私は日本共産党議員団の
大橋満でございます。
福田首相は、本年1月18日通常国会の施政方針演説で「生活者・消費者が主役」と強調しました。しかし国家予算案の内容は、それがまったくの偽りであることを示しています。
社会保障費の自然増を 2200億円抑制しながら、お年寄りへの大増税と負担増、医療・介護・障害者の施策・制度改悪、雇用や農業の破壊などが国民全体をおそい、地方財政の大幅削減と、市町村大合併が地方を疲弊させ、その上郵政民営化までもが強行されました。
昨年の参議院議員選挙は、安倍内閣の下での選挙でしたが、国民の怒りは、本質的には小泉「構造改革」路線にむけられたものでした。国民の中では、格差が広がり、仕事に就けず、低賃金・ワーキングプアーも広がっています。年金は下がり、負担が増え暮らしていけない事態が広がっています。
しかし自民党は、参議院選挙結果の反省もなく、暮らしに冷たい「構造改革」路線を、まだがんこに続けています。しかも、アメリカ言いなりの外交と、財界奉仕の政治については何ら変わっていません。
そうして、本来メスを入れるべき道路特定財源や大企業優遇税制、軍事費など、いわゆる「聖域」には、全くメスが入っていません。 額賀(ぬかが)財務大臣は「消費税を含む抜本的税制改革」への橋渡し予算だと説明しています。このことは国民の暮らしの実態を見ない「生活者・消費者不在」の予算だと言うことであります。京都府予算も「自立・自助」を基本に暮らしを支える施策のカットが目立ち国の政治をそのまま府に持ちこんできています。
特に最近では、円高ドル安等、新たな状況が生まれています。向日市はこのような動きの中でどのような予算を組むのか、どうして市民の暮らしを守るのかが差し迫っている課題であります。
このような中で提出された 2008年度・平成20年度一般会計予算案の説明では「行政改革に取り組ながら、事業の選択と集中を行い本市の将来を見据えた施策、特に次世代に引き継げる社会資本の整備に重点を置き、様々な施策を可能なものから予算にもりこみました。」とし、同時に「市民と行政の役割分担の明確化」を基本とした「行政改革アクションプラン」に基づき、財政運営に努める としています。
そうして出されてきた予算案の大きな特徴は、前年度に比べ廃止された事業名18項目金額にして3065万5千円、削減された事業38項目1億7299万3千円(長期債利子償還金6995万円を含む)、休止1項目62万5千円、計、57項目2億0427万3千円であります。
公共料金値上げ分は、保育料2967万6千円、学童保育協力金500万円、計、3467万6千円となっています。 大幅なカットについて市長の説明では、おおくの団体に説明し理解を得たと言うことでした。しかし2月29日付市長名で出されている、「向日市はり・きゅう・マッサージ施術費助成事業の廃止について」という文書は、審議中であるにもかかわらず「平成19年度末を以て廃止させて頂くことと致しました。」と決定されたものとしていることは議会を軽視した許し難い行為であります。これでは他の団体や個人にもきちんと説明し、了解が得られたとは到底思えない内容であります。
本予算の最大の特徴であるこのような補助金カットは、市民団体から請願も出されているように、唐突であり認められないものであります。
国や府と同じように「祉切り捨て、補助金カット」を行い、大企業・竹中工務店やJR関連会社の利益を誘導しようとするものであり、市民不在であります。
ところで本予算案の中で、市民の暮らしに役立つものとして、賛同できるもは
①、地震対策・耐震関係の事業
②、石田川2号関連工事、
③、阪急(両)駅のバリアフリー工事
④、交通安全対策と生活道路改良および新設事業、
⑤、はり湖池周辺整備
⑥、妊婦検診助成拡大
⑦、AED救急セット購入
⑧、西ノ岡中校舎改修工事、
⑨、小学校パソコン整備
⑩、平和行政の推進
⑪、南山地域の危険崖地工事 等 があります。適切な執行を望むものであります。
私達共産党議員団は、2007年11月、平成20年度予算編成にあたって市長に「要望書」を提出しました。その主な内容に沿って討論を進めますが、私達の要望は市民の願いに沿ったものであります。ところがそれをことごとく拒否し、予算化されていないことが、賛成できない最大の理由であります。
