みいただけたらと思います。

 私は、この決議案の内容をつかむうえでのいくつかの核心的な問題について発言します。3点にしぼって話したいと思います。

切実な要求実現と一体に、「ホンモノの改革の党」の魅力がきわだつたたかいを

「新しい政治プロセス」を前に――二つの基本姿勢を堅持して

 第一は、参議院選挙をたたかう政治論戦の基本にかかわる問題です。

 決議案では日本の政治の現状について、「大きな激動が予想される流動的局面に入った」と規定しています。そういった激動的・流動的情勢のもとで、どうやって参議院選挙の勝機をつかむか。

 決議案は、「日本共産党は『新しい政治プロセス』を前にすすめるためにどうたたかうか」という問いをたてて、二つの点を強調しています。

 第一は、国民の切実な要求の実現のために、あらゆる可能性を追求することです。

 第二は、財界・大企業中心、日米軍事同盟絶対という自民党政治の「二つのゆがみ」に正面から切り込み、自民党政治を終わらせるたたかいの先頭にたって奮闘することです。

 この二つの点を、いまの情勢に対するわが党の基本姿勢として、決議案の冒頭に明記しています。この基本姿勢を堅持して奮闘することがどうして重要か。

この基本姿勢で奮闘してこそ、自民党を追い詰め、自民党政治を終わらせることができる

 まず強調したいのは、この基本姿勢で奮闘してこそ、自民党を追い詰め、自民党政治を終わらせることができる、ということです。

 いま自民党は、かつてない危機的状況に追い込まれながら、この「二つのゆがみ」には指一本触れずに、暴走を加速しています。ごく部分的な「譲歩」――自民党にとっては痛くもかゆくもない「譲歩」をテコにして、一部の野党を抱き込んで危機の打開をはかる、これが自民党の戦略です。そして多くのメディアは、ごく部分的な「譲歩」の問題だけに焦点をあてて、あたかも日本の政治の焦点がそこにあるかのようなキャンペーンをはっています。これは「二つのゆがみ」を続けてよいのかどうかという、日本の政治の真の焦点を覆い隠すものとなっています。

 そういうもとで、私たちがどうたたかうか。決議案がのべている基本姿勢が重要になってきます。国民の切実な要求の実現のために、あらゆる可能性を追求して政治を一歩でも二歩でも前に動かすためにがんばりぬく、という奮闘がたいへんに重要です。同時に、それだけでは自民党を追い詰めることはできません。自民党政治の「二つのゆがみ」に正面から切り込み、根本から変えるたたかいをすすめる、これを一体にすすめてこそ、自民党を追い詰め、自民党政治を終わらせることができます。

この基本姿勢で奮闘してこそ、野党の中での日本共産党の値打ちを際立たせることができる

 さらに強調したいのは、この基本姿勢で奮闘してこそ、野党の中での日本共産党の値打ちを際立たせることができるということです。今後の政治プロセスで、野党は二つの流れに分かれていくことになるでしょう。

 すなわち、あれこれの部分的改良と引き換えに、自民党政治の延命に手を貸し、「二つのゆがみ」を温存するという立場にたつ流れと、国民の切実な要求実現のために奮闘するとともに、「二つのゆがみ」を大もとから正すという立場にたつ流れに分かれていくことになるでしょう。

 昨年の臨時国会での補正予算をめぐる動きは、総選挙後の政治プロセスで、そうした分岐の最初のあらわれとなりました。大軍拡と大企業への大盤振る舞いという二つの大問題を持った補正予算案に対して、国民民主党は「103万円の壁」、維新の会は「教育費無償化の協議体」、それ自体は悪いことではありませんが、「二つのゆがみ」には触れない部分的改良と引き換えに、補正予算案に賛成し、自民党の延命に手を貸しました。日本共産党は、それにきっぱりと反対を貫き、この二つの大問題に切り込む論戦を行いました。今年の政治プロセスのなかで、こうした分岐は一層鮮明になっていくでしょう。

自民党政治の「二つのゆがみ」を告発し、これを正せばどういう展望が開かれるかを語ろう

 そういうもとで、決議案がのべている基本姿勢が重要になってきます。決議案で示している政策的訴えの五つの柱――政治とカネ、暮らし、平和、環境、ジェンダーでの政策的訴えと一体に、財界・大企業中心、日米軍事同盟絶対という自民党政治の「二つのゆがみ」を告発し、このゆがみを正せばどんな展望が開けてくるかを、太く、新鮮に、分かりやすく訴えぬく。これがわが党の値打ちを光らせていくうえで絶対不可欠になります。

 繰り返しになりますが、国民の切実な要求実現のための努力は、たいへんに大事です。ここで他党に負けない、わが党ならではのとりくみが大切です。同時に、この土俵での競い合いだけになったら、党の値打ちを光らせることはできません。わが党でなければ訴えられない「二つのゆがみ」を大もとから正すという立場、「ホンモノの改革の党」としての魅力が伝わってこそ、はじめて多くの国民の気持ちをつかむことができ、勝機をつかむことができます。

 討論のなかで、「今年は、自民党政治の『二つのゆがみ』をめぐって各党がふるいにかけられるプロセスがすすむだろう」という発言がありました。まさにその通りです。「各党がふるいにかけられるプロセス」がすすむことになる。

 そのときに、私たちが、決議案でのべているこの二つの基本姿勢に立った奮闘をやりぬいてこそ、日本共産党は勝利に向けて浮上できる。「ホンモノの改革の党」としての値打ちが際立つたたかいをやりぬいて、その魅力を国民に広く伝えながら、勝機をつかんでいこうではないか。これが決議案の提起であります。

経済論戦――責任ある財源論をもつ党でこそ、困っている人の暮らしを守れる

 第二は、政治論戦の中でも大きな焦点の一つになる経済論戦の問題です。

 決議案では、「暮らしの困難を打開し、安心とゆとりを」と打ち出しています。国民の多くが生活苦にあえぐ中で、経済論戦でどうやって党の値打ちを光らせていくかということは、選挙戦の勝敗に直結する大事な問題となってきます。

五つの分野での党の政策的提起――先駆的で豊かな内容を自信をもって訴えよう

 決議案は、働き方、税制、社会保障、教育費、農業、5分野にわたって、どれも党ならではの先駆的な政策的提起を行っています。

 たとえば働き方の問題をとっても、政治の責任で賃上げを進める具体的提案を行っている党は日本共産党しかありません。労働時間短縮は、昨年末、「朝日」が「脱・長時間労働」の特集記事を掲載するなど、社会的関心が集まっている問題ですが、ここに先駆的に切り込んでいる党も日本共産党しかありません。この五つの分野での党の政策的提起での内容の全体が、どれも先駆的で豊かなものであり、自信をもって訴えていこうということをまず強調したいと思います。

無責任な放漫財政の道を走る自公政権――国民生活の破壊と戦争への道

 そのうえで、ここで訴えたいのは、決議案が、「責任ある財源論をもつ党でこそ、困っている人の暮らしを守れる」ということを、暮らしの項の最後で訴えていることの重要性です。これがとても大事になってきます。

 端的に言いますと、いま自公政権は、大軍拡と大企業への大盤振る舞いを、まともな財源を示すことなく突き進む、本当に無責任な放漫財政の道を走っています。

 たとえば軍事費を5年間で43兆円増やすという。しかし財源をまともに示してはいません。結局は、庶民増税と社会保障切り捨て、暮らし予算の削減になるわけですが、そのことを具体的には言いません。隠ぺいしています。まともな財源を示すことなく、空前の大軍拡の道を走っている。さらにアメリカに言われるまま、GDP(国内総生産)比2%にとどまらず、もっと増やしていこうという動きになっています。これは無責任な放漫財政の極みと言わなければなりません。

 軍事費でそういう放漫財政をやるから、他のあらゆる分野でも、たがが外れてしまっている。たとえば半導体の大企業に対して、何兆という単位の補助金を出すというでたらめをやっています。これまでにもなかった異常な税金のバラマキであります。

 よく自公政権は「緊縮財政」だという議論がありますが、これは正しくありません。たしかに国民に対しては冷酷無情な「緊縮財政」をやっています。しかし大軍拡と大企業に対しては無軌道な放漫財政をやっている。これがいまの自公政権の姿であり、この道が国民生活の破壊と戦争への道だということは、決議案が示しているとおりです。

 そしてこういう状況のもとで、一部の野党もあれこれの政策を財源の裏付けなしに主張している。これは無責任な放漫財政という点では、自公政権と軌を一にした姿勢だといわなければなりません。

暮らしのための積極財政の提案を、責任ある財源論とセットでかかげる唯一の政党

 そういうもとで日本共産党はどうするか。決議案にあるように、日本共産党は暮らしのための積極財政の提案を、責任ある財源論とセットでかかげる唯一の政党になっています。この値打ちを深く確信をもって訴えていくことが大事です。

 わが党は、消費税減税など恒久施策については税財政の改革――大企業と富裕層への応分の負担、大軍拡の中止などによる恒久財源でまかないます。23兆円の規模となります。時限的施策については、大企業の内部留保課税や国債でまかないます。18兆円規模になります。合計で40兆円を超える大規模で積極的な提案となっています。同時に、ぎりぎり精査をして、合理的で責任ある財源論を仕上げています。わが党が、暮らしのための積極財政の提案を財源論とセットでかかげることができるのは、自民党政治の「二つのゆがみ」を正す立場にたっている党だからにほかなりません。

 先日、自民党の森山幹事長が「政策は財源論とセットで語るべきだ」と言いました。しかし一番それをやっていないのが自民党だと、まず言わなければなりません。同時に、一部の野党もあれこれの政策を財源の裏付けなしに主張している。財源の裏付けがないという点では、自民党とどっちもどっちであります。

 そういうなかで徹底的に国民の立場にたって政策は財源論とセットの立場を堂々と貫いているのが日本共産党です。ここを胸を張って押し出す必要があります。私たちの経済政策の一つ一つの内容の魅力とともに、すべての政策が財源の裏付けをもっている。このことをセットで語りぬこうではありませんか。

暮らしの困難に心をよせ、勇気をもって真実を訴えよう

 いま国民の暮らしの困難は非常に深刻です。多くの人々がわらにもすがる思いだと思います。そこに耳あたりの良い政策をあおる勢力がいる。そうしますと、ついついそういうわらにすがってしまう。しかしそのわらには財源の裏付けなしという毒があります。この毒つきのわらをつかめばズブズブと沈んでしまうことになります。結局は、暮らしが壊され、平和が破壊されることになります。決議案に書いてある通りです。

 そうした状況のもとで、私たちは、理性的に、丁寧に、そして確信をもって、真実を語る必要があります。経済政策の一つ一つの魅力を語るとともに、責任ある財源論とセットという点を語る。この立場を欠いて財源論で無責任な立場をとるならば、わが党の経済政策の全体が信頼を失うことになるでしょう。国民の暮らしの苦難に心を寄せ、わらにもすがる思いに心を寄せるとともに、暮らしの困難を本当に打開しようと思ったら、この理性的な立場を揺るがずに貫くことが大事なんだと語る。勇気をもって真実を語ってこそ、私たちは勝機をつかむことができるといいたいと思います。

 そうすれば暮らしの困難を打開しようと真剣に考えている人たちは、必ず日本共産党の主張を理解してくれると思います。わらにもすがる思いの人にも、本当に困っている人を助ける道はこの道なんだということを、届く言葉を磨きながら、確信をもってわれわれが訴えていけば必ず訴えが届くと思います。この立場を貫くことが勝利への道だということを訴えるものであります。

党活動の基本的構え――「二つの一体的追求」をどうやって成功させるか

 第三は、党活動の基本的構えの問題についてです。

 決議案は、「選挙勝利をめざす活動と党づくりをどうやって飛躍させるか」と問いかけ、「二つの一体的追求」を提起しています。すなわち、一つは、「選挙勝利の活動と党づくりの活動の一体的追求」、いま一つは、「毎月の党勢拡大の前進と党の総力をあげての世代的継承の一体的追求」であります。

全党の議論と実践で探究・開拓していくようにしたい

 これは本当に、「言うは易(やす)く行うは難しい」という問題です。

 私たちは、決議案をつくる際に、どうやればできるか、いろいろな角度から検討を行いました。この「二つの一体的追求」をやらなければならない、その必要性についてはだれしも異論がないことだと思います。しかし、どうやったらやれるか。ここで悩んでいるみなさんが多いと思います。私たちもそうであります。

 この点をいろいろな角度から検討し、決議案では、あれもこれも全部書くということをしないで、いくつか大事なヒントになる問題を提示して、みなさんの議論にゆだねて、知恵を集めて決議案を仕上げ、全党の議論と実践で探究・開拓していくようにしたい。そういう思いで決議案を仕上げ、今この総会の討論にゆだねているわけです。

「大きなカナメ」――「要求対話・要求アンケートで新しい結びつきを広げる」

 まず、選挙活動と党づくりの一体的追求という提起ですが、これは総選挙に向けてはこれが十分にできなかった、という反省に立ってのものです。中央のイニシアチブとして、選挙活動の日常化に弱点がありました。党づくりのほうは本当に真剣に、みんなでとりくんだわけですが、それと一体に選挙活動の日常化をやるという点での、イニシアチブが不足していた、というのが中央としての反省でした。この反省の上に立って、決議案は、選挙の日常化と、党づくりの一体的追求を今度こそやりぬくという大きな命題を立てました。

 それではどうやってこの一体的追求を成功させるか。いろいろな大事な点があると思いますが、最大のカナメは、――決議案では「大きなカナメ」という言い方をしておりますが――、それは「要求対話・要求アンケートにとりくみ、要求を実現し、国民との新たな結びつきを広げる」、ここに思い切ってとりくんでみよう、これを「大きなカナメ」として、一体的追求をすすめよう、ということを今度の決議案では提起をいたしました。

