競泳のファン・ソンウ、
「試合を楽しむ」境地に至った十代の「天才」…世界と競う
ノ・ミンサン監督「試合を楽しみながら行っている」
29日、東京五輪100メートル決勝に視線集中
「予測をまた破った。本当に天才だ」(イ・ビョンホ ソウル体育高校監督)
「試合を楽しんでいる。メンタルが優れている」(ノ・ミンサン元代表監督)
韓国競泳の「賢才」として浮上したファン・ソンウ(18、ソウル体育高校)が28日午前、東京アクアティクスセンターで行われた2020東京五輪・競泳男子100メートル自由形準決勝で、47秒56でアジア記録を塗り替えた。予想を超える活躍ぶりに専門家らも驚いた様子だ。これまでは「第2のパク・テファン」などと呼ばれてきたが、この日の競技で韓国水泳の「象徴」として確実にイメージを固めた。
ファン・ソンウはこの日の準決勝で、全16人中4位となり、8人が競う決勝へと進んだ。アジア選手としては彼が唯一だが、普通は身長190センチを超える西洋の選手とは違い、彼の体格(身長186センチ、体重72キロ)と筋肉量は劣る。それでも世界最強のケーレブ・ドレッセル(米国)らと堂々と戦えるのはなぜか。
ファン・ソンウを指導したソウル体育高校のイ・ビョンホ監督は、自分の現在の体型に合った泳法に秘訣があると話す。イ・ビョンホ監督は「ソンウはまだ筋力と筋パワーでは西洋の選手とは比べ物にならないほど未完成だ。水をうまくかき、卓越した泳法で競っている。スピードを出すほど強まる水の抵抗を最小限に抑えながらスピードを出すことが、ソンウが競える技術的な要因だ」と指摘した。
100メートルは競泳では短距離に属する。ファン・ソンウはこの日、0.58秒の反応速度で決勝進出8人の中で1位を占めた。これは過去のパク・テファン(0.6秒台)より速く、0.7秒台の普通の選手とは確実に違う。ノ・ミンサン元代表監督は「短距離での反応速度は非常に重要だ。天賦の才だ」と説明した。
もちろん、後半の追撃のためには筋力と持久力も強化しなければならない。これについて、イ・ビョンホ監督は「まだ体力的にもっと成長できる年齢だ。パク・テファンは長距離型選手で、後半の推進力があり短距離の200メートルまで出たが、ファン・ソンウは短距離型で100メートル、200メートルに特化している。短い距離で素早く躍り出てから後半は守るスタイル」と区分した。
ノ・ミンサン監督は、ファン・ソンウの精神力を評価した。ノ監督は「精神的に試合を楽しむことができる。負けても堂々として、怯まない。仕事に嫌々行く人ではなく、仕事が楽しくて働く人に例えることができる」と述べた。イ・ビョンホ監督も「暇さえあれば、自分が好きな選手の水泳動画を見ながらフォームを学んでいる。水泳が大好きな選手」と描写した。
今年に入って急激に伸びた成長の勢いも驚異的だ。ファン・ソンウは前日の自由形200メートル決勝では入賞圏には入れなかったが、予選で1位で韓国新記録を打ち立て、100メートルでは1日ごとに準々決勝と準決勝で2度も韓国新記録を更新した。
イ・ビョンホ監督は「常に予測を超える天才。アジア新記録を出すなど考えてもいなかった。本当にすごい選手」と褒め称えた。
29日の100メートル決勝戦への期待も高い。イ・ビョンホ監督は「100メートルは200メートルより体力負担が少ない。1日休んで出ることができ、韓国記録とアジア記録を破ったことで士気が高まった。すでにやるべきことは全部やったので、負担なく臨めば決勝で良い成績が出せるだろう」と予測した。ノ・ミンサン監督も「反応速度と瞬間スピードが良い。誰よりも優れたスタート能力を持っているため、力さえ補えばもっと強くなる」と話した。
ただ、100メートル決勝戦では6レーンに割り当てられ、3、4、5番レーンの選手を確認するのが難しいという点がある。呼吸の方向についての話が出るのもそのためだ。
ノ・ミンサン監督は「短距離なので右側だけで呼吸しても問題ない。しかし、これから世界的な選手たちと競争するためには、必要に応じて両側で呼吸することも考えられる。そうすれば相手を見ながらペースを調節できる」と助言した。