大橋みつるの平和ト-ク・・世直しご一緒に!

世界の変化を見ながら世直し提言
朝鮮・韓国・中国・ロシアとの友好促進
日本語版新聞紹介

昨日の常任幹部会での議論をふまえ、激動の情勢のなかで、いまわが党がどういう政治的構えにたって活動するかについて、全党のみなさんに訴えます。

2024-08-22 | 日本共産党の機関決定文書

2024年8月22日(木)

全党への訴え

8月、9月の政治的構えと活動について

8月21日 小池晃書記局長

写真

(写真)訴える小池晃書記局長=21日、党本部

 

 おはようございます。猛暑と台風や地震災害のなかでの連日の奮闘に心から敬意を表します。

 今日は、昨日の常任幹部会での議論をふまえ、激動の情勢のなかで、いまわが党がどういう政治的構えにたって活動するかについて、全党のみなさんに訴えます。

国民の怒りとわが党の頑張りが自民党を追い詰めた

 8月14日、岸田首相が、自民党総裁選への出馬を断念することを表明しました。事実上の退陣表明です。これは、国民の怒りの広がりに追い詰められた結果にほかなりません。

 その岸田政権を追い詰める先頭にたってきたのはだれか。日本共産党の論戦と全党の大会決定の実践であり、「しんぶん赤旗」の徹底した追及だったということを、私は声を大にして言いたいと思います。

 今年1月の党大会では、自民党政治がいよいよ末期的状況に追い詰められていることを、「裏金問題」「経済無策」「戦争国家づくり」「人権後進国」という四つの柱で明らかにし、自民党政治を終わらせる国民的大運動を起こそう、総選挙での日本共産党躍進をかちとろうとよびかけました。それから半年あまり、この大会決定にもとづいて、署名活動や街頭宣伝、「集い」や演説会の成功、各界の方々との懇談、そして党勢拡大に全党が力をつくしてきました。裏金事件をスクープした「しんぶん赤旗」を、全国の支部、党員のみなさんが日々配達・集金し、読者を拡大し、その発行をなんとしても守り抜こうと大奮闘してきました。

 このみなさんの頑張りが、いよいよ岸田首相が退陣を表明せざるをえないところまで追い詰めてきたのです。

 8月3日の全国都道府県委員長会議では、8月、9月の活動の位置づけについて、「党の命運がかかっている」としました。そしてこれは、わが党が追い詰められているのではなく、党の政治的・理論的攻勢、党づくりの飛躍の条件をつくってきているなかで切り開いた「歴史的チャンス」だと強調しました。岸田首相の「政権投げ出し」はまさにそのことを示すものではないでしょうか。

 国民の怒り、わが党の頑張りが自民党政治をここまで追い詰めてきた。このことに深い確信をもって、8月後半の活動にのぞもうではありませんか。

広く国民のなかに打ってでながら、それと一体に党勢拡大の目標をやり抜こう

 全党のみなさん。昨日の常任幹部会で、現時点の判断としては、自民党総裁選後、早ければ10月にも解散・総選挙が行われる可能性が生まれている――このことを確認しました。

 いま自民党の総裁選報道が盛んにおこなわれていますが、岸田政権のもとでの裏金問題、経済無策、外交不在の大軍拡、改憲策動などは、どれもこれも最悪のものばかりであり、いずれも自民党ぐるみでやってきたことです。

 自民党内の政権のたらいまわしでは、なにも変えられません。

 そして、この情勢に対して、党がどういう政治姿勢で立ち向かうかが問われています。

 わが党が、自民党の総裁選や解散の「様子見」になったり、受け身で対応していたら、新しい政治への希望をひらく国民への責任を果たすことはできません。

 金権腐敗の問題でも、暮らしと経済の問題でも、外交・安全保障の問題、人権・ジェンダーの問題でも、自民党政治の転換への道筋と展望を示しているのは、日本共産党をおいて、ほかにありません。この党の姿を国民のなかに広く攻勢的に訴える活動に打って出ながら、それと一体に幹部会報告の方針――党勢拡大をやりあげていく。こういう攻勢的姿勢で奮闘することが何よりも重要です。

 田村智子委員長の党創立102周年記念講演では、2012年に自民党が政権に返り咲いてから12年、安倍・菅・岸田政権によって、自民党政治がどこまで行き詰まってきているのか、日本共産党は政治をどう変えようとしているのか、どの問題でも自民党政治の矛盾を告発し、太い転換の旗印を明らかにしました。

 志位和夫議長は、4月の学生オンラインゼミでの「Q&A共産主義と自由」の講演、6月の学習・教育部長会議での「自由な時間と未来社会論」の講義で、資本主義をのりこえ、「人間の自由」が花開く未来社会の壮大な魅力を太く明らかにしてきました。

 これらの大会決定にもとづく政治的・理論的な発展によって、わが党はいま国民に元気いっぱいに日本を変える希望を語ることができます。いまこそ日本共産党が国民のなかに広くうってでて、党の元気な姿を示し、それと一体に幹部会報告の方針――党勢拡大の“目標水準”への飛躍をやりぬこうではありませんか。

8月、9月の党づくりはいよいよ「重大な意義」をもつ

 全党のみなさん。この8月、9月、党づくりで党大会で決めた目標達成にふさわしい毎月毎月の目標――“目標水準”の突破をはかることは、いよいよ「党の命運がかかった重大な意義」をもつものとなっています。

 8月、9月は、「党づくりの後退から前進への歴史的転換を」と決めた党大会決定をやりぬくうえで、党建設に思い切って力を注げる、きわめて大事な、そして貴重な時期になります。10月以降は、総選挙、そして来年の都議選・参院選も迫ってくるもとで、活動のギアチェンジが求められてくる可能性もあります。その政治日程をふまえれば、いよいよ8月、9月の党づくりは、党大会決定の成否を左右する重要な時期になっています。

 総選挙の勝利にとっても、最大の保障となる党づくりで、8月、9月に“目標水準”の突破をはかり、党勢の上げ潮をつくれるかどうかは、選挙の勝敗に直結することになります。

 この時期にすべての支部が2中総の「手紙」を討議し、返事を出して党勢拡大にたちあがることは、来たるべき総選挙を全党が総決起してたたかううえでも、確かな土台をつくることになるでしょう。

 8月、9月のもつ「重大な意義」にいま一度、魂を入れ、8月後半、全党の底力を発揮して、なんとしても“目標水準”の運動をつくりだすために奮闘しようではありませんか。

幹部会報告の方針を貫き、“目標水準”を突破しよう

 それでは8月の到達点はどうでしょうか。12日までの節目標に照らせば、入党申し込みは22・7%、日刊紙の購読約束は45・6%、日曜版の購読約束は44・3%であり、“目標水準”の達成にはふさわしい到達とはなっていないのが現状です。

 同時に、お盆をはさみ、猛暑や地震、台風なども重なった条件のもとでも、幹部会・県委員長会議をうけて節目標を正面にした全党の奮闘によって、読者拡大では、前進をかちとった7月を上回る勢いをつくりだしています。これからの頑張りいかんでは“目標水準”まで手が届くような変化をつくってきたのです。

 党員拡大の到達は、7月の同時期の5割強ですが、入党懇談会や「集い」の取り組みが広がり、全国で145地区271カ所の「集い」が計画されています。職場・労働者を対象にした分野別の「集い」、真ん中世代や青年・学生対象の「集い」も組まれています。

 このように、8月後半、飛躍をつくりうる条件をつくってきていることをふまえ、全国都道府県委員長会議での幹部会報告の「六つの問題提起」と「討論のまとめ」にもとづく大会決定・2中総決定の実践を貫き、“目標水準”を突破することを心から訴えます。

 党員拡大では、この運動を文字通りすべての地区の運動にしていくために力をそそぎましょう。すべての地区が一つ残らず、8月、9月に必ず地区主催の入党懇談会・「集い」の計画をもちましょう。「集い」を跳躍台に、この間の試されずみの手だてをとりきって、入党の働きかけを広げぬきましょう。とりわけ、青年・学生、労働者、真ん中世代への働きかけを、全党的課題として追求しましょう。

 読者拡大では、大量の見本紙を活用し、総選挙も見越して支持者、後援会員、党員の結びつきをはじめ、広く購読を訴えていく、「支部が主役」の日曜版拡大を広げましょう。すべての日曜版読者を対象に日刊紙の見本紙を届けて訴える「日刊紙作戦」を、全県・全地区・全支部のとりくみにしていきましょう。

 党大会決定を8月、9月に全党員が読了することは、総選挙をみんなが党を語る選挙にしていくうえでも決定的な力になります。未読了党員一人ひとりへの援助を強め、一刻も早く読了5割を突破し、全党員読了をめざしましょう。『Q&A共産主義と自由』、『前衛』9月特大号を大規模に普及し、「学び語り合う大運動」にしていきましょう。

 総選挙独自の準備を着実にすすめましょう。党機関の責任で、最優先課題である候補者決定を急ぎ、候補者を先頭におおいに宣伝、対話、支持拡大、党勢拡大にうってでて、党躍進の風を吹かせましょう。

 カギは全党運動をつくりだせるかどうかです。党機関からすべての支部に連絡をとり、会議の開催と「手紙」の討議、返事の相談にのるとともに、返事をよく読んで、支部への援助に生かしましょう。党機関役員と地方議員が、自らの党勢拡大目標をもち、支部の党勢拡大の実践的援助を強めましょう。

 全党のみなさん。この8月、9月、おおいに国民の中にうってでて、自民党政治の転換を訴えながら、党づくりで必ず“目標水準”への飛躍をつくりだそうではありませんか。

 私も全力でがんばります。ご一緒にがんばりましょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長い単位で見るならば、必ず変化が起こる。わが党の戦前のたたかいが日本国憲法に実ったように、わが党がいま綱領で掲げている方向が現実のものになると確信しています。

2023-07-28 | 日本共産党の機関決定文書

2023年7月28日(金)

『日本共産党の百年』発表記者会見

志位委員長の一問一答から

 『日本共産党の百年』発表の記者会見(25日)での志位和夫委員長と記者団との一問一答から、党史にかかわるやりとりについて紹介します。


世代継承どうする?

前進を開始した民青同盟――「5カ年計画」をつくり 飛躍的前進に挑戦する

写真

(写真)記者会見する志位和夫委員長=25日、党本部

 記者 『百年』史をまとめられたということで、若い世代の継承にも力を入れるという表明をしています。世代継承のため、また、強く大きな党にするという目標に向かって、『百年』史を踏まえて、委員長としてどのように取り組んでいきますか。

 志位 いま党としては、来年1月の第29回党大会に向けて、前回大会比で1・3倍の党をつくろうという運動に取り組んでおりますが、その中で、とりわけ若い世代で党勢を倍加する、民青同盟と力を合わせて民青を倍加するという取り組みをやっております。

 さらに、より戦略的な視野にたって、青年・学生のなかでの党と民青の抜本的前進をはかるために、先日の8中総では、「特別決議」を採択しました。これからの5年間で「数万の民青」をつくり、「1万の青年・学生党員」をつくることを目標にすえ、すべての都道府県、地区委員会が「5カ年計画」を策定し、総力をあげた実践に踏み出すことを呼びかけました。この「特別決議」には熱い歓迎と決意の声が返ってきています。

写真

(写真)『日本共産党の百年』発表記者会見で質疑応答を行う志位和夫委員長=25日、党本部

 この分野では、この間、顕著な前進が始まっていまして、民青同盟のみなさんの奮闘によって、新しい民青同盟員を迎える運動が、年々広がってきています。若者の切実な要求にこたえ、結びつきを広げ、学習に取り組み、楽しい活動をつくりながら、仲間を増やしていく。たいへんに法則的な前進が始まっています。

 この根本には、若いみなさんのなかに起こっている変化があると思います。

 民青を増やす運動の様子を聞いてみても、民青同盟が日本共産党を相談相手にしていることが加盟のさいの安心となっている、つまり若者は共産党をいろいろな“色眼鏡”で見ていない。

 そして、「アメリカ言いなり」「財界のもうけ最優先」という日本の政治の二つのゆがみを変えようと訴えると、これがストレートに受け止められ、希望として伝わる。

 それから、資本主義を乗り越えて、先の社会――社会主義に進もうということも、気候危機の問題、ジェンダーの問題、さまざまな問題との関係で、すっと受け止められてくるという状況が広がっています。

 そういう前進が始まっていますので、ぜひ「5カ年計画」をやりぬいて、「数万の民青」、「1万の青年・学生党員」をつくっていくというところに力をいれたいと思います。

『百年』史への思いは?

党の歴史にこそ真実の党の姿が表れる――それを広く伝えたい

 記者 『百年』史を取りまとめた委員長の率直な感想、どのような思いで、この発表に至ったのですか。

 志位 党の歴史というのは、何年ということで、特別の区切りがあるわけではありません。政治の生きた攻防のサイクルと、党史のうえでの何年という区切りは、そううまく一致するものではありません。

 きょう、お話ししたように、『百年』史の第5章では、2000年代から今日におよぶ攻防の生きた歴史――「政治対決の弁証法」を描いていますが、この攻防は、『百年』史で述べたとおり、「現在進行形」であり決着はついていません。ただその決着がつくまで新たな党史を出さないというわけにはいきません。

 100年余の歴史を持っている党は、日本では日本共産党だけです。そして、この100年をずっと支えてきてくれたたくさんの先輩たちがいます。この党とともに頑張ってこられた素晴らしい先輩たちを、私もたくさん知っております。100年の節目に党指導部を担っている者として、そうした先輩たちの開拓と苦闘をまとめ、未来に伝えていく責任があると考えました。

 同時に、いま若い世代に党への注目と期待が広がる状況があります。そういう若い方々、新しく党に関心を寄せてくださっている方々に、党の本当の姿を伝えるには、歴史がとても大事だと思います。どういう歴史をその党が歩んできたのか。ここにこそその党の真実の姿が表れます。それを伝えることによって、次の100年に向けて新しい前進を切り開いていきたい。

 こうした意味で、歴史への貢献、自己改革を貫いてきた100年を歴史にまとめることは、非常に大きな意義を持つと考え、大仕事ですが、力を合わせて作業をすすめ、きょうの発表に至りました。ちょっとホッとしているところです。

女性たちの不屈の青春

戦前論のなかで叙述をあつくするよう補強した

 記者 「日本共産党に参加した女性たちの不屈の青春」の節についてうかがいます。4人の(女性)党員は有名です。全員24歳で亡くなっています。これまでの党史にも記載があったのですか。『百年』史の中でここが一番(印象的)で、2度読んだのはここです。

 志位 『八十年』史でも24歳で亡くなった女性の同志たちのたたかいについて述べています。ただ、今回は、かなり踏み込んでそれぞれの同志について叙述しました。

 たとえば、それぞれの同志が、どういう思いでこの厳しい時代をたたかい抜いたのか、その生きた声が伝わるように叙述を補強しました。また、この4人の同志は、党(共産青年同盟)の中央に属し、責任ある部署につきながら、たたかいぬいた。そういうことも明確に述べるようにいたしました。

 さらに、この時代にわが党に参加した女性たちのたたかいに対して、戦前から始まり、戦後も繰り返されてきたことですが、そのたたかいをおとしめるいろいろな攻撃がやられてきました。「日本共産党は女性を踏み台にして恥じない党」といった攻撃であります。それに対してはきっぱりと事実を示して反論を行うということもいたしました。

 日本共産党は、2020年の第28回党大会で行った綱領一部改定で、「ジェンダー平等社会をつくる」ことを綱領に書き込みました。そういう党として、戦前の女性の分野のたたかいをさらに重視して光をあて、そこには誇るべきものがあった、もちろんこの時代の歴史的制約もあると思いますが、全体として、きわめて先駆的なたたかいをやった先輩たちがいた。また、そうしたたたかいをやった党があった。それは私たちの誇りですので、力をいれて叙述しました。

 戦前論のなかで叙述をあつくするよう補強した部分となりました。

沖縄の位置づけは?

沖縄人民党の歴史を日本共産党の歴史と不可分のものとして叙述

 記者 沖縄は、瀬長亀次郎さんなど共産党の活動でも、反戦平和の文脈で重要だと思いますが、党史にどう位置づけられているのですか。

 志位 『百年』史の節々で、沖縄県民のたたかいについて、非常に重視して叙述しています。

 その歴史的意義をまとめて叙述したのは、30ページ「沖縄人民党の日本共産党への合流」という節であります。これは『八十年』史にはなかった節で、『百年』史で新しく叙述したものです。

 ここでは1947年に創立された沖縄人民党が、どのような先駆的たたかいを行い、73年に日本共産党に合流していったのかについて、端的ですが歴史的叙述があります。

 沖縄人民党のたたかいについて、「県民が島ぐるみで団結するならば、アメリカの植民地的な支配の現状を必ず変えられるという強い信念と、たたかいの前途を科学の力で見通してゆく先駆性がありました」と述べたうえで、沖縄人民党が果たした先駆的役割を3点にわたって強調しています。

 第一に、「祖国復帰」というスローガンは沖縄人民党が言いはじめたものです。ほかの党がなかなか言えなかった時代に人民党が堂々と主張し、「カメさん(瀬長亀次郎)の背中に乗って祖国の岸へ渡ろう」というキャッチフレーズとともに、全県民の要求になっていきました。

 第二に、人民党は、沖縄を日本から分離することを取り決めた1952年のサンフランシスコ平和条約の第3条の撤廃を要求し、この要求も統一戦線組織の合意になっていきました。

 第三に、人民党は、日米安保条約をめぐっても廃棄を掲げ、学習運動に取り組み、やがてこの要求も統一戦線組織の闘争目標にすえられました。

 こういう沖縄人民党の先駆的歴史が書かれています。そういう流れの中で、人民党と日本共産党との合流が達成されました。

 沖縄人民党の歴史を日本共産党の歴史と不可分のものとして叙述しているということをぜひ注目していただければと思います。

攻防の決着は?

攻防はずっと続く――党を強く大きくし、国民との共同を広げ次の決着を

 記者 次の100年に向けて、党を継承して発展させていくということが書かれています。反共勢力との攻防のプロセスの渦中にあるということですが、次の100年に向けてこのプロセスをどうやって決着させようと考えていますか。

 志位 この攻防のプロセスは、今後も続くと思います。

 現在の日本の政党のなかで、国民多数の合意で日米安保条約をなくして、本当の独立国といえる日本をつくり、対等・平等・友好の日米関係を築こうという主張をしているのは日本共産党しかありません。財界・大企業中心の政治に根本からメスを入れようと言っている政党も日本共産党です。

 さらに資本主義という体制を乗り越えて、社会主義・共産主義にすすむ大展望を示している唯一の党が日本共産党です。

 日本共産党は、矛盾に満ちた現状に決して甘んじないで、「もとから変えよう」と言っている党です。この志を変えることはありません。そうである以上、古い政治にしがみつく勢力からすれば、やはり脅威ですから、この攻防はずっと続くと思います。

 どう決着をつけるかということでは、日本共産党が力をつけていく。国民としっかり結びついた、強く大きな党をつくっていく。その力で国政でも地方政治でも躍進をかちとっていく。情勢にそくして国民との共同――統一戦線を発展させ、政治を変える多数派をつくっていく、ということによって、次の決着がつけられるんだろうと思っています。

次の100年は?