 「要求対話・要求アンケート」を何のためにやるのか。まず国民の要求を聞く、そして要求を一緒になって実現する、新しい結びつきを広げる。これがこの活動にとりくむ目的の基本になります。

 決議案にもありますように、従来、私たちの声が届いていた範囲の活動の繰り返しでは、国民の中に起こっている新しい変化を党の前進に実らせることはできません。討論でも出されましたが、総選挙のたたかいを振り返りますと、広大な無党派の人々、若い世代の中に、私たちの声が届いていない、声が届いていないから日本共産党ははなから選択肢に入らない、こういう状況がかなり共通してありました。そういう人々には、これまでの活動方法の繰り返しでは、私たちの声が届かない。それにくわえて、名簿が少ない、細っていく、電話がかからない、などの問題があります。これまでと同じやり方で、同じ人々を対象に、ぐるぐる回っているのでは、新しい層に声が届かない、これは多くのみなさんの共通の大きな悩みになっていると思います。

 それでは、新しい層への結びつきをどうやって広げていくか。ここで「要求対話・要求アンケートで新しい結びつきを広げる」という新しい活動方法に挑戦し、これを選挙活動と党づくりを一体的にすすめる「大きなカナメ」の活動として位置づけようじゃないかということを決議案では打ち出しました。討論では、この方針について、選挙勝利、党づくりを前進させる戦略的大方針と受け止めたと、歓迎する声が先ほど出されました。その通りであります。あれこれの手の問題ではなく、まさに戦略的大方針としてこれを打ち出しました。この方針でこそ若い人にも声が届く、世代的継承の展望が開かれるという受け止めも議論の中で出されました。これもその通りだと思います。

全国の経験を踏まえ、ベルギー労働党の活動に学んで

 この方針は、私たちが、頭の中で考えたものではありません。地方選挙の場合、多くの地域では、要求アンケートにとりくみ、それを力にしています。討論でも、街頭での「なんでも相談会」や、アンケート活動にとりくみ、結びつきを広げて、党勢拡大につなげている経験が語られました。すでに全国でさまざまな形で、要求の対話、要求アンケートにとりくみ、前進をつくりだしている経験がたくさんあるのではないでしょうか。どうかこの総会では、それを出しあって、光をあてていきたいと思います。

 もう一つ、私たちがこの提起を行う上で参考にしたのは、ベルギー労働党であります。私は、昨年の9月にベルギーを訪問した際に、ベルギー労働党のメルテンス書記長と会談して、この党がSNSで優れた活動をやっていることに非常な感銘を受けましたが、もう一つ、この党が国民の声をよく聞き、暮らしの苦難に寄りそって活動する党だということにも強い感銘を受けました。選挙の前に要求アンケートに大規模にとりくんで、その結果を政策や活動に反映させているのです。

 こうした交流をふまえて、先日、田中悠副委員長を中心とするSNS戦略室とベルギー労働党の担当部門との間で、オンライン会談を行い、かなり詳しく経験を聞きました。先方からこういうことが言われました。

 「私たちは、聞くことから出発します。毎回の選挙では、選挙前に大規模なアンケート調査を実施します。Webサイトやオンライン調査、紙を使った調査で、具体的な問題について20~30の質問をします。ここから出発をして、戦略を組み立てて、結びつきを広げています」

 こういう話でした。いま、ベルギー労働党は躍進の中にあって、私たちが訪問した後の地方選挙でも躍進が続くといううれしいニュースが入ってきましたが、この躍進はSNSの力だけではないのです。いま紹介したような結びつきを広げる地道な活動をやる中で、それと一体にSNSを強化している。そういうことも参考にして、この方針を打ち出したことも報告しておきたいと思います。この戦略的大方針を全党がつかんで、選挙勝利、強く大きな党づくりを必ず成功させようではありませんか。

この戦略的大方針は、決議案の方針の全体に貫かれている

 決議案との関係で、ここでつかんでいただきたいのは、「要求対話・要求アンケートで、新しい結びつきを広げる」という戦略的大方針は、この決議案の方針の全体に貫かれているということです。

 まず、「選挙勝利への活動――『三つの突破点』をさらに発展させよう」の活動方針の二つ目に、この大方針がズバリ位置づけられています。「折り入って作戦」を質的に大きく発展させるものとして提起をされています。

 さらに、「世代的継承を中軸とする党建設」の活動方針のなかでは、第1項目が、「要求対話・要求アンケートの推進は共通の土台」になっています。このとりくみは党づくりでも、これまで声が届かなかった若い世代、労働者との結びつきを広げ、党に迎え入れていく大きな力になるし、力にしていかなければなりません。

 選挙でも党づくりでも、全体を推進する「カナメ」となる共通の戦略的大方針として、この方針を提起しています。決議案がそういう構造になっているということを、つかんでいただければと思います。

 たとえて言いますと、国際人権規約では、社会権規約(A規約)、自由権規約(B規約)、二つの規約があるんですが、社会権規約と自由権規約には共通第1条というのがあります。「人民の自決権」が共通第1条に据えられていて、全体が展開されている。もちろんそれとは次元が違う話ですが、人民・国民が主人公という点では似たところもあります。そうしたことも思い浮かべながら、「要求対話・要求アンケートで新しい結びつきを広げる」ことを共通の大方針――戦略的大方針として選挙でも党づくりでも推進力に位置づけるという構成となるよう決議案を仕上げました。

党勢拡大――毎月の前進のための独自追求をはかることは絶対に不可欠

 もう一つの一体的追求は、党勢拡大の問題です。毎月の党勢拡大の前進と党の総力をあげての世代的継承の一体的追求です。

 ここでまず大事なことは、決議案が、毎月毎月の前進のために独自追求をはかることが絶対に不可欠だと強調していることです。「要求対話・要求アンケートで新しい結びつきを広げる」という戦略的大方針は、党勢拡大でも新しい大きな前進の条件をつくることになります。しかし、それだけで自動的にこの課題がすすむことはありません。独自追求が絶対に必要になります。これを欠いたら、あっという間に党は大きく後退してしまいます。この点での全党のみなさんのがんばりに心から敬意を払い、激励し、発展させる必要があるということをまず強調したいと思います。

世代的継承との一体的追求――「二つのカギ」をしっかり握ってとりくもう

 同時に、世代的継承の問題は、党の現在と未来にとって文字通り死活的に重大な課題となっています。世代的継承のとりくみは、本当に緒についたところで、このままでは党の未来は開けないという状況の中で、どうやってこれを毎月毎月の拡大と一体的にすすめるか。ここでの一体的追求については、「二つのカギ」という提起をしています。

 一つ目の「カギ」は、世代的継承について、担当者や担当部門をきちんとおいて、いついかなる時にも維持・強化していくことが大事ですけれども、何より大事なことは、担当者や担当部門まかせにするのではなくて、党機関や党組織の長が先頭にたって、党をあげてのとりくみにしていくことにある。ここで成否が決まるということです。現にそういうことをやっている党組織では、世代的継承も、党勢全体の拡大も、両方がすすんでいるということを、私たちはすぐれた経験から学んだということを、決議案ではのべています。

 もう一つの「カギ」は、短期の目と中長期の目、両方の目で、党の活動にとりくんでいくということです。短期の目、これはもちろん大事です。毎月毎月どうやって前進をはかるか、短期の目で執念をもってがんばることなしに前進は絶対にかちとれません。同時に、中長期の目を大事にする。世代的継承のとりくみは、すぐには党勢拡大に実らないことも多い。しかし、とりくみを通じて人間的信頼関係ができた、結びつきができた、これは一つひとつが大きな財産になります。その一つひとつを評価して、中長期の目で実らせていく。短期の目と中長期の目、両方の目で党の活動にとりくむことを提起しています。

 こうして決議案は、「二つの一体的追求」について、「要求対話・要求アンケートで新しい結びつきを広げる」という「大きなカナメ」、いまのべた「二つのカギ」をにぎって、これを推進しようと提起しています。

「最大の保障」となるのは、全支部・全党員がたちあがる運動にすることにある

 そのうえで最後になりますが、ここが一番大事なところでありますが、決議案は、第3章の結びの部分で、選挙勝利と党づくりを一体的に前進させる「最大の保障」となるのは、全支部・全党員がたちあがる運動にすることにあると訴えています。これが決議案全体をやりぬく「最大の保障」なのです。それ以外に道はありません。他に楽な道があるわけではありません。やっぱりこれが「最大の保障」だということをとらえ、腹をくくって、全支部・全党員がたちあがる運動にいかにしていくか。ここにみんなで知恵と力をそそいでとりくみたいと思います。

 そのために決議案でのべているように、「手紙」と「返事」の活動をここでもう1回位置づけて、推進の力にしていくこと、全国地区役員講座に学んで、地区機関の活動を改善・刷新していくことが大事になってきます。

 こうした決議案の方針の組み立てをつかんでいただき、討論で深め、具体化・実践に生かしていただきたいと思います。「二つの一体的追求」、それを進めるうえでの「大きなカナメ」、「二つのカギ」、そして、「最大の保障」は全支部・全党員の決起――「カナメ」と「カギ」と「最大の保障」という言葉を使っていますが、決議案が提起している方針の立体的な関係、立体的な構造をよくつかんでいただいて、ぜひ討論で深めていただき、具体化・実践にとりくんでいきたいと思います。

 みんなの知恵を集めて、この決議案をより良いものとし、選挙勝利と党づくりを何としてもやりぬこうではありませんか。そのことを訴えて発言といたします。

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 幹部会は、真剣な討論を行い、4中総に提案する「決議案」を了承しました。

2025-01-10 | しんぶん赤旗を読んでください。

共産党 幹部会ひらく

 日本共産党は9日、党本部で第4回中央委員会総会に向けた幹部会を開きました。会議では、田村智子委員長が「第4回中央委員会総会決議(案)」を説明。そのなかで4中総の任務として、(1)「新しい政治プロセス」のもとでの日本共産党の政治任務を明らかにし、参議院選挙をたたかう基本方針を示す(2)総選挙の教訓を明らかにし、ただちに参院選・都議選勝利の活動に生かす(3)選挙勝利のとりくみと一体に世代的継承を軸とした党づくりをどう進めるか、到達点をふまえ活動の方針と目標達成への展望を明らかにする―ことを提案しました。志位和夫議長が中間発言しました。

 幹部会は、真剣な討論を行い、4中総に提案する「決議案」を了承しました。

 4中総は10、11日の2日間の予定。10日午前10時半から開会し、田村委員長が決議案についての提案報告を行います。報告はユーチューブ(党ホームページ)でライブ送信されます。

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「今年の激動をたたかいぬくことを心から呼び掛けたい」「党の魅力を広い国民に語り選挙勝利と党づくりですばらしい結果を出そう」と訴えました。

2025-01-05 | しんぶん赤旗を読んでください。

2025年1月5日(日)

党の魅力を広い国民に語り 

選挙勝利と強く大きな党づくりを

25年党旗びらき 田村委員長あいさつ

 日本共産党は4日、2025年の党旗びらきを党本部で開き、田村智子委員長があいさつしました。田村氏は、昨年1月に党委員長に就任して以来、活動の「道しるべ」になったのが昨年の第29回党大会決定だとして、これに立ち返り、「今年の激動をたたかいぬくことを心から呼び掛けたい」「党の魅力を広い国民に語り選挙勝利と党づくりですばらしい結果を出そう」と訴えました。東京都議選の勝利とともに、参議院選では、比例5議席、選挙区現職3議席の必勝と、複数選挙区での議席増に挑戦することを呼び掛けました。(あいさつ全文


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(写真)党旗びらきであいさつする田村智子委員長=4日、党本部

 田村氏は「新しい挑戦が次々と求められたなかで、活動の『道しるべ』となったのが第29回大会決定だ」と指摘。昨年4月の第2回中央委員会総会が全国の支部・グループにあてた「手紙」にある「新しい理論的・政治的突破点」の五つにそくし、自身が大会決定の生命力をどう実感したか話しました。

 一つ目は「世界論・外交論の発展」です。田村氏は、党が昨年4月に発表した「東アジア平和提言」と志位和夫議長の講演について、「(発表した)一夜限りのことで終わらなかった」と指摘。その後、ベトナム、インドネシアの独立記念日の式典に参加した際にも、東南アジア諸国連合(ASEAN)の「対話と包摂」による平和づくりに注目して「提言」をまとめたと話し、参加者と意気投合した経験などを紹介し、「『提言』がたくさんの新しい友人を得るパスポートになっている」「ぜひ今年もさらに友人を広げることに挑戦したい」と抱負を語りました。

 田村氏は、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)のノーベル平和賞受賞を「昨年の私たちの大きな喜びの一つだ」と強調。「しんぶん赤旗」で新春対談をした被団協代表委員の田中煕巳(てるみ)さんも、「赤旗」新春インタビューで志位議長も、被爆者が核軍縮交渉に「人道的アプローチ」をもたらしたと指摘したと述べました。

 国連の場などでの被爆者の訴えによって、「核兵器の非人道性が国際社会の共通認識となり、核兵器禁止条約の誕生へとつながった」「大会決定は、この流れを世界の本流と位置付けたが、被団協のノーベル平和賞受賞がこのことを鮮明に証明した」と指摘しました。田村氏は、核抑止力に固執し核兵器禁止条約に背を向ける日本政府を批判。「被爆80年の今年、核兵器禁止条約への参加ができる政治へと変えよう」と呼び掛けました。

