チ・マンウォン被告の名誉毀損裁判、来月控訴審
チ・マンウォン被告が5・18当時、写真に撮られた光州市民を北朝鮮特殊軍とした写真資料=5・18記念財団提供//ハンギョレ新聞社
5・18真相究明調査委員会(以下5・18調査委)が、5・18光州(クァンジュ)民主化運動当時の「北朝鮮軍介入説」に対し、虚偽という判断を下した。これにより、「5・18歴史歪曲裁判」にも弾みがつくものと見られる。
5・18記念財団は21日、「5・18調査委が先月31日にまとめた『2020年下半期調査活動報告書』をチ・マンウォン被告に対する名誉毀損裁判に証拠として提出した」と発表した。5・18調査委は同報告書で、一部の脱北者が主張した5・18当時の北朝鮮特殊軍の光州浸透説について、実現可能性が極めて低いと判断した。
脱北者のイ・ジュソンさんは2017年に発表した体験談『紫色の湖』で、北朝鮮特殊軍50人が船に乗って1980年5月22日午前2時ごろ全羅南道の霊光(ヨングァン)海岸に到着したと主張した。同書には、北朝鮮軍が5時間にわたって霊光から光州無等山(ムドゥンサン)にある「証心寺」に徒歩で移動し、食事や休憩を取ったと書かれている。
しかし、5・18調査委は霊光と証心寺の直線距離が60キロメートルであるため、歩いて5時間以内に移動するには不可能であり、建物が密集する証心寺の中で誰にも見つからず50人がとどまるのは事実上不可能だと判断した。5・18調査委は、一部脱北者が光州に投入された北朝鮮軍の墓地だと主張した北朝鮮清津(チョンジン)の烈士陵は朝鮮戦争戦死者の墓地だと説明した。北朝鮮で鉄道運送無事故運動の名称として使われた「5・18無事故定時牽引超過運動」の5・18は、光州と関係ない1979年に開催された朝鮮労働党中央委員会第5期18回全員会議を意味すると明らかにした。
5・18財団は、今回の報告書が今後の5・18歪曲裁判で自分たちに肯定的に働くと予想した。5・18記念財団「告白と証言センター」のチャ・ジョンス・チーム長は「今回の報告書は今後、チ・マンウォン被告の5・18歪曲論理を崩すのに役立つだろう」と述べた。
極右のチ被告は2015年、自分が運営するホームページで、5・18当時の写真に写った光州市民を北朝鮮特殊軍とし、被害者15人から2015~2018年に名誉毀損で4回告訴された。チ被告は全羅南道庁で市民軍状況室長を務めたパク・ナムソンさんを元北朝鮮最高人民会議議長のファン・ジャンヨプだとし、71番光殊(光州に投入された北朝鮮特殊軍という意味)だと主張した。また、息子の棺の前で泣いているキム・ジンスンさんは、162番光殊のソン・ヘリャン(故金正日総書記の義姉)だとし、遺族を慰める故ペク・ヨンス神父は、176番光殊のキム・ジンボム(北朝鮮対外文化連絡委員会副委員長)だという主張を展開した。
チ被告は昨年2月、ソウル中央地裁で開かれた一審の判決公判で懲役2年を言い渡されたが、高齢を理由に法廷拘束はされなかった。チ被告は控訴後、昨年5月に国立ソウル顕忠院で集会を開き、「5・18は北朝鮮が起こした暴動だ」として、5・18民主化運動を否定している。チ被告の控訴審は来月24日、ソウル中央地裁で開かれる。
チ被告に388番光殊のムン・ウンジョ(北朝鮮食糧供給機関収買糧政省長官)とされたパク・チョルさんは「5・18時当時にはまだ若かったが、それなりに民主化に一役買ったと思っている。言論の自由を掲げ、われわれを北朝鮮軍と主張するのはやめてほしい」と述べた。
キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)