この100年で日本も世界も変わった――長いスパンで将来を展望して頑張っていく

 記者 次の100年に向けて、委員長の口からお考えを述べていただきたい。

 志位 100年前と今との違いを考えてみていただきたいと思います。

 100年前は、日本は天皇絶対の専制国家でした。国民の基本的人権は事実上ありません。国民は絶えず弾圧と迫害の対象にされていました。「戦争反対」と言っただけで、つかまり監獄に入れられる時代です。この時代に生きていた人たちからすれば、当時は、天皇中心の国家体制が変わるとは、夢にも思わなかったかもしれません。しかし、変わるときには変わったんです。日本軍国主義の敗北によって、天皇絶対の専制国家から、国民主権の民主主義の国に変わった。100年という単位で見ると、日本は大きな変化を遂げているのです。

 世界もそうです。『百年』史でも論じていますが、この1世紀の世界の大きな流れというのは、かつて地球を覆っていた植民地体制が崩壊して、世界の多くの国が、自主的・自立的な国として国際政治の主人公となる新しい時代が生まれています。その力が核兵器禁止条約にも表れました。

 さらに、世界史的な視野で見ると、自由と民主主義の流れ、人権擁護の流れの圧倒的な広がりがあります。

 平和の問題でも、戦争の違法化、そして核兵器の違法化、そういう平和のルールがつくられてきました。

 100年という単位で見ると、世界にも巨大な変化が起こっています。

 ですから100年後のことを予想するわけにはいかないですが、長い単位で見るならば、必ず変化が起こる。わが党の戦前のたたかいが日本国憲法に実ったように、わが党がいま綱領で掲げている方向が現実のものになると確信しています。

 ただ、それは自然には起こりません。たたかいがあってこそ現実のものになる。社会進歩を自覚的に進める政党の役割は大きいということを肝に銘じて頑張る必要があります。

 そういう長いスパンで将来を展望して頑張っていくということも、大事だろうと思っています。

旧「優生保護法」

過去にさかのぼって、党の誤りを明確にした

 志位 1点だけ、この機会にご報告しておきたいことがあります。私は冒頭に、『百年』史について、過去の欠陥や歴史的制約についてメスを入れているということを強調しました。そうした自己分析の記述は、『百年』史の全体にわたっているわけですが、この間、国政で非常に重大な問題となっていることについても、新しい記述があります。18ページ、旧「優性保護法」に対する態度の問題です。

 この法律は、1948年から96年にわたって存在したもので、強制不妊手術など憲法上の権利を違法に侵害する許しがたい立法でありました。これに日本共産党がどうかかわったか、今回検証の作業を突っ込んで行いました。

 実を言いますと、48年の立法当初について、当時の国会議事録をだいぶ精査したんですが、党議員団の態度が明瞭には判定がつかないのです。ただ、その後、1952年に旧「優生保護法」が改定されて、「優生手術」の範囲が拡大された。精神疾患をお持ちの方にも拡大された。重大な改悪です。その時、党議員団は賛成し、全会一致で成立させたという重大な誤りが明瞭になりました。この誤りについて、『百年』史には明記しております。

 これまでこの問題に対して、党は、2018年に、誤りを是正することへの「不作為の責任」があったということを表明していますが、『百年』史では、党の責任は「不作為」にとどまらず、旧「優性保護法」改定に賛成したという重大な誤りがあったことを明記しています。

 こうした国政上の非常に重要な問題について、過去にさかのぼって誤りを明らかにし、反省を明確にしたことも報告しておきたいと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「党創立100年の地点で、日本共産党が達成した政治的・理論的・組織的到達点を踏まえて、100年の党史の全体を振り返り、叙述するものとなっています」と紹介しました。

2023-07-26 | 日本共産党の機関決定文書

2023年7月26日(水)

『日本共産党の百年』を発表

歴史への貢献と自己改革貫く

志位委員長が会見

 日本共産党の志位和夫委員長は25日、党本部で、党史『日本共産党の百年』の発表記者会見を行いました。党史編纂(へんさん)の経緯や『百年』史の中身と力点を丁寧に語り、「『百年』史が、日本共産党の真実の姿を多くの方々に知っていただくうえで、また、日本と世界の進歩的未来を開くうえで、広く読まれることを願ってやみません」と述べました。100年党史編纂委員会の田中悠常任幹部会委員・書記局次長、山口富男幹部会委員・社会科学研究所副所長が同席しました。(志位委員長の発言)


写真

(写真)記者会見で『日本共産党の百年』を発表する志位和夫委員長=25日、党本部

 党史の発表は2003年に『日本共産党の八十年』を発表して以来20年ぶりです。志位氏は、『百年』史は『八十年』史の叙述が土台になっているが、『八十年』史に最近の20年の歴史をただ付け加えたというものではないと説明し、「党創立100年の地点で、日本共産党が達成した政治的・理論的・組織的到達点を踏まえて、100年の党史の全体を振り返り、叙述するものとなっています」と紹介しました。

 まず志位氏は、『百年』史の主要な特徴を説明。『百年』史では、日本共産党がこの1世紀に日本と世界の発展にとってどういう役割を果たしたかを克明に明らかにしているとして、「日本共産党の100年は、大局において平和、民主主義、人権、暮らしなど、さまざまな面で国民の苦難を軽減し、日本の社会進歩に貢献し、世界史の本流に立ってそれを促進した歴史ということが言えると確信しており、『百年』史においてもそうした確信を随所で表明しています」と強調しました。

 同時に、『百年』史では、日本共産党の過去の欠陥と歴史的制約について、何ものも恐れることのない科学的精神にもとづいて国民の前に明らかにしていると強調。「わが党に対する『無謬(むびゅう)主義の党』―誤りを一切認めない党などという非難がいかに事実に反するものであるかは、『百年』史をお読みいただければお分かりいただけると思います」と語りました。

 次に志位氏は、『百年』史の構成と叙述で心がけたことを説明しました。「全体を通じて最も心がけたことは、日本共産党が、古い政治にしがみつこうという勢力から、つねにさまざまな非難や攻撃にさらされ、それを打ち破りながら自らの成長をはかっていく、生きた攻防のプロセスとしての歴史を明らかにすることでした」と強調し、「階級闘争の弁証法」=「政治対決の弁証法」という観点から開拓と苦闘の100年を浮き彫りにするような構成と叙述になるよう努めたと述べました。

 志位氏は、『百年』史は5章だてになっており、(1)戦前のたたかい(第1章)(2)戦後の十数年(第2章)(3)1961年に綱領路線を確立して以降の60年余―の三つの時期に区切って叙述し、第三の時期は20年ごとの区切りで、第3~5章の三つの章をあてていると紹介。節目、節目で「政治対決の弁証法」という基本的な観点に基づく総括的な叙述を行う工夫をしたと述べました。

 最後に志位氏は、『百年』史を概括し、未来に向けて三つの強調点を語りました。

 第一は、日本共産党の歴史は常に古い政治にしがみつく勢力による攻撃とのたたかいの歴史であり、逆流とのたたかいのなかで、自らを鍛え、自らの成長をはかり、新しい政治をつくりだしていく歴史であるということです。志位氏は、100年の全体を通じて続けられてきた攻撃は日本共産党が革命政党であることの証しだとして、「わが党にとってそれは名誉であり、逆流を打ち破るたたかいのなかでこそ新しい政治への道は開かれるという確信を持って未来にのぞみたい」と述べました。

 第二は、61年綱領確定後の60年余の期間に、自民党政治は行き詰まりをいよいよ深刻にしているということです。志位氏は、1980年代以来の新自由主義政策の下での経済社会の閉塞(へいそく)や、日米同盟強化による憲法9条を壊す暴走、人々の人権・尊厳が粗末にされるなどの行き詰まりが深刻であり、「いま日本は新しい日本への変革を強く求めています」と強調しました。

 第三は、新しい日本への変革のためには新しい日本をつくる国民多数の合意が必要であり、そうした国民多数の合意をつくるためには、社会進歩を先頭に立って進める強く大きな日本共産党がどうしても必要であるということです。志位氏は、『百年』史の「むすび」の部分を引きながら、強く大きな党をつくる事業への決意を表明しました。

 記者から、戦前の女性たちのたたかいについての叙述が印象的だがその意義はと問われて、「さまざまな時代的制約があったとはいえ、日本共産党は、女性差別に反対し、女性の人権と尊厳を大切にする点では、当時の政党のなかで抜きんでた立場にありました。命がけで先駆的なたたかいをやった若い女性の先輩たちは私たちの誇りです。戦前論のなかで、かなり力を入れ、叙述を厚くした部分です」と説明しました。

 また、志位氏は沖縄でのたたかいの記述について記者から問われ、「非常に重視している」と強調。「沖縄人民党の先駆的なたたかいの歴史をわが党の歴史の不可分の一部として叙述しています。もちろん日本共産党との合流後も半世紀にわたる沖縄との連帯の歴史を節々に書いています」と語りました。

 最後に志位氏は、『百年』史が、「過去の欠陥と歴史的制約についてメスを入れている」ことに関して、旧「優生保護法」に対する党の態度の問題について語りました。1948年から96年にわたり、強制不妊手術など憲法上の権利を違法に侵害してきた同法が52年に改定された時に「党は賛成し、全会一致で成立させるという重大な誤りがあったことを明瞭にしました」として、「これまで党は、2018年、誤りを是正することへの『不作為』の責任があったことを表明してきましたが、『百年』史では、この問題での党の責任は『不作為』の責任にとどまらず、旧『優生保護法』改定に賛成したという誤りがあったと明記しました」と述べました。

『日本共産党の百年』 〈目次〉

第一章 日本共産党の創立と戦前の不屈の活動(1922~45年)

 (1)党創立と初期の活動(1922~27年)

 (2)“ここに日本共産党あり”の旗を掲げて(1927~35年)

 (3)次の時代を準備する不屈のたたかい(1935~45年)

 (4)国民的な苦難の経験と党の不屈のたたかいの意義

第二章 戦後の十数年と日本共産党(1945~61年)

 (1)敗戦後の政治体制の変化と党の発展(1945~49年)

 (2)スターリンの干渉と「五〇年問題」(1950~55年)

 (3)六一年綱領の決定と自主独立の立場の確立

    ――「五〇年問題」の教訓(1955~61年)

第三章 綱領路線の確立以後(一)――1960~70年代

 (1)綱領路線にもとづく各分野での開拓的な努力

 (2)ソ連、中国・毛沢東派の干渉とのたたかい

 (3)日本共産党の「第一の躍進

    ――1960年代末~70年代

第四章 綱領路線の確立以後(二)――1980~90年代

 (1)「オール与党」体制とのたたかい――1980年代

 (2)覇権主義とのたたかいとソ連・東欧の支配体制の解体

 (3)90年代の政治状況と日本共産党の「第二の躍進」

 (4)世界の平和秩序をきずく課題と野党外交のはじまり

第五章 綱領路線の確立以後(三)――2000年代~今日

 (1)「二大政党づくり」とのたたかい――2000年代

 (2)「第三の躍進」とかつてない統一戦線の発展

    ――2010年代

 (3)世界と日本の激動のなかで――2020年代

 (4)むすび――党創立百周年を迎えて

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

党内にある“情勢負け”ともいえる状況を払しょくする力を8中総がもっていることを確信にして、全支部、全党員のものにしていこうと呼びかけました。

2023-07-11 | 日本共産党の機関決定文書

2023年7月11日(火)

7月、「二つの大仕事」やりきろう――
24日までに前進のメドつけ、7月目標達成を

共産党、幹部会ひらき確認

写真

(写真)志位和夫委員長のあいさつを聞く幹部会参加者=10日、党本部

 日本共産党は10日、第8回中央委員会総会の全支部・全党員徹底と党勢拡大で前進へ転じるという「二つの大仕事」を必ずやりきるために、オンライン併用で幹部会を開きました。会議では、次回幹部会の24日までに、幹部会委員の都道府県委員長が先頭にたって、すべての都道府県委員会・地区委員会で党勢拡大で今月前進するところまでもっていくことを呼びかけることを幹部会として確認しました。

 会議では、志位和夫委員長があいさつし、「第29回党大会成功、総選挙躍進をめざす党勢拡大・世代的継承の大運動」について「文字通り、党の命運のかかったとりくみです。これをやりきるため、現場で奮闘している都道府県委員長を含めた幹部会が推進力となることが必要だと思い、7月隔週で2回開くことにしました」と幹部会開催の趣旨をのべました。編さんが完了した「日本共産党の百年」について中心点を報告しました。

 「大運動」本部長代理の山下芳生副委員長が問題提起し、3日の常任幹部会と推進本部の「訴え」にもとづいて、7月の二つの大仕事―(1)7月中に8中総の全支部、全党員への徹底をやりぬき、具体化に踏み出す(2)党勢を後退から大きな前進へと転じる月にし、とくに党員拡大から党勢拡大大運動を起こしていく―を必ずやりぬけるよう、幹部会が先頭になって奮闘するために開催したと説明。この「二つの大仕事」をどうやりぬくかについて報告しました。

 志位委員長が中間発言をし、それも受けて活発な討論が行われました。

 討論のまとめに立った志位委員長は、第一の大仕事である8中総の徹底した議論と徹底については、確かな前進の流れが起こっていることが確認されたと指摘。党内にある“情勢負け”ともいえる状況を払しょくする力を8中総がもっていることを確信にして、全支部、全党員のものにしていこうと呼びかけました。

 第二の大仕事である7月に必ず党勢拡大で前進に転じるという点では、まだとりくみが始まっているとは言えない状況だと指摘。「どうする7月・党勢拡大」を正面からすえたとりくみが大事だとして、中間発言でのべた4点―(1)7月の前進を正面にすえた議論をやること、(2)指導的同志が支部に入って、支部と一緒に党勢拡大を起こしていくこと、(3)「手紙」と「返事」の運動を徹底的に力にして「双方向・循環型」のとりくみを一貫して発展させること、(4)党員拡大をやっていくために「ミニ集い」を徹底的にやっていくこと―が大事だと強調し、「この4点を緊急の会議をもってでも、意思統一し、実践する必要があります」と提起しました。

 志位氏は、埼玉県委員長が発言したように「7月をどうやって増勢にするかを正面にすえてこそ8中総の真髄がわかる」とのべ、福岡西部地区委員会のように、7月にどうやって前進していくかを政治的にも議論し、思想的にも深めて意思統一することを力説しました。

 志位氏は、最後に、2週間後の24日までにすべての都道府県委員会・地区委員会が今月の党員拡大・読者拡大で前進をかちとるめどをつけ、7月目標達成を必ずはかることを幹部会の決定として全党に呼びかけることを提案し、参加者全員は拍手でこれを確認しました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

総会では60人が討論し、幹部会報告と特別決議案の内容を深め、具体化・実践に奮闘する決意を表明した。

2023-06-28 | 日本共産党の機関決定文書

第8回中央委員会総会について

2023年6月25日 中央委員会書記局

 一、日本共産党第8回中央委員会総会は6月24、25の両日、党本部で開催され、中央委員181人、准中央委員27人が出席した。

 一、志位和夫幹部会委員長が幹部会報告を行った。報告は、統一地方選挙の結果と教訓として、「政治対決の弁証法」の立場で到達点をつかむ大局的な政治情勢論とともに、党の自力の問題、今後に生かすべき選挙活動の新しい発展、中央の選挙指導上の反省点を明らかにした。

 総選挙躍進にむけては、通常国会のたたかいをふまえ、国民の世論と運動を発展させて岸田政権を解散・総選挙に追い込むとともに、総選挙の歴史的意義と目標、総選挙をたたかう政治姿勢((1)切実な願いと結びつけて、二つのゆがみを「もとから変える」綱領的値打ちを押し出す、(2)積極的支持者を増やす政治的大攻勢――綱領と組織のあり方に対する攻撃をうちやぶる)を提起し、比例代表での党の躍進を最優先におき、それに徹するたたかいをやりぬくことを強調した。

 また幹部会報告は、「第29回党大会成功、総選挙躍進をめざす党勢拡大・世代的継承の大運動」をよびかけ、毎月前進をはかる党勢拡大の独自追求と法則的活動の一体的追求をはじめとする「四つの力点」、第7回中央委員会総会の「手紙」の「返事」に学んだ法則的活動の開拓、党機関の成長・強化、ジェンダー平等とハラスメント根絶の課題、「数万の民青」と1万人の青年・学生党員を実現させるための「特別決議」の提案を行い、党勢拡大の飛躍的なうねりを起こして「大運動」の目標を総達成することを訴えた。

 一、総会では60人が討論し、幹部会報告と特別決議案の内容を深め、具体化・実践に奮闘する決意を表明した。

 一、志位和夫委員長が、幹部会を代表して討論の結語を行った。

 一、総会は、幹部会報告と結語、7中総の「手紙」の改定案、「特別決議」案を全員一致で採択した。

 一、総会は、「大運動」の成功に全力をあげることを誓い合って閉会した。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「党創立100周年記念、統一地方選挙勝利・党勢拡大特別期間」にとりくんでいます。その最中だけに、本書が全党で学習され、党づくりの法則的な発展方向が、著者の志と一つになって多くの党員に届けられる・・

2022-10-26 | 日本共産党の機関決定文書

2022年10月26日(水)

市田忠義著

『日本共産党の 規約と党建設 教室』発刊によせて

書記局次長 田中悠

写真

(写真)『日本共産党の 規約と党建設 教室』市田忠義著 新日本出版社 1500円

 日本共産党創立100周年の記念の年に、党建設の分野においてもその到達点が一冊の本にまとめられました。市田忠義副委員長が、2022年4月の中央党学校で行った「規約と党建設」の講義をもとに、志位和夫委員長の党創立100周年記念講演や直近の中央委員会総会決定もふまえて加筆し、仕上げられた『日本共産党の 規約と党建設 教室』です。

 中央委員会で党建設の任にあたっている一人として、本書の醍醐味(だいごみ)を紹介し、推薦のメッセージとしたいと思います。

日本共産党の真価がここに――100年史をきりひらいてきた党建設の理論と実践

 本書を通読してまずかみしめたのは、社会変革の事業をすすめる日本共産党の真価は、党綱領や政治路線とともに、党規約と党建設論においても示されているということです。

 日本共産党がどんな党なのか。市田副委員長ならではの語り口によって、はじめて学ぶ人にも、わかりやすく解説されています。

 党規約に明記されている党の組織原則――「民主集中制」の五つの柱については、さまざまな楽器で一つのハーモニーを奏でるオーケストラの例えも登場。「党員は、民主的な議論があるから、自らの理解と納得にもとづいて決めたことを自覚的に実行できます」と党内民主主義の大切さを述べるとともに、「真理は実践で検証するという見地にたっています」と、最終的には多数決で決め、決めた方針をみんなで実行する意義を力説します。「50年問題」の痛苦の教訓、61年の綱領確定の経験、ソ連・中国の干渉とのたたかいなど、「民主集中制」が外国からの“輸入品”ではなく、日本共産党自身の体験からつくられ血肉としていった経過も詳しく述べられ、この組織原則なしに現在の党は存在しえなかったことが深く理解できるでしょう。

 党が支部を「基礎組織」としていることについては、「その職場・地域・学園の事情にもっとも精通しているのは支部である」との提起も。国民の苦難軽減の活動にとりくみ、綱領実現の多数派をきずく草の根の支部の存在と役割に、誇りと確信を湧かせます。