 二つ目は「自民党政治の全体が末期的状況に陥っている」ことです。

 田村氏は「大会決定は、あらゆる面での行き詰まりを暴き、それを打開する希望ある政策を日本共産党がもっていることを打ち出した」と強調。それを実感したのが総選挙での党首討論だったと述べました。

 党首討論では、どの党首も賃上げに賛成しながら具体的政策を示したのは田村氏のみ、教育費無償化についても、教育費の2倍にまで膨れ上がった軍事費=大軍拡の問題点をあげたのは共産党だけだったことを紹介。「論戦を通じて政策とその根本にある、自民党政治の『二つのゆがみ』をただす立場はどんな場面でも他党を圧倒する力をもつことを確信している」と語りました。

 田村氏は一方で、「日本共産党の政策と魅力は広く国民のなかに知らせるにはいたっていない」と強調。今年の選挙では「国民によく伝わる言葉をみがいて、SNSを抜本的に強めれば、共産党の新たな躍進は必ずやり遂げることができる」と力を込めました。

 三つ目は「社会進歩の事業のなかでの日本共産党の役割」です。

 第29回大会決定は、「多数者革命と日本共産党の役割」について1項をたて、「社会変革をすすめる主人公は主権者である国民自身。国民の多数が自ら世の中を変えようとなってこそ社会は進歩する」と明記しました。田村氏は、日本共産党は「どんな困難にも負けない不屈性、科学の力で先ざきの展望を明らかにする先見性を発揮して国民の自覚と成長を推進することが役目だ」ということを大会で確認したと説明。暮らし、平和、ジェンダー平等、気候危機などで切実な要求がうずまき多様な運動がとりくまれているなか、「今年を『国民の苦難軽減』という立党の精神にたち、あらゆる分野で要求実現の運動を国民とともに取り組む年にしよう」「ここが『新しい政治プロセス』を前に進める出発点だ」と語りました。

 四つ目は「党勢の後退から前進への転換」です。

 田村氏は「党員拡大・入党のはたらきかけの日常化」などに懸命に努力してきたがこれは途上にあると強調。第28回大会比「130%の党」を達成した大分県宇佐市の党組織の経験を紹介。昨年1月の第29回党大会にむかう「大運動」から、毎月、党員拡大について考え行動する時間を設け、毎月の「集い」も開くなかで、五つの支部すべてが党員を迎え、「大運動」以降で42人、大会後で25人の仲間を迎えたことを話しました。「この1月は次期党大会の折り返し地点。党づくりの目標達成と、参院選、都議選勝利のためにみなさんと力をあわせて『強く大きな党』をつくっていこう」と訴えました。

 五つ目は「未来社会論の新しい発展」です。田村氏は、志位議長による『Q&A 共産主義と自由』で、自ら対話宣伝に取り組んだ経験を語り、やりがいのある面白い活動だと強調。「この新しい開拓的挑戦を今年はさらに全国的規模に展開させよう」と呼び掛けました。

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「入党のきっかけは核廃絶運動だった」という日本共産党の田村智子委員長と日本被団協代表委員の田中熙巳(てるみ)さんが、草の根の運動で、平和・核廃絶の大きなうねりをつくろうと語り合いました。

2025-01-02 | しんぶん赤旗を読んでください。

2025年1月1日(水)

日曜版新年合併号 

新春対談 核兵器も戦争もなくそう

祝 ノーベル平和賞 日本被団協受賞

日本被団協代表委員 田中熙巳さん

日本共産党委員長 田村智子さん

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 ことし、2025年は戦後・被爆80年です。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は昨年、被爆の実相を世界に広げ、核兵器禁止条約へのうねりをつくり出してきた活動が認められてノーベル平和賞を受賞しました。「入党のきっかけは核廃絶運動だった」という日本共産党の田村智子委員長と日本被団協代表委員の田中熙巳(てるみ)さんが、草の根の運動で、平和・核廃絶の大きなうねりをつくろうと語り合いました。


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(写真)ノーベル平和賞の授賞式に登壇した日本被団協の代表委員の(左から)田中熙巳、田中重光、箕牧智之の各氏=2024年12月10日、オスロ(加來恵子記者撮影)

 田村 ノーベル平和賞の受賞おめでとうございます。授賞式(12月10日)での田中さんの演説には本当に心を動かされました。

 田中 ありがとうございます。被爆者全員でいただいた賞だと思っています。スピーチには私自身の被爆体験を含めて被爆者運動の歴史を知ってほしいと思いを込めました。

 田村 核戦争の恐怖が世界をおおう国際情勢のもとでの被団協の受賞は、世界の人々に大きな希望となったと思います。

 田中 人類と核は共存できません。「核兵器は使用されてはならない」という「核タブー」で終わらせず、核兵器をなくし、戦争もない社会を目指したいです。

 田村 私が日本共産党に入党した原点も、地球上から全ての核兵器をなくしたいという思いからでした。被爆者の皆さんとともに、核兵器禁止条約の誕生(2017年)を国連の場で喜びあった政党として、被爆80年のことし、日本政府に核兵器禁止条約への参加を強く求めていきたい。参加しないというなら、私たちの手で禁止条約に参加する政府をつくる、そういう希望ある政治の流れをつくっていきたいです。

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高校の時に原爆資料館訪れ 悲惨さに動けなくなった。署名運動で絶望が希望に

日本共産党委員長 田村智子さん

たむら・ともこ=1965年7月、長野県小諸市生まれ。早稲田大学卒。国政選挙6度目の挑戦で2010年に初当選、参院議員3期。24年1月から日本共産党委員長。同年11月衆院議員初当選

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受賞スピーチは被爆者を打ち捨ててきた政府への「たたかいのメッセージ」です

日本被団協代表委員 田中熙巳さん

たなか・てるみ=1932年4月、中国東北部(旧満州)生まれ。13歳の時に長崎市で被爆。東京理科大学卒。元東北大工学部助教授。被団協事務局長を計20年務める。2017年から代表委員

 田村 ノーベル平和賞授賞式のスピーチを胸を熱くして聞きました。どういう思いで臨まれたのでしょうか。

 田中 被団協の運動、被爆者の草の根の運動の歴史を参列している各国の方々に知ってもらうことを大事にしました。20分の原稿を作るのに2~3週間かかりました。

機内アナウンス うれしい驚き

 田村 世界の人たちも心を動かされたと思います。帰国の飛行機で驚くようなアナウンスがあったと聞きました。

 田中 びっくりしました(笑い)。飛行機に乗るときに機長から謝辞が述べられました。機内では「生涯をかけて行ってきた貴重な活動に深く感謝し、核兵器も戦争もない平和な世界が一日も早く訪れるよう、心から祈ります」とアナウンスがあり、みなさんの温かい拍手に包まれました。

 田村 今回の受賞理由は、核兵器の非人道性を訴え、核兵器を二度と使わせてはならないという世論を国際的に築き、戦後約80年間、戦争で核兵器を使わせてこなかったというものです。今日の国際情勢のもと、この意義はとても重いですね。

 田中 ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザの爆撃が行われています。両国の為政者が核兵器を使う可能性に触れ、核兵器の使用判断の敷居が低くなっていると思います。ノーベル委員会も危機をひしひしと感じ、それが今回の受賞につながったと思います。

 田村 ノーベル委員会のフリードネス委員長が、授賞式で核兵器の使用を許さない世論を私たち皆で強めていこう、「私たちの生存は、それにかかっている」と呼びかけた。危機感とともに核兵器使用を絶対に許してはならないという決意を感じました。核使用を許さない唯一の保障は核兵器をなくすことです。

心を閉じ遺体の間を無言で歩いた

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(写真)原爆投下で焼け落ちた浦上天主堂=長崎市、撮影日時不明(長崎原爆資料館所蔵、米戦略爆撃調査団「USSBS」撮影)

 田村 核兵器の非人道性について、私は特に、核兵器は“人が人として死ぬことさえ許さなかった”ということに衝撃を受けました。高校の修学旅行で広島平和記念資料館を訪ねた時、ものすごい熱線で周りの物と溶け合った人の骨が展示されていて、しばらく動けなくなりました。「どれだけ悲惨に殺されたのか」と。

 田中 私が授賞式で訴えた「たとえ戦争といえどもこんな殺し方、傷つけ方をしてはいけないと強く感じました」の部分と重なります。私は感性に訴える展示や証言を続ければ、話を聞いた人は質的に変わると思っています。田村さんはそういう場面に遭遇されたんだと思います。

感性揺さぶられ

 田村 まさに感性が揺り動かされた瞬間でした。田中さんは当時の被爆体験を思い出すと声が出なくなることがあると聞きました。

 田中 私自身は、長崎の爆心地から3・2キロメートルの自宅で被爆しました。奇跡的に無傷で助かりました。惨状を見たのは、原爆投下から3日後です。親族らが住んでいた爆心地帯を捜し歩きました。レンガづくりの大きな教会・浦上天主堂は崩れ落ち、みるかげもありませんでした。遺体が放置され、大やけどを負いながらもなお生きているのに、何の救援もない多くの人びと…。私は人間らしい心も閉じ、ひたすら無言で歩きました。伯母といとこは炭のようになって自宅跡に転がっていました。もう一人の伯母の遺体の火葬後、人の形をした骨だけが残り、骨を拾い終わった途端、閉じていた心が破れて爆発し、うわーっと泣き崩れました。この話をする際には突然、そのときの情景がぱっと頭に浮かぶときがあるんです。しばらくは声が出ず、立っているのもつらい。以前原水爆禁止世界大会のスピーチでそれが起き、しばらく黙ってしまったことがあります。聞いていた人の席がシーンとなりました。「すごく心に響きました」と言われました。

 田村 沈黙が聞く人の心に突き刺さったのですね。私は街頭演説で、被爆者の「命がけの訴え」にこたえ、核兵器のない世界をつくろうと呼びかけています。田中さんのように身内を捜した経験を被爆者の方が証言された時、「はじめは遺体を踏まないようにと歩いていた。けれどあまりにたくさんの遺体があり、そのうち心がなくなり踏んでも平気になっていた」とお聞きしました。

 田中 そうです。私は亡くなった人を見るだけでそうなっていた。

 田村 その方は「あのときの自分は人間ではなかった。踏んでしまった人たちに本当に申し訳ない」と話してくれました。被爆の証言は、閉じようとしている傷のかさぶたを何度も何度も自らはがすという、まさに「命がけの訴え」なのだと受け止めています。

日本政府は償いを一切していない

 田村 戦後もしばらく被爆者は沈黙を強いられたんですね。

 田中 そうです。アメリカは原爆の被害を隠し、独立後の日本政府も追随しました。1954年のアメリカによる太平洋ビキニ環礁での水爆実験による被災を機に始まった運動が盛り上がり、原水爆禁止世界大会が開かれ、この運動に励まされて被団協が結成(56年)されました。結成宣言で「自らを救うとともに、私たちの体験を通して人類の危機を救おう」と決意をのべ「核兵器の廃絶と原爆被害に対する国の補償」を求めて立ち上がりました。運動してきた経緯を、ノーベル賞授賞式のスピーチでも語りました。

 田村 私が最も感動したのが、現在進行形の「たたかいのスピーチ」だということでした。

 田中 そうです。被爆者を打ち捨ててきた政治に対する「たたかいのメッセージ」です。スピーチでは、「何十万人という死者に対する補償は一切なく、日本政府は一貫して国家補償を拒み、放射線被害に限定した対策のみを今日まで続けてきた」と発言しました。その直後、原稿にはありませんでしたが、「もう一度繰り返します。原爆で亡くなった死者に対する償いは、日本政府は全くしていない」と加えました。このことを強調したくて、とっさに繰り返しました。スピーチ後、海外の記者から「どうして強調したのか」と声をかけられました。戦争を起こした国が国民の被害に補償をしないことが許されていると、これからも戦争が簡単に繰り返されるとの思いが頭にあったからです。

 田村 とても注目された発言でしたね。戦後直後、被爆者を打ち捨てた日本政府の姿勢は国内でもほとんど知られていないと思います。私も日本共産党に入ってから、被爆の実態をも知らせることが許されず、被爆者が何の支援もなく放置されていたことを知り、怒りに震えました。田中さんはどんな思いで運動に関わるようになったんですか。

 田中 私は中学1年生(13歳)で被爆し、祖父や伯父など5人の親族を圧焼死、大やけど、放射能などで失いました。戦後は死亡軍人(父親)の遺族扶助料が出なくなり、貧乏で、何日も固形物を食べられないことがしばしばありました。それでも私は幸いにも大きなけがもなく働けましたが、病気で働けない人たちが多くいました。

 1957年被爆者健康手帳が交付されるようになって、被爆者の健康診断を受診していましたが、働くことができました。このころでも、生活が大変な被爆者がいました。「自分にできることがあれば大変な仲間に手を差し伸べたい」という思いで被爆者運動に参加しました。被団協は結成直後から被爆者の救援・救済、国の補償を求め、これまで被爆者手帳の発行、被爆者の健診制度の創設や拡充などに取り組み、今日まで活動をしてきました。

「受忍論」の政府

 田村 日本政府は今でも「戦争の苦しみは国民が受け入れるべきだ」という「受忍論」の立場です。被爆者だけでなく空襲被害者などの救済も門前払いしています。戦争の苦しみを受け入れろという冷たい姿勢は、戦争への無反省とも言えるものだと思います。

 田中 私は、民主主義の国で、戦争開始を決定する政府が国民に被害の受忍を強いて、市民が強いられる関係でいいのか、と問いたい。国民が声を大にして要求していかないといけないと思います。

