中南米の団結図るとき
統一首脳会議 メキシコで開幕
【プラヤデルカルメン(メキシコ)=菅原啓】
米国抜きの自主的な地域機構の設立を論議する中南米・カリブ海統一首脳会議が22日、当地で開幕しました。会議には25人の国家元首をはじめ、32カ国の代表が出席。23日に諸文書を採択する予定です。
開会式では、ホスト国メキシコのカルデロン大統領が中南米・カリブ海地域の団結と新機構設立を呼びかけるあいさつを行いました。
大統領は、19世紀初頭から始まった中南米での独立闘争を振り返り、解放者ボリバルが中南米全体を一つの共和国のように統一する構想をもっていた
ことに言及。「他の国々や多くの逆境に直面しても、われわれが団結していた時は前進することができた」、「団結したアメリカ(中南米)というボリバルの理
想は生き続けており、いまほど有効な時はない」と指摘しました。
米国抜きの新機構創設については、米国との関係悪化を懸念して、時期尚早と主張する国も存在しています。
カルデロン大統領は、こうした消極論も意識して、地域の諸国が現在直面している課題は「左派か右派かの問題でも、思想や主義の問題でもなく」、民
主主義、公正、自由という価値が花開く未来を選び取るかどうかの問題だと強調。「中南米・カリブ海同盟によって国民が求める共同の未来を築こう」と訴えま
した。
ベネズエラのチャベス大統領は、昨年4月の米州サミットの際に、オバマ米大統領が「決して干渉しない」と語ったにもかかわらず、米国が中南米諸国
の主権を侵害する行動をとっていることを厳しく批判。米国抜きの地域機構設立の重要性を力説すると同時に、「われわれは各国の主権を尊重する。米国を含
め、各国の友人になりたいと思っている」と発言しました。
中南米カリブ 米国抜きの新機構
首脳会議で設立確認
公正・平等な国際秩序構築
【プラヤデルカルメン(メキシコ)=菅原啓】
当地で開催されていた中南米カリブ海統一首脳会議は23日、米国抜きの新たな地域機構を設立することを確認した宣言を採択して閉幕しました。
宣言は、紛争の平和的解決、国内問題への不干渉など、国際法と国連憲章の原則の尊重にもとづく公正、平等な国際秩序の構築をめざすことを再確認。第一の決定事項として「中南米カリブ海諸国を統合する独自の地域として、中南米カリブ諸国共同体を設立する」と明記しました。
新機構の性格や具体的機能などについてはひきつづき協議を進め、2011年、12年にそれぞれベネズエラ、チリで開かれる首脳会議で決定されます。
この地域を自らの「裏庭」として支配と干渉を続けてきた米国を含まない中南米カリブ海諸国全体の地域機構が誕生するのは史上初めてのことです。
採択を前に発言した議長国メキシコのカルデロン大統領は、新機構の内容について集中的な議論が行われ、「共同体」という名称も最終的なものではないことを明らかにしました。
ベネズエラのチャベス大統領は来年7月にカラカスで開く次回首脳会議で、新機構の基本文書を採択するため、各国との協議を進めるなど準備に全力をあげると語りました。
会議終了後の記者会見で、ボリビアのモラレス大統領は、「米国がいるところでは、民主主義は保障されない。社会的公正をともなう平和も保障されない」と語り、米国抜きの地域機構設立の決定を高く評価しました。
メキシコのカルデロン大統領は、会議を「成功」と評価し、「中南米カリブ地域は団結して前進しなければならない。そうしてこそ、われわれは国民が求める発展を実現することができる」と強調しました。
32カ国が参加
今回の首脳会議には中南米・カリブ海地域の33カ国中、32カ国が参加しています。中米ホンジュラスは招待されませんでした。同国では昨年のクー
デターで正統政権を軍が倒し、クーデター派の暫定政権下で大統領選挙が行われたため、民主主義体制が回復されていないとして、主催国メキシコが招待しませ
んでした。