支配勢力との激しい攻防のなかで

 記念講演が明らかにした「61年綱領」確定以来の支配勢力との攻防――「政治対決の弁証法」のなかで、いかに党づくりの不屈の努力が行われたか、臨場感をもってつかめるのも本書の特徴です。

 63年に入党した市田副委員長が、京都・伏見地区委員長、京都府委員長、書記局長を歴任しながら、どういう気概をもって党づくりにのぞんだか。70年代後半の激しい反共攻撃、80年「社公合意」による政界からの排除、90年代のソ連崩壊による逆風、2000年代の「二大政党づくり」など、支配勢力の反共戦略のなかでも、「必ず真理は多数派に」と頑張りぬいてきた体験からは、たえず学習につとめ、困難にたちむかう姿勢をもち続ける大事さを教えられます。

 党指導部の在任期間をとりあげた攻撃へ、党の幹部政策の基本を明らかにして反論するなど、今日の反共攻撃に対しても党建設論からの明快な回答が行われています。

 党大会第二決議では、「党綱領と科学的社会主義という政治的・思想的土台をもち、党規約という団結の確かな絆で結ばれていることは、私たちの最大の生命力」と、今日の党がもつ主体的力を明らかにしていますが、本書はそのことを党史と重ねて旗幟(きし)鮮明に示す一冊となっているのです。

党建設の「科学」をつかむ――困難にも可能性にも正面からむきあって

 続いて魅力としてあげたいのは、本書が、党建設は「科学」だということを全身全霊で私たちに訴えかけている点です。その力は、まず党をとりまく客観的情勢と党の現状分析において発揮されます。

 本書第1章では、第28回党大会で改定された綱領の立場から日本における多数者革命の条件を分析。日本の階級構成とともに、職場や学校教育における「弱肉強食」「自己責任」の新自由主義のイデオロギー、世界でも突出したマスメディアの発達によって、労働者・国民の団結をはばむ「特別の困難性」があることを指摘し、それを打ち破る強大な党の建設と統一戦線の発展が求められていると強調します。

 同時に、綱領路線の発展や自民党政治のゆきづまり、国政・地方政治における党の影響力の拡大、国際政治の「主役交代」など、記念講演で解明された党の歴史的発展段階と客観的条件、党大会第二決議にもとづいて、党建設の現状には危機とともに大きな可能性があることを論じていきます。昨年の総選挙で、50代までの有権者で約175万人がわが党に投票していたとする出口調査の分析には、ハッとさせられる人も少なくないと思います。

 こうした困難も可能性もリアルにとらえた科学的展望は、“「目標と期限」を掲げて目的意識的・計画的に党建設をすすめた1960年代の初心にたって党をつくろう”という記念講演のよびかけとあわせて、党建設への地に足のついた決意を広げるに違いありません。

党建設の基本方針が深い理解に

 第3章では、党づくりの法則的活動と基本方針が、だれかの頭の中でつくったものではなく、全党の歴史的努力と実践のなかでつくりだされたものであることを、過去の決定にも一つ一つ立ち返りながらつかむことができます。

 「政策と計画」をもった「支部が主役」の活動を「党建設の大道」と位置づけた第24回党大会決定、党員拡大を事実上後景においやる傾向を是正し「党建設の根幹」とした第22回党大会決定、第7回党大会3中総以来の「党生活確立の3原則」など、第二決議で端的に書かれている基本方針の生命力が、著者の解説と豊富な資料で展開されます。

 本書を活用すれば、単に命題を覚えるような学習ではなく、党づくりの現場でぶつかる課題ともきり結んだ、深い理解にたどりつく学習となるでしょう。

世代的継承の探求・開拓の道標――党大会第二決議の「根本精神」に迫る

 党の世代的継承という緊急で切実な課題にどうとりくむか。「若い人との接点がない」「党に迎えても育てられない」という悩みをどう打開していけばいいのか。世代的継承の道標――党大会第二決議・第4章にもとづく党づくりの改革・発展の方向を包括的にまとめた初めての著作としても、本書は特別の値打ちをもっています。

 6中総決定が、第二決議の「根本精神」ともいうべき方針が十分に使いこなされていないことを指摘し、この決定を全党員が読み、実践しようと訴えただけに、この時期に本書が発刊された意義は大変大きいものがあります。

 とくに圧巻だったのは“党員拡大論”です。「“入りそうな人だけ”“一度話して終わり”でなく、綱領をともに学び、党員としての生き方、思いを語り合う一回一回の働きかけを大切に」と、入党を働きかける姿勢が掘り下げられています。「『集い』を開くと、党機関が『何人集まったか、何人決意したか』と数しか聞かないとか、…内容も聞かずに話を終えてしまうのではだめだ」と、党員拡大の系統的努力の過程に光をあてる重要性も、心に染みるものでした。

 「楽しく元気の出る支部会議」の発展方向は、現場での豊かな経験で裏付けられながら紹介され、支部活動ですぐに生かせる内容ばかりです。「若い人は新聞を読まない」という議論に対して、丁寧に「しんぶん赤旗」中心の党活動の今日的意義と課題を語っていることも見逃せません。

党機関で格闘する同志へのリスペクトと激励が

 党機関の活動の刷新・強化の部分も、日々格闘している同志へのリスペクトと激励に満ちています。

 “革命運動の複雑さに対応できる高い理論的・政治的な力をつけ、自分の頭で考えよう”“同じ方針で活動していても県・地区間で指導水準の差が結果にあらわれる”“同時に、多様なメンバーがそれぞれの特徴を生かして力を発揮する「チーム」になること”“悩みも率直に出し合い、高めあえる集団をめざそう”――「厳しさ」の中にも「あたたかさ」がにじむ言葉は、党機関の一員として、また一人の党員としても、自分の生き方を問いかけられるものでした。

 支部への指導・援助をどうすすめるか。「正しい指導とは、命令ではなくして道理に立ち、実情にあったもので、すべての党員を納得させうるものでなくてはなりません」と強調した第11回党大会の報告、すぐれた政治指導にはまず党機関自身がよく方針を集団討議することだという提起は、これから壁にぶつかるたびに何度も立ち返ることになりそうです。

党建設で新たな前進の時代をひらく力に

 私たちは今、「党創立100周年記念、統一地方選挙勝利・党勢拡大特別期間」にとりくんでいます。その最中だけに、本書が全党で学習され、党づくりの法則的な発展方向が、著者の志と一つになって多くの党員に届けられることを強く願ってやみません。

 「叩(たた)けよ さらば開かれん」。本書の帯に記された激励にこたえ、党創立100周年が、党建設で後退から前進に転じる歴史的転換点となったと言える年になるよう、ともに力をつくそうではありませんか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平和を壊す逆流から日本を救う確かな力……ロシアのウクライナ侵略という危機に乗じて、「力対力」で戦争への危険な道をすすむのか、「外交による平和」をつくりだすために力をつくすのか、日本は重大な岐路に

2022-06-09 | 日本共産党の機関決定文書

参議院選挙政策 

平和でも、暮らしでも、希望がもてる日本に

2022年6月8日 日本共産党

 日本共産党の志位和夫委員長が8日に発表した参院選政策「平和でも、暮らしでも、希望がもてる日本に」は次の通りです。


 今度の参議院選挙は、平和と憲法にとっても、暮らしと経済にとっても、日本の進路が問われるとても大切な選挙です。日本共産党の躍進は、平和でも、暮らしでも、希望がもてる日本をつくる最大の力となります。

 平和を壊す逆流から日本を救う確かな力……ロシアのウクライナ侵略という危機に乗じて、「力対力」で戦争への危険な道をすすむのか、「外交による平和」をつくりだすために力をつくすのか、日本は重大な岐路に立っています。

 岸田自公政権は、これまでの政権が大原則としてきた「専守防衛」を放棄して、「敵基地攻撃能力(反撃能力)」を保有し、軍事費を「GDP比2%以上」――5兆円以上も増やす大軍拡をすすめようとしています。9条改憲は、この危険な道を何の制約もなくつきすすむためのものです。維新の会も、「専守防衛」を投げ捨てよと叫び、9条改憲案を提示し、「核共有」を岸田政権にけしかけています。「力対力」で構えたら、際限のない軍拡競争の悪循環に陥り、戦争への危険を増大させてしまいます。

 「力対力」の震源地は、アメリカにあります。軍事費の「GDP比2%以上」も、「敵基地攻撃能力(反撃能力)」保有も、アメリカの要求に応え、それに追従したものです。「日米同盟の抑止力の強化」を叫ぶ流れに、多くの政党がのみ込まれているもとで、国民多数の合意で日米安保条約を解消し、軍事同盟のない世界をめざす日本共産党の躍進は、この逆流に正面から対決し、日本を救う最も確かな力になります。9条改憲を許さず、9条をいかした平和の外交をすすめるために、日本共産党を躍進させてください。

 「やさしく強い経済」をつくる最大の力……物価高騰に無為無策の政治でいいのかが問われています。岸田自公政権は、「異次元の金融緩和」で「異常円安」をもたらした「アベノミクス」を反省するどころか、その「堅持」を公然と宣言しました。賃金は上がらず、年金は貧しく、教育費は高い、消費税の連続増税、そして経済成長が止まった国にしてしまった弱肉強食の新自由主義を見直すこともできません。維新の会は、自己責任と規制緩和で弱肉強食をあおり立てています。

 日本共産党は、新自由主義から転換し、「やさしく強い経済」――国民に「やさしい経済」、ほんとうに「強い経済」にしていくことを訴えます。企業・団体献金を一切受け取らず、財界・大企業中心の政治のゆがみに正面からメスを入れる日本共産党の躍進こそ、新自由主義を転換し、物価高騰から暮らしを守り、「やさしく強い経済」をつくる最大の力となります。

 市民と野党の共闘の前途を開く推進力……市民と野党の共闘は、激しい攻撃と妨害にさらされましたが、日本共産党は、市民連合のみなさんとも力をあわせて、共闘を守るために粘り強く努力してきました。日本共産党、立憲民主党、社会民主党、沖縄の風、碧水会と市民連合で、「安保法制の廃止」「9条改悪を許さない」などの政策で一致し、勝利できる可能性の高い選挙区での候補者を調整することで合意しました。

 日本共産党は、野党候補が1人となった選挙区で勝利のために全力をあげます。市民と野党の共闘が、次につながる成果を収めることができるよう力を尽くします。

 市民と野党の共闘を守り、発展させる最大の推進力は日本共産党の躍進にあります。日本の政治を変える道は共闘しかありません。ブレずに共闘のために力をつくす日本共産党の躍進こそ、さまざまな困難や障害をのりこえて、共闘を前に進め、日本の政治を変えるもっとも確かな力です。

 平和と憲法を大切にしたいとの思い、物価高騰から暮らしを守りたいという思い、力を合わせて自民党政治に立ち向かってほしいという願いを、日本共産党にお寄せください。

1、「力対力」でなく、「外交による平和を」――憲法9条をいかす平和の外交で東アジアと世界の平和をつくろう

(1)日本を戦争に導く「力対力」の道、9条改憲に反対します

「専守防衛」を投げ捨て、「戦争する国」への大逆行を許しません

 「日米同盟の抑止力強化」の大合唱――「力対力」では平和はつくれません……自公政権や維新の会などは、ウクライナ侵略に乗じて、「日米同盟の抑止力強化」「防衛力増強」「核には核」の大合唱をしています。しかし、「力対力」の対決の先に平和は決して訪れません。東アジアと世界に新たな軍事的緊張をつくりだし、「軍事対軍事」の危険な悪循環をつくりだします。それは戦争への道にほかなりません。

 「敵基地攻撃能力」の保有は、憲法解釈を百八十度くつがえす無法……自民党は、「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」に言い換え、攻撃対象を「敵基地」だけでなく「指揮統制機能等」に拡大する、そのために軍事費を「GDP比2%以上」に増やすなどの「提言」を4月に発表しました。岸田首相は、5月の日米首脳会談で「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有検討に言及し、軍事費の「相当な増額」をアメリカに約束しました。

 これまで政府は、「相手に脅威を与える攻撃型兵器は憲法上保有できない」としてきましたが、「敵基地攻撃能力」の保有などというのは、この憲法解釈を百八十度くつがえす無法なものです。

 日本が攻撃されていなくても「敵基地攻撃」で攻め込む――ここに一番の危険が……政府は、「敵基地攻撃能力」は、集団的自衛権の行使の際にも使えるとの見解を明らかにしています。日本が攻撃されていないのに、米軍が軍事行動をはじめたら、自衛隊が米軍と一体になって、相手国に「敵基地攻撃能力」を使って攻め込み、「指揮統制機能等」という国家中枢まで攻撃するというのです。そんなことをすれば、相手国の大規模な報復を呼び、全面戦争となり、日本に戦火を呼び込むことになります。ここに日本が直面する最大の現実的な危険があります。

 憲法9条のもとでは許されない……これらが歴代政権がまがりなりにも掲げてきた「専守防衛」の大原則を投げ捨てるものであり、「戦争放棄」を宣言した憲法9条のもとで許されないことは、あまりにも明らかです。自公政権や維新の会が9条改憲を声高に叫ぶのは、この危険な道を突き進むためです。

 ――憲法9条改憲に反対をつらぬきます。

 ――「敵基地攻撃能力」の保有など、「専守防衛」を投げ捨て、日本を「戦争する国」にする逆行を許しません。

 ――安保法制=戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻します。

 ――秘密保護法、共謀罪、土地規制法など、国民の自由と権利を制限する違憲立法を廃止します。

 ――日本国憲法の前文を含む全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざします。

平和と暮らしを壊す軍事費2倍の大軍拡を許しません

 「敵基地攻撃能力」には、相手国の「指揮統制機能等」という中枢まで破壊するための攻撃的兵器が大量に必要になります。だからこそ軍事費を「5年以内にGDP比2%以上」、現在の2倍となる年間11兆円以上にするとしているのです。これでは世界第3位の軍事大国になってしまいます。

 その財源をどうするか、岸田首相も、自民党も一言も言いません。しかし、こんな大軍拡をやろうとするなら、消費税の大増税か、社会保障や教育などの予算の大削減をもたらすことは火を見るよりも明らかです。安倍元首相は「防衛費を国債で賄う」と言い出しています。これは戦前、野放図な国債発行で戦費を調達したことが、とめどもない侵略戦争の拡大につながった教訓をふまえ、戦後の財政法で国債発行を原則禁止したことを無視した妄言です。

 ――平和と暮らしを壊す軍事費2倍化を許しません。

 ――「敵基地攻撃能力」のための兵器購入、アメリカ製の武器爆買いの仕掛け(FMS)、辺野古新基地建設への税金投入などを見直し・中止します。

(2)ASEAN諸国と協力して東アジアを平和の地域に――日本共産党の「外交ビジョン」

東アジア規模の包摂的な平和の枠組みを提唱しているASEAN諸国と協力して

 岸田自公政権や維新の会などは、「9条で平和が守れるか」などと言っています。しかし、政治の役割は、戦争を起こさないための外交に知恵と力をつくすことです。この役目を果たさず、何の外交戦略も持たずに、軍事一辺倒にのめり込んでいるのが岸田政権です。

 いまASEAN(東南アジア諸国連合)は、ASEAN10カ国と日米中など8カ国で構成する東アジアサミット(EAS)を強化し、この地域を「紛争の平和的解決、武力行使と威嚇の放棄」の原則にそくして、「対抗でなく対話と協力の地域」にし、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約を展望しようという壮大な構想――ASEANインド太平洋構想(AOIP)を明らかにしています。いま日本がとりくむべきは、紛争の平和的解決を安全保障の第一にすえ、ASEANの国ぐにと手を携えて、AOIPを本気で推進することにあります。

 こうした日本共産党の「外交ビジョン」は、東アジア規模での集団安全保障の仕組みをつくりだそうというものです。軍事ブロックのように外部に仮想敵を設ける排他的な枠組みではなく、地域のすべての国を包み込む包摂的な枠組みをつくる――「対抗でなく対話と協力の地域にする」というところに、何よりもの重要な意義があります。

「力対力」の道では戦争を防げない――欧州の外交の失敗をアジアで繰り返さない

 日本共産党の「外交ビジョン」は、ヨーロッパの教訓を生かす道でもあります。ヨーロッパでは、ソ連崩壊後、欧州安全保障協力機構(OSCE)というロシアと全ヨーロッパの国ぐにを含めた包摂的な枠組みがつくられ、OSCEを「紛争の平和的解決のための主要な機関」(1999年の欧州安全保障憲章)に定めました。しかし、この機能は生かされず、NATO諸国も、ロシアも軍事力によって相手の攻撃を「抑止」するという戦略をすすめ、「力対力」に陥ってしまいました。

 ウクライナ侵略の責任は、あげて国連憲章をじゅうりんしたロシアにあり、軍事同盟の問題でロシアの侵略を免責することはできません。そのうえで、戦争という悲惨な結果になった背景には「力対力」に陥った外交の失敗があったことを指摘しなければなりません。この失敗を東アジアで繰り返してはなりません。排他的な枠組みによる「力対力」に陥るのではなく、包摂的な平和の枠組みをつくり、それを安全保障の第一に位置づけて発展させることこそ、ヨーロッパから引き出すべき最大の教訓があります。

 自公政権や維新の会などは、「ウクライナを見ろ」といって、「日米同盟の強化」の大合唱をしていますが、これはヨーロッパで戦争が起きてしまった外交の失敗から学ばず、東アジアに軍事的緊張を激化させる、間違った道です。

 ヨーロッパの失敗から引き出す教訓は、「力対力」に陥る軍事同盟の強化ではなく、地域のすべての国を包摂した平和の枠組みをつくることです。そのための憲法9条をいかした平和の外交こそ求められています。

 ――紛争の平和的解決を安全保障の第一にすえ、ASEAN諸国と協力し、東アジアサミット(EAS)を活用・強化し、ASEANインド太平洋構想(AOIP)を本気で推進し、東アジアを戦争の心配のない平和と協力の地域にしていきます。

 ――日本は、憲法9条を持つ国として、東アジアにおける軍拡競争を軍縮へと転換させるための、外交的イニシアチブを発揮すべきです。

(3)「ロシアは侵略をやめよ」「国連憲章を守れ」の一点で全世界が団結を

 バイデン米大統領は「民主主義対専制主義のたたかい」とし、岸田首相も「価値観を共有するG7主導の秩序」などと、特定の「価値観」で世界を二分する態度をとっています。そして「日米同盟の抑止力強化」をうたった日米首脳会談にみられるように、「力対力」の軍事ブロック的対応を行っています。これでは戦争を拡大し、新たな危険をもたらすことを警告しなければなりません。

 ――特定の「価値観」で世界を二分し、軍事ブロック的対応で新たな危険を生むやり方ではなく、「ロシアは侵略をやめろ」「国連憲章を守れ」の一点で世界の政府と市民社会が団結することをよびかけます。日本政府に対して、そうした立場での外交努力こそ行うことを求めます。

(4)日本は核兵器禁止条約に参加し、「核兵器のない世界」の先頭に

 プーチン大統領の核兵器使用の脅しは、「核大国」の指導者が核兵器の先制使用を公言し、世界を核で脅迫する、断じて許されないものです。核兵器は人間に絶対に持たせてはならない「絶対悪」の兵器です。核兵器の使用を止め、核戦争への恐怖をなくす唯一の方法は全世界から核兵器を緊急に廃絶するしかありません。