被爆証言があって非人道性伝わる

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(写真)政府に禁止条約参加を求めて宣伝する田中代表委員(奥中央)=10月24日、埼玉県志木駅前

 田村 核兵器の非人道性が、核兵器全面禁止・廃絶へとつながってこそ、希望が生まれます。私が10代の頃は、米ソ核軍拡競争の真っただ中で、これほど悲惨なことが起きたのにどうしてという思いから“人類はもう滅びるしかない”と絶望していました。

 大学生のとき、世界の反核平和運動の代表が核兵器の全面禁止・廃絶を求める「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」(85年)を呼びかけたことを知りました。核兵器全面禁止・廃絶を求める国際条約をつくろうという呼びかけは、絶望を希望へと一変させるものでした。核兵器は人類がつくったものである以上、人類の英知によって廃絶できる、日本共産党の主張と運動も知って入党を決意しました。

 学生時代は、署名をどうやったら広げることができるかいつも考えていましたね。

 田中 あの頃、ヨーロッパで運動が盛り上がりましたね。何万、何十万人の集会でした。各国から被団協に証言の要請がありました。やはり証言が大事です。絶望だけではなく必死に生きている被爆者たちの姿を見ていただかなくちゃいけない。

 田村 国際署名を集めるために原爆パネル展も全国に広がりました。被爆の実相に向き合うことが、運動の力になっていきました。

 田中 あれは大きかった。被爆証言と同時に、被害の写真や、原爆の体験を描いた市民の絵を見てもらうと、やはり違います。

 田村 証言をされている方が「写真には色と臭いがありません」と言われたんです。私は衝撃を受けました。やはり被爆者の皆さんの証言があって初めて非人道性が生々しく伝わると感じました。

「核抑止」論こそ廃絶の最大の障害

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(写真)オスロ大学での日本被団協の被爆証言会=12月11日、オスロ市内(吉本博美記者撮影)

 田中 「非人道性」という言葉は軽々しく使うんじゃなくて、非人道性とはどういうことか、その意味する内容を思い浮かべながら、よく考えて使ってほしいという思いもあります。

 田村 石破茂首相は「唯一の戦争被爆国として世界に非人道性を伝える」のが日本政府の立場だと言います。総選挙後の衆議院の代表質問で、非人道性を認めることと、アメリカの核抑止の強化というのは矛盾するではないかと石破首相に質問しました。しかし、首相から答えがありませんでした。

 田中 受賞が決まった当日に石破首相から「おめでとう」と電話がありました。私は「核共有なんていうのはよくないですよ」と言いました。首相の方から会って話し合いたいとの申し出がありました。「核抑止」「核共有」の考え方は間違っていると徹底的に議論したいと思います。

 田村 「核抑止」は、いざとなったら核兵器を使うぞと恐怖を与えて自国を守るということです。「核兵器のない世界」を実現する最大の障害になってきたのが「核抑止」論です。核兵器は絶対に使ってはならない悪の兵器だという立場に立つならば「核の傘」「核抑止」から抜け出すことを真剣に考えるべきです。

 田中 そうだと思います。脅かすんじゃなくて、やっぱり話し合いをしてほしい。日本はそのために努力しなくちゃいけない。

 田村 とりわけ、アメリカは核兵器先制使用の戦略を持っています。唯一の戦争被爆国である日本は、アメリカに対しても「核兵器は使ってはならない」というべきですし、核兵器廃絶をすべての核保有国に迫るべきです。

 田中 そうなんですよ。日本政府や石破首相は、「核共有」や「核の傘」「拡大抑止」など、逆のことを言いますからね。

 田村 いま国会でも「核抑止」を正面から批判しているのが日本共産党です。被爆80年のことし、「核抑止」は核兵器の非人道性と矛盾するということを国内外で大いに議論しなければなりません。

 田中 そういう意味では、受賞を機に、年明けから国の内外で世界的に大激論をしてほしい、というのがノーベル委員会の狙いでもある。私もまだまだ頑張らなくちゃいけない。

禁止条約に沈黙続ける政府に憤り

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 田村 もう一つ石破首相の答弁でおかしいのは、核兵器禁止条約とNPT(核不拡散条約)を対立させて、禁止条約ではなく核五大国が参加するNPTが重要だと繰り返していることです。NPT第6条は、核軍備の縮小・撤廃を、核保有国を含む締約国に義務付けています。それを進めるために核兵器禁止条約が誕生した。NPTと禁止条約は補完しあうものです。これを対立させることは道理がありません。

 田中 そうなんですよ。なんで矛盾するんですかと問いたい。保有国が積極的に減らそうとしない。それだったら先に禁止する努力を始める方が早いでしょう。

 田村 そもそもNPTを前に動かすため、被爆者を先頭にした市民社会の運動が禁止条約を誕生させ、21世紀の希望になっています。国際政治の主役が、一部の大国から、圧倒的多数の非核兵器国と市民社会に交代した。このことが、条約を採択した国連会議でもはっきり表れました。

 田中 「核兵器のない世界へ」私たち被団協も国連という組織をフルに活用しようと頑張ってきました。国連ではNGO(非政府組織)が発言できます。国連軍縮特別総会やNPT再検討会議などで被団協は、必ず被爆の実相を伝える発言ができるよう努力しました。NPTの強化だけではなく、やはり禁止条約や廃絶条約を結んで核兵器を廃絶しないとダメだと言い続けました。原爆展もニューヨークの国連本部の総会場ロビーの中でやって成功しました。政治家、観光や見学に来た人たちも見ることができ、大きな反響をよびました。そうしたことが核兵器禁止条約に実ったことは大きな喜びです。(12月現在、批准国73、署名国94)

共産党も力発揮

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(写真)国連本部ロビーで開かれた原爆展=2010年5月24日、ニューヨーク

 田村 2010年のNPT再検討会議には日本共産党も、志位和夫委員長(当時)をはじめ代表が参加し、市民団体の皆さんとともに各国代表への要請活動にも取り組みました。17年に2回にわたり開かれた核兵器禁止条約交渉の国連会議にも党代表団が参加し、志位さんが国連の場でスピーチすることができました。アジアや欧州訪問でも核兵器禁止条約の推進を繰り返し提起してきました。

 私も12月の臨時国会の代表質問で「被爆者の命がけの訴えで誕生したのが核兵器禁止条約だ。唯一の戦争被爆国として被爆者とともに歩む責務がある」として条約参加と締約国会議へのオブザーバー参加を石破首相に迫りました。

 政府は日米同盟を絶対視して、禁止条約に背を向けていますが、私たちの行動と主張こそ、多くの国民の思いと響き合うものだと思います。

 田中 ノルウェーのストーレ首相と会ったとき、NATO(北大西洋条約機構)加盟の国だからすぐに批准はできないけれど、NATO諸国とも話し合い、オブザーバーで参加して頑張ります、とおっしゃった。日本も頑張らなきゃいけないでしょう、と言いました。

 田村 条約批准は、「核の傘」から抜け出すと約束することが求められますが、締約国会議へのオブザーバー参加は、すぐにでも可能なはずです。自民党以外の多くの党が求めています。自民党は“参加できない”という答えが先にあり、参加しない道理ある説明ができない。ここでも追い詰められています。

 田中 もともとやる気がない。やっぱり国民が「おかしいよ」と大きな声で言わなくちゃいけない。

 田村 そう思います。唯一の戦争被爆国がなぜオブザーバー参加の決断もできないのか。「日米同盟絶対」で、アメリカの顔色ばかりうかがっているのは、あまりに恥ずかしい。それで良いのかと、大きな世論を起こしたいです。

被爆80年 希望もって核廃絶訴える

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(写真)核兵器廃絶と核兵器禁止条約の交渉開始を求めるパレードの出発集会に参加した人たち=2015年4月26日、ニューヨーク(島田峰隆記者撮影)

 田村 被爆80年のことし、田中さんはどんな年にしたいですか。

 田中 私たち被爆者は「核兵器と人類は共存できない」と叫び続けてきました。核兵器がある限り、被爆者が経験したことが未来に起こりえます。私の一番好きな言葉は「希望」です。核兵器の使用の危険が迫っています。そうしたなかでも希望を常にもって努力さえすれば実現する。若い人たちに「これからの世界は皆さんの世界です。どうするか皆さんで考えてほしい」と呼びかけたい。

 そして伝える際の言葉が大事です。たとえば「人権」という言葉。私は、幸せに生きるということをお互いに認め合うことが人権だ、と伝えています。そうすると、それは守らなきゃいけない、となるわけです。最近、日本語を大事にしないといけない、わかりやすく伝えていきたいと強く感じています。

 田村 私は、被爆者の皆さんが命がけで証言してこられた「核兵器の非人道性」を、いかに次の世代が感性をもって訴えていくか、これに挑戦していきたい。何よりも日本が核兵器禁止条約に参加する年にしなければいけないと思います。それが被爆80年にふさわしい日本の行動です。

 いま自民党政治のもと、5年間で43兆円もの大軍拡、敵基地攻撃能力の保有、沖縄での米軍辺野古新基地建設、そして日米一体で「核抑止」の拡大・強化を進めようとしています。こうした「戦争国家」づくりを止めなければなりません。

 田中 私もそう思います。いま、アメリカのいいなりに日本は戦争をやりそうな国になりつつあります。

 田村 軍事対軍事、「抑止力」強化という対立と分断ではなく、地域全体を包摂する対話と協力の関係をつくろうという流れが、アジアの中には息づいています。国連憲章と国際法によって平和を築こうという流れは、力強く前へと進んでいます。

 日本でも自民・公明が少数与党になるという大激動が起きたもとで、自民党政治に代わる新しい政治への模索と探求が始まっています。アメリカいいなりで核兵器禁止条約への参加ができない政府はもう変えようという市民の運動を巻き起こす1年にしていきたいと思います。

 今日はありがとうございました。

 田中 ありがとうございました。

日本被団協のあゆみ
1945年 広島、長崎に原爆投下。終戦
54年 米の太平洋ビキニ環礁での水爆実験で第五福竜丸など被災
55年 第1回原水爆禁止世界大会(広島)
56年 日本被団協結成。第2回原水爆禁止世界大会(長崎)
63年 東京地裁、「原爆裁判」で「原爆投下は国際法違反」の判決
77年 NGO被爆者問題国際シンポジウム-原爆被害を全面的に解明
78年 第1回国連軍縮特別総会に日本被団協代表38人が参加
82年 第2回国連軍縮特別総会で、山口仙二日本被団協代表委員が演説。ニューヨークで100万人大行進
96年 国際司法裁判所が勧告的意見「核兵器の使用と威嚇は一般的には国際法違反」
2005年 日本被団協ニューヨーク行動
10年 日本被団協ニューヨーク行動。国連本部で原爆展
15年 日本被団協ニューヨーク行動。国連本部で原爆展
16年 「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」発表
17年 核兵器禁止条約が国連会議で採択
21年 核兵器禁止条約が発効
24年 ノーベル平和賞受賞
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読者のみなさんの日ごろのご協力に心から感謝いたします。昨年10月の総選挙は悔しい後退となりましたが、教訓をしっかりと明らかにし、都議選、参院選では必ず前進に転じる決意をのべたいと思います。

2025-01-01 | しんぶん赤旗を読んでください。

2025年1月1日(水)

激動の世界 希望ある未来

志位議長が大いに語る

 2025年新春にあたって、志位和夫中央委員会議長に、「激動の世界 希望ある未来」と題して、国際問題、理論問題を中心に聞きました。聞き手は、小木曽陽司・赤旗編集局長と西沢亨子・同次長(論説委員会責任者)。

はじめに――激動の1年を振り返って、新年の抱負を語る

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(写真)志位和夫議長の新春インタビュー。聞き手は小木曽陽司赤旗編集局長(中央)と西沢亨子同局次長(右)

 小木曽、西沢 あけましておめでとうございます。

 志位 あけましておめでとうございます。

 小木曽 議長は、昨年1月の第29回党大会いらい、「東アジア平和提言」、欧州歴訪、アジア政党国際会議への参加など旺盛な外交活動、「共産主義と自由」「自由な時間と未来社会論」の解明など、理論分野での精力的な活動、総選挙結果がつくりだした「新しい政治プロセス」を前にすすめるたたかいの提起など、党活動のさまざまな分野で先頭に立ってこられました。1年を振り返って強く感じていること、新年の抱負をまずうかがいます。

情勢の大激動のなかで、綱領と党大会決定の生命力が躍動している

 志位 まず、能登地震から1年、亡くなられた方々への深い哀悼と、被災された方々への心からのお見舞いをのべるとともに、党として復旧・復興に引き続き全力をつくす決意を申し上げます。

 「しんぶん赤旗」読者のみなさんの日ごろのご協力に心から感謝いたします。昨年10月の総選挙は悔しい後退となりましたが、教訓をしっかりと明らかにし、都議選、参院選では必ず前進に転じる決意をのべたいと思います。

 昨年を振り返っての強い実感は、一言で言いますと、情勢の大激動のなかで、党綱領と科学的社会主義、そして党大会決定の生命力が躍動しているということです。

 党大会決定では、「自民党政治の全体が末期的な状況におちいっている」とのべ、腐敗政治、経済無策、戦争国家づくり、人権後進国、あらゆる面で自民党政治が出口なしの政策破綻におちいっていることを暴き出しましたが、そのことは総選挙での自公過半数割れという国民の審判によって証明されました。共産党と「赤旗」の奮闘で情勢が一歩前に大きく動きました。

 党大会決定では、東アジアの平和構築をはかる党の「外交ビジョン」をさらに発展させることを決め、4月17日、「東アジア平和提言」を発表し、この「提言」をもって、国内でも、アジアでも、欧州でも、対話と交流を行ってきましたが、どこでも私たちの「提言」が歓迎され、響き合ったことはうれしいことです。

 党大会決定では、綱領のめざす未来社会について、三つの角度から「人間の自由」が花開く社会という特徴づけを行いましたが、「共産主義と自由」について学び、語り合う運動が始まり、共感が広がりつつあります。私たちの事業の前進をかちとる新たな鉱脈を発見した思いです。

 今年を、これらの流れをさらに発展させ、平和でも暮らしでも明るい希望が見えてくる年にしていきたいと決意しているところです。

新しい指導体制の1年について

 西沢 党大会で新しい指導体制がつくられてから1年がたちました。新しい指導体制のなかで議長の役割、田村智子委員長との役割分担、議長として心がけてきたことなどもぜひお話しください。

 志位 国政の代表者は、田村委員長が担い、この1年間、新しいことに次々と挑戦し、立派な働きをしていると思います。田村さんならではの魅力が生き生きと発揮され、新鮮な期待が大きく広がっているのではないでしょうか。とてもうれしく頼もしく思っています。

 私は、議長として、党活動の全体に責任をもつということでやってきました。とくに任務分担を決めているわけではありませんが、自然体で任務分担が行われているのではないかと思います。ひきつづき持てる知恵と力をつくしていきたいと思います。

2025年の世界をどうとらえ、どう働きかけるか

ブロック対立、軍事対軍事のエスカレート――この先に決して平和は訪れない

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(写真)インタビューにこたえる志位和夫議長

 小木曽 今日、まとまってお聞きしたいのは、どうやってアジアと世界の平和をつくっていくのかという問題です。世界を見ると、ウクライナとガザでの戦乱が続き、軍事対軍事の対立が深まっています。一方で、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)のノーベル平和賞受賞などのうれしい出来事も起こりました。2025年の世界をどうとらえ、どう働きかけていくのか。

 志位 いまの世界を見ますと、たしかに深刻な逆流が強まっている、この現実から、目をそむけるわけにはいきません。ウクライナ侵略を契機として、ブロック対立、軍事対軍事の危険なエスカレートが起こっています。

 アメリカが、ユーラシア大陸の東と西で、軍事同盟強化を加速させています。東アジアで、「対中国」の軍事包囲網づくり――日米、米韓、米豪などの軍事同盟強化の動きを進め、日本はその最前線に立たされています。欧州でも、北大西洋条約機構(NATO)が欧州を覆う勢いで拡大し、大軍拡が進められています。そして、アメリカは、「統合抑止」の名のもとに、東西の同盟国を一つに結びつけようとしています。NATO軍が日本にまで来て演習し、自衛隊が欧州にまで行って演習する。“軍事同盟のグローバル化”が進められていることは、きわめて重大です。

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(写真)インタビューする小木曽陽司編集局長

 小木曽 ロシアや中国の側の動きもあります。

 志位 そうですね。ロシアがウクライナ侵略を続ける。中国が力での対抗を強化する。ここにも情勢悪化のもう一つの要因があります。ロシアと北朝鮮が昨年6月、「包括的戦略パートナーシップ条約」――相互の軍事援助の取り決めを結びました。北朝鮮軍がウクライナ戦争に投入されていることは、違法な侵略戦争への国際的加担という点でも、北東アジアの緊張を高める点でも、二重に危険な動きです。中国が東シナ海などで力による現状変更の動きを続けていることが、情勢の緊張をつくりだしていることも指摘しなければなりません。

 双方が対抗しあい、軍事対軍事の危険な悪循環をつくりだしている。この先に平和は決して訪れません。この危険と正面から立ち向かうとりくみは今年の急務です。

とうとうたる平和の本流が着実に前進している――この流れを前に進める年に

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(写真)インタビューする西沢亨子赤旗編集局次長

 西沢 石破首相などが「日本をとりまく安全保障環境は戦後最も厳しい」と繰り返すもとで、「21世紀になっても世界は真っ暗か」という声も少なくありません。

 志位 首相のそうした決まり文句に対しては、米国言いなりで自公政権が大軍拡を進めていることが、世界とアジアの安全保障環境を悪化させる片棒をかついでいる、その自覚がないのが問題だということをまず言いたいですね。

 西沢 自分自身が情勢悪化の一因だと。

 志位 そうです。そのうえで強調したいのは、「日米同盟絶対」でアメリカの方ばかり見ずに、世界に広く目を向けるならば、とうとうたる平和の本流が着実に前進している姿がはっきりと見えてくるということです。

 第一は、対話と包摂で平和をつくる、平和の地域協力の流れが発展をみせていることです。なかでもASEAN(東南アジア諸国連合)の発展の足取りは着実です。昨年10月、ラオスでASEANの首脳会議や東アジアサミット(EAS)など一連の会議が開かれましたが、EASの議長声明で「対抗ではなく対話と協力の文化を確保する」「包摂的な形で平和、安定と豊かな発展を可能にする環境を推進する」などが盛り込まれたことは注目されます。

 第二は、核兵器禁止条約が発効し、「核兵器のない世界」をつくる大きな希望となっていることです。昨年末に行われた日本被団協へのノーベル平和賞の授賞式には、ノルウェーで国をあげての祝福が寄せられました。

 第三は、ジェンダー平等など人権問題での前進がつくられ、奴隷制と植民地支配に対する歴史的清算の流れが発展していることです。この流れにどう向き合うかは、戦後80年の今年、日本の政治に鋭く問われることになるでしょう。

 今年、2025年が、世界とアジアの人々と連帯して、これらの平和の本流を前に進める年になるよう、知恵と力をつくしたいと思います。

対話と包摂で平和をつくる――「東アジア平和提言」を力にして

「外交ビジョン」から「東アジア平和提言」へ――どういう発展があったのか

 小木曽 まず平和の地域協力の流れにかかわって、議長が昨年4月17日に発表された「東アジアの平和構築への提言」についてうかがいます。日本共産党は22年1月の党旗びらきで、大軍拡に対する平和的対案として、東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」を提唱し、実現のために力をつくしてきましたが、それをさらに発展させたのが「東アジア平和提言」ということですね。どういう発展があったのかお話しください。

 志位 「東アジア平和提言」では、この間の情勢の進展、23年12月に行った東南アジア3カ国歴訪(インドネシア、ラオス、ベトナム)の成果を踏まえて、「外交ビジョン」を大幅にバージョンアップし、「三つの柱」からくみたてました。

 第一の柱は、ASEANと協力し、ASEANインド太平洋構想(AOIP)の実現を共通の目標とし、東アジアサミット(EAS)を活用・強化して、東アジアを戦争の心配のない地域にしていくことです。

 第二の柱は、北東アジアの諸問題――日中関係、台湾問題、朝鮮半島問題、歴史問題などの外交的解決をはかり、将来的に、東アジア平和共同体をめざすことです。

 第三の柱として、ガザ危機とウクライナ侵略を、国連憲章・国際法を最大の基準にして解決することを、東アジアの平和とも深くかかわる大問題として、位置づけました。

 最後に、「提言」では、東アジアの平和構築のための国民的・市民的運動を呼びかけました。各国政府・政党・市民社会の共同のとりくみを強め、草の根から平和の声を広げ、東アジアの平和構築という大事業をやりとげようという呼びかけです。

 西沢 とても包括的な内容ですが、「提言」を貫く根本的な考え方は、端的に言えばどのようなものなのでしょうか。

 志位 端的に言えば二つです。一つは、外交の可能性をとことん追求し、対話による平和構築に徹していること。もう一つは、あれこれの国を排除する論理をしりぞけ、すべての関係国を包摂して平和を創出する立場を貫いていることです。

 西沢 対話と包摂で平和をつくるということですね。

 志位 そうです。軍事に頼らない平和構想ということが肝心なところです。そして、「提言」は机上でつくったものではない。東南アジアを何度も訪問し、内外の実践と知恵に学び、練り上げてきたものだということを強調したいと思います。

欧州訪問での響き合い――「新たなブロック対立を防がなければならない」

 小木曽 「提言」は日本国内にとどまらず、世界にも発信されました。8月末から9月初めにかけての欧州歴訪(ドイツ、ベルギー、フランス)の機会にも、「提言」を紹介され、とても響き合ったというお話でした。

 志位 「東アジア平和提言」の英語版をどっさり持っていって活用しました。ローザ・ルクセンブルク財団主催のベルリン国際平和会議での発言、左翼・進歩諸党との一連の会談のなかで、「東アジア平和提言」を紹介し、ブロック政治に反対し、包摂的な平和の枠組みを発展させることこそ平和をつくる大道だと訴えました。欧州でも、ウクライナでの流血を終わらせ、平和と安定を確かなものとするためには、困難はあっても、欧州安全保障協力機構(OSCE)のようなロシアも含めて欧州のすべての国を包摂する平和の枠組みを再活性化させることが大切になってくるのではないかと話しました。

 西沢 ヨーロッパで東アジアの問題がどう受け止められましたか。

 志位 距離的には遠く離れた欧州で理解してもらえるかは、率直にいって不安もありました。しかし、驚くほど響き合うものがありました。

 まず、私たちが、欧州での軍事同盟強化と大軍拡の動きを強く心配していますと話しますと、先方からも、「憲法9条をもつ日本で大軍拡が起こっているのはなぜなのか」などの心配の声がたくさん寄せられます。私たちは、共通の危険に対峙(たいじ)している。ならば国際連帯が必要だ。これはすぐに合意になります。それでは平和の対案は何かと考えると、ブロック政治に反対し、対話によって包摂的な平和の枠組みをつくる以外にないということになります。

 ベルリンの国際会議で採択された「呼びかけ文」には、ウクライナ戦争終結のための和平交渉の呼びかけとともに、「私たちはいま行動し、新たなブロック対立を防がなければならない」という一文が修正・補強される形で新たに明記されました。

 左翼・進歩諸党との一連の会談でも、どこでも認識の一致がえられました。欧州左翼党のワルター・バイアー議長とは、ベルリンとブリュッセルで2度、会談する機会がありましたが、私が、「東アジア平和提言」の立場を話しますと、あなたがたの外交論に完全に同意します、との答えが返ってきました。さらにバイアー議長は、OSCEについて、あるべき平和秩序の中心にすえられるべきと語りました。

 小木曽 ブロック対立に大陸全体が引き裂かれている欧州でも「提言」が受け止められたということですね。

 志位 そうした対立がいかに有害かをウクライナ戦争で目の当たりにしているからこそ、ASEANが進めているような包摂的な平和の枠組みをつくることの重要性が深く理解されたのではないか。これが実感でした。

アジア政党国際会議――「東アジア平和提言」の方向が2回連続で「宣言」に

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(写真)「東アジア平和提言」を紹介しながら発言する志位議長=2024年11月22日、プノンペン(面川誠撮影)

 小木曽 昨年11月には、カンボジアのプノンペンでアジア政党国際会議(ICAPP)第12回総会が開かれました。ここでも大きな成果がありました。アジアの与党、野党が立場の違いを超えて一堂に会した国際会議で、党が主張する“対話と包摂で平和をつくる”という大方向が「プノンペン宣言」に明記されたという報告に、たいへんに感動しました。

 志位 私がとても重要と思うのは、そうした内容がICAPP総会の「宣言」に盛り込まれたのは、2022年11月にトルコ・イスタンブールで行われた総会での「宣言」につづいて2度目となったということです。

 イスタンブールでの総会で、わが党代表団は、東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」の重要性を訴え、「イスタンブール宣言」には、「ブロック政治を回避し、競争よりも協力を重視する」という大方向が明記されました。

 これにつづくプノンペンでの総会でも、わが党代表団は、「東アジア平和提言」のコンセプトが「宣言」に盛り込まれるようにと奮闘しました。「プノンペン宣言」には、“対話と包摂で平和をつくる”という大方向が明記されました。「宣言」は、この大陸での大国間の対立の強まりに強い警鐘を鳴らすとともに、「対話」と「包摂性」の重視という具体的内容を踏み込んで明記しています。これは「ブロック政治の回避」を記した「イスタンブール宣言」をさらに発展させたものとなりました。

 西沢 「2度続けて」というのは、「たまたま」ではないということですね。

 志位 そうですね。偶然何かの拍子で入ったものではない。ICAPPという国際会議は、アジアで活動する政党に、与野党の区別なく、イデオロギーの違いを超えて開かれた、超党派の平和のフォーラムです。そうしたフォーラムで、2度続けて、わが党の「外交ビジョン」「東アジア平和提言」のコンセプトを反映した内容が、総会の「宣言」に盛り込まれたことは、わが党の外交方針が、アジア大陸で起こっている平和の本流と深く共鳴しあう生命力をもっていることを示すものとなったと思います。

包摂的な枠組み、非同盟・中立、核抑止と決別――ここにこそ世界の本流がある

 小木曽 お話を聞いていると、「東アジア平和提言」は、東アジア地域にとどまらず、国際的普遍性をもっているように思います。その背景には世界のどういう変化があるのでしょうか。

 志位 私は、昨年6月、「東アジア平和提言」をもって、南アフリカ大使館をたずね、ルラマ・スマッツ・ンゴニャマ大使と会談する機会がありました。「提言」を発表した4月17日の講演会に大使が参加してくれ、熱心に耳を傾けていただいたことへのお礼もかねての訪問でした。会談のなかで、大使は、「提言」について、南アフリカ政府の立場と共通点が多い、高く評価しますとのべました。ガザでのジェノサイド(集団殺害)を止めるための国際連帯、核兵器廃絶での協力を確認した会談ともなりました。