まず国と府に申し入れてほしいと言うことで5項目要望しましたが、市長の対応はいずれも市民の願いを無視したものでした。
第1は、4月から実施されようとしている 、後期高齢者医療制度は、あまりにも高齢者いじめであり、中止するよう申し入れていただき、あわせて70才から74才までの負担は1割のまま据え置くよう申し入れて頂くことを要望しました。
市長は、市長会を通じて若干の手直しを言われたかも知れませんが、あくまで実施するというものでした。今国会では、野党が中心になって制度そのものを廃止せよという動きがあり、高齢者の願いそのものであります。
向日市でもこのまま実施されれば、お年寄りは一層苦しめられることになり、若い者にとっても、国保制度に与える影響がはかり知れません。市長が政治生命をかけて中止せよと、頑張って頂く必要があると思うのです。それをされないことは、市民を守る立場ではなく、認められないものであります。
第2は、府営水道は、京都府条例に基づき、水道料金引き下げのため、「基本水量を半減」するよう申し入れて頂くことでありました。
水道問題を考える会からも12000名の署名を添えて、同趣旨の要望書が提出されていますが、この点についても実行して頂けませんでした。
詳しくは水道会計の方にゆずりますが、市長が、市民の声に真剣に答えて頂き、府条例に沿って減量申請を行い、毎年府との交渉を行われるよう再度申し入れるものであります。
第3は、国民保護法に基づく国民保護計画は、市民を核戦争から絶対守れない内容です。それよりも戦争しない国づくりのため、憲法を守り、平和行政を進めていただくよう国・府に申し入れて頂くことでしたが、それも実行されず、本年は災害対策費の中に予算化されており、国民保護法分は削除すべきであります。
核戦争や核兵器を使った攻撃が起これば、避難する場所や方法はありません。架空のマニュアルを作り市民に押しつけることは、命を守ることではなく、核兵器の恐ろしさを伝えないことになります。命を粗末にすることを広めることになります。だだちに中止することを求めるものであります。
第4は、大企業から適正に「徴税」を行い、税源移譲と地方自治体への交付金や補助金を大幅に増やし、防災対策を始め、福祉・教育予算が保障され、「市民の暮らしを守る予算編成」が出来るよう申し入れて頂くことでした。また、消費税の引き上げはしないよう申し入れて頂くことでした。
特に消費税については、市民の思いを実現する立場ではなく、国政のことは意見を述べる立場にはないと言われていますが、国政の問題につて、市長が執行する権限はなくても「意見」や「思い」を述べることは保障されており、市民と共に進む市長なら、態度を明確にするべきであります。優柔不断の態度は市民不在の立場であります。
第5は、障害者自立支援法の実施にともなう「大幅な個人負担増」「施設に対する、診療報酬の引き下げ」を抜本的に見直し、障害者が安心して暮らせるよう強く申し入れて頂くことでしたが、実行して頂けないばかりか、その答えは、福祉補助金カットの提案でありました。
次ぎに、向日市の来年度予算に 以下の重点事項を予算化してくださいと言うことを申し入れていました。この点についても殆ど取り入れられませんでした。
その1は、JR独自による向日町駅のバリアフリー化工事を優先し、市が進めようとする駅前広場、橋上駅等は、「財政健全化計画」の中で最も多額の予算をともなうものであり、住民合意を前提に計画を見直してください。と言う要望でしたが、福祉関係や、こどもの修学旅行費補助まで削って、調査費を組むという強行姿勢であります。他の事業より優先させなければならない理由が不明確であります。阪急と同じように、JRの手でバリアフリー工事をまず行うべきであります。
その2は、キリンビール跡地開発と、阪急洛西東地区土地区画整理事業を見直し、市民のくらしを守り高める施策を先に実施してください。と言う要望についても、市長は「組合」の設立にむけての予算を提案し、委員会の説明では「地権者は、素人集団だから土地区画整理組合の認可まで、一切の事務の代行を株式会社竹中土木にたのむことを決めたというのです。私は、竹中土木は、竹中工務店の開発部門であり、「大型マンションと駅前ビルの建設」を提案してくるのではないかと質問したら、理事者は、地権者の意向で決まるといわれましたが、まちづくり案を竹中に任したことと矛盾した説明であります。