 核兵器の使用を前提にした「核抑止」の強化、さらには「核共有」などというのは、被爆国の政党、政治家として恥ずべき態度です。唯一の戦争被爆国日本が、核兵器禁止条約に参加するならば、核戦争の危険をなくしていく国際的な世論形成への大きな力になるのは疑いありません。

 ――日本が「核抑止」から抜け出し、核兵器禁止条約に参加し、唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶の先頭にたつことを求めます。

 ――核兵器禁止条約締約国会議に、日本政府がオブザーバー参加することを求めます。

(5)沖縄新基地建設を中止し、日米地位協定を抜本改定する

県民の意思を踏みにじった新基地建設は許しません

 自公政権は、沖縄県の本土復帰から50年たった今、新たな巨大な米軍基地の建設を、沖縄県民の強い反対の意思を乱暴にふみにじって強行しています。しかも戦没者の遺骨の眠る土砂を使って埋め立てをしようとしています。こんな死者を冒とくする行為は絶対に許すわけにはいきません。超軟弱地盤の問題はきわめて深刻で、新基地建設は、政治的にも技術的にも完全に行き詰まっています。

 ――沖縄県民の民意を無視した辺野古新基地建設を中止します。

 ――普天間基地の無条件撤去を求めます。

 ――沖縄県の玉城デニー知事による復帰50年にあたっての建議書を日米両政府が真摯(しんし)に受け止め、「基地のない平和な沖縄」をつくりたいという強い県民の願いに応えることを求めます。

全国知事会も求める日米地位協定の抜本改定を

 在日米軍の横暴がエスカレートし、全国各地でオスプレイなど米軍機による低空飛行訓練やパラシュート降下訓練の被害が激増しています。ところが、自公政権は全国で多発する在日米軍の無法に抗議一つしようとしません。

 日米地位協定は、全国知事会も改定を求めるなど、国政の熱い焦点になっています。米軍に国内法が適用されない、米軍基地への立ち入り権がない、訓練・演習の規制ができない、航空機事故の際の捜査権を行使しないなど、米軍の特権を許した日米地位協定は1960年の締結以来、一度も改定されていません。主権国家とはいえない異常なことです。

 ――危険なオスプレイは、沖縄からも本土からもただちに撤去することを求めます。

 ――住民の安全と暮らしに深刻な被害をもたらす低空飛行やパラシュート降下訓練を中止させます。

 ――日米地位協定を抜本改定します。

2、物価高騰から生活を守る――弱肉強食の新自由主義を転換して「やさしく強い経済」に――日本共産党の五つの提案

 物価高騰に無為無策の政治を続けていいのか……4月の消費者物価は2・5%の上昇で、水光熱費や食料品などの生活必需品は4・8%とさらに値上がりしています。企業物価指数は、過去41年で最高の前年比10・0%も上昇し、中小企業、個人事業主の経営を脅かしています。このコスト増が価格に転嫁されれば、いっそうの値上げが家計を直撃します。ところが岸田自公政権は、物価高騰のもと、小手先の対応に終始し、無為無策を続けています。こんな政治を続けていいのかは、国政の大問題です。

 物価高騰をもたらした「異次元の金融緩和」の抜本的見直しが必要です……現在の物価高騰の原因は、「新型コロナ」と「ウクライナ侵略」だけではありません。アメリカや欧州各国が金融緩和を見直すなかで、日本だけが、「アベノミクス」で始めた「異次元の金融緩和」を続けていることが、異常円安をもたらし、物価上昇に拍車をかけています。

 ――「異次元の金融緩和」を抜本的に見直し、日銀が「国民生活の安定」という本来の役割を果たせるようにすることを求めます。

 新自由主義が苦しい生活の根本にあります……なぜ物価高騰で暮らしがこうも苦しいのでしょうか。それは、賃金が上がらず、年金が貧しく、教育費が高すぎるからです。消費税の連続増税で家計と景気を傷めつけてきたからです。弱肉強食の新自由主義を進めてきたことが、国民の生活が苦しい根本にあります。

 「アベノミクス」と新自由主義にしがみつく岸田政権……岸田首相は「アベノミクス」も、新自由主義も「間違いだった」と認めません。6月7日に閣議決定した「新しい資本主義実行計画」では、当初かかげた「分配重視」は消え、「アベノミクス」の3本の矢(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)を「堅持」することを明記しました。「所得倍増」は、「資産所得倍増」にすり替わり、「貯蓄から投資へ」という「アベノミクス」の株価つり上げのスローガンが復活しました。賃金も上がらずに貯蓄や投資に回すお金がない庶民には無縁であり、大資産家だけが富を増やす矛盾がさらに激化します。「新しい資本主義」とか「新自由主義の弊害を乗り越える」などは口先だけで、「アベノミクス」と新自由主義にしがみつく姿勢が露骨になっています。

国民に「やさしい経済」こそ、ほんとうに「強い経済」になります

 物価高騰から暮らしを守る根本的な治療法は、新自由主義を終わらせて「冷たく弱い経済」から「やさしく強い経済」に大転換させることです。

 新自由主義は、「強い経済」のためと、財界・大企業の目先の利益拡大を最優先にする政治をすすめましたが、その結果、賃金が上がらず、貧困と格差が拡大し、富裕層の資産や大企業の内部留保だけが増えるゆがんだ経済にしてしまいました。「経済成長」も止まり、「競争力」も失い、「冷たく弱い経済」にしてしまったのです。

 国民に「やさしい経済」にしてこそ、ほんとうの意味で「強い経済」になります。日本共産党は、「やさしく強い経済」にするために、次の五つの提案を行います。

(1)消費税を5%に緊急減税――暮らしと営業をささえる政治に

(2)政治の責任で「賃金が上がる国」に――大企業の内部留保を賃上げに、中小企業支援とセットで最低賃金を時給1500円に

(3)年金削減の中止、給食費無償化――経済力にふさわしく社会保障と教育を拡充します

(4)気候危機の打開――原発即時ゼロ、石炭火力からの計画的撤退、純国産の再エネの大量普及でエネルギー自給率の向上を

(5)ジェンダー平等をあらゆる分野でつらぬきます

 どれも国民の暮らしと営業を守るとともに、日本経済を強くし、持続可能な成長を実現する大きな力となります。

(1)消費税を5%に緊急減税・インボイス中止、暮らしと営業をささえる政治に

消費税をただちに5%に減税します

 消費税減税は、物価高騰から暮らしと営業を守るうえでも、日本経済を強くするうえでも、今、いちばん求められる対策です。

 第一は、消費税減税は、食料品、水光熱費など生活必需品を中心に、あらゆる分野で値上げラッシュが起きているもとで、もっとも効果的な物価対策です。

 第二は、日本経済の5割以上を占める家計、企業数で99%を占め日本経済の背骨である中小企業を応援することになります。

 第三は、富裕層や大企業に応分の負担を求め、消費税を減税することは、税の不公正をただし、格差を是正する大きな一歩となります。

 ――消費税をただちに5%に減税します。

大企業と富裕層に応分の負担を求め、格差を是正します

 岸田首相は、所得が1億円を超えると逆に税負担率が減ってしまう「1億円の壁」の是正を言いましたが、真っ先に先送りしてしまいました。大企業は、円安のもとで空前の利益をあげ、大株主などの富裕層は、コロナ危機のもとでも資産を大幅に増やしました。大企業と富裕層に応分の負担を求め、不公平な税制と格差を是正します。

 ――研究開発減税をはじめ租税特別措置や連結納税など、大企業優遇税制を廃止・縮小します。

 ――法人税率を、現在の23・2%から、中小企業を除いて安倍政権以前の28%に戻します。

 ――富裕層の株取引への税率を欧米並みの水準に引き上げます。株の配当や譲渡益が分離課税とされ、住民税を含めても20%と国際的にも低い税率となっている現状を改めます。譲渡所得には、高額部分には欧米並みの30%の税率を適用します。株式配当には、少額の場合を除いて分離課税を認めず、総合累進課税を義務付けます。

 ――所得税・住民税の最高税率を現行の55%から65%に引き上げます。

 ――富裕層の資産に毎年低率で課税する富裕税や、為替取引額に応じて低率の課税を行うなど、新たな税制を創設します。

 ――厚生年金や健康保険、介護保険など、サラリーマンの社会保険料は標準報酬に上限があるため、企業役員など高所得者の負担が低くなっており、上限を引き上げるなど応能負担の改革を行います。

インボイス導入を中止、中小企業、自営業者への支援を強めます

 来年10月から導入が予定されているインボイス(適格請求書)制度は、これまでは消費税納税の義務がなかった年間売り上げ1000万円以下の事業者に納税義務を負わせ、経済的・事務的負担増を強いるものです。商店や飲食店だけでなく、個人タクシーや大工の一人親方、フリーランスで働く人々など、対象は数百万人にも及びます。

 コロナ対策として実施された納税猶予の適用額1・5兆円の6割は消費税です。税の滞納の新規発生額0・7兆円の6割も消費税です。このままでは、消費税が納められずに倒産する事業者が続出します。

 ――零細な事業者やフリーランスを苦しめるインボイスの導入は、ただちに中止します。

 ――納税が困難になっている事業者には、消費税の減免措置を実施します。

 ――コロナ危機と物価高騰から営業を守るため、事業復活支援金を持続化給付金なみに拡充して再支給し、家賃支援給付金を復活します。

 ――中小企業を地域経済の重要な担い手、地域経済の活性化の柱として振興します。

農林水産業を基幹産業に位置づけて振興し、食料自給率を引き上げます

 国連の世界食糧計画(WFP)は、「第2次世界大戦以降、最悪の食料危機」と警告しています。新型コロナ危機による国際的な食料供給の混乱に加え、ロシアのウクライナ侵略が深刻な危機をもたらしています。さらに、気候変動の影響によって、世界各地での乾燥化・水不足、風水害などによる食料不足が拡大すると予測されています(IPCCの報告)。

 日本の食料自給率は、すでに37%と先進国の中でも異常な水準にまで下がっています。もっぱら食料の輸入を拡大し、社会・経済の基盤である食料自給率を大幅に引き下げ、地方を疲弊させた「亡国の農政」を抜本的に転換しなければなりません。

 ――価格保障・所得補償を抜本的に充実させて自給率を50%へ早急に引き上げます。

 ――米価暴落対策として、政府による米の緊急買い入れを実施します。

 ――麦や大豆、牧草などへの転作に欠かせない水田活用交付金の削減を中止します。

 ――肥料、飼料、燃料の高騰に対する緊急対策を実施します。

 ――規模拡大による効率化一辺倒の農業ではなく有機農業、中小経営を位置付け、環境と人にやさしい農業へ転換します。

 ――燃料・資材の高騰、漁獲量急減への緊急対策とともに、とれる魚種の変化に応じた資材・設備・水揚げ・加工・輸送などの変更や環境に配慮した養殖などに、抜本的な支援策を講じます。

 ――国土の面積に対して世界第2位の森林率をほこる日本で、気候変動対策にも資する林業の健全な発展を図り、国産材の供給・利用の拡大を図ります。

(2)「賃金が上がる国」に――大企業の内部留保を賃上げに、中小企業支援とセットで最低賃金を1500円に

 日本は世界でも異常な「賃金が上がらない国」です。実質賃金は1997年から2021年に平均で年収61万円も減りました。国際比較では、この30年間に、日本の平均賃金は4・4%しか伸びていませんが、同時期に、アメリカやイギリスは50%近く伸びています。

 政治の責任で「賃金が上がる国」にすることは、物価高騰のなかで国民の生活を守るうえでも、日本経済を強くするうえでも、最大の力になります。

大企業の内部留保への適正な課税で、賃上げと「グリーン投資」を促進します

 日本共産党は「アベノミクスで増えた大企業の内部留保に適正な課税を――大企業優遇の減税をただし、内部留保を賃上げと『グリーン投資』など国内投資に」(2022年2月24日)を発表しています。

 ――資本金10億円以上の大企業に、2012年以降に「アベノミクス」で増えた内部留保額に、毎年2%、5年間で合計10%の時限的課税を行います。これにより毎年2兆円程度、総額で10兆円程度の税収が新たにできます。

 ――内部留保課税にさいしては、適切な控除をもうけます。課税対象額から賃上げ額を控除します。国内設備投資額を課税対象から控除します。ただし、石炭火力発電所建設をはじめ、二酸化炭素排出を増やし、気候危機打開に逆行する設備投資は対象にしません。これにより課税をすることで、賃上げと「グリーン投資」を促進します。

 ――10兆円程度の税収は一般財源としますが、最低賃金を時給1500円に引き上げるための、中小企業・中堅企業への支援を抜本的に強化するための大きな財源を確保できます。

 こうして、大企業の内部留保課税には、「一石三鳥」の効果があります。それは行き過ぎた大企業減税の不公正をただすとともに、賃上げと「グリーン投資」を促進し、最低賃金を1500円に引き上げる財源をつくることができます。

 大企業でも中小企業でも、賃上げを促進します。そして、大企業が利益を上げても内部留保だけが積みあがるという日本経済の「体質」化したゆがみをただし、経済の好循環をつくる大きな力となります。

最低賃金を中小企業への十分な支援とセットで時給1500円に引き上げます

 現在の最低賃金は全国加重平均で930円。年収では170万円にとどまり、地域の格差は221円、年間40万円(1800時間)にもなります。

 コロナ危機やインフレのなかで、イギリス(9・5ポンド、1520円)、ドイツ(12ユーロ、1683円、10月から)、フランス(10・85ユーロ、1521円)など、先進国で最低賃金の大幅な引き上げが行われ、アメリカでもバイデン大統領が1950円(15ドル)への引き上げをうちだしています。日本は、ここでも取り残されています。

 カギは中小・中堅企業への支援です。すべての企業で賃上げできるようにするには、赤字企業も負担している社会保険料を賃上げに応じて軽減することがもっとも効果的です。

 ――中小企業への賃上げ支援を抜本的に強化しながら、最低賃金を時給1500円(月給だと22万5000円程度)に引き上げます。

 ――全国一律最賃制を確立します。

「使い捨て」の働かせ方をなくし、非正規から正社員への転換をすすめます

 非正規雇用労働者(2064万人)は37%になり、男性が652万人、女性は1413万人と、非正規雇用労働者の3分の2以上が女性です。非正規から正規への雇用転換、低賃金構造を変えることは待ったなしです。

 ――労働者派遣法を抜本改正し、派遣は一時的・臨時的なものに限定し、正社員との均等待遇など、派遣労働者の権利を守る派遣労働者保護法をつくります。

 ――シフト制労働者の権利を守るために、労働契約に賃金の最低保障額や休業手当の支給を明記するなどのルールをつくります。ギグワークなどの無権利な働かせ方を広げる規制緩和に反対し、権利保護のルールをつくります。フリーランスに労災保険と失業保険を適用します。

 ――パート・有期雇用労働者均等待遇法の制定など、正社員との均等待遇をはかるとともに、解雇・雇い止めを規制します。

 ――残業時間の上限を「週15時間、月45時間、年360時間」とし、連続11時間の休息時間(勤務間インターバル制度)を確保します。高度プロフェッショナル制度を廃止します。

 ――退職強要を許さず、解雇規制法をつくります。

すべてのケア労働者の賃金を引き上げ、待遇を改善します

 岸田首相は、ケア労働者の収入を「思い切って増やす」と約束しましたが、看護師で賃金が上がる人は、コロナ医療を行う基幹病院などにつとめる人だけで、全産業平均よりも月8万円低いとされる介護・保育職員の賃上げ額が「月9000円」にとどまるなど、まったくの“空約束”に終わりました。

 ――看護師の賃金引き上げの対象をすべての看護職員に拡充します。看護師の配置基準や労働条件の改善に向けた診療報酬の見直しを進めます。

 ――国が基準を定めている介護・福祉・保育職員の賃金を「全産業平均」並みに引き上げ、雇用の正規化、長時間労働の是正など、労働条件を改善します。

(3)年金削減の中止、給食無償化――経済力にふさわしく社会保障と教育を拡充します

 日本の社会保障給付費はGDPの22・4%、ドイツの27・7%、フランスの32・2%などに比べて低い水準です。これをドイツ並みにすれば25兆円、フランス並みにすれば50兆円、社会保障給付が増えることになります。

 教育への公的支出も、日本はGDP比で2・8%、OECD加盟国で比較可能な37カ国中36位と最低水準です。

 政府や財界は、社会保障給付が増えると経済の重荷になるなどと言ってきました。しかし、社会保障や教育に手厚い予算を充てることは、家計を支える面でも、地域経済を支える面でも、新しい雇用や投資を生み出し、経済を活性化させる面でも、健全な経済成長を実現する大きな力になります。

生活を支え、将来不安をなくす社会保障に

“物価高騰でも年金削減”の異常をただします――年金削減を中止し、高齢者も現役世代も“頼れる年金”に

 物価高騰にもかかわらず、岸田政権は、6月支給分から年金支給額を0・4%削減しました。自公政権が「100年安心」の名で、年金の支給水準を減らし続ける仕組みを導入したことが異常事態を招きました。安倍・菅・岸田政権の10年間で、年金は物価上昇分を差し引いた実質で6・7%も減らされました。

 年金削減は、消費を冷やし地域経済にも深刻な打撃となります。自公政権は「現役世代のために」と言って年金削減を行っていますが、現役世代の最大の不安はどんどん年金が減っていく現行制度への不信です。高齢者にも、現役世代にも“頼れる年金”への改革が急務です。

 ――物価高騰下での年金削減を中止します。

 ――自公政権が導入してきた年金削減の仕組みを廃止して、物価に応じて増える年金にします。

 ――信頼できる年金制度のために、(1)高額所得者優遇の保険料を見直し、1兆円規模で年金財政の収入を増やす、(2)巨額の年金積立金を年金給付に活用する、(3)賃上げと正社員化を進めて、保険料収入と加入者を増やす――という三つの改革に取り組みます。

 ――“頼れる年金”への抜本的な改革として、基礎年金満額の国庫負担分にあたる月3・3万円をすべての年金受給者に支給し、低年金の底上げを行います。さらに全額国庫負担の最低保障年金の導入をめざします。

75歳以上の医療費2倍化を中止します

 自公政権は今年10月から、75歳以上で所得が一定額を超える370万人の窓口負担を2倍にします。物価高騰で生活が苦しくなっている時に、医療費負担増を押し付ける改悪は許されません。

 ――75歳以上の医療費2倍化を中止・撤回させます。

コロナの痛苦の教訓を踏まえ、医療・公衆衛生の体制を抜本的に強化します

 これまでのコロナ対策の反省に立ち、感染爆発と医療崩壊を二度と起こさないための対策に本腰を入れることを政府に求めます。

 ――高齢者施設、医療機関などへの頻回検査を国の責任で行います。

 ――地域医療への支援を強化し、感染者や疑いのある人が十分な検査と医療を受けられるようにします。救急など「コロナ以外」の医療の逼迫(ひっぱく)が起こらないようにする体制を強化します。