 その対話のなかで、私は、次のような世界の見方を話しました。

 「いまの世界の流れを大きく見ると、一方で、ブロック的対応を強化し、核抑止に依存し、世界の分断・対立を深刻化させる流れがありますが、他方で、包摂的な枠組みを重視し、非同盟・中立を志向し、非核地帯条約によって核抑止と決別している流れがあります。後者の潮流は、東南アジアでASEANという平和共同体の目覚ましい成功という形であらわれているとともに、ラテンアメリカ、アフリカでも困難や曲折を経ながらも発展しています。ここにこそ未来ある世界の平和の本流があると思います」

 大使は、「わが意を得たり」との表情で深くうなずき、そうした世界の見方は自分の見解とも共通するものですと応じました。

 こうした平和の本流が広がっていることの根本には、わが党綱領が解明しているように、20世紀に起こった植民地支配からの解放と、百を超える主権国家の成立という世界の構造変化の主舞台が、アジア・アフリカ・ラテンアメリカだったことがあげられます。その力が21世紀の今日、包摂的な枠組みを重視し、非同盟・中立を志向し、核抑止と決別して核兵器廃絶をめざすという流れになってあらわれているのです。

 日本共産党と、党綱領の世界論、「東アジア平和提言」は、こうした世界の平和の本流に立ったものであり、だからこそ世界と広く響き合う生命力を発揮しているのではないでしょうか。ここに確信をもち、「提言」にもとづく対話と共同を内外でさらに広げていく年にしていきたいです。

日中関係――言うべきことを言いつつ、良い方向に向かうよう、対話を続けたい

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(写真)「東アジアの平和構築への提言―ASEANと協力して」をテーマに講演する志位和夫議長=2024年4月17日、衆院第1議員会館

 小木曽 各論に入っていきます。「東アジア平和提言」は、北東アジアの諸問題の外交的解決についても具体的な提案を行っています。

 まず日中関係では、23年3月30日に発表した「提言」――「日中両国関係の前向きの打開のために」をあらためて位置づけています。「日中提言」は、日中両国政府間に、「双方は、……互いに脅威とならない」など三つの点で「共通の土台」があることを強調し、それを生かして両国関係の前向きの打開をはかることを呼びかけたものでしたが、一昨年、日中両国政府の双方から肯定的な受け止めが表明されました。昨年、中国側との話し合いはどうなっているのでしょうか。

 志位 中国共産党、中国大使館との話し合いを行っています。「東アジア平和提言」の内容を伝え、こうした意見交換は有益だとなり、続けることにしています。

 昨年6月、緒方靖夫副委員長は、中国上海の復旦大学日本研究センターの招きで訪中し、同センター主催の学術交流会で基調報告を行い、「東アジア平和提言」の内容を紹介しました。両国関係の前向きの打開のための三つの「共通の土台」を強調するとともに、尖閣諸島問題、台湾問題、歴史問題での「提言」の内容を紹介しました。

 討論では、緒方さんの報告の内容にかかわって、中国側の政策と立場が語られました。同時に、「提言」については全体として肯定的評価が語られました。司会を務めた日本研究センター所長は、「きわめて重要な提言を紹介してもらいました。尖閣と台湾については賛成しないけれども、異なる意見があっても、それを含めて対話をすることが大切です。このような交流をさらに発展させましょう」とコメントしました。

 わが党と中国の党の間には、大きな意見の違いが存在します。同時に、中国は、世界で重要な役割を担っている隣国であり、対話をとぎれなく続けていくことが大切だと思います。さまざまなレベルで、言うべきことを言いつつ、両国関係が良い方向に向かうよう、対話を続けていきたいと考えています。

朝鮮半島問題――非核化を断固追求しつつ、平和体制構築を一体的に

 西沢 朝鮮半島問題についてうかがいます。「東アジア平和提言」は、困難は大きなものがあるが、軍事的対抗の悪循環から対話による平和的解決への方向転換をはかることが急務として、2018年~19年の南北、米朝首脳会談の教訓を踏まえて、朝鮮半島の非核化と平和体制の構築を一体的、段階的に進めることが、唯一の現実的方法だと強調しています。

 志位 私たちは、この間、「提言」をもとに、国内外の専門家と朝鮮半島問題についても話し合ってきました。共通した結論は、たいへんに困難だが、「提言」の方向が唯一の筋のとおった解決方向だということでした。

 この問題に精通している韓国のある政治家は、昨年、私との会談のなかで、次の3点を強調しました。(1)北朝鮮を事実上の核保有国として扱うのは非常に危険だ。北朝鮮は核保有国だと主張するが、断固として拒否しなければならない。(2)困難ななかでも交渉をしっかりとやって朝鮮半島全体の非核化につなげるべきだ。(3)戦争状態を終わらせ、地域の平和体制を構築すべきだということを支持する。

 トランプ氏が米国次期大統領に選出され、バイデン大統領とは違った対応をとることが予想されるもとで、朝鮮半島の非核化を断固として追求しつつ、それと一体に平和体制を構築する、合意できたものから段階的に実施する、こうした「提言」の立場がいよいよ大切になってくると思います。

 日中関係でも、朝鮮半島問題でも、軍事を絶対に選択肢にしてはなりません。解決の道は外交しかありません。「提言」にもとづいて可能な外交努力を行う決意をのべるとともに、平和構築に向けた国内外の世論を起こしていくことを呼びかけるものです。

ガザへのジェノサイドを止める――連帯したたたかいを急速に強めよう

 小木曽 「東アジア平和提言」では、ガザ危機とウクライナ侵略を、国連憲章・国際法を最大の基準にして解決することを訴えています。打開の方向をお話しください。

 志位 ガザへのジェノサイドを止めるためにいま何より重要なのは、国際世論による包囲の輪を強めていくことです。

 この間、国連総会では即時停戦を求める決議、パレスチナ国家の国連正式加盟を支持する決議、占領の1年以内の終了を求める決議が圧倒的多数で可決されています。国際司法裁判所(ICJ)は、ガザでのジェノサイド防止を求める暫定措置を発表し、国際刑事裁判所(ICC)はイスラエル首相らに逮捕状を出しました。

 世界の市民社会が虐殺と占領を止めるために連帯を強めることに力をそそぎたい。私も、この間、ベルリンの国際平和会議、プノンペンのアジア政党国際会議で、「ストップ・ジェノサイド」の連帯を訴えましたが、ヨーロッパでもアジアでも「虐殺と占領をやめよ」という大きなうねりが起こっていることを肌身で感じました。

 西沢 これだけの国際的な批判を浴びても、イスラエルはガザ住民の「最後の頼みの綱」といわれている国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を今年1月から禁止するという暴挙に出ています。イラン、レバノン、シリアを攻撃し、戦火を中東全体に広げつつあります。

 志位 なぜイスラエルが無法をやめないのか。アメリカがイスラエルへの軍事援助を続けているからです。アメリカの軍事援助がなければ、イスラエルは一日たりとて無差別攻撃を行うことはできない。この根本に迫るたたかいが重要です。

 日本政府の立場が問われています。日本政府は、国連総会での即時停戦決議案、占領終結決議案などに賛成しています。ならばイスラエルによる無法を本気で止めるために行動を起こすべきです。何よりもアメリカにイスラエルに対する軍事支援を「やめろ」と迫るべきです。日本でのたたかいを緊急に強めることを心から訴えます。

ウクライナの流血を終わらせ、「公正な和平」を実現するために

 小木曽 ウクライナ侵略開始から3年近くになろうとしています。この間、さまざまな和平交渉の提案がなされていますが。

 志位 昨年、8月にベルリンで行われた国際平和会議で、私は、ウクライナの流血を終わらせるために、国際社会に「和平協議に道を開くあらゆる努力」を求めるこの国際会議のイニシアチブに強く賛同することを表明しました。この戦争は戦場で決着することはなく、交渉による停戦・和平の道しかありません。そのさい二つの点が重要になることを訴えました。

 一つは、和平は、国連憲章、国際法、ロシアによる侵略を非難し、即時撤退を求める4度にわたる国連総会決議にもとづく「公正な和平」であるべきということです。「国連憲章を守れ」の一点で世界の圧倒的多数の国ぐにが団結することこそ、この戦争を終わらせる道だということを訴えました。かりに和平交渉が開始されたとして、国連決議にそった「公正な和平」の実現までには時間差があるかもしれませんが、この目的をあいまいにしてはならない。これがわが党の立場です。

 もう一つは、「公正な和平」を阻んでいるものは何かという問題です。米国などG7(主要7カ国)の側の最大の問題点は、「ダブルスタンダード」にあります。ロシアを非難するが、イスラエルを擁護する。これこそが国際社会の団結の最大の障害になっています。私は、ベルリンの国際平和会議で次のように訴えました。

 「ウクライナ人、パレスチナ人、イスラエル人の命に異なる価値をつけることで、どうして世界が団結できるでしょうか。誰に対してであれ、国連憲章と国際法は、平等に適用されなければなりません」

 トランプ氏の再登板はウクライナ戦争にも影響を与えることが予想されますが、それだけに原則的立場の主張がいよいよ重要になってくると考えます。

被爆80年の年に「核兵器のない世界」への前進を――「人道的アプローチ」が大きなカギ

被爆者の声が世界を圧し、世界を動かした

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(写真)NPT再検討会議に出席・発言した(右から)谷口稜曄さん(故人)と児玉三智子さん(現被団協事務局次長)らと交流する日本共産党の志位和夫委員長(当時、右から4人目)と笠井亮国際委員会副責任者(当時は衆院議員、その左)=2010年5月2日、ニューヨーク市の国連本部前

 小木曽 日本被団協のノーベル平和賞受賞に、日本国民は喜びでわきにわきました。議長自身はどのように受け止めましたか。

 志位 私も喜びで熱いものがこみあげてきました。授賞式での田中熙巳(てるみ)被団協代表委員の講演にも深く心を揺さぶられました。

 私は、これまで国際舞台で、被爆者の方々とご一緒に活動する機会が何度かありましたが、被爆者の声がいかに巨大な力をもつか、「被爆者の声が世界を圧し、世界を動かした」という場面を何度も目にしてきました。

 2010年のNPT再検討会議で、被団協を代表して長崎の被爆者・谷口稜曄(すみてる)さんが、原爆で赤く焼けただれた背中の写真を微動だにせず高く掲げ続けて「私を最後の被爆者に」と訴えたことは、会場を埋めた各国代表に大きな感銘をあたえ、この会議での大きな成果へとつながりました。

 2017年の核兵器禁止条約の国連会議で、被団協を代表しての広島の被爆者・藤森俊希さんの「同じ地獄をどの国のだれにも絶対に再現してはならない」との訴え、広島の被爆者でカナダ在住のサーロー節子さんの「この条約は世界を変えるし、変えられます」との訴えは、議場を圧し、割れんばかりの拍手がわき起こりました。核兵器禁止条約の成立という歴史的成果への巨大な後押しとなった光景は忘れられません。

「人道的アプローチ」が、核固執勢力を追い詰める大きな力を発揮している

 西沢 被爆者の訴えが、世界の核軍縮交渉にどういう影響をあたえていったのかについて、お話ししていただければと思います。

 志位 私がとくに強調したいのは、被爆者が痛苦の体験をもって、核兵器が人類と共存できない究極の悪の兵器だと訴え続けてきたことが、核軍縮交渉に「人道的アプローチ」と呼ばれる新たな観点をもたらしたということです。つまり、それまでもっぱら安全保障の観点から行われてきた核軍縮交渉を、核兵器の非人道性に光をあてた議論――いわば生きた人間の血が通った議論へと発展させたのです。

 その大きな契機となったのが2010年のNPT(核不拡散条約)再検討会議でした。この会議は、核兵器禁止条約への重要な一歩をしるした会議となりましたが、同時に、最終文書で、核使用が「人道上壊滅的な結果」をもたらすと強く警告し、はじめて核兵器の非人道性に言及した会議ともなりました。

 小木曽 被爆者の声がはじめてNPTの最終文書に盛り込まれたのですね。

 志位 そうです。この合意を踏まえて、2013~14年、ノルウェー、メキシコ、オーストリアで、3回にわたって「核兵器の人道的結末に関する国際会議」が開催され、核兵器の非人道性が国際社会の共通の認識となっていきました。この流れをうけ、2015年の国連総会で、「人道的アプローチ」の流れにそった四つの決議が採択されるとともに、「核兵器のない世界」の実現のための「効果的な法的措置」を探求するオープンエンドの作業部会を設置することが決まり、2017年の核兵器禁止条約の成立につながっていきました。

 2024年の国連総会で、核戦争の結果を最新の科学的知見で明らかにすることをめざす新しい決議案「核戦争の影響と科学的研究」が圧倒的多数で採択されたことは、核兵器をめぐる現在の危機的事態を打開し、「核兵器のない世界」にすすむうえで大きな力になるものです。

 「人道的アプローチ」は、「核抑止力」論に対する根本的批判となり、核兵器に固執する勢力を追い詰めていく大きな力となっています。なぜならば「核抑止力」論とは、いざとなったら核を使用する――広島・長崎のような非人道的惨禍を引き起こすことを前提とした議論だからです。

 日本政府は、核兵器の非人道性を認め、昨年の国連決議にも賛成しました。しかし、米国いいなりに「核抑止力」論をたてに、核兵器禁止条約に背を向け続けている。これは根本的に矛盾している。核兵器の非人道性を訴えるならば、「核抑止力」論の呪縛を吹き払って、核兵器禁止条約に参加せよ。被爆80年の今年、この声を大きく広げていきたいと思います。

