「平和と繁栄は、“板門店宣言”履行の両輪」
登録:2018-08-24 22:19 修正:2018-08-25 08:13
[汎民族平和フォーラム、中国の瀋陽で閉幕]
南北と海外同胞集まり「板門店宣言」履行を討論
平和・共同繁栄・統一を主題に実践的提案相次ぎ
北側代表団、終戦宣言・南北経済協力民族共助を強調
24日、中国の瀋陽で開かれた汎民族平和フォーラムの平和共存を主題にした第1セッションで、リ・ソンウン北朝鮮祖国統一研究院室長(前列左から3人目)が主題発表をしている=瀋陽/ユ・ガンムン先任記者//ハンギョレ新聞社
南北および海外同胞が一堂に集まって、4・27板門店(パンムンジョム)宣言の履行を誓い、朝鮮半島の平和と共同繁栄、統一を祈った。
大統領の直属機関である民主平和統一諮問会議(首席副議長 キム・ドクリョン)とハンギョレ統一文化財団(理事長 チョン・セヒョン)が、8・15光復節73周年を記念して共催した「汎民族平和フォーラム」が24日、中国の瀋陽で閉幕した。「我が民族、平和と繁栄の時代を開く」というメインテーマで開かれた今回のフォーラムでは、板門店宣言以後初めて南北および海外同胞が額を突き合わせ、履行方案を模索した。キム首席副議長は「このフォーラムが持続して、次回はソウルや平壌(ピョンヤン)で民族の未来を議論できることを期待する」と述べた。
南側専門家の間からは、朝鮮半島の非核化と平和体制構築が好循環するアプローチを提案する声が出された。北側代表団は、平和体制の構築と共同の繁栄を推進する過程での民族共助の重要性を強調した。海外同胞は、板門店宣言履行のために世界各地に根をおろした同胞の力量を活用しなければならないと注文した。今回のフォーラムは、当初23日に丹東(タンドン)で開かれる予定だったが、中国当局と行事の規模と手続きを協議する過程で日程と場所を調整し、瀋陽で開かれた。
■平和共存…先制的軍備統制が必要、終戦宣言は必須条件
慶南大学極東問題研究所のキム・ドンヨプ研究室長は、平和共存を主題にした1セッションで「朝鮮半島の平和定着のためには、北の核問題と平和体制、軍備統制という3大課題が好循環関係で連結された三位一体型ロードマップが必要だ」と提案した。キム室長は「今までは非核化から始まり平和体制を議論して、続いて軍備統制を交渉する順次的解決過程が主流をなした」として、「これらの課題を相互連係させ、段階的・同時的・包括的な新たな接近戦略を構想する必要がある」と強調した。彼は「先制的軍備統制を通じて朝鮮半島の非核化と平和協定締結を加速することができる」として「南北が別途の会議体制を構成する方案も模索する必要がある」と話した。
北側発表者として出たリ・ソンウン祖国統一研究院室長は「朝鮮半島の恒久的で堅固な平和は、南北関係の発展と祖国統一の先決課題」と強調した。彼は「板門店宣言に明記された通り、今年必ず終戦宣言をしなければならない」として「終戦宣言は朝鮮半島の平和的過程を進展させるための必須要求」と話した。彼は「朝鮮戦争と停戦協定の当事者である米国は、終戦を宣言することに当然の責任がある」として「終戦宣言を贈り物のように思って拒否することは、いかなる場合にも正当化されえない」と話した。
討論者として参加した早稲田大学のリ・ジョンウォン教授は「南北および朝米首脳会談で、朝鮮半島の平和共存実現のための歴史的機会が訪ねてきた」として、南北の対立が続いたことで日常化された冷戦的思考と北東アジア地域に垂れ込めた新冷戦構図を克服しなければならないと提案した。
キム・ドクリョン民主平和統一諮問会議首席副議長が24日、中国の瀋陽で開かれた汎民族平和フォーラムで、フォーラムの意味を語る開会挨拶をしている=瀋陽/ユ・ガンムン先任記者//ハンギョレ新聞社
■共同繁栄…平和と繁栄は両輪、南北は同等な経済主体