 ――ワクチンの有効性・安全性についての情報発信を国が前面に立って行い、希望する人への安全・迅速な接種を進めます。

 社会保障の予算を抑制・削減する新自由主義の政治のもとで、日本の医療と公衆衛生は弱体化させられ、コロナ危機で一気に表面化しました。

 日本の医師数(人口比)は、OECD加盟国で比較可能な36カ国中32位で、加盟国の平均に14万人足りない水準です。感染症病床は、この20年間で半分程度に減らされ(1999年=3321床→2020年=1867床)、保健所も、半減させられました(1990年=850カ所→2022年=472カ所)。しかも、自公政権は、高度急性期・急性期病床を20万床減らすことを目標に、全国400以上もの公立・公的病院をリストアップして、削減・統廃合を推進しています。

 ――「地域医療構想」の名での急性期病床削減計画を中止し、拡充に切り替えます。

 ――感染症病床、救急・救命体制への国の予算を2倍化にし、ICU(集中治療室)を支援する制度を新設して、設置数を2倍にします。

 ――政府が進める医師の削減計画を中止させ、「臨時増員措置」を継続します。

 ――保健所予算を2倍にして、保健所数も職員数も大きく増やします。国立感染症研究所・地方衛生研究所の予算を増やし、研究予算を10倍化します。

命を守り、暮らしを支える社会保障を拡充します

 ――介護保険料・利用料の減免、保険給付の拡充、特養ホームなど介護施設の拡充により、必要な介護が受けられる制度にします。

 ――障害者・児の福祉・医療の「応益負担」を撤廃し、無料にします。教育・就労・年金など障害者・児のあらゆる権利を保障します。

 ――公費を1兆円投入し、「人頭税」のような「均等割」「平等割」をなくして、国民健康保険料(税)を抜本的に引き下げます。

生活が困っている人への支援を強化します

 ――コロナ危機で収入が減った人、生活が困っている人に一律10万円の特別給付金を数兆円規模で支給します。

 ――生活保護を (1)自公政権が行った生活保護費削減・生活扶助費の15%カットを緊急に復元し、支給水準を生存権保障にふさわしく引き上げる、(2)保護申請の門前払いや扶養照会をやめ、自動車保有やわずかな預貯金などの「資産」を理由に保護利用を拒む運用を改める、(3)名称を「生活保障制度」に改め、権利性を明確にし、生存権保障にふさわしい制度に改革する――などの改革で、必要な人がすべて利用できる制度にします。

食と住居への支援をすすめます

 ――「住居確保給付金」「生活福祉資金特例貸し付け」の支援の延長・拡大、返済困難な場合は「貸し付け」を給付に切り替えるなど、緊急に支援を強化します。「住まいは人権」の立場で、家賃補助や公的住宅をはじめ、住居へのセーフティーネットをつくり、困窮者が住宅を失わないための施策を拡充します。

 ――フードバンク、子ども食堂、シングルマザーボックスなど民間の食料支援の取り組みに、助成や場所の提供など公的な支援を行います。

子育て・子どもに「冷たい国」から「やさしい国」に

 あなたの国は子どもを生み育てやすい国ですか?――この質問に過半数の人が「そう思わない」と回答した国は日本だけです(少子化社会に関する国際意識調査報告書、2020年、内閣府)。回答した人々は、高すぎる教育費、育休もとりにくい働き方、社会全体が子どもを生み育てることへの理解がないことなどの解決を強く求めています。

 最大の問題は、もともと子育ての負担は重いものなのに、基本的に家庭の責任とし、政治の責任を果たしてこなかったことにあります。日本の子育て・教育のための予算の水準(対GDP比)は貧弱で、OECD諸国平均の7割です。子育てしやすい国は、国民の所得も消費もふえる、強い経済になります。

教育費無償化をめざし、学費は半減、入学金廃止、給食費はゼロに

 ――大学・専門学校の学費を半額にし、将来的には無償にします。入学金は廃止します。奨学金は欧米のように返済不要の給付制を中心にして拡充します。

 ――「義務教育の無償」をうたった憲法26条を踏まえ、国の制度として、学校給食費や教材費など義務教育にかかる費用を無料にします。

 ――0歳からの保育料の軽減、私立高校の無償化を拡充します。子ども手当を、社会全体で子どもを支える原則から全員に支給し、拡充します。国の制度として18歳まで医療費の窓口負担を無料にします。

教職員、保育士など子どものための職員を増やします

 ――教員不足は社会問題になるほど深刻化しています。その大本にある、教員の異常な長時間労働を解決するため、授業数に見合った教員の定数増、残業代支給制度の確立、部活顧問の強制禁止などをすすめます。

 ――30人以下の少人数学級を早期に実現します。

 ――公的保育所をふやすとともに、保育士の配置基準と給与を引き上げ、保育の質を向上させます。

 ――児童相談所、児童養護施設などの体制を拡充します。

子どもの貧困問題の解決を

 ――日本の子どもの貧困率は先進国で最悪レベルです。就学援助と児童扶養手当などの現金給付、手厚いサービス給付の双方を抜本的に拡充し、子どもの貧困問題の解決をめざします。

子どもの権利を守る国に

 競争的な教育制度などで不登校や子どもの自殺が多い、意見表明権が保障されていないなど子どもに関わる諸制度は深刻な問題をかかえ、国連子どもの権利委員会から繰り返し改善を勧告されています。

 ――過度な競争主義、管理主義の教育をあらためます。国連の勧告にもとづく改善をすすめます。政府から独立した子どもの権利救済機関(こどもコミッショナー)を設立します。子どもの権利条約の子どもとおとなへの普及・啓蒙(けいもう)を本格的にすすめます。

 ――この間日本共産党は校則アンケートにとりくみ、多くの中高生らの声を聞いてきました。それをふまえ、(1)各学校で子ども、保護者、教職員の意見にもとづき校則のあり方を決める、(2)その際、憲法と子どもの権利条約を共通の土台としてすえることを提案します。

(4)気候危機の打開――原発即時ゼロ、石炭火力からの撤退。純国産の再エネの大量普及でエネルギー自給率の向上を

「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」の実行がいよいよ待ったなしです

 人類と地球にとって待ったなしの課題……気候危機の打開は、人類と地球にとって差し迫った課題であり、子どもたちと若者の未来への責任です。日本共産党は、昨年9月に「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」を発表しました。2030年度までに、省エネと再エネの抜本的に強化して、CO2を50~60%削減するという提案です。その実行がいよいよ大切になっています。

 エネルギー自給率向上でも急務……エネルギー転換は、エネルギー自給率向上の観点からも急務になっています。日本のエネルギー自給率は10%程度と先進国で最低クラス(OECD36カ国中35位)です。原油価格の高騰、ロシアのウクライナ侵略など、エネルギーを外国に依存している経済の危うさが浮き彫りになっています。

 環境省の調査でも、再生可能エネルギーの潜在量は、現在の電力使用量の5~7倍にもなります。しかし、政府のエネルギー基本計画では、2030年度の再生可能エネルギー電源の比率は36~38%にすぎません。これはドイツ、イギリス、イタリア、スペインなどでは達成ずみであり、これらの国々は2030年までに6~7割をめざしています。石炭火力、原発にしがみつき、再生可能エネルギーを後景に押しやっていることが、遅れの最大の要因です。

 ――2030年度までにCO2を50~60%削減する(2010年度比)ことを目標にします。

 ――この目標を省エネルギーと再生可能エネルギーを組み合わせて実行します。エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば60%の削減は可能です。

 ――2050年までに、残されたガス火力なども再生可能エネルギーに置き換え、実質ゼロを実現します。

 ――即時原発ゼロ、石炭火力からの計画的撤退をすすめ、2030年度に原発と石炭火力の発電量はゼロとします。

 ――再生可能エネルギーの優先利用の原則を確立し、大手電力会社が原発や石炭火力を優先し、太陽光の出力抑制を行っている現状をあらためます。再エネを最大限活用できる電力網などのインフラを整備します。

 ――二酸化炭素排出量が大きい業界、大規模事業所に、二酸化炭素削減目標と計画、実施状況の公表などを「協定」にして政府と締結することを義務化します。

 ――農地でのソーラーシェアリング、小規模バイオマスの発電の普及など、脱炭素を結びついた農業・林業の振興を進めます。

 ――省エネの取り組みを産業、都市・住宅など、あらゆる分野ですすめます。

省エネ・再エネの本気の取り組みは、新しい投資と雇用をつくり、日本経済の持続可能な成長を実現します 

 化石燃料に頼りエネルギー転換が遅れれば、日本企業の競争力も失われます……自動車工業会は、電力の脱炭素化が遅れれば、製造時のCO2の排出量が減らず、日本の車は海外に輸出できなくなり、最大で約100万人の雇用が失われ、経済影響はマイナス26兆円となるとしています。石炭火力など化石燃料にしがみつき、日本経済の新しい成長の芽を摘み取り、産業の競争力さえ奪ってしまうことは許されません。

 「2030戦略」を進めれば、新たな雇用が生まれ、経済成長につながります……「日本共産党の2030戦略」を実施すれば、10年間で民間と公的な投資は合計202兆円、GDPは累計で205兆円の押し上げとなります。雇用の創出も年間平均で254万人になります。国内に「新たな成長産業」を創出することになります。再エネは、地域の資源であり、その活用は地方の活性化にも大きな力になります。

 日本経済と国民の暮らしのためにも、気候危機打開に真剣に取り組み、省エネ・再エネを大胆に進めていきます。

(5)ジェンダー平等をあらゆる分野でつらぬきます

 ジェンダー平等は、誰もが自分らしく尊厳を持って生きることができる社会をつくることが目標とするものです。同時に、この視点を経済政策でもつらぬくことは、結果として強い経済をつくることにつながります。

男女の賃金格差の是正、働く場でのジェンダー平等を

 男女の賃金格差の是正は、ジェンダー平等社会の土台です。日本の男女賃金格差は、年収で240万円、生涯賃金だと1億円もの格差があります(国税庁 民間給与実態調査より)。

 日本共産党は、男女賃金格差をなくすために、企業ごとに格差の実態を公表させるべきだと政府にせまってきましたが、やっと政府も企業に男女賃金格差の実態を開示することを義務づけることになりました。重要な一歩です。

 ――企業に男女の賃金格差の実態を正確に公表させるとともに、是正計画の策定と公表を義務づけ、政府がそれを監督・奨励する仕組みをつくるよう女性活躍推進法の抜本改正などの法整備をすすめます。

 ――実質的な女性差別を横行させている間接差別をなくします。労働基準法をはじめとする関係法令に、間接差別の禁止、同一価値労働同一賃金の原則を明記し、差別の是正を労働行政が指導できるようにします。

 ――パート労働法、労働者派遣法を改正するなど、女性が多く働いている非正規雇用の労働条件を改善し、正社員との不当な格差をなくします。

 ――長時間労働をなくし、男女ともに家族的責任を果たせる働き方にします。家族的責任を持つ労働者は、男女を問わず、単身赴任や長時間通勤を伴う転勤を原則禁止し、残業は本人同意を原則とします。看護休暇や育児介護休業制度を拡充します。

 ――職場におけるパワハラ、セクハラをなくすために、ハラスメント禁止条約を批准するとともに、法律にハラスメント禁止を明記します。

選択的夫婦別姓、同性婚、LGBT平等法――多様性が尊重される社会に

 ――選択的夫婦別姓をいますぐ導入します。

 ――同性婚を認める民法改正を行います。

 ――LGBT平等法を制定し、社会のあらゆる場面で、性的マイノリティーの権利保障と理解促進を図ります。

痴漢をはじめ女性に対するあらゆる暴力をなくす

 ――「痴漢ゼロ」を政治の重要課題とし、痴漢被害の実態調査、相談窓口の充実、加害根絶のための啓発や加害者更生を推進します。

 ――刑法の性犯罪規定について、不同意の性交の処罰化、性交同意年齢の引き上げ、地位利用型の犯罪化など、性被害の実態に見合った改正を求めます。

 ――性暴力被害ワンストップ支援センター予算を抜本的に増額し、根拠法を制定します。

 ――DV防止法を改正し、緊急保護命令の導入や保護対象の拡大、シェルターの拡充、加害者更生プログラムの整備などを進めます。

リプロダクティブ・ヘルス&ライツ――権利としての避妊や中絶の確立を

 ――避妊も中絶も女性の大切な権利です。避妊薬と緊急避妊薬を安価で入手しやすくし、中絶薬を早期に認可します。刑法の堕胎罪や母体保護法の配偶者同意要件を廃止します。

 ――子どもの年齢・発達に即した科学的な「包括的性教育」を公教育に導入します。

 ――「生理の貧困」をなくすため、生理用品を安価で入手しやすくするとともに、職場や学校などで生理に関する知識や理解を深め、女性が過ごしやすい環境を整えます。

意思決定の場に女性を増やし、あらゆる政策にジェンダーの視点を

 ――「2030年までに政策・意思決定の構成を男女半々に」の目標をかかげ、積極的差別是性措置を活用した実効性ある本気の取り組みをすすめます。

 ――政治分野における男女共同参画推進法の立法趣旨に沿い、パリテ(男女議員同数化)に取り組みます。民意をただしく反映し、女性議員を増やす力にもなる比例代表制中心の選挙制度に変えます。高すぎる供託金を引き下げます。

 ――女性差別撤廃条約を実効あるものにするため、「調査制度」と「個人通報制度」を定めた選択議定書を、早期に批准します。

富裕層と大企業に応分の負担を求めます――財源としても、格差是正のうえでも

 消費税減税、社会保障の拡充や教育費負担軽減など、恒常的に必要となる財源は、安易に国債増発にたよるのではなく、恒久的な財源を確保する必要があります。

 この参院選政策では消費税減税、年金削減中止、学費半額、給食費無償化など、あわせて毎年19兆円程度の財源が必要となる提案をしていますが、この財源は、富裕層や大企業への優遇を改める税制改革や、歳出の浪費をなくすことで確保します。コロナ危機対応など一時的なものは、災害対策と同じように国債でまかない、計画的・長期的に返済します。大企業の内部留保課税の税収は、最低賃金を引き上げるための中小企業の賃上げ支援に充てます。

 歳出の浪費では、大型開発の見直しとともに、軍事費も聖域とせず、辺野古新基地建設費用や日米地位協定上も米国が負担すべき経費を肩代わりする「思いやり予算」、米国政府から戦闘機などを高値で爆買いしているFMS(有償軍事援助)、スタンド・オフ・ミサイルなど戦争への危険をもたらす敵基地攻撃用の兵器などにメスを入れます。

(その概要は下記の通りです)

2022年参議選挙の財源提案

図
図

 富裕層と大企業に応分の負担を求めることは、税の再配分機能を強化し、格差社会を是正するうえで避けて通れない課題です。「読売」の調査でも、格差是正のために優先すべき対策として「賃金の底上げ」(51%)、に続いて「富裕層と大企業への課税」(50%)がトップ2になっています(3月27日)が、貧困と格差の是正を願う、多くの国民の思いでもあります。

 軍事費や大企業支援の財源を野放図な国債発行で賄っても問題がないという政策論がふりまかれていることは危険です。その一つの典型が安倍元首相です。「アベノミクス」でも「機動的な財政政策」としていましたが、最近では、5兆円を超える大軍拡を「国債発行で」とし、「日銀は政府の子会社」と言い放ちました。大軍拡の財源の国債を日銀に引き受けさせることで賄おうというもので、戦時国債で侵略戦争をすすめた戦前の過ちを繰り返すものです。

 日本共産党は、「国の借金を減らす」という「理由」で消費税増税などの庶民増税や、社会保障削減を強行する「緊縮財政」には厳しく反対します。同時に、野放図な国債発行で何でもできる、という立場には立ちません。

 日本共産党は、(1)富裕層や大企業に応分の負担を求めるとともに、「戦争する国」づくりのための大軍拡をはじめ歳出の浪費にメスを入れる、(2)国民の暮らしを応援する経済政策によって、経済を健全な成長の軌道にのせ、税収増をはかる――という二つの道を進むことで、暮らしを良くする財源をつくりながら、国と地方の膨大な債務の問題にも解決の道筋を見いだしていくという、責任ある財政政策を掲げています。

(6)財界中心の政治のゆがみに メスを入れる立場にたってこそ 暮らしを守れる

 日本共産党の「やさしく強い経済」の提案は、どれも国民の願いにそった当たり前の内容のものですが、これを実行するためには、財界・大企業中心の政治のゆがみにメスを入れる立場が必要です。企業・財界献金にどっぷりつかっている自民党などでは、暮らしを守ることはできません。

 ――企業・団体献金を、パーティー券も含めて、全面的に禁止します。

 ――「森友・加計・桜を見る会」疑惑など、政治をカネをめぐる疑惑を徹底的に究明し、責任を明らかにします。

 ――憲法違反の政党助成金制度を廃止します。

日本共産党は、「国民が主人公」の民主主義日本をめざします

 日本共産党は、現在、日本が必要としているのは、社会主義への改革ではなく、日本の政治の二つの大きなゆがみ――(1)異常なアメリカいいなりの政治、(2)財界・大企業優遇の政治をただし、「国民が主人公」の民主主義日本を実現することであるということを、党綱領で明記しています。

(1)異常なアメリカいいなり政治をただします

 異常なアメリカいいなりの政治の根底には日米安保条約=日米軍事同盟があります。

 日米軍事同盟は、他の米国との軍事同盟にもない特別の異常さがあります。世界では海外駐留の米軍が大きく減少しているのに在日米軍だけ増加しています(世界=1990年~2019年 60万9千人⇒17万人。日本=4万6千人⇒5万7千人)。在日米軍は、海兵遠征軍、空母打撃群、遠征打撃群、航空宇宙遠征軍など、「日本防衛」とは関係のない海外で戦争する「殴り込み部隊」ばかりです。世界に類のない「治外法権」が在日米軍に認められ、米軍の起こした事件・事故に日本政府の警察権は及ばず、日本の航空法を無視した危険な低空飛行訓練が全国で繰り返されています。

 ――国民多数の合意で、日米安保条約を、条約第10条の手続き(アメリカ政府への通告)によって廃棄し、アメリカ軍とその軍事基地を撤退させ、本当の独立国といえる日本をつくります。対等・平等の立場にもとづく日米友好条約を結び、日米友好の新時代を開きます。

 ――自衛隊については、憲法9条と自衛隊との矛盾を、憲法9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かって、国民多数の合意で段階的に解決していきます。わが党が参加した民主的政権ができた場合にも、自衛隊をすぐになくすことはありません。民主的政権が、憲法9条を生かした平和外交によって、世界とアジアのあらゆる国ぐにと友好関係をつくり、日本をとりまく安全保障環境が平和的に成熟し、国民の圧倒的多数のなかで「もう自衛隊なしでも安心だ」という合意が生まれ、熟したときに、憲法9条の完全実施にむかっての本格的な措置にとりくみます。そこに至る過程(自衛隊と民主的政権が共存する時期)で、万が一、急迫不正の侵害を受けた時には、国民の命と人権、国の主権と独立を守るために、自衛隊を含めあらゆる手段を活用します。憲法9条を将来にわたって守り生かすことと、どんな場合でも国民の命を守り抜く――その両方に対して政治の責任を果たすということが、日本共産党の立場です。