また、「なぜこのような狭いところに、大きな竹中工務店が出てくるのか」と質問すると、駅前であり付加価値の高い場所だからと言う答弁でした。
これほど市民を愚弄した話はありません、素人集団の土地を市が10億円以上も出して、中心道路設置と都市計画関係の法をクリアさせ、事務的な手続きを全て行い、農地を宅地に変え、区画整理組合の申請の代行を竹中土木にさせ、竹中工務店に大きな利益を誘導するまちづくりを行っている、と言うことになるではありませんか。
地権者の意向は、二の次ぎ三の次と言うことになっているのではありませんか。同時にこれでは向日市内の業者にはなんの仕事も回ってこないと言うことになるではありませんか、私は、市民本位の町作りではないと思います。税金の使い方が間違っていると思います。本手続きは中止すべきであります。
農地を守らなければならない農業委員会は、どういう主張をされているのか声が聞こえないのは残念なことであります。もし農業委員会が率先して区画整理をすればよいと言うのなら、農業委員会の存在意義が問われるところであります。
キリンビール跡地開発についてでありますが、「市内の方に、にぎわいを誘導する」とのことですが、私は、他市の状況や向日市の大型店進出前後の状況を見ると、市内のにぎわいがキリンビール跡地開発に吸収されてしまうと思うのです。大型店と共存共栄と言うこれまでの考え方から、新しい考えに脱却しない限り向日市の商店街の発展は望めないと思うのです。
その3は、安心して暮らせるように、学校・保育所等市の公共施設(災害避難施設)の耐震二次診断および補強工事を、最優先で進めてください。と要望しました。
区画整理やJR駅に莫大な税金を使うより、地震対策を急ぎ市民の安全を守り、地元業者に仕事を回すことこそ、今やるべきことではありませんか。校舎の大改修も組まれていますが、全ての学校・公共施設を、最優先で災害対策工事を進めて頂きたいのであります。
その4は、憲法を守り、子供が主人公の教育をするため、教育予算を大幅に増やしてください。30人学級を実現してください。学童保育行政の充実をはかってください。 学力テストは、「中止」してください。についてでありますが
30人学級は、時代の流れであります。少人数授業でできる子、出来ない子を振り分けるのは、全児童・生徒の学力を向上させることにはなりません。何よりも人間形成に役立ちません。
学童保育の協力金を値上げしても新たな歳入は500万円であります。合併事務を打ち切れば、捻出できる額であります。
その5は、公的保育を充実させ「育児休業法」が守られるよう「育児休業あけ入所希望者」を、最優先に入所さてください。 との要望にたいし、民間保育所の増員提案がありましたが、公立保育所を民間委託するための検討委員会を発足するという予算であります。目先だけの安上がり保育だけを見た民間委託はやめるべきであります。
さらに、子供の発達を食の面で保障する保育所給食は、市が責任を持たねばならない大切な分野であります。給食の民間委託計画はやめてください。
小学校入学まで、子供の医療費を無料にしてください。の要望は、予算があるかないかの問題ではなく、市長がやる気があるのかどうかの問題だと言うことがよくわかりました。大山崎町の予算は、小学校卒業まで医療費を無料にする、と提案されたからであります。向日市もせめて小学校卒業まで無料の提案をしてください。
その6は、二市一町自治体合併の取組みをやめてください。については
市長は40%の人が、「どちらともいえない」と答えておられるので、もっと 情報を流さなければならない、と言っておられますが、回収率が40%弱のうちの
40%弱ですからアンケートを依頼した人の16%が「どちらとも言えない」とこたえているのです。市長は、賛成が何%になるまで宣伝するつもりなのですか。
何よりも見過ごせないのは、市役所の数少ない合併関連のホームページの掲示板がワイセツサイトの交流の場になっていたのを、1年間も放っておいて、たえず見直していました、と言う無責任な本会議答弁は、まじめに合併問題に取り組んでいない証拠であります。また、二市一町の現状から見ましても、市長の任期中に合併が出来ないことは明らかではありませんか、以上のことから直ちに合併事務を中止することを求めるものであります。
