戦争法「新任務与える」
安倍首相、自衛隊観閲式で訓示
安倍晋三首相は23日、陸上自衛隊朝霞駐屯地の朝霞訓練場(埼玉県朝霞市、新座市)で行われた自衛隊観閲式での訓示で、「平和安全法制によって諸君たち(自衛官)には新しい任務が与えられることとなる。そのことを肝に銘じ、精強なる自衛隊をつくりあげてほしい」と述べ、昨年強行成立させた安保法制=戦争法に基づく新任務の付与に向け、さらなる能力・態勢強化を指示しました。
政府が「駆け付け警護」などの最初の新任務付与を検討している南スーダンPKO(国連平和維持活動)の自衛隊部隊については、「危険の伴う自衛隊員にしかできない責務を果たしている」と賛辞。新任務に伴うリスクを示唆しました。
南スーダン情勢については、「道路整備に励む自衛隊員の周りには決まって子どもが集まる」などと述べるにとどまり、事実上の内戦状態の実態にはふれませんでした。
観閲式は陸海空の各自衛隊が毎年持ち回りで開催しており、今年は陸自が担当。自衛隊からは隊員約4000人、車両約280両、航空機約50機が、米軍からは海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイ2機や、陸軍が中東などに投入しているストライカー装甲車などが参加し、日米軍事一体化を強調した内容となりました。
解説
PKO新任務へ“地ならし”
安倍晋三首相の訓示は、「積極的平和主義」を口実にして、南スーダンPKO(国連平和維持活動)部隊への安保法制=戦争法に基づく新任務付与に向けた“地ならし”ともいえるものです。
首相は戦争法に基づく新任務について、「すべて尊い平和を守り抜き、次の世代へ引き渡していくための任務だ」などと、憲法9条が禁じる海外での武力行使をあらゆる場面で解禁する同法の狙いをあべこべに描きました。
さらに首相は、自衛隊が1992年に初めてPKOに部隊を送ったカンボジアからも、南スーダンに部隊が参加しているとして、「自衛隊がカンボジアに植えた平和の苗は実を結び、アフリカで次なる苗を育もうとしている」などと、PKOの意義を強調しました。
しかし、国連PKOは1990年代後半から変質を続け、今や先制攻撃すら容認するまでに先鋭化しています。カンボジアと南スーダンのPKOを同列視するような首相の説明は、実態と大きくかけ離れています。
(池田晋)
膨張する軍事費削れ
衆院財金委 宮本徹氏求める
(写真)宮本徹議員
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日本共産党の宮本徹議員は21日の衆院財務金融委員会で、ミサイル防衛などで膨張する軍事費を厳しく査定し、削るよう求めました。
宮本氏は、来年度の防衛省の概算要求(5兆1685億円)は中期防衛力整備計画23兆9700億円を上回る勢いだとして「認められないはずだ」と質問。麻生太郎財務相は「中期防の総額の枠内に収める必要がある」と述べました。
宮本氏は、米国のミサイル戦略に日本を深く組み入れるのが今度の概算要求だと指摘。政府が仮に「存立危機事態」と認定すれば、グアムへ向かうミサイルを撃ち落とすことがあるかと質問しました。若宮健嗣防衛副大臣は「わが国が迎撃することも可能」と答弁。宮本氏は「アメリカ防衛のためだ。ミサイル防衛は盾と矛の関係で、軍備増強の悪循環になっている」と指摘し、平和外交強化への転換を求めました。
宮本氏は、高高度防衛ミサイル(THAAD)など新たに検討するミサイル防衛に全体でどのくらいの予算を検討しているのかただすと、防衛省は「想定できない」と答弁しました。
宮本氏は「外交努力が必要だ」と改めて強調。「北朝鮮の核開発をやめさせる一番強い立場は、核廃絶の立場で国際社会が働きかけてこそだ」と求めました。