 ――日本共産党としてはいっかんして「自衛隊=違憲」論の立場を貫きますが、党が参加する民主的政権の対応としては、自衛隊と共存する時期は、理の必然として、「自衛隊=合憲」の立場をとります。「憲法違反の自衛隊を活用するというのは矛盾している」という議論がありますが、民主的政権としての憲法判断が「自衛隊=合憲」である以上、その政権が自衛隊を活用することに、憲法上、何の矛盾もありません。

(2)財界・大企業中心の政治をただし、「ルールある経済社会」をつくります

 日本は、長時間労働、低賃金、非正規雇用の増大、医療費の高負担、年金制度の貧しさなど、欧州諸国に比しても、国民の暮らしと権利を守るルール・制度があまりにも貧弱であり、「ルールなき資本主義」といわれる国となっています。ジェンダー平等でも世界で120位という最低クラスです。財界・大企業の利益最優先の政治は、弱肉強食の新自由主義を推進し、賃金が上がらず「経済成長」もできない、というところまで行き詰まっています。

 ――「ルールなき資本主義」の現状を打破し、ヨーロッパの主要資本主義国や国際条約などの到達点も踏まえつつ、国民の生活と権利を守る「ルールある経済社会」をつくります。

 ――大企業に対する民主的規制を主な手段として、その横暴な経済支配をおさえます。民主的規制の目的は、大企業をつぶしたり、敵視したりするものではありません。労働者や消費者、中小企業と地域経済、環境に対する社会的責任を大企業に果たさせ、つりあいのとれた経済の発展をはかることが、その目的です。

(3)国民多数の合意、統一戦線の力で社会の変革をすすめます

 日本共産党は、社会改革のすすめ方でも「国民が主人公」をつらぬき、安保条約や自衛隊はもちろん社会改革のあらゆる問題で、選挙での国民多数の判断をふまえて、改革の階段を上がることを大方針にしています。そして、政治を変え、社会を改革していくためには、多くの国民が力を合わせることが必要だと考えています。

 ――社会改革のどんな段階でも、国民多数の選挙で示された意思にもとづいて、平和的民主的に改革を進めます。

 ――政策や理念、信条が異なる政党、団体、市民が、違いはわきに置いて、一致点で団結して政治を変えていく――どんな社会改革のどんな段階でも、統一戦線の力で社会の改革をすすめます。

自由と平和、まっすぐつらぬく日本共産党の躍進を

 日本共産党は、創立100年を迎えます。戦前、国民の自由を圧殺し、モノ言えない社会にして侵略戦争に突き進んだ暗い時代から、命がけで自由と民主主義を求め、反戦平和をつらぬいてたたかってきました。戦後も、日本国憲法のもとで自由と民主主義の制度を逆流から守り、発展させるために力を尽くしてきました。そして、将来にわたって、自由、民主主義、人権の制度を守り、発展させると綱領で約束しています。

 日本共産党は、相手がアメリカであれ、旧ソ連・ロシアであれ、中国であれ、どんな国であれ覇権主義に厳しく反対を貫き、平和のために頑張りぬいた歴史をもっています。旧ソ連のチェコ、アフガニスタンなどの覇権主義に「社会主義と無縁」と徹底した批判をつらぬき、ソ連が崩壊した時は「大国主義・覇権主義の巨悪の党の解体をもろ手をあげて歓迎」する声明を発表しました。

 「核兵器のない世界」「戦争のない世界」――平和な世界を21世紀に実現することを綱領の大目標にかかげているのも、日本共産党です。

 平和がかかり、暮らしがかかった参議院選挙で、自由と平和をまっすぐつらぬく日本共産党を躍進させてください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

公示日までに党躍進のうねりを起こす「参院選必勝大作戦」をよびかけ、“自由と平和、まっすぐつらぬく”日本共産党の躍進をかちとるためにあらゆる力を出し尽くそうと訴えた。

2022-06-04 | 日本共産党の機関決定文書

第5回中央委員会総会について

6月3日 日本共産党中央委員会書記局

 一、日本共産党第5回中央委員会総会は6月3日、「参議院選挙必勝 全国決起集会」として開かれ、中央委員176人、准中央委員26人が参加した。

 一、志位和夫幹部会委員長が幹部会報告を行った。報告は冒頭、「比例を軸に」を貫き、「650万票、10%以上」を獲得し、比例5人のベストチーム全員勝利をかちとり、選挙区選挙で東京の議席を絶対確保し議席増をめざすという参議院選挙の大目標を確認したうえで、これまでのどの選挙にもない切実で緊急な日本共産党躍進の意義((1)平和がかかった選挙――「力対力」でなく「外交による平和」を、(2)暮らしがかかった選挙――新自由主義を転換して「やさしく強い経済」を、(3)市民と野党の共闘の前途を開くうえでの決定的意義)を明らかにした。また、頑張りいかんで勝機をつかめるところまで押し返してきた参議院選挙のたたかいの到達点を強調し、公示日までに党躍進のうねりを起こす「参院選必勝大作戦」をよびかけ、“自由と平和、まっすぐつらぬく”日本共産党の躍進をかちとるためにあらゆる力を出し尽くそうと訴えた。

 一、総会では20人が討論し、報告の内容を深め、参議院選挙勝利へ奮闘する決意を表明した。

 一、志位和夫委員長が、幹部会を代表して討論の結語を行った。

 一、総会は、報告・結語を全員一致で採択した。

 一、総会は、参議院選挙での躍進を必ずかちとる奮闘を誓い合って閉会した。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

比例予定候補者、小選挙区予定候補者を先頭に、日本共産党躍進のために、わき目もふらずダッシュしましょう。そのことが野党共闘を成功させる最大の力になることを、強調するものです。

2017-09-18 | 日本共産党の機関決定文書

臨時国会冒頭解散 極めて濃厚に

全党が勝利に向け 勇躍して総決起しよう

日本共産党常任幹部会 緊急の訴え

 

 

 日本共産党中央委員会常任幹部会は17日、「臨時国会冒頭解散がきわめて濃厚に―全党が勝利に向け勇躍して総決起しよう」との緊急の訴えを発表しました。

 一、中央委員会常任幹部会は、28日に召集される予定の臨時国会冒頭で安倍首相が衆議院を解散し、総選挙となる可能性がきわめて濃厚になったと判断しました。総選挙は、最短で10月10日公示、10月22日投票となります。

 一、今回の解散は、「森友」「加計」疑惑の真相究明にフタをしたまま、多数の議席を確保し、宿願の憲法改定を狙ったきわめて党略的対応です。

 同時に、それは、安倍政権による国政私物化と憲法破壊の政治への厳しい批判、都議選での自民党の歴史的惨敗など、国民のたたかいと日本共産党の奮闘によって追い込まれた結果にほかなりません。

 わが党は、すでに都議選の結果を受け、「すみやかな解散・総選挙によって審判を仰げ」と要求しています。今回の解散・総選挙を、安倍政権を退場に追い込む歴史的チャンスととらえ、全党が勇躍して総決起し、野党と市民の共闘の勝利、日本共産党躍進を必ず勝ち取ろうではありませんか。

 一、総選挙をたたかう基本方針は、第27回党大会決定に示されています。大会決定にもとづいて、すべての都道府県、地区委員会、支部・グループが、ただちに総選挙勝利への臨戦態勢を確立し、大量政治宣伝、対話・支持拡大、党勢拡大にうってでることをよびかけます。

 「比例を軸に」をつらぬき、「全国は一つ」の立場で奮闘し、比例代表で「850万票、15%以上」の目標達成をめざし、党躍進の大波をつくりだすことが何よりも重要です。小選挙区では、候補者を擁立したすべての選挙区で勝利をめざして意気高く奮闘するとともに、必勝区に設定した選挙区では議席獲得のために空前の規模での取り組みに挑戦しましょう。

 中央委員会として野党共闘の体制を緊急につくりあげるために全力をあげます。全国のみなさんは、その「様子見」に陥ることなく、比例予定候補者、小選挙区予定候補者を先頭に、日本共産党躍進のために、わき目もふらずダッシュしましょう。そのことが野党共闘を成功させる最大の力になることを、強調するものです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

志位委員長:開始された統一戦線を発展させ、安倍政権を倒し、野党連合政権に挑戦しよう!

2017-07-20 | 日本共産党の機関決定文書

歴史踏まえ激動の情勢切り開こう

歴史的激動と日本共産党――都議選と国連会議について 志位委員長が講演

日本共産党創立95周年記念講演会 東京・なかのZEROホール

 日本共産党は19日夜、東京都中野区の「なかのZEROホール」で党創立95周年記念講演会を開きました。開場3時間前にはすでに開場を待つ人の姿も。時間がたつほどに人の列が伸び、開場1時間前にはホールを取り巻く長蛇の列ができました。都議選をともにたたかった勝手連の人たちも詰めかけ、安倍政権の暴走に正面から対峙(たいじ)する日本共産党に注目が広がる中、「一度、話を聞いてみたい」と参加した人など、会場は熱気にあふれました。都議選を勝ち抜いた19人が壇上で紹介され、原のり子新都議、大山とも子都議団幹事長があいさつしました。志位和夫委員長が「歴史的激動と日本共産党―都議選と国連会議について」、不破哲三社会科学研究所所長が「日本共産党の95年の歴史を語る」と題して講演。歴史的激動のもとで輝きを増す日本共産党綱領の生命力をいきいきと語った両氏の講演の節々で、満場の参加者はうなずき、熱い拍手で応えました。小池晃書記局長が司会をしました。会場の大ホールは早々と満席になり、第4会場までいっぱいになりました。全国1057カ所の会場でネット中継が視聴されました。会場の入党相談コーナーには、次々と相談者が訪れました。


写真

(写真)志位和夫委員長の記念講演を聞く人たち=19日、東京都中野区

 「私たちは、日本共産党創立95周年を、国内外の二つのうれしい出来事のもとで迎えました」。会場を埋め尽くした参加者を前に志位氏は、東京都議選での日本共産党の躍進、「国連会議」での人類史上初めての核兵器禁止条約の採択という二つの歴史的な出来事に焦点をあてて、講演を行いました。

 日本共産党が17議席から19議席へ躍進した今回の都議選。志位氏は「これまでの一連の選挙での躍進とは一味違う喜びがあります」と語り、少なくない選挙区で最後の1議席を自民党との激戦を制してかちとったことを強調。これまでの選挙では、自民党の支持が崩れるもとで「非自民」の「受け皿」がつくられ日本共産党は後退を余儀なくされ、今回も「都民ファーストの会」という「受け皿」勢力が登場する難しい条件の選挙でしたが、党は躍進を果たしました。

写真

(写真)講演する志位和夫委員長

 「なぜ勝利できたのか」と問いかけた志位氏は、「自民・公明対共産党」という対決軸を貫いた政治論戦が全体として正確だったことなどに加え、二つの点が大切だと思うと述べました。

 第一は、安倍・自民党の崩れが、かつてないほど深刻だったことです。

 「森友・加計」疑惑など国政の私物化、「共謀罪」法の強行や9条改憲など憲法破壊の暴走、異論を敵視する傲慢(ごうまん)な姿勢に都民の怒りが噴き上がり、「政策に対する批判だけでなく、その体質・政治姿勢に対する批判、嫌悪感」が深く広がりました。志位氏は、「安倍・自民党に対して、あらゆる問題で、一番のぶれない対決者として奮闘してきた日本共産党への期待が広がりました」と述べ、安倍・自民党の崩れは全国いたるところで起こっているとして、次期総選挙に向けて安倍政権打倒のたたかいを全国で起こそうと呼びかけました。

写真

(写真)記念講演会で拍手をおくる人たち=19日、東京都中野区

 第二は、日本共産党が野党と市民の共闘を呼びかけ、実践してきたことに、これまでにない広範な人たちから評価を受けたことです。

 都議選で日本共産党は、6選挙区で他会派・無所属候補を支援・推薦し、21選挙区で他党・他会派の支援・推薦を受け、かつてない共同が広がりました。「野党と市民の共闘によって、本気で安倍政権を倒す、本気で安倍政権に代わる別の選択肢―『受け皿』をつくるという道に踏み出していたからこそ、党派の違いを超えて支援の輪が広がったのではないでしょうか」と語りました。

 首都・東京の審判は安倍政権にレッドカードをはっきり突き付けたとして、「野党と市民のしっかりした共闘の態勢を、最大のスピードでつくりあげ、安倍・自公政権を解散へと追い込みましょう。来たるべき総選挙で野党と市民の共闘の成功、日本共産党の躍進で、安倍政権を倒し、国民の声が生きる新しい政治をつくろうではありませんか」と呼びかけました。

 志位氏は、7日にニューヨークで行われていた「国連会議」が、人類史上初めて核兵器を違法化する核兵器禁止条約を採択した歴史的な壮挙について、日本共産党が会議成功に向けて一つの貢献ができたことも紹介しながら、「国連会議」が達成したもの、そこから見えてくる新しい世界、今後の課題を報告しました。

 条約の内容では、「前文」で核兵器の非人道性を厳しく告発しているとして、被爆者を先頭に、日本の原水爆禁止運動が戦後一貫して訴えてきたことが国際社会の基本認識となったと指摘。「ヒバクシャ」が「核兵器のない世界」の創造者として明記され、「まさに『理性とハートを結ぶ』、血の通った温かい条約となっています」と語りました。

 条約の「心臓部」である第1条は、核保有国や同盟国の「核抑止」論を否定し、「核の傘」に入ることも禁止し、抜け穴をすべてなくし、文字通り、核兵器を全面的に禁止する内容となっています。

 さらに特筆すべきことは、被爆者援護の規定だとして、「戦後70年余の世界と日本のたたかいがつくりだした条約であることを、みんなの確信にし、誇りにしようではありませんか」と訴えました。

 志位氏は「核兵器問題にとどまらず、国際政治における大きな転換点となる歴史的会議ともなりました」と語り、「国連会議」で現れた21世紀の世界の新しい姿として、▽国際政治の「主役」が、一部の大国から、多数の国々の政府と市民社会に交代した▽国際社会における民主主義の発展▽核兵器にしがみつく逆流がいよいよ追い詰められた―という三つの点を強く実感したことを詳述。この中で、国際社会が核兵器を違法化することは、北朝鮮に核開発を放棄させるうえでも大きな力になると強調しました。

 核兵器禁止条約の採択を新たなスタートとして、「核兵器のない世界」―核兵器完全廃絶へ進むうえで、▽条約そのものがもつ力▽条約をつくりあげた世界の多数の諸政府と市民社会の力▽核兵器保有国と同盟国で、核兵器禁止・廃絶をめざす世論を多数とし政治的力関係を変え、条約に参加する政府をつくる―の三つの力をあわせることが大切だと訴えました。

 志位氏は、唯一の戦争被爆国・日本で、政治を変えるたたかいはとりわけ重要だと述べると同時に、「野党と市民の共闘の課題」として核兵器禁止条約を位置付けることを提案。さらに、国際連帯を大きく発展させ、国内外で共同を強め、「核兵器のない世界」を実現しようと訴えました。

 最後に志位氏は、「党創立95周年にあたって何よりもの喜びは、これまでにない新しい友人を、日本でも、世界でも広げていること」だとのべ、その根本には、「党綱領という世界と日本の進路を見通す確かな羅針盤があり、それが生命力を発揮しています」と力説。日本共産党への入党を心を込めて訴えました。

 党創立100周年に向けて「95年のたたかいを経てつかんだ成果、切り開いた到達点に立って、開始された統一戦線を発展させ、安倍政権を倒し、野党連合政権に挑戦しようではありませんか」と呼びかけると、満場の拍手がわき起りました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本共産党の自主独立の立場への確信であり、世界の大局の動きが平和と進歩の 流れにあるという確信

2016-09-23 | 日本共産党の機関決定文書

第6回中央委員会総会

志位委員長の結語

 

 第6回中央委員会総会で志位和夫委員長が21日に行った討論の結語は次のとおりです。


写真

(写真)結語を述べる志位和夫委員長=21日、党本部

 みなさん、2日間の会議、お疲れさまでした。私は、幹部会を代表して、討論の結語を行います。

 この総会では、52人が発言をしました。たいへん豊かで充実した討論となったと思います。全国での幹部会報告の視聴は8752人であり、612通の感想文が寄せられております。

 討論でも感想でも、幹部会報告はきわめて積極的に受け止められ、深められています。参議院選挙の教訓、総選挙に向けた方針について、「大局的な視 点からすっきりと胸におちた」などという感想が寄せられました。党の自力の問題と「第27回党大会成功をめざす党勢拡大大運動」の提起が正面から受け止め られ、討論でも感想でも、たくさんの決意が語られました。全国からの感想文を読みますと、「大運動」成功への決意とともに、「こうやって取り組む」という 具体的行動の中身を書いてあるものも少なくありません。

 幹部会報告が、アジア政党国際会議を通じて明らかになった中国の問題点の解明と、日本共産党の奮闘をのべたことにたいして、強い反響とともに、確信をもったという声が、たくさん寄せられました。これは、半世紀以上におよぶ日本共産党の自主独立の立場への確信であり、世界の大局の動きが平和と進歩の 流れにあるという確信でもあると思います。

 そのうえで、討論を踏まえて、3点についてのべておきたいと思います。

日本共産党自身が、野党共闘を通じて、政治的に大きく成長している

 第一は、討論を通じて、野党と市民の共闘が、今後に生きる大きな財産をつくりだしたことが語られたということです。

 他の野党、市民との新しい連帯と信頼の絆が広がっていることについて、参院選1人区はもとより、複数区からも、生き生きと語られました。さらに、二つの点を強調しておきたいと思います。

 一つは、日本共産党自身が、野党共闘を通じて、党機関も、党支部も、政治的に大きく成長しているということです。とりわけ参院選1人区の県委員長のみなさんの発言を聞きますと、県委員長のみなさん自身がそうした政治的成長を体現しているということを強く感じます。

 1人区での野党共闘を成功させるために、いろいろな障害があっても辛抱強く、苦労しながら、誠実に力をつくすなかで、共闘の相手に前向きな変化が 生まれ、市民運動のみなさんとも力を合わせて、野党統一候補を実現する。その後の選挙戦も簡単ではありませんでしたが、たたかいを通じて一歩一歩、情勢を 前向きに打開していった。こういう取り組みが語られました。

 この取り組みを通じて、わが党自身が多くのものを学び、成長している。本格的な“他流試合”――他の政党との話し合い、さまざまな市民団体との話 し合いを行い、共闘の流れをつくりだすことに貢献していく。そういう力量を身につけていったということでは、わが党自身も大きな成長をとげつつあるので す。これは、私は、野党と市民の共闘がわが党にもたらした大きな収穫だと思います。

 日本共産党の田辺健一さんが野党統一候補となった香川県からの発言で、「民進党の県連代表から、『どうですか? 1人区で野党共闘となって、選挙 たいへんでしょ』と言われた。彼らは、選挙は『勝つ』『負ける』、1人区であれ何人区であれ、そこに焦点をあてて活動する。その水準から考えて私たちはど うかと問われたなと思う」というものがありました。わが党自身も、他党のみなさんが1人区で勝利というところにかける気持ちや決意に学ばされるところが あったという発言でした。

