2023年11月27日(月)
核兵器禁止条約第2回締約国会議への要請文(全文)
2023年11月 日本共産党衆議院議員 笠井亮
世界で唯一の戦争被爆国の政党として、核兵器禁止条約の第2回締約国会議の開催を心から歓迎します。発効から間もなく3年を迎える条約の規範力を生かし、昨年6月、私自身も出席した第1回締約国会議での「ウィーン宣言」と「行動計画」の具体化が進むことを強く期待します。
ロシアのウクライナ侵略が続き、ガザ危機が深刻化するなか、今日の核兵器使用の現実的危険を絶対に許さず、「核兵器のない世界」へと前進するために、以下の要請を行います。
1、締約国会議が、核兵器使用が破滅的な非人道的結末をもたらすことを、改めて世界に警告し、その使用を許さない強いメッセージを発することを求めます。
核兵器禁止条約の存在は、核兵器使用を抑える上で大きな力を発揮しています。ロシアのプーチン政権の核兵器使用の威嚇に対して、どの国も公然と核による報復を表明できません。「核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)および核実験の被害者にもたらされた容認しがたい苦難と損害に留意」してつくられた条約は、核兵器の非人道性を告発し、その使用と威嚇を禁止する規範として核保有国の手をきつく縛っています。核兵器は「『絶滅』だけを目的とした狂気の兵器です。人間として認めることのできない絶対悪の兵器なのです」(※)。国際社会は、この被爆者の訴えに真摯(しんし)に耳を傾け、核兵器を使用させないため力を尽くすときです。
(※)日本原水爆被害者団体協議会「原爆被害者の基本要求」1984年11月18日
2、核兵器禁止条約の「ウィーン行動計画」に基づき、第6条の「核兵器の被害者支援と環境修復」、第7条「国際協力」の具体化と実践をさらに進めることを要望します。
第1回締約国会議で、非公式作業部会が設置され、作業を開始していることを心から歓迎します。被爆者をはじめ日本の市民社会も積極的に貢献します。同時に、私たちは、日本政府は条約参加以前にも、この活動に協力すべきだと考え、本会議へのオブザーバー参加を求めてきました。締約国会議としても、日本政府の関与を引き続き重視していただきたい。
3、核兵器禁止条約と核不拡散条約(NPT)の「補完性を再確認」した「ウィーン宣言」に基づき、NPT第6条の核軍備縮小・撤廃義務の履行を核保有国に求め尽力するよう期待します。
今日、NPT体制の信頼を揺るがせている最大の問題は、核保有国が第6条に基づく義務を果たしていないことです。核兵器禁止条約は、NPTの第6条に規定された核軍備縮小・撤廃義務に強い光をあて、「核兵器のない世界」に導く枠組みとする上で大きな力を発揮しています。これまでの再検討会議の合意を再確認、具体化、実施へ一層の努力が必要です。
4、「核抑止」依存する各国政府に、脱却を決断するよう呼び掛けることを求めます。
核兵器禁止条約が、「核抑止」を否定したことは、世界の世論と運動への大きな励ましとなっています。国連総会では、「核抑止」論から脱却するパラダイムシフト(固定観念の転換)を求める主張が出され注目されています。「核抑止」は、核兵器使用を前提とし、ヒロシマ・ナガサキのような非人道的惨禍を引き起こすことを躊躇(ちゅうちょ)しないという議論です。この政策は、道義的にも許されません。核兵器廃絶を求める世論を広げることが急務です。
ウクライナ、ガザでの人道的危機を解決するために国際社会の結束が必要です。この点でも、会議の積極的な貢献を期待します。核兵器禁止条約は、前文で明記されているように国連憲章に基づくものです。ロシアのウクライナ侵略は、国連憲章と国際法への重大な侵犯であり、イスラエルのガザ大規模攻撃による民間人の無差別殺傷は、国際法違反です。
核兵器禁止条約の普遍化、規範力の強化のため、わが党も唯一の戦争被爆国である日本政府の署名・批准を実現すべく、さらに力を尽くします。「核兵器のない世界」実現のため、引き続き会議参加の全ての国の政府、市民社会との共同を発展させていく意思を表明します。