その7は、生活困窮者対策を強め、市民を守る生活保護行政を行い、特に申請用紙は窓口カウンターに置き、誰でも取れるようにしてください。についてでありますが、委員会答弁で、申請書をリーフレットにはさんで置きたいと、市民が取り安くすると改善の方向が出されたことは、一歩前進であります。生活困難の市民が増える傾向にある下で、親切丁寧な窓口対応を望むものであります。
その8は、市内中小業者の育成を図る商業政策、農家の暮らしを守る農業政策を強めてください。と言う要望に対して「地域活性化会議」の設置が報告されました。
21年度に産業振興プランを作成すると言うことですが、今日まで幾度となくプランがつくられましたが、どれだけ実行されたのでしょうか、
建設常任委員会で理事者は、企業誘致も考える、JRや区画整理との関連もキリン開発との関連も含めてどうすればよいかを考えるものだと言う説明がありました。
第5次総合計画にも生かしたいとのことでしたが、一部分の活性化会議メンバーで論議できる内容ではなく、議会としても時間をかけて討議しなければならない問題であります。第3者機関ばかり創って議会を軽視するのは賛成できません。
その9は、国保料の引き下げ、介護保険料・利用料減免制度を新設し、「健康都市」として進めてきた各種検診制度は、中止することなく続けてください。 についても、市としての救済制度は何もありません。
後期高齢者医療制度の導入で国保・介護関連の限度額が最高の方は、年間6万円の値上げであります。後期高齢者医療制度は、廃止し、国が財政的責任を持って新しい制度をつくるべきであります。
その10は、市内を巡回するバスを走らせてください。についても拒否であります。長岡京市では、当初利用者が少なかったようですが、利用者の立場で改善をされているようです。必ず採算に見合ったものにすることが出来ると思います。市長の決断を求めるものであります。
その11は、市民の生活が守られるよう、福祉予算の切り捨てや削減をせず、さらに下水道使用料等、公共料金の値上げをしないようにしてください、については、公共料金の値上げ提案は、保育所・学童保育協力金ですが、下水道の値上げを検討する懇談会、ゴミの収集料金有料化が検討されているなど、引き続き値上げを検討する場がありますが、市民のくらしを直撃しないようにしてください。
その12は、議会のモニターテレビをロビーと 職員控室に設置してください。でありますが、情報公開の立場、議会活性化・市民に開かれた議会、障害者の傍聴、など時代の流れであります。すでに議長からの要請や議会活性化特別委員会の確認でも明らかなところであります。
それも予算化されていないのであります。
その13は、やめるべきだと言い続けている同和問題ですが、解同山城地協へのトンネル補助金は違法・不当なものだということで、大きな批判を受け、存続できなくなりました。ところが、今年度から名称を(仮称)山城人権啓発推進委員会負担金85万円として、解放・人権政策確立要求山城地区実行委員会分担金10万6千円、研修など参加負担金2万7千円などは、以前のトンネル予算と同趣旨のものであり仮称団体への特別扱いであり、予算を削除すべきであります。
その14は,次ぎに、今議会で明らかになってきた京都府主導の「税の共同化問題は、地方分権を逸脱した行政介入に当たるおそれがある重大問題であります。」参加しないよう求めるものであります。
向日市で多額の費用をかけた電算システムが、十分に働いているのにさらに共同のために多額の分担金を払うのは税の無駄使いであります。向日市の実態と実施したときの事務内容や、どういう成果となってくるのか資料を出して検討するべきであります。
京都府の推進委員長をしておられる方が「税」という雑誌の11月号に、「税務の共同化は現行地方税法を超えるものだ。法整備が後からついてくるものだと書かれている」ことが府議会の予算特別委員会で問題になっています。
慎重な対応と参加しないことを重ねて要求するものです。
以上、予算案に関して、その主なものについて、支持できるもの、反対のものとその理由、要望などを述べました。時間の都合で述べられなかった詳しいことはわが党同僚議員が各常任委員会で述べたとうりであります。
採決に当たって、地方自治法は、修正などがない場合一議案一採決と言うことになっているので、日本共産党議員団として本議案についての態度は「反対」と致します 。
以上で討論を終わります。