 そうしたことも含めて、このたたかいを通じて、わが党も学び、鍛えられ、成長している。これは、今後につながる大きな収穫として確認できるのではないでしょうか。

野党と市民の共闘は、曲折があっても、後戻りすることは決してない

 いま一つは、参議院選挙の後も全国各地で、総選挙に向けて、「今後も野党共闘を発展させよう」という話し合いが行われていることです。

 それは、選挙の終わった後のご苦労さん会、総括会議、今後の協力についての会議など、いろいろな形で行われています。そして話し合ってみれば、実践を通じて、野党共闘という道に大義があり、たしかな威力がある。それは誰も否定できない。

 今後、野党と市民の共闘がどうなるか。私たちの立場は、幹部会報告でのべたように確固としたものですが、曲折もありうるでしょう。ただ、今後、曲 折があったとしても、大局でいえば、後戻りすることは決してないと、言い切っていいと思います。そこはぜひ全体の確信にして、今後もこの道を発展させてい きたい。

 当面、総選挙の選挙協力が問題となりますが、そのための政党間協議は中央段階で責任をもって行います。同時に、それぞれの地域で共通政策の実現の ためのたたかいとともに、野党共闘のための意見交換は進めていただきたい。全国で地域から大きな流れをつくりながら、中央でまとめていく作業を今後やって いきたいと思います。

新しい情勢のなかで、党綱領が大きな生命力を発揮している 

 第二は、討論を通じて、新しい情勢のなかで、党綱領が大きな生命力を発揮していることが語られたということです。

 党綱領が、統一戦線論、日本改革論、世界論など、どの問題でも、いまの激動的な情勢のもとで、躍動的な力を発揮している。そのことが発言でも語られ、感想でもたくさん寄せられています。

 発言では、たいへん印象深いエピソードがたくさん報告されました。

 京都府からの発言では、今度の参院選挙で初めて党を応援してくれた女性の社長さんが、選挙後、綱領の公開講座に参加した。その社長さんは、「野党 共闘の中核である共産党の綱領を学ばなくては」と考えてやってきたということでした。そして綱領と規約の話を聞いて、「綱領の話はすっきり分かった。党規 約の第2条には涙が出た」という感想文を寄せたとのことでした。党規約第2条の「(党は)つねに国民の切実な利益の実現と社会進歩の促進のためにたたか い、日本社会のなかで不屈の先進的な役割をはたすことを、自らの責務として自覚している」という部分に「涙が出た」という話でありました。初めて党を応援 してくれた方が、綱領に注目して公開講座に参加し、こういう感想をのべる。

 埼玉県からの発言では、選挙後、市民グループのみなさんが県委員会にこられていろいろな話をした。先方から「国民政党に共産党がなりきれていない 理由は綱領にあるのではないか」という質問がぶつけられた。県委員長が綱領の基本点を説明し、「綱領が国民と党を隔てているのではない。綱領は国民と党を しっかりと結びつけているものです」と懇切に説明した。そうしたら先方は「まいりました」と納得してくれた。これも綱領を通じて日本共産党の本当の姿が分 かったとの報告でした。

 それから、これも香川県からの発言ですが、民進党の県連代表が、「私は、3年前、旧民主党時代の綱領策定にかかわり、各党の綱領を勉強した。その とき、共産党の綱領が非常に現実的、柔軟な路線になっているんだなと感じた記憶がありました。しかし県内にはまだまだ共産党にアレルギーを持つ人がいるの も実情です。田辺(健一)候補にいいたたかいをしてほしいという立場から、共産党への誤解を解く努力をしなければと思い、確認書を共産党に提案させてもら い、ご理解をいただきました。私もお手伝いしますが、共産党にはさらにPRを強めていただきたい」と発言したことが紹介されました。他の政党の方が、綱領 に注目して、この内容をもっとPRし、誤解を解き、共産党の姿を広げてほしいと言っているというのは、たいへんに印象深いできごとでした。

 野党と市民の共闘が広がる激動の情勢のもとで、綱領が、党と国民を結びつける最良の文書として大きな力を発揮しています。今後のわが党の躍進とい うことを考えた場合、その根本にすえる文書は綱領です。党建設を進める場合にも根本にすえる文書は綱領です。党躍進と強大な党建設を進める最も根本的な条 件と可能性は、綱領が今日の情勢のなかで、大きな生命力を発揮しているという事実のなかにある。ここに確信をもって頑張りぬきたいと思うのであります。

「大運動」――「意義も必要性も分かる。でも自信がない」の声をどう突破するか

 第三は、「第27回党大会成功をめざす党勢拡大大運動」についてです。すべての発言者から「大運動」成功への決意と抱負が語られました。

 幹部会報告では、「大運動」の政治的意義について、「第26回党大会期の活動の総仕上げ」をはじめとする三つの点を訴えました。「大運動」の必要性にかかわっては、「党の自力」の現状を率直に報告しました。

 発言でも、全国からの感想でも、「大運動」の政治的意義はよく分かる。必要性もよく分かる。しかし、やり切れるかとなると大変だ。自信がない。率 直に言って、こうした声が少なくないわけです。ここを突破できるかどうかということが、「大運動」の成否を握っていると思います。

 1日目の討論を聞いても、そういう問題を感じましたので、党三役で相談して、2日目の冒頭に、執行議長の山下副委員長から、「ここに焦点をあて て、ぜひ討論で深めていただきたい」という問題提起をしました。その問題提起を受けて、2日間の討論で、この問題が深められ、ここを突破するいろいろなヒ ントがつかめたと思います。

 幹部会報告では、「『大運動』をどう推進するか」の冒頭で、「みんなが創意と自発性を発揮し、全国の知恵と経験を交流しながら、この運動を成功さ せたい」と強調しました。今度の「大運動」は、実践のなかで探求し、開拓しながら、成功させる。こういう精神で取り組みたいと思うのです。

「支部が主役」――支部に出かけ、支部から学び、一緒に知恵と力をつくす

 「大運動」を成功させるうえで、討論を通じて、三つの点が深められたと感じました。

 一つは、「支部が主役」で全支部、全党員の運動にしていくという基本に徹する。この方針をどうやって実践していくかということです。

 千葉県からの発言で、党支部に足を運び党員を増やしたという、自らの次のような経験が語られました。

 「ある支部の支部会議に出ると、議題に党員拡大の行動計画がなかった。しかし、支部の議論を聞いていると、いろいろな国民運動にさかんに取り組 み、結びつきを広げていることが分かりました。支部長さんから、『何かありますか』と最後に水を向けられて、『自力をつけて総選挙に勝ちたい。党員拡大を なんとしても』と訴えました。そうしたらその場で5人の名前があがり、3日後に働きかけを行おうと提案すると、『分かった』となって、さっそく40代の女 性を党に迎えることができた。支部は結びつきをもっている。支部に出かけ、支部から学ぶ。さまざまな活動に頑張る支部と党員へのリスペクト(敬意)が大切 です。これが『大運動』成功の機関活動の基本です」

 その通りだと思います。支部に足を運び、支部がどんな活動をやっているのか、支部がどんなたたかいに取り組み、どんな結びつきをもっているのか、 それらをじっくりと聞いて、そのなかから党勢拡大の条件をつかみ、支部と一緒になって増やす――こういう姿勢が大事だと思います。

 「支部が主役」といった場合、「車の両輪」の活動――国民の要求実現のたたかいに取り組みつつ、党建設・党勢拡大の独自の追求をはかるという活動の重要性も、討論で深められました。

 青森県からの発言で、「青森の青年を戦死者にしない」とのスローガンを掲げて頑張っているということが報告されました。地区委員会として独自のポ スター、署名ビラをつくって、広く働きかけている。発言では、このたたかいをやればやるほど、支部が草の根でもっているつながり、結びつきを生かし、「大 運動」を成功させる力にもなる、そういうたたかいにしていきたい、という決意が語られました。「車の両輪」は「支部が主役」というさいの根本の活動姿勢だ と思います。

 前大会以降、あらゆる分野で、切実な要求にもとづく「一点共闘」が広がっています。支部は、もちろん程度の差はあるでしょうが、さまざまなたたか いに取り組んでいるはずです。また、野党と市民の共闘が広がるなかで、それぞれの支部は、これまでの垣根を越えて、いろいろな協力を広げているはずです。 さらに、それぞれの支部は、地域・職場での身近な要求にもとづいた活動にも取り組んでいるはずです。

 激動の情勢のもとで、支部には、たくさんの可能性が豊かに蓄積されていると思うのです。支部に足を運んで、この「鉱脈」を発見して、一緒に知恵と力をつくして、党建設に実らせるという活動にぜひ取り組み、「大運動」を成功させたいと思います。

「綱領を語り、日本の未来を語り合う集い」を、文字通り日本列島津々浦々で

 二つ目に、幹部会報告では、「綱領を語り、日本の未来を語り合う集い」を、「大運動」を成功させる“推進軸”にしようということを訴えました。「集い」の重要性が、多くの発言で強調されました。

 和歌山県からの発言は、たいへん教訓的だと思って聞きました。二つの支部の経験が報告されました。

 一つは、和佐支部の経験です。「党大会に支部長が参加し、一念発起して『集い』をしようとなった。『集い』をずっと積み重ねて、2年半で6人を党に迎え、党勢を2倍以上にした。選挙の支持拡大は、目標の3・5倍を達成した」という報告でした。

 もう一つは、古座川町支部の経験です。「2013年の初めから『集い』を毎月1回やろうと進めてきた。42の区があるけれども、38回の『集い』 を行い、すべての区を一巡した。『集い』の取り組みを通じて、党員は4年前には12~13人だったのが、新たに16人を迎えて、倍以上にしている」という 報告でした。

 どちらも「集い」が大きな威力を発揮しています。和歌山県の発言では、「『集い』の効能」として二つの点が言われました。

 一つは、「『集い』を行うことは、その地域に共産党があることを示すことになる。本物の生きた共産党を見ることが少ない地域で、『共産党です』と 声をかけると『共産党という人間がおるんだ』と分かり、党への親近感が高まる。党支部の人も自分たちが党支部として共産党なんだという自覚が出て、『支部 が主役』の活動をおのずとするようになる」ということです。「集い」をやろうと思ったら、チラシをつくるなども含めて、共産党の“旗”を立てなければなり ません。そのことを通じてこういう変化が起こってくる。

 二つは、「『集い』をすると地域の要望がその場で出される。それを解決する道筋について話し合い、それが党勢拡大にもつながっていく」ということです。

 綱領を語り、日本をどう変えるか、地域・職場・学園をどう変えるか、このことを大いに語り合いながら、入党の呼びかけも大いに大胆に行う。「記念 講演」のダイジェストDVDも大いに活用し、気軽にどんどん開く。こういう取り組みとして、「集い」を、文字通り、日本列島津々浦々で網の目のように開 き、これを“推進軸”として、「大運動」を成功させたいと思います。

党機関の長がやり抜く構えを固める――ここに成否を分ける決定的カギが

 三つ目は、「大運動」を成功させようと思ったら、党機関の長がやり抜く構えを固める。これが決定的に大切だということが、発言でも浮き彫りにされました。

 福岡県からの発言で、直鞍地区委員会の経験が報告されました。この地区はこの3年間で現勢比で126%に党員を増やし、党費納入者も123%に増 やしたとのことでした。発言では「いろいろな教訓はあるが」としながら、最大の教訓として次のようにのべました。「最大の教訓は、地区委員長の党づくりに 対する構えが一貫していることです。党をつくって、自力をつけ、国民運動も発展させ、選挙で勝つという揺るがない姿勢を堅持している。この姿勢に学べば、 『大運動』を必ず成功させることができる」

 討論では、若い世代の中での党づくりについても、たくさんの先駆的な取り組みの報告がありました。職場での党づくりについても、今回の参院選で、 野党と市民の共闘に取り組むなかで、労働運動のナショナルセンターの違いを超えて、いろいろな新しい結びつきができるなど、党づくりの大きな条件が広がっ ているという報告がありました。そして、こうした若い世代、職場での党建設を前進させるうえでも、機関の長の姿勢が決定的だということが、強調されまし た。

 東京都からの発言で、南多摩地区の経験が報告されました。この地区委員会では2014年以降、民青同盟員を31人、28カ月連続で拡大し、青年党 員を12人、うち学生党員を4人迎えています。発言では、その教訓として、「地区委員長が『二大政治目標』として、都議選で定数2の日野選挙区と南多摩選 挙区で勝てる党をめざすことと、世代的継承の青年対策を軌道に乗せることを掲げ、目的意識的に追求してきた」ことが報告されました。

 「大運動」を成功させるためには、党機関の長が本当にやり抜く決意を、底の底まで固めることがいかに大事かということが、討論を通じても深められたと思います。

 討論のなかでは、率直な反省ものべられました。

 ある発言では、「この間の選挙での得票が実力以上の結果だと指摘されながらも、いつの間にか選挙で躍進を続けてきたことから、今度も躍進するだろうと、党づくりへの真剣な努力がわきに置かれてしまった」という率直な反省がのべられました。

 ある発言では、「党建設の根幹である党員拡大の課題は、いついかなる時も手放してはいけないといわれながらも、実際には後景に追いやってしまって いた。ほとんど独自追求がなくなっている。党員の成果がなくてもあまり問題にしない。これではいけない」という反省がのべられました。

 ある発言では、「いま党勢拡大というと、正直に言って、読者拡大だけになってしまっている。その読者拡大も月末対策でなんとか減らさなければよいとなってしまって、結局それもうまくいかないということになってしまっている」という反省がのべられました。

 こうした発言を聞いて、私たち党中央も、党員拡大の課題を、いついかなる時にも確固としてやり抜く構えを堅持する、そのためにイニシアチブを発揮するという点で、自己検討が必要だと痛感したしだいです。

 この「大運動」が成功するか否か、決定的なカギを握っているのは、党機関の長がやり抜く構えを固めることにある。そして党機関のなかで、私たち中 央役員が最も重い責任を担っているわけですから、私たち中央役員のすべてが、「大運動」の目標を必ずやり抜く構えを固めて、全党のけん引車になろうではあ りませんか。

この大会期の中央委員会の仕事を振り返って――党勢拡大で必ず高揚を

 この大会期の中央委員会の仕事を振り返ってみますと、まず2014年11月の2中総で、総選挙勝利のための緊急の意思統一を行い、その直後の12月の総選挙では大躍進をかちとりました。

 つづいて、2015年1月の3中総で、いっせい地方選挙勝利のための意思統一を行い、4月のいっせい地方選挙では全体として躍進をかちとり、党史上初めて県議空白をなくすという快挙をなしとげました。

 つづいて、戦争法案=安保法制に反対する国民的大闘争をたたかい、2015年9月19日の4中総で、「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」を打ち出し、この方針にもとづいて、野党と市民の共闘を大きく発展させ、情勢を大きく変えることに貢献しました。

 つづいて、2016年4月の5中総では、参議院選挙を、野党と市民の共闘の勝利、日本共産党躍進という二大目標を掲げてたたかうという方針を決め、7月の参院選では全体として大健闘という結果を得ました。

 こうして、一つひとつの中央委員会総会で確認した方針を、一つひとつやりあげてきた。全党のみなさんと心を一つにした奮闘によって、大きな成果を あげてきたと言えると思うのです。国政と地方政治におけるわが党の比重が大きく高まった。国民運動という点でも画期的な前進をつくりだした。統一戦線運動 でも新しい領域にふみこんだ。それをやるうえで、この中央委員会がやってきた仕事というのは大きなものがあります。一つひとつの中央委員会総会の決定が、 新しい歴史をつくってきたのが、この大会期だと思うんです。

 ただ、残念ながら、党建設ではまだ成功していない。いろいろな努力がありました。「躍進月間」にも取り組み、戦争法案反対の大闘争と結んだ「大運動」にも取り組みました。頑張ってやってきたけれど、ここは残された宿題、課題になっています。

 この課題を、第26回党大会で選出された中央委員会の最後の大仕事としてやり抜こうではありませんか。中央役員が先頭に立ち、全党の力を一つに集めて、必ず「大運動」を成功させようではありませんか。

 そしてこの9月が大事です。最初からのスタートダッシュが大事です。党員拡大を根幹にすえてみるべき前進を必ずかちとる。「しんぶん赤旗」読者の 拡大でも、日刊紙と日曜版で、それぞれみるべき前進を必ずかちとる。そして、10月、11月、12月、1月と、拡大の波を末広がりに発展させていく。そう した党勢拡大の大きな高揚をつくりだしていく先頭に立つ決意をお互いに固めあって、討論の結語とします。頑張りましょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第27回党大会を党史に新たなページを刻む歴史的大会として大成功させよう」と総決起を訴 えました。

2016-09-21 | 日本共産党の機関決定文書

野党・市民の共闘、党躍進へ強く大きな党をつくろう

日本共産党が第6回中央委員会総会

党大会に向け「党勢拡大大運動」

志位委員長が報告

 
Yahoo!ブックマークに登録

 

 日本共産党は20日、党本部で第6回中央委員会総会を開きました。会期は21日までの2日間。志位和夫委員長が、参院選の教訓を明らかにするとと もに、総選挙に向けた取り組み、国際問題のいくつかの焦点、秋のたたかいの課題、第27回党大会をめざす党勢拡大の特別の取り組みについて、幹部会報告を 行いました。(国際問題詳報)


写真

(写真)志位和夫委員長が幹部会報告をする第6回中央委員会総会=20日、党本部

 志位氏は、野党共闘の勝利と日本共産党の躍進という二大目標を掲げてたたかった参院選の結果について述べ、その政治的教訓を、(1)選挙戦の全体 像(2)野党共闘攻撃、日本共産党攻撃とのたたかい(3)安倍・自公政権の多数の議席をどうとらえるか―の三つの点で解明。党の宣伝組織活動の教訓につい て、5中総決定の「四つの構え」に照らして、多くの積極的教訓とともに、今後の課題を浮き彫りにしました。

 この中で志位氏は、「党の自力」の問題が最大の弱点であり反省点であるとして、「野党と市民の共闘、日本共産党の躍進という二つの大仕事をやり抜 くためには、党の自力の弱点を克服し、強く大きな党をつくることが絶対不可欠です。このことを参院選の最大の教訓として銘記し、この歴史的情勢を主導的に 切り開く党をつくろうではありませんか」と呼びかけました。

 総選挙に向けた二つの大目標として、野党と市民の共闘を本格的に前進させるとともに、「比例を軸に」の方針を貫き、比例代表で「850万票、 15%以上」を目標に日本共産党の躍進に挑戦することを提起。野党共闘のさらなる発展とともに、政党間の共闘の基本について述べました。

 国際問題では、北朝鮮問題とアジア政党国際会議を中心に報告しました。

 志位氏は、日本の情勢の特徴と秋のたたかいの課題として、平和、民主主義、暮らしを壊す暴走政治を加速しようとしている安倍政権の「だまし討ち」 の政治が、国民との矛盾を広げることは必至だと指摘し、各分野で暴走政治を包囲するたたかいを発展させようと強く呼びかけました。当面する安保法制=戦争 法、憲法問題、暮らしと経済、環太平洋連携協定(TPP)、原発再稼働、沖縄米軍基地の各分野のたたかいについて課題と展望を詳述しました。

 たたかいの構えについて、(1)日本共産党が、どんな問題でも、国民の立場にたった対案を明らかにしており、それを堂々と対置し、実現のために力をつくすこと、(2)野党と市民の共闘を発展させる原動力は、国民、市民のたたかいだということを強調しました。