戦後80年――負の歴史を清算する世界史的うねりのなか、日本の姿勢が問われる

“三つの重要文書”の核心的内容を継承し、ふさわしい行動をとる

 小木曽 今年は、戦後80年。日本が過去の侵略戦争と植民地支配にどう向き合うかが問われてきます。党の基本姿勢をお話しください。

 志位 日本政府は1990年代に、歴史問題について“三つの重要文書”を明らかにしています。「植民地支配と侵略」への反省を表明した95年の「村山談話」、日本軍「慰安婦」問題について、軍の関与と強制性を認め、反省を表明した93年の「河野談話」、韓国に対する植民地支配への反省を表明した98年の「日韓共同宣言」です。これらは歴史問題に対する到達点として国内外から評価されてきました。

 それを逆行させたのが戦後70年に出された「安倍談話」でした。歴史問題はもう解決ずみだ、これからは謝罪だの反省だのは言わないようにしよう、“三つの重要文書”を事実上お蔵入りにしてしまおう、これが「安倍談話」でした。この10年間は、「安倍談話」の線でことがすすめられ、それが日本軍「慰安婦」問題でも、「徴用工」問題でも、解決の重大な障害になってきました。

 西沢 これからは反省を言わないというのは、加害国の言うことではありませんね。

 志位 そうです。反省を未来の世代まできちんと引き継いでこそ、本当の友好をつくることができます。「東アジア平和提言」では、戦後80年にあたって、「安倍談話」による逆行を清算し、“三つの重要文書”の核心的内容を継承し、それにふさわしい行動をとることを求めています。その重要性が国民共通の認識となるよう力をつくしたいと考えています。

英連邦首脳会議で奴隷貿易問題での前向きの合意――世界は大きく動いている

 西沢 世界に大きく目を向けてみると、植民地支配と奴隷制度の責任を過去にさかのぼって明らかにし、謝罪を求める大きなうねりが広がっていますね。

 志位 そうです。大会決定では、オランダ、ベルギー、ドイツ、メキシコなどの政府から、過去の植民地支配と奴隷制度への公式の謝罪が行われたことを列記しています。2001年9月に発せられた国連「ダーバン宣言」は、「植民地支配が起きたところはどこであれ、いつであれ、非難され、その再発は防止されなければならない」「奴隷制と奴隷貿易は、人道に対する罪である」と明記しましたが、それから20年をへて、人類史は着実な進歩を見せている。ここにも世界の構造変化の力が働いています。

 この点で、昨年10月、南太平洋のサモアで開催された英連邦首脳会議(英国と英国の旧植民地など56カ国加盟の連合体)の動きは注目です。アフリカやカリブ海地域諸国の主張を受け、全参加国が署名し採択された「サモア声明」で、「ダーバン宣言」の重要性を確認したうえで、奴隷貿易の被害国への補償について協議を始めることが明記されたのです。

 西沢 世界は、たとえ数世紀前の出来事であっても、過ちは過ちとして清算するという方向に動いているのですね。

 志位 そうです。この問題に「時効」はないのです。そうした世界史的なうねりのなか、日本政府の姿勢が問われます。戦後80年にあたって、日本の政治もこうした道理ある方向に動くよう、侵略戦争と植民地支配に命がけで反対を貫いた党として奮闘していきたいと思います。

「個人」「市民社会」が平和をつくる主体に――草の根からの運動で平和をつくろう

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(写真)「いま東アジアの『平和の準備』をどう進めるか」と題したシンポジウム。左からパネリストの纐纈厚、志位和夫、佐々木寛の各氏=2024年7月24日、東京・明治大学駿河台キャンパス

 小木曽 お話をずっとうかがって、「平和をつくる主体」として、個人の役割、市民社会の役割が大きくなる時代が来ているように思います。この点で、昨年7月に全国革新懇などの主催で行われたシンポジウム「いま東アジアの『平和の準備』をどう進めるか」の討論に注目しました。

 志位 私自身、あのシンポジウムでは学ぶところが多かったです。私は、東アジアに平和構築をしていくうえで、草の根の運動の重要性を訴えたのですが、討論では、「平和をつくる主体は何か」が焦点となりました。

 室蘭工業大学教授の清末愛砂さんは、「個人」の役割、「個人の尊厳」を強調されました。戦争に向かわない社会をつくろうとすれば、社会を構成する個人が他に対する暴力や支配の考えに依拠しない個人でなければならないし、社会にはそうした個人を育てていくことが求められるというお話でした。新潟国際情報大学教授の佐々木寛さんは、世界のさまざまな「市民社会」の動きを紹介して、「平和をつくる主役」として、「地域に根差した市民社会のネットワーク」の重要性を強調されました。

 私は、お二人の発言に強く共感しますと発言しました。この間の動きは、言語に絶する苦しみを体験した一人ひとりの被爆者の発言――「個人」の発言がどんなに大きな力を発揮するかを示しました。平和や人権をつくる主体として、NGOの役割が急速に高まっています。国連経済社会理事会との協議資格をもつNGOは、1945年には41組織だったのが、いまでは6343組織に増加しています。さらに世界には1000万前後のNGO組織があり、約5000万人が働いているとのことです。

 西沢 討論では、ジェンダー平等と平和が一体だということも深められましたね。

 志位 はい。ガザでの犠牲者の7割は女性と子どもです。それは「女性に対する戦争」とまで言われています。同時に、真の意味でのジェンダー平等社会ができたら、つまり人間が人間を支配するような権力的関係がなくなる社会になったら、それは戦争のない平和な社会になるという展望をもつことができると思います。

 一人ひとりの「個人」、その力をあつめた「市民社会」が、各国政府とともに、平和をつくる主体になっている。ジェンダー平等と平和を一体に追求することの重要性に光があてられている。そういう時代を迎えていることをふまえて、「東アジア平和提言」を手に、草の根からの運動を大いに発展させ、アジアと世界の平和をつくるために奮闘しようではありませんか。

「日本共産党はなぜ102年間続いたか」の問いに答えて

最も困難な時代に先輩たちを支えたもの――科学的社会主義への世界観的確信

 小木曽 今日、もう一つ、お聞きしたいのは、私たちの世界観――科学的社会主義の問題です。議長は、「毎日」のインタビューのなかで、「私たちの戦いは資本主義との戦いです。それが人類が最後に到達した理想の体制だとは思っていない」「その時々の資本主義のゆがみと戦ってきたからこそ共産党は102年(今年で103年)続いている」「資本主義が行き過ぎた今、我々の出番です」とのべています(12月9日付夕刊)。日本共産党の存在意義ここにありと、新鮮な感動をもって受け止めました。

 志位 実は、あのインタビューで、私に投げかけられた質問は、「日本共産党が102年続いている理由を一言でお願いします」というものでした。私は、党創立100周年記念講演などで、100年続いた理由として「不屈性」「自己改革」「国民との共同」を強調したこともありましたが、「一言で」と言われたのでいろいろ考えて、こうお答えしました。

 「日本共産党という党は、その名が示すように、資本主義という体制を人類が到達した最後の体制と思っていません。人類はこの矛盾と苦しみに満ちた体制をのりこえて、その先の社会――社会主義・共産主義に進む力をもっている。この信念・確信を、日本共産党は、どんな苦しい時代にも、ひと時も失ったことはないのです。それが102年続いた理由です」

 小木曽 なるほど。

 志位 たとえば、戦前の苛烈な弾圧のもとで、私たちの先輩たちのたたかいを支えたものは何だったか。反戦平和と民主主義を貫いて12年の投獄をたたかいぬき、戦後の党の発展にも大きな足跡を残した宮本顕治さんは、「獄中12年の支えとなったものは」との問いに、「一口にいえば、共産主義の原理に深い確信をもっていたから」だ、「社会発展の法則が、たとえ共産党が弾圧されようが組織がこわされようが、かわらず発展していくんだという確信」だったと答えています。

 あらためて宮本さんの暗黒政治のもとでの公判記録(1944年)を読んでみますと、宮本さんは法廷で、「我々の究極の目的は社会の必然的発展を促進」することにあるとのべたうえで、日本の歴史の発展について、原始共同体、奴隷制、封建制、資本主義と、スケール大きく諄々(じゅんじゅん)と語り、資本主義の矛盾を解決するために社会主義を追求していると語り、「このような矛盾を排除するための行為は刑法の道義的観念に照らして罰せられるべきものではない」と喝破しています。

 西沢 まるで法廷が歴史学の教室に変わったかのような……。

 志位 堂々たる弁論の展開です。私は、この間、戦前、迫害と不屈にたたかい、24歳の若さで命を落とした4人の女性党員――飯島喜美、伊藤千代子、高島満兎(まと)、田中サガヨについてそれぞれ話す機会がありましたが、どの先輩たちも科学的社会主義の古典を懸命に読み、自らの血肉にする努力をしていたことがとても印象的でした。

 社会発展の法則を明らかにした科学的社会主義への世界観的確信、資本主義の矛盾があるかぎりわれわれの事業は不滅だという確信こそ、どんな困難のなかでもたたかいの支えとなり、103年という党史を刻んだ根本的力だと思います。

欧州の新しい発展の動き――資本主義の矛盾があるかぎり私たちの事業は不滅

 西沢 いまのお話を聞いて、議長が、欧州歴訪の報告会で、「資本主義の矛盾があるかぎり、社会進歩をめざす運動は必ず起こり、必ず発展する」と強調されたことを思い出します。

 志位 それは欧州歴訪の強い実感でした。旧ソ連・東欧の崩壊によって、欧州の左翼・進歩勢力は大きな困難に直面しました。しかし、それから30年余たったいま、欧州を訪問してみますと、さまざまな発展の動きが起こっているのです。激動のなかで姿を消した党もありますが、新しく生まれた党もあり、新しく再生した党もある。困難ななかで前途を開くために苦闘している党もある。マルクス主義の立場に立って頑張っている党もあれば、そういう立場ではないが、それぞれなりの立場で資本主義を乗り越えた新しい社会をめざしている党もある。

 その全体の姿に接し、私は、資本主義の矛盾があるかぎり私たちの事業は不滅だという強い確信をあらたにしました。そして、格差拡大、気候危機など資本主義の矛盾が深まるなかで、いよいよ私たちの出番だということを感じました。

 日本共産党の前途を考えた場合、今後も山あり谷あり、さまざまな困難や曲折は避けられないでしょう。しかし、どんな状況のもとでも揺らぐことのない力を身につけること、私たちの事業の生命力・不滅性に対しての大局的な科学的確信をもつこと、そうした世界観を育んでいくことがいま大切ではないでしょうか。

「共産主義と自由」――理論と実践を大きく発展させる年に

どこに力を入れてまとめたのかのポイントについて

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(写真)『Q&A 共産主義と自由』

 小木曽 いまのお話ともかかわることですが、昨年は、「共産主義と自由」について新しい開拓を開始した年になりました。党大会決定で「人間の自由」と未来社会についてのまとまった解明が行われ、それを受けて民青主催の「学生オンラインゼミ」、それをまとめた『Q&A 共産主義と自由』、全国学習・教育部長会議での講義――「『自由な時間』と未来社会論――マルクスの探究の足跡をたどる」などの探求、それにもとづく学習と対話が開始されました。その理論的ポイントを短くお話しいただけませんか。

 志位 短くというのはなかなか難しいのですが、どこに力を入れてまとめたのかのポイントをお話しします。

 まず大会決定でも、『Q&A 共産主義と自由』でも力を入れているのは、「資本主義はほんとうに『人間の自由』を保障しているか」という問いかけです。ごく一握りの超富裕層とグローバル大企業が空前の繁栄を謳歌(おうか)する一方、労働者に賃金の押し下げ、不安定雇用、女性や少女に無償のケア労働を強いる社会が、自由な社会と言えるか。気候危機は、人類の生存の自由という、「自由」の根源的土台を危険にさらしているではないか。そうした問いかけから始めています。

 西沢 資本主義への批判的な問いかけが対話の入り口になるということですね。

 志位 そうです。青年・国民の生活の実態から出発して、こうした問いかけは無数にできるのではないでしょうか。

 そのうえで、『Q&A 共産主義と自由』では、「人間の自由」をキーワードにして、社会主義・共産主義の本当の姿について、三つの角度から明らかにしています。

 第一の角度は、「利潤第一主義」からの自由です。ここでは「生産手段の社会化」と「人間の自由」とが深く結びついていることに一つの力点をおきました。「生産手段の社会化」というと「人間不在の統制経済」を連想する方も多い。しかしそれはまったく違います。それは「自由な生産者が主役」の社会の実現に道を開くものです。それはまた、貧困や格差からの自由、恐慌や気候危機からの自由など資本主義の害悪からの自由を保障するものとなります。「人間の自由」が大きく拡大することを明らかにしました。

 第二の角度は、すべての人間の自由で全面的な発展を「基本原理」(マルクス『資本論』)とする社会だということです。自分自身がもっている力をのびのびと豊かに伸ばすことを願わない人はいません。万人が自由で全面的に発展できる社会はどうやったらつくれるか。マルクスは、1850年代~60年代の経済学の本格的研究のなかで、十分な「自由に処分できる時間」=「自由な時間」を得ることこそ、その最大のカギだということを突き止めていきます。昨年6月の講義「『自由な時間』と未来社会論」では、マルクスの探究の足跡を時系列でたどる作業をしてみました。

 第三の角度は、発達した資本主義国から社会主義・共産主義に進む場合には、「人間の自由」という点でも、計り知れない豊かな可能性があるということです。綱領では、発達した資本主義がつくりだし、未来社会に継承・発展させる、「高度な生産力」「自由と民主主義の諸制度」「人間の個性」などの「五つの要素」を明らかにしていますが、『Q&A 共産主義と自由』では、ただ「継承」させられるだけでなく、「発展」させられることに力点をおいて論じました。

 小木曽 全体が「共産主義には自由がない」という誤解への回答になっていますね。

 志位 そうです。ただ、そうした議論への反論から入るのでなく、共産主義こそあらゆる意味で人間の自由が豊かに花開く社会だということを攻勢的に論じるなかで、そうした誤解も解きほぐしていくという論じ方にしました。

このテーマでの対話の楽しさ――「価値ある生き方とは」「本当の富とは」が議論に

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(写真)教職員のつどいで質問に答えながら交流する志位和夫議長=2024年11月17日、名古屋市昭和区

 西沢 議長は、「高校生サマーセミナー」や、「あいち教職員のつどい」、ベルリンでの理論交流などでも、このテーマで対話をされています。一連の対話を通じて実感されていることをお話しください。

 志位 このテーマでの対話は実に楽しい、ということが実感です。「人間にとって本当に価値ある生き方は何か」「人間と社会にとっての本当の富とは何か」といった、深いところの議論になっていくのです。

 高校生との対話では「競争づけで自由な時間がない」という悩みが語られ、そこから日本の教育をどう変えていくかが議論になりました。教職員のみなさんとの対話では、「未来社会での教育の役割はどうなるのか」という質問が出され、「人格の完成」という資本主義のもとで人類が追求してきた民主主義的教育の大方向が、未来社会ではより豊かなものとして発展させられるだろうという展望を話しました。

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(写真)サマーセミナーで参加者と語り合う志位和夫議長。その左は坂井希青年・学生委員会責任者=2024年8月24日、党本部

 小木曽 このテーマでの対話をつうじて、人間の生き方、社会のかかえるさまざまな問題を深く考えるきっかけになるのですね。

 志位 そういう楽しさがあると思います。また、対話をつうじて、さらに理論的に頭の中が整理されてきた問題もあります。

 小木曽 どういうことでしょう。

「富とは何か」を考える――マルクスはとても豊かな捉え方をしていた

 志位 たとえば、「富とは何か」という問題です。一般に「富」といえば、労働がつくりだす物質的富――衣食住の諸条件も含めて――がまず頭に浮かびます。人間が生きていくうえでそれは前提条件であり、必要な物質的富がなければ人間らしい暮らしはなりたちません。

 同時に、物質的富さえあれば豊かな生活といえるでしょうか。収入があっても「働いて、食べて、寝るだけ」の生活では、人間らしい暮らしとはいえない。自分自身を豊かに伸ばすための、家族とのだんらんのための、社会的活動を行うための「自由な時間」があってこそ、本当に人間らしい暮らしといえるのではないでしょうか。マルクスは『資本論草稿』のなかで、「自由に処分できる時間こそ、社会と人間にとっての真の富」だという言葉をのこしています。

 さらに、「自由に処分できる時間」が生み出すものは何でしょうか。「人間の自由で全面的な発展」です。社会にとってこれ以上の富はあるでしょうか。ありません。社会は人間によって構成されているのですから。

 もう一つ、忘れてはならないのは、「自然」こそがあらゆる「富」の土台だということです。マルクスは、1875年に執筆した『ゴータ綱領批判』のなかで、「労働はすべての富の源泉」だという議論を批判し、「それは間違いだ。自然は、労働と同じように富の源泉だし、労働そのものが自然力の現われではないか」と語っています。

 このようにマルクスは、「富とは何か」について、とても豊かな捉え方をしています。労働がつくりだす物質的富、自由な時間、人間の自由で全面的な発展、そして自然そのもの――その総体を「富」として捉えていると思います。

 西沢 物質的富だけではないということが大事なところですね。

 志位 そう思います。逆に言えば物質的富があふれるように拡大しても、そのことによって、「自由な時間」、人間の発展、そして自然を犠牲にするようでは、本当に豊かな社会とは言えないということになりますね。

 マルクスは『ゴータ綱領批判』のなかで、「共産主義社会のより高い段階」で、「協同組合的富のすべての源泉がいっそうあふれるほど湧きでるようになる」という展望をのべていますが、ここで言われている「協同組合的富」とは、物質的富だけでなく、自由な時間、人間の全面的発展、そして豊かな自然、それらの全体についてのべていると読むべきではないかと考えています。

 小木曽 そういうことも含めて実に楽しい対話になると。

 志位 そう思いますよ。ぜひ今年も「共産主義と自由」にかんする学習と対話を、楽しく、豊かに、大いに広げていっていただきたい。それは、日本の民主的改革の事業に国民の多数を結集するうえでも、大きな力になることでしょう。

「賃上げと一体で、労働時間の短縮を」――「先決条件」とのマルクスの提起にこたえて

 小木曽 「自由な時間」の拡大は、未来社会ではじめて問題になることではなく、現在の日本での熱い焦点の一つです。党が「賃上げと一体で、労働時間の短縮を」という政策提起を行ったことも、昨年の大きな発展でした。

 志位 そう思います。これは何よりも国民の切実な要求になっています。昨年12月、「朝日」が、67職種の調査を行い、男性の労働時間が長い職種ほど、正社員として働く女性の割合が少ない傾向にあることを明らかにする記事を掲載しました。女性が育児と仕事の両立が難しいために非正規雇用を選ばざるをえない。長時間労働が、ジェンダー平等の大きな壁となっている。長時間労働をただし、労働者の自由な生活時間を豊かにすることは、みんなの願いであり、そのための運動に力を入れたいと考えます。

 同時に、この運動を国民全体のものにするためには、「そうはいっても賃金が下がるのでは」「人手不足のなかで難しい」などの疑問にこたえて、時短と賃上げは両立するし、労働条件を改善してこそ人手不足も解消する、それを実行する力を日本経済は持っていることなどを、丁寧に明らかにしていくことが大切だと思います。

 この問題がいかに大切か。『資本論』でも引用されているマルクスの次の言葉を紹介したいと思います。

 「われわれは、労働日の制限が、それなしには他のすべての〔改善と〕解放の試みがすべて失敗に終わらざるをえない先決条件であると言明する」(1866年、「インタナショナル(国際労働者協会)のジュネーブ大会の決議」から)

 西沢 「先決条件」とは重い言葉ですね。

 志位 労働者は、長時間労働に置かれたままでは、知的・精神的発達の道が閉ざされ、社会的交流や運動に参加することもできない、それではその解放をかちとることはできない。労働者階級の解放をなしとげようとすれば、労働時間の短縮は「先決条件」だ――このマルクスの提起は、現代日本にもそっくりあてはまるのではないでしょうか。そうした見地で、この運動を大いに発展させようではありませんか。

「新しい政治プロセス」――多数者革命を推進する党の真価を発揮する時

 小木曽 最後に、今年の日本のたたかいについて一言お願いします。総選挙の審判で生まれた情勢について、党は、国民が自民党政治に代わる新しい政治を模索し、探求する「新しい政治プロセス」が始まったととらえ、新たなたたかいにとりくむことを呼びかけています。

 志位 日本の情勢分析と活動方針については、1月10日~11日に開催される第4回中央委員会総会で明らかにすることになります。私は、「新しい政治プロセス」を前進させるうえでの日本共産党の役割を、党大会決定に立ち返って一言のべておきたいと思います。

 大会決定は「多数者革命と日本共産党の役割」という項で、「多数者革命のなかで共産党は何をやるのか」と問いかけ、“あらゆる社会変革において、その主体となるのは、主権者である国民であって、国民の多数が、自らの置かれている客観的立場を自覚し、どこに自分たちを苦しめている根源があるのか、日本の進むべき道は何かを自覚してはじめて、社会変革は現実のものとなる、不屈性と先見性を発揮して、国民の自覚と成長を推進し、多数者を結集することに日本共産党の役割がある”とのべています。

 いままさに、そのような真価を党が発揮すべき時だと思います。自公の過半数割れという新しい状況で、暮らしでも平和でも国民の切実な要求実現のたたかいをおこし、国民とともにたたかいを前進させるという政治姿勢を堅持して奮闘していきたい。同時に、国民を苦しめている根源に、「企業・団体献金をテコにした財界中心政治」「日米同盟絶対の政治」があることを明らかにし、このゆがみをただしてこそ希望ある新しい政治への道が開かれてくることを語っていくことは、わが党に課せられた重要な仕事と肝に銘じてがんばりたい。

 この仕事をやりぬくならば、党の新たな躍進への道が必ず開けてくる。そういう確信と展望をもち、都議選・参院選勝利のために力をつくし、強く大きな党づくりを成功させる年にしていきたいと決意しています。

 小木曽、西沢 長い時間、ありがとうございました。

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日本共産党の本村伸子議員は23日の衆院消費者問題特別委員会で、リゾート会員権詐欺事件の被害者を救済し、被害が出ないよう対策を強化するよう求めました。

2024-12-27 | しんぶん赤旗を読んでください。

2024年12月27日(金)

被害者救う対策強く

本村氏 リゾート会員権詐欺で

衆院特別委

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(写真)質問する本村伸子議員=23日、衆院消費者特委

 日本共産党の本村伸子議員は23日の衆院消費者問題特別委員会で、リゾート会員権詐欺事件の被害者を救済し、被害が出ないよう対策を強化するよう求めました。

 リゾート会員権の詐欺被害を受けたという新潟県の人たちが、フィリピンのリゾートクラブ「ワールドビッグフォー」を運営するジャパンエアリゾートインターナショナル(JRAI社、東京)を刑事告訴しています。弁護士らの調査で、同県内だけでも1600人以上、計100億円以上の被害が生じています。損害賠償責任を認めた東京地裁判決は、虚偽の説明をして原告を勧誘し、ワールドビッグフォー事業への出資を行わせたことは、「詐欺の一環」だと認定しています。

 本村氏は、被害届が受理されないケースがあると指摘し、特殊詐欺など国際的な事件は、巧妙化、複雑化、大規模化しており、専門性を持って捜査するために警察庁がイニシアチブをとるべきだと迫りました。松田哲也警察庁長官官房審議官は「適切に対処する」と答弁しました。

 本村氏は全国各地で被害があり、民事裁判で勝訴しながら、警察が事件を共有していない問題があるとして、国民生活センターの被害相談などの情報を共有し、捜査につなげるべきだと主張。伊東良孝消費者担当相は「関係省庁と連携して取り組む」と答弁しました。

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激動の世界 希望ある未来志位議長、大いに語る

2024-12-26 | しんぶん赤旗を読んでください。

2024年12月26日(木)

国民の願い実現へ 政治のゆがみただす

「しんぶん赤旗」2025年新年の紙面

新年大型企画

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(写真)インタビューにこたえる志位和夫議長

「激動の世界 希望ある未来志位議長、大いに語る」

(1日付)

 

 

 

 

 

 

 

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(写真)田村智子委員長(左)と角田由紀子弁護士

「ジェンダー平等実現に踏み出そう田村智子委員長×角田由紀子弁護士、新春対談」(3日付)

 

 

 

 

 

 

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(写真)(左から)白川よう子、山下よしき、小池晃、井上さとし、はたやま和也の各氏

「さあ参院選、ワンチームで国会へ 共産党比例5氏座談会」(4日付)

 

 

 

 

 

「新しい政治プロセス」を前へ

 ・シリーズ「政治を前へ」 新しい国会で、くらしの現場で政治を前に動かす姿を追う

 ・「軍拡政治に立ち向かう」 米国いいなりで突き進む異次元の軍拡の実態を告発

 ・シリーズ「資本主義の現在と未来」 凶暴さを増す新自由主義・株主資本主義を批判

 ・「いま民青が元気です」 自民党政治の「二つのゆがみ」を学び、たたかう若者の姿を

戦後80年・被爆80年

 ・「被爆80年 核兵器廃絶へ」 日本と世界で広がる草の根の運動を追います。核禁条約成立に貢献したオーストリア外務省のクメント局長のインタビューも

 ・シリーズ「戦後80年」 識者インタビューやシリーズ「空襲の跡を追う」、戦争を語り継ぐ取り組み、歴史問題の解決への活動など多彩に

くらしを守る・福祉を守る

 ・能登半島地震から1年 伝統工芸の復興などに立ち上がる人々の姿に密着。被災者共同支援センターの活躍も

 ・物価高騰を上回る賃金の実現へ 光る労組のたたかいを紹介

 ・「世代間分断を打ち破ろう」など、社会保障を壊す政策を告発する企画を次々に

 ・シリーズ「再生エネの力」 再生エネの普及を通じた地域再生の取り組みに注目

世界の激動とたたかい

 ・ウクライナ戦争とガザの解決方向とともに、対話と包摂による平和への努力を探ります

 ・トランプ2期目の米国、韓国大統領弾劾の動きなど激動の背景にある国民のたたかいに注目

豊かな話題・多彩な紙面

 ・学問・文化欄には、人気の現代詩作家・荒川洋治さんの新春エッセーや、ミュージカル俳優・土居裕子さんが登場。ピアニスト・小川典子さんの音楽エッセーがスタート

 ・被爆者の医療相談にかかわってきた原玲子さんのオスロ訪問記。シリーズ「不登校34万人を考える」で学校、社会のあり方を探ります

 ・スポーツと戦争のかかわりを追うシリーズ「スポーツと平和」

新年号は特大30ページ

 1日付は第1部22ページ、第2部8ページでお届けします。

 第1部カラー企画 「能登1年 党輪島支部の不屈の奔走」/囲碁・将棋―新人王の記念対局/「再生エネ100% 龍谷大」

 第2部 沖縄の心寄り添う音色 伝統文化・三線/気候変動とマヤ文明 謎に迫る/新潟・関川村の大蛇まつり/2025飛躍―大地真央さん、横浜流星さん、尾碕真花さんなど

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