一昨日のブログでアップした、東京都の3月議会に上程されている
「東京都青少年健全育成条例」問題についての、続編です。
東京都青少年健全育成条例改正案/18歳未満の性描写を禁止
~「表現の自由の侵害」条例案に反対の声明(2010-03-16)
きょうの午後、条例改正案が付託された総務委員会があるようですが、
現時点では、民主党などの反対で「継続審査」となる見込みとのこと。
わたしも、ここ数日、この問題に関するニュース等を追ってきましたので、
もっと詳細な情報を知りたい方は、P-WANセレクトニュース
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●『民主都議は反対を』 子ども性描写漫画規制案(2010年3月17日 東京新聞)他
●「非実在青少年問題」イベントレポート! 規制が孕む問題とは?
(2010年3月17日 インフォシーク)他
●漫画の性描写、都規制案 結論先送りの方向
(2010年3月17日 朝日新聞)他
●ネット事業者らが一斉反対--東京都「青少年健全育成条例」改正は何をもたらすか
(2010/03/16 CNET japan)他
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この問題については、マスコミのミスリードもあるようですが、
日本マンガ学会理事で、今回、いち早く「考える会」を立ち上げて動かれた、
藤本由香里さんの「意見書」に問題点がきちんと整理されているので、
ご本人の了解を得て、転載させていただきます。
日本図書館協会も、いわゆる「児童ポルノ」をめぐるこれまでの議論を説明、
「子どもの性に対する判断能力の形成は、親が一義的に責任をもつもの」と
「子どもの権利条約」の条文をあげて、改正条例案を拙速に可決しないように、
都知事と都議会議長に、「要請」文を提出しています。
「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」について( 要 請 )
公立図書館からのBL図書排除の問題では、わたしたちも、憲法、地方自治法、
「子どもの権利条約」違反の観点から、2008年に
「堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ書」を提出しています。
藤本由香里さんは、この「ジェンダー図書」排除究明原告団のメンバーでもあります。
「東京都青少年健全育成条例改正」問題は、とりあえず、3月議会では継続審査になりそうですが、推進側も必死です。
わたしも微力ながら、今後も情報発信を続けたいと思っています。
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「東京都青少年健全育成条例」問題についての、続編です。
東京都青少年健全育成条例改正案/18歳未満の性描写を禁止
~「表現の自由の侵害」条例案に反対の声明(2010-03-16)
きょうの午後、条例改正案が付託された総務委員会があるようですが、
現時点では、民主党などの反対で「継続審査」となる見込みとのこと。
性描写規制案 先送りへ 都議会 民主、批判に配慮 2010年3月18日 朝刊 子どもを性的な対象に描いた漫画やアニメを規制する東京都の青少年健全育成条例改正案は、都議会総務委員会で賛成か反対かの採決が先送りされる公算になった。最大会派の民主党は「審議時間が足りない」として継続審査とする方向で各派と調整、継続審査動議を提案して可決される見通し。 共産党や生活者ネットワーク・みらいも継続審査に同調する見込み。民主を含むこの三会派で委員の過半数を占める勢力になり、十九日の採決で決まる。 自民、公明は改正案に賛成する方針を固めている。 改正案では、十八歳未満として描かれている漫画の登場人物を「非実在青少年」と表現。こうしたキャラクターへの性暴力を誇張して描いた作品を、十八歳未満の子どもに販売しないようにする規制を盛り込んだ。 民主党幹部は「条例の趣旨は賛成だが、懸念が多く寄せられており、払しょくする必要がある」と説明している。 条例改正案をめぐっては、最大会派の民主だけでなく、自民、公明や議会局などにも「表現の自由を損なう」などとして反対する手紙や電子メールが全国から殺到。特に議会局には十六日からメールが急増し、一日二千通以上が押し寄せた。二月は約六十件、三月は十五日までに約三百件の意見が届いていたが、大きく報道されてから急増した。ただ、漫画全体が規制されるといった誤解もあるという。 漫画家のちばてつやさんらが十五日、反対のアピールを表明。日本雑誌協会、日本書籍出版協会など四団体でつくる出版倫理協議会も十七日、「当局の恣意(しい)的な判断によって、検閲や弾圧につながる恐れがある」などとする反対声明を発表した。 |
都の漫画・アニメ規制案 出版4団体が緊急反対表明 2010年3月17日23時39分 朝日新聞 出版業界の4団体で構成する出版倫理協議会は17日、漫画やアニメなどに登場する18歳未満と判断される架空の人物の性描写を規制対象にする東京都の青少年健全育成条例の改正案に対し、「緊急反対表明」を発表した。協議会は「年齢制限のマークをつけたりシール止めを施し、書店やコンビニでの区分陳列や対面販売など、自主規制に努めてきた」とし、改正案は「業界の自主規制の努力をないがしろにするもの。当局の恣意(しい)的な判断で検閲や弾圧につながる」と批判している。 出版倫理協議会は、日本雑誌協会、日本書籍出版協会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会で構成されている。出版社から流通企業、書店まで、業界全体にかかわる団体が名を連ねており、日本雑誌協会は「出版業界全体が反対ということ」と話す。 |
わたしも、ここ数日、この問題に関するニュース等を追ってきましたので、
もっと詳細な情報を知りたい方は、P-WANセレクトニュース
にアップしてありますのでご覧ください。
●『民主都議は反対を』 子ども性描写漫画規制案(2010年3月17日 東京新聞)他
●「非実在青少年問題」イベントレポート! 規制が孕む問題とは?
(2010年3月17日 インフォシーク)他
●漫画の性描写、都規制案 結論先送りの方向
(2010年3月17日 朝日新聞)他
●ネット事業者らが一斉反対--東京都「青少年健全育成条例」改正は何をもたらすか
(2010/03/16 CNET japan)他
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この問題については、マスコミのミスリードもあるようですが、
日本マンガ学会理事で、今回、いち早く「考える会」を立ち上げて動かれた、
藤本由香里さんの「意見書」に問題点がきちんと整理されているので、
ご本人の了解を得て、転載させていただきます。
「東京都青少年健全育成条例」の改正案に対する意見書 2010年3月15日 明治大学国際日本学部 准教授 藤本由香里 ・・・・(略)・・・・・ 出版文化に長く携わり、同時に、マンガ文化・ジェンダーと表象を専門分野とする研究者としての観点から、今回の改正案について意見を述べさせていただきます。 1、 まず、今回の改正案では、「非実在青少年」という新しい用語を導入し、第7条2項「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満もの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性 に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」としているわけですが、このうち、「~として表現されていると認識される」、および「青少年の性 に関する健全な判断能力の形成を阻害…するおそれがあるもの」という規定のされ方、つまり「~に見える」とか「健全な」という言い方は、いくらでも恣意的に判断されるものであり、いくら自主規制とはいえ、対象となる範囲が広すぎるものと思います。 2、上の条文は、日常的な言語に直せば、「18歳未満に見えるキャラクターの性的な行為を肯定的に描写することは、青少年の性に関する判断能力に悪影響を与えるので自主規制せよ」ということになります。「18歳未満」には当然、高校生も含まれますし、女性は16歳で結婚することもできます。現在、高校生の何割かが実際に性体験を持っていることは、統計などからも明らかであり、年齢ごとの発達段階を考慮せずに、3歳も17歳もいっしょくたにして定義する、こうした規定は、<「子供(18歳未満*)」を守る>役割を果たすというより、<青少年の知る権利を奪い、性を自分の問題として考えるための道を閉ざす>「純潔教育」を推し進めようとする規定だと言わざるを得ません。 *児童ポルノもそうですが、わが国の「児童」の定義は「18歳未満」であることには注意が必要です。 3、 こうした規定により、「18歳未満にみえるキャラクターによる肯定的な性描写」があるという一点において、優れた作品が自主規制の対象となることはあってはならないことだと考えます(事実、「児童ポルノ法」に「画像」も含まれるらしい、という噂が流れたとき、書店による過剰な自主規制が実際に起こっています)。そうした自主規制が、わが国のコンテンツ産業に与える打撃は、想像以上に大きいものです。 かつて隆盛を誇っていたアメリカン・コミックスが、「コミック・コード」と呼ばれる表現規制が引き金となって凋落に向かっていったのと同じことが、日本にも起こらないとは言えないのです。しかも、マンガ・アニメ・ゲームというポップカルチャーの分野において、「いい作品」と「悪い作品」はパッキリと二つに分けられるものではありません。「東京国際アニメフェア」を主催する東京都が、そうした表現規制を行うにあたっては、慎重の上にも慎重でなければならないのではないでしょうか。 4、もしかすると、上のような条文は「自主規制」であって、都が「不健全図書」に指定するのは「強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもの」に限っている(新8条二項(8条一項))という説明がなされるかもしれません。 しかし、改正案だけを見るとそう見えるかもしれませんが、「不健全図書」の規定には、すでにその前項が存在しており、そこには「図書類又は映画等で、その内容が、青少年に対し、著しく性的感情を刺激し…青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの」(8条一項)と定められています。つまり、もっと包括的に「不健全図書」指定ができる条文がすでにあり、今までもそれに基づいた摘発が行われています。 つまり実際には、新8条二項の規定には意味はないのであり、いかにも「非実在青少年」の取締りの範囲を限定しているように見せるための目くらまし、として入れているとすら解釈することができます。 以上のことからもわかるように、今回の改正案は、「氾濫する過激な性表