 27回党大会成功をめざす「党勢拡大大運動」について、期間を6中総から党大会を開く来年1月末までの4カ月余とし、強く大きな党づくりのため に、全党があらゆる力をそそぐことを訴えました。党勢拡大を根幹にすえ、目標として、(1)すべての党支部・グループが新しい党員を迎え、全党的に2万人 の党員拡大に挑戦する(2)「しんぶん赤旗」の読者拡大では、すべての都道府県、地区委員会、支部・グループが、26回党大会時水準を回復・突破し、全党 的には日刊紙2万人増、日曜版10万5千人増をめざす―ことを掲げました。26回党大会の活動の総仕上げとして位置づけて取り組むことをはじめ、大運動の 政治的意義について述べ、「『党勢拡大大運動』を必ず成功させ、第27回党大会を党史に新たなページを刻む歴史的大会として大成功させよう」と総決起を訴 えました。

 最後に、来年6月の東京都議選について、国政選挙での党躍進をかちとるうえでも重要な意義をもつとして、勝利に向けて全国から支援を集中することを呼びかけました。

第27回党大会 来年1月15日から

 
Yahoo!ブックマークに登録

 

 第6回中央委員会総会は、第27回党大会の開催についての幹部会の提案を拍手で確認しました。

 招集日は2017年1月15日。会期は18日までの4日間。議題は、(1)大会決議と中央委員会報告(2)新中央委員会の選出(3)その他です。

 27回党大会は、野党と市民の共闘の前進、日本共産党の“第3の躍進”の発展、2010年代に「成長・発展目標」を達成することをめざし、内外情勢の分析と、この3年間の党活動の総括を行い、今後の方針を決定する歴史的な意義を持つ大会となります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どんな場合でも、野党共闘と共産党躍進の二つを握って離さないことが大切です」と力説。

2016-04-12 | 日本共産党の機関決定文書

新しい歴史的局面 野党共闘の成功と党躍進へ

参院選勝利へ共産党が5中総開く

かつてない挑戦で比例850万票・15%以上、複数区勝利を

志位委員長が報告・結語

 

 日本共産党は10、11の両日、党本部で第5回中央委員会総会を開き、志位和夫委員長が行った幹部会報告と結語を全員一致で採択しました。総会 は、参院選投票日まで3カ月と目前に迫る中、安倍政権打倒をめざし、野党共闘の成功、日本共産党の躍進を勝ち取るという、これまでにない新しいたたかいに 挑戦することを確認しました。2日間で54人が発言し、「かつてない情勢のもとで、かつてない挑戦を」との決意を次々に表明し、熱気であふれました。報告 はインターネット中継によって全国で視聴されました。


写真

(写真)幹部会報告をする志位和夫委員長=10日、党本部

 志位委員長は、(1)現在の情勢の特徴と参院選の意義(2)参院選の政治論戦(3)選挙戦の宣伝・組織活動をどう進めるか―の三つの主題で報告しました。

 情勢について、歴史の本流と逆流が真正面からぶつかりあう戦後かつてない新しい歴史的局面が生まれているとして、独裁政治に道を開く非常事態に直 面▽同時に日本の歴史でも初めての市民革命的な動きの始まり▽いま戦後最大の歴史的岐路にあり、参院選は最初の一大政治戦となる―という情勢の特徴を示し ました。

 5野党党首会談(2月19日)の画期的な意義として、日本の戦後政治史で初めて▽時の政権の打倒を正面の目標に掲げ、野党が全国的規模で選挙協力 ▽広範な市民・国民の運動と野党との共同の力でたたかう―こと、そして日本共産党が「戦争法廃止の国民連合政府」を「提案」し、現実政治に大きな影響を与 え動かす力を発揮したことは党の歴史でも初めて―という三つの点を明らかにしました。その上で、5野党合意に基づく野党共闘の到達点と今後の課題を四つの 角度から詳述。衆院小選挙区での協力態勢の構築は「急務」だとし、「本格的な具体化がはかられれば、多くの小選挙区で与野党が逆転し、情勢の大激変が生ま れることは明らかです」と強調しました。

 参院選の意義と目標として、野党共闘を必ず成功させるとともに、日本共産党の躍進を必ず勝ち取ることを力説。比例代表を軸に「全国は一つ」の立場で大奮闘し、全国で「850万票以上、15%以上」を獲得、8議席の絶対確保と9議席への挑戦を訴えました。

 参院選の政治論戦では、他の野党、市民と力をあわせて戦争法廃止、立憲主義回復を最大争点にすえてたたかおうと呼びかけ、戦争法の三つの大問題を 告発しました。このうち集団的自衛権の本質として、米国の言われるままに集団的自衛権を発動して侵略国の仲間入りをし、国民を進んで危険にさらすことを解 明しました。

 志位氏は、「アベノミクス」、環太平洋連携協定(TPP)、原発、沖縄米軍基地、外交について、安倍政権が進めてきた暴走がどの分野でも破綻しつ つあると詳しく述べ、党躍進で暴走政治にピリオドを打ち、政治の転換をはかろうと訴え。日本共産党の三つの値打ちを語るとともに、政府・与党による攻撃に 対して、他の野党、市民の運動と力をあわせて打ち破ろうと呼びかけました。

 志位氏は、かつてない情勢のもとでの選挙戦にのぞむ構えを4点にわたって強調し、「参院選は、戦後かつてない新しい歴史的局面が生まれるもとで、 日本の戦後政治史のなかでも初めて野党と市民が力をあわせてたたかう歴史的選挙となります。投票日まで3カ月。一日一日が歴史を分ける重要な日々となりま す。力あわせ、選挙に勝ち、安倍政権を倒し、新しい政治、新しい政府への道を開こうではありませんか」と呼びかけました。

志位委員長が結語 5中総

 日本共産党第5回中央委員会総会2日目の11日、志位和夫委員長が討論の結語を行いました。

 志位氏は、2日間で54人が発言し、幹部会報告の提起が正面から受け止められ、豊かに深めるものだったとのべ、インターネットを通じた全国の視聴 は1万1828人と、中央委員会総会として最高となったことを紹介。国民的大義を掲げた野党共闘にとりくむ党の奮闘が生き生きと語られたことを示し、「日 本共産党の活動が新しい段階に入っていることを示す、まさに歴史的総会となりました」と、5中総の歴史的な意義を強調しました。

 討論では、野党・市民の共闘が進むなかで情勢の激変が生き生きと語られ、その中で、(1)「政治は変えられる」という希望が、これまでになく広範 な人々から語られているという国民全体の中に大規模な変化が起きている(2)国民と党との関係が大きく変わりつつある―ことをあげました。とりわけ、日本 共産党が野党共闘で果たしている役割に「よく英断してくれた」「初めて共産党を好きになった」と他の野党を含め多くの激励が寄せられていることはうれしい ことだと語りました。

 志位氏は、「全国の皆さんが大変な苦労をしながら、新しい画期的な情勢を切り開いてきたことに、互いに深く確信を持とう」と力を込めるとともに、 「これは未来をひらく苦労です。市民と力をあわせて、ここまで情勢を動かしてきました。それを必ず選挙の結果に実らせようではありませんか」と呼びかけま した。

 参院選の二つの目標―野党共闘の成功、「比例を軸」にした日本共産党躍進―について、「この二つを一体的に推進することができる広大な条件が広がっていることが生き生きと交流された」と強調し、その条件をくみ尽くすたたかいを呼びかけました。

 とくに「比例を軸」に日本共産党躍進にとりくむことの重要性について、野党共闘の成功のために誠実に力を尽くしつつ、「1人区がどのような形になるにせよ、日本共産党を比例で躍進させることの重要性にいささかの変わりもありません。同時並行で今すぐ本格的な軌道に乗せるため、どんな場合でも、野党共闘と共産党躍進の二つを握って離さないことが大切です」と力説。その上で、たたかいの構図として、「二大政党」の「政権選択論」という構図がいまやすっ かりなくなり、「日本共産党がたたかいの対決構図の一方の極の中で重要な役割を果たしています。こんなにたたかいやすい選挙はありません」と党躍進の大き な展望を示しました。

 志位氏は、「歴史的な5中総決定を、一刻を争って全党のものにしよう」と語るとともに、「到達点をお互いに冷厳に見て、5中総を跳躍台として、活 動を飛躍的な前進の軌道にのせることがどうしても必要です」と強調。「全党が力を一つにあわせ、広範な市民・国民と共同して、歴史的政治戦、参院選で必ず 勝利と躍進をつかもうではありませんか」と呼びかけると、会場は盛大な拍手が響きました。

 志位氏は、5中総で決めた中央の新しい指導体制についても説明しました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

戦争法廃止で一致する政党・団体・個人が共同して国民連合政府をつくろう

2015-09-19 | 日本共産党の機関決定文書

「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の実現をよびかけます

2015年9月19日 日本共産党中央委員会幹部会委員長 志位和夫


 安倍自公政権は、19日、安保法制――戦争法の採決を強行しました。

私たちは、空前の規模で広がった国民の運動と、6割を超す「今国会での成立に反対」という国民の世論に背いて、憲法違反の戦争法を強行した安倍自公政権に対して、満身の怒りを込めて抗議します。

同時に、たたかいを通じて希望も見えてきました。戦争法案の廃案を求めて、国民一人ひとりが、主権者として自覚的・自発的に声をあげ、立ち上がるという、 戦後かつてない新しい国民運動が広がっていること、そのなかでとりわけ若者たちが素晴らしい役割を発揮していることは、日本の未来にとっての大きな希望で す。

国民の声、国民の運動にこたえて、野党が結束して、法案成立阻止のためにたたかったことも、大きな意義をもつものと考えます。

このたたかいは、政府・与党の強行採決によって止まるものでは決してありません。政権党のこの横暴は、平和と民主主義を希求する国民のたたかいの新たな発展を促さざるをえないでしょう。

私たちは、国民のみなさんにつぎの呼びかけをおこないます。

 

1、戦争法(安保法制)廃止、安倍政権打倒のたたかいをさらに発展させよう

 

戦争法(安保法制)は、政府・与党の「数の暴力」で成立させられたからといって、それを許したままにしておくことは絶対にできないものです。

何よりも、戦争法は、日本国憲法に真っ向から背く違憲立法です。戦争法に盛り込まれた「戦闘地域」での兵站、戦乱が続く地域での治安活動、米軍防護の武器 使用、そして集団的自衛権行使――そのどれもが、憲法9条を蹂躙して、自衛隊の海外での武力行使に道を開くものとなっています。日本の平和と国民の命を危 険にさらすこのような法律を、一刻たりとも放置するわけにはいきません。

戦争法に対して、圧倒的多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、元最高裁判所長官を含むかつてない広範な人々から憲法違反という批判が集中しています。こ のような重大な違憲立法の存続を許すならば、立憲主義、民主主義、法の支配というわが国の存立の土台が根底から覆されることになりかねません。

安倍首相は、〝国会多数での議決が民主主義だ〟と繰り返していますが、昨年の総選挙で17%の有権者の支持で議席の多数を得たことを理由に、6割を超える 国民の多数意思を踏みにじり、違憲立法を強行することは、国民主権という日本国憲法が立脚する民主主義の根幹を破壊するものです。

私たちは、心から呼びかけます。憲法違反の戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義をとりもどす、新たなたたかいをおこそうではありませんか。安倍政権打倒のたたかいをさらに発展させようではありませんか。

 

2、戦争法廃止で一致する政党・団体・個人が共同して国民連合政府をつくろう

 

憲法違反の戦争法を廃止するためには、衆議院と参議院の選挙で、廃止に賛成する政治勢力が多数を占め、国会で廃止の議決を行うことが不可欠です。同時に、 昨年7月1日の安倍政権による集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を撤回することが必要です。この2つの仕事を確実にやりとげるためには、安倍自公政権を 退陣に追い込み、これらの課題を実行する政府をつくることがどうしても必要です。

私たちは、心から呼びかけます。〝戦争法廃止、立憲主義を取り戻す〟――この一点で一致するすべての政党・団体・個人が共同して、「戦争法(安保法制)廃 止の国民連合政府」を樹立しようではありませんか。この旗印を高く掲げて、安倍政権を追い詰め、すみやかな衆議院の解散・総選挙を勝ち取ろうではありませ んか。

この連合政府の任務は、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を撤回し、戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義をとりもどすことにあります。

この連合政府は、〝戦争法廃止、立憲主義を取り戻す〟という一点での合意を基礎にした政府であり、その性格は暫定的なものとなります。私たちは、戦争法廃 止という任務を実現した時点で、その先の日本の進路については、解散・総選挙をおこない、国民の審判をふまえて選択すべきだと考えます。

野党間には、日米安保条約への態度をはじめ、国政の諸問題での政策的な違いが存在します。そうした違いがあっても、それは互いに留保・凍結して、憲法違反 の戦争法を廃止し、立憲主義の秩序を回復するという緊急・重大な任務で大同団結しようというのが、私たちの提案です。この緊急・重大な任務での大同団結が はかられるならば、当面するその他の国政上の問題についても、相違点は横に置き、一致点で合意形成をはかるという原則にたった対応が可能になると考えま す。

この連合政府の任務は限られたものですが、この政府のもとで、日本国憲法の精神にそくした新しい政治への一歩が踏み出されるならば、それは、主権者である 国民が、文字通り国民自身の力で、国政を動かすという一大壮挙となり、日本の政治の新しい局面を開くことになることは疑いありません。

 

3、「戦争法廃止の国民連合政府」で一致する野党が、国政選挙で選挙協力を行おう

 

来るべき国政選挙――衆議院選挙と参議院選挙で、戦争法廃止を掲げる勢力が多数を占め、連合政府を実現するためには、野党間の選挙協力が不可欠です。

私たちは、これまで、国政選挙で野党間の選挙協力を行うためには、選挙協力の意思とともに、国政上の基本問題での一致が必要となるという態度をとってきま した。同時に、昨年の総選挙の沖縄1~4区の小選挙区選挙で行った、「米軍新基地建設反対」を掲げての選挙協力のように、〝国民的な大義〟が明瞭な場合に は、政策的違いがあってもそれを横に置いて、柔軟に対応するということを実行してきました。

いま私たちが直面している、戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義をとりもどすという課題は、文字通りの〝国民的な大義〟をもった課題です。

日本共産党は、「戦争法廃止の国民連合政府」をつくるという〝国民的な大義〟で一致するすべての野党が、来るべき国政選挙で選挙協力を行うことを心から呼びかけるとともに、その実現のために誠実に力をつくす決意です。

この間の戦争法案に反対する新しい国民運動の歴史的高揚は、戦後70年を経て、日本国憲法の理念、民主主義の理念が、日本国民の中に深く定着し、豊かに成 熟しつつあることを示しています。国民一人一人が、主権者としての力を行使して、希望ある日本の未来を開こうではありませんか。

すべての政党・団体・個人が、思想・信条の違い、政治的立場の違いを乗り越えて力をあわせ、安倍自公政権を退場させ、立憲主義・民主主義・平和主義を貫く新しい政治をつくろうではありませんか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

政治を劣化・堕落させる二つの元凶=政党助成金・小選挙区制、この制度を克服してゆくことを訴 えた。

2015-01-21 | 日本共産党の機関決定文書

日本共産党第3回中央委員会総会について

2015年1月20日 日本共産党中央委員会書記局

 

 

 一、日本共産党第3回中央委員会総会は、いっせい地方選挙まで2カ月と迫った1月20日、党本部で開かれた。

 一、志位和夫委員長が、(1)総選挙の結果と教訓、(2)当面する党の政治的任務、(3)いっせい地方選挙の方針――の三つの柱で幹部会報告をお こなった。(1)で報告は、昨年12月の総選挙で、党が第26回大会で定めた目標を「基本的に達成」し、第25回大会で定めた「成長・発展目標」達成へ 「重要な前進を記録した」ことを確認した。報告は、「支配勢力のこれまでの反共戦略の全体」を打ち破って「本格的な『自共対決』の時代」をもたらしたとこ ろに、総選挙結果の歴史的意義があることを、半世紀の歴史と全党の10年余の「苦闘」をふりかえりつつ解明した。報告は、政治論戦、国民との共同、宣伝・ 組織活動、党の自力のそれぞれで教訓と課題を明らかにし、このなかで、自力についての党の「弱点を打開することこそ、本格的な躍進の保障」と力説した。報 告は、次期国政選挙の目標を比例代表選挙で「850万票、得票率15%以上」にすることを提案した。

 (2)で報告は、安倍政権の反動的野望と危険性を直視するとともに、「恐れる必要はない」として、安倍政権の三つの「致命的弱点」を指摘した。選挙戦を通じて党が強調した「暴走ストップ、五つの転換」の決着は、これからのたたかいにかかっており、国会での力を縦横に活用して奮闘する決意を表明し た。その上で、戦後70年の節目の年である今年を「新しい歴史をつくる転機の年」にするための焦点、課題として、憲法問題、歴史問題、核兵器問題をあげて 詳説した。歴史問題では、今年を「日本とアジア諸国の『和解と友好』に向かう年」にするために「日本の政治がとるべき五つの基本姿勢」を提唱した。今年は また、政治を劣化・堕落させる二つの元凶=政党助成金・小選挙区制が導入されて20年であり、国民的な運動・討論によってこの制度を克服してゆくことを訴 えた。

 (3)いっせい地方選挙の方針で報告は、基本姿勢の問題として、党躍進の大きな客観的可能性があるもとでそれを余さずくみつくすこと、同時にやる べきことをやりつくすことを、具体的事実をあげて強調した。政治目標について報告は、「地方議会第1党奪回」をめざして奮闘しつつ、「県議空白ゼロ」の達 成、大阪で維新の党の野望を許さないことなどを強調した。政治論戦にかんして報告は、国政上の争点と日本共産党の値打ちを語ること、地方政治の主要な争点 での留意点、日本共産党地方議員(団)の値打ちを生き生き押し出すこと――などを具体的に明らかにした。宣伝・組織活動については、「支部が主役」の選挙 戦、草の根の宣伝力の総発揮、結びつきを生かした対話と支持拡大の飛躍、党勢拡大の独自追求、一大募金運動への取り組み、臨戦態勢の即時確立の6点を簡潔 に解明した。

 報告は最後に、“第3の躍進”を地方政治でも花開かせるために全党が心一つに大奮闘することをよびかけた。

 一、総会では、この報告について22人が討論した。

 一、志位委員長が結語をのべた。結語は、総選挙の結果の歴史的意義にかかわって、党は何回かの躍進と後退を経験しているが、同じことの繰り返しで はなく質的な発展があり、「自共対決」も同じ事象の繰り返しではなく、新しい段階での「本格的」な「自共対決」になっていると強調し、その意味を解明し た。結語はさらに、新たに提起した次期国政選挙の目標について、これをやりきれば「成長・発展目標」の実現に手がかかってくるとして、その意義を明らかに した。結語は最後に、党と国民の関係が大きく変化し、また党内情勢も大きく変わっている、総選挙で激変した政党間関係が、総選挙直後の地方選挙でさらに前 向きに変わったなどの討論内容も踏まえて、いっせい地方選挙での党躍進の大きな可能性と条件が存在していることを明らかにし、躍進のための取り組みをよび かけた。

 一、総会は幹部会報告と結語を全員一致で採択し、都議選・参院選・総選挙に続くいっせい地方選挙での躍進を誓い合って散会した。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする