名張市高齢者保健福祉計画(第8次改訂)・介護保険事業計画(第7次改訂)素案 についての パブリックコメント
濵本 捨雄 (NPO法人やわらぎの郷 常務理事)
2020年12月18日
名張市長 殿
今回の名張市高齢者保健福祉計画(第8次改訂)・介護保険事業計画(第7次改訂)素案(以後は素案と表記)を読ませていただきました。介護事業の幅広い側面にわたって丁寧に書かれていることに敬意を表します。
いくつかの点について、私たちの事業所を運営していく中で気づいた点と、是非改善して頂きたい点について以下に述べます。
1. p.68の介護人材の雇用促進の件
書かれていることには基本的に賛成ですが、最も促進のための重要な論点である処遇の件で
実態と併せて意見を述べます。
小規模多機能居宅介護施設を運営する上で、基本的な収入は国保連から支給される介護給付費です。これで職員の給与、施設の運営費をあれこれやりくりして経営してるわけです。
「小規模多機能の職員の平均給与は約20万円、養護老人ホームの職員の平均給与は約30万円」(全国小規模多機能連絡会の資料から)私たちの施設も例外ではありません。いつも利用者の皆さんの尊厳を大切にしようと懸命に働いていただいているスタッフのみなさんに申し訳ないと思っています。全国の経営者も決して、あくどく儲けているわけでなく、収入が限られているから、どうにもならないのが現実です。市に責任があるのでなく国の制度設計に問題があるからです。ちなみに名張市の職員の皆さんの平均年収は約600万円です。これが決して高すぎるとは思いませんが、せめてその水準の給与が介護職員に払えるような介護給付費が国の予算と、介護保険で支給して下さい。そうでないと介護職員の人材確保は長い目でみて極めて困難です。
2. p.75~76 在宅医療・介護連携
私たちの施設で実際に起きたことです。
知人の男性が奥さんの介護をされておられます。週に2日でも3日でも私たちの施設に通所していただいて、男性の時間的余裕と奥さんの交流範囲の拡大に寄与できればと提案しました。
ところが現在、デイケアに通所している関係で、小規模多機能型居宅介護施設には通所できないということで、あきらめざるを得ないこととなりました。
何故、デイケアと小規模多機能型居宅介護の併用ができないのでしょうか? いろんな行政担当者、介護関係の方に訊いても明確な返答は得られません。
一方で医療機関は急性期でない入院患者は退院を迫られます。今でも、多くの人たちが十分なリハビリをできず、尊厳を大切にして生き生きと生きられないことが起きています。
これから、資料にもあるように団塊の世代の皆さんが後期高齢者を迎え、「転んで、骨折した、起き上がっただけで骨折した」など沢山の皆さんが、医療、介護を必要とされます。「急性期でなくなったら退院して、自分でリハビリを」という病院と、十分受け止められない介護の連携を放置することは「安心、安全」とは言えない状況になるのではと心配しています。
小規模多機能型居宅介護の柔軟な在宅支援とデイケアを連携させることは国や市の出している方向と完全に一致しています。この件は国、県、と連携して早急に実現して下さい。またどうしても連携できない理由があれば教えて下さい。
3. p.81 地域支援事業における包括的支援事業
このことはたしかに大切です。 国は 要支援1、要支援2、要介護1の方々を、資格もなく、十分な研修も保障してない、善意のみなさんに、支援事業としてお任せしようとしています。
善意のみなさんの心意気は、大変貴重なことです。でも何かあった時に誰も責任のとれない事業を国、県、市など公の機関が行うのは無責任きわまりないことです。是非、必要なお金をかけて責任のとれる福祉事業にして下さい。要介護1のみなさんの件について名張市はどうされるのですか?
4. 今回のパブリックコメントの在り方について
私は、仕事柄、116ページにわたるこの論文をしっかり読みました。
しかし一般の市民の皆さんは非常にわかりにくいものと言わざるをえません。
次のような点で市の提案を改善して、市民の皆さんが解りやすいようにしていただきたいと思います。
イ. 今回の第8次、第7次素案で、「名張市の介護事業はこれまでに比べてどう変わるのか」という点をまず簡潔に述べてください。そのあとで、細部の説明をしていただくとわかりやすくなります。
ロ. 今回の資料は、私の家で自分のプリンターで印刷しましたが、せめて希望の人に資料を渡して下さい。
説明が必要でしたら 右記の携帯電話まで 090-3729-4050 浜本捨雄