共同繁栄を主題にした2セッションでは、北側代表団長を務めたリム・リョンチョル民族和解協議会副会長が発表者として立った。リム副会長はまず「板門店宣言以後、様々な形の協力事業が進行されたが、経済協力分野でははかどっているものがほとんどないと言える」として、南北経済協力の速度に物足りなさを吐露した。彼は「板門店宣言の履行という馬車は、平和と繁栄という両輪が一緒に回ってこそまともに前進できる」として「今のように繁栄という片方の車輪が止まっていては前進できない」と指摘した。彼は「私たちは外勢との同盟協力に執着するのでなく、同族との経済協力を実現しなければならない」として「民族経済を発展させるうえで必要な規定と規範を、私たちの要求と利害関係に合わせていかなければならない」と注文した。彼は「南北経済協力は、北と南が“有無相通じる”原則で互いに助けを融通しあう平等の関係で進行されなければならず、どちらか一方が施す特典と誤認してはならない」と強調した。
南側の発表者として立ったIBK企業銀行経済研究所のチョ・ボンヒョン副所長は「朝鮮半島非核化プロセスの進展により、経済協力が段階的に推進されるだろう」とし、「板門店宣言の履行を中心に経済協力を優先的に推進することが必要だ」と注文した。チョ副所長は「文在寅政府の朝鮮半島新経済構想は、民族経済の新しい成長動力を創り出し、朝鮮半島の経済領土をユーラシアに拡張しようとする青写真」だとし「民族経済のバランス発展のために、北側の経済開発区と連係する南北共同構想を用意する必要がある」と提案した。彼は続けて「南北共同構想を中国の一帯一路、ロシアの新東方政策と連係するなど、周辺国との協力体制を構築する必要がある」と注文した。
討論者として立ったハンギョレ平和研究所のクォン・ヒョクチョル所長は「民族経済のバランス発展の前提は、南北が相互を尊重すること」とし「南が北を同等な経済主体として認識する必要がある」と指摘した。クォン所長は「南側の資本と技術に北側の低賃金労働力と豊富な資源を結合する分業モデルの有効性を確かめてみる必要がある」として、はじめから労働集約業種と技術集約業種の協力を併行する必要があると強調した。
■統一…和解と治癒の政治が必要、民族自主原則の確立が必要
統一を主題とした3セッションでは、朝鮮半島の平和を作る過程が統一の道につながるには、南北の努力と共に海外同胞の激励と支援が必要だという指摘が討論者全員から出てきた。
キム・ヨンチョル統一研究院長は主題発表で「板門店宣言で合意した終戦宣言を契機に、南北および国内外で対立と分裂を克服するための和解と治癒の政治が作動しなければならない」として「朝鮮半島の平和を作っていく過程は、分断の固着ではなく統一指向にならなければならない」と強調した。キム院長は「南北は6・15共同宣言で、南側の連合制案と北側の低い段階の連邦制案の間に共通点があると認めた」として「南北両側の統一方案の共通点を体系化し、差異を狭めようとする持続的な議論が必要だ」と話した。彼はそのために南側の統一研究院と北側の祖国統一研究院の共同研究を提案し、民主平和統一諮問会議が取り組んで、海外同胞社会に和解、平和、統一を指向する空間を提供する必要があると注文した。
北側の討論者として立ったチョン・ギプン祖国統一研究院室長は「国の平和、統一、繁栄を我が民族の力で成し遂げるという確固たる意志を持って、すべての問題を民族優先、民族中心の立場で解いていかなければならない」として「板門店宣言は、我が民族の運命は私たち自身が決めるという民族自主原則を第一条、第一項で明らかにした」と強調した。彼は「板門店宣言を新しい自主統一時代の概要と敬い、内外で支持と履行のムードを高めていかなければならない」として、海外同胞の積極的役割を注文した。ヨ・ヘスク「平和を作る女性の会」理事は「海外同胞は、南と北を比較的自由に往来し容易に接触できる条件を持っている」として「海外同胞が平和のメッセンジャーとして南北の相互理解を促進する媒介者になることを期待する」と話した。
瀋陽/ユ・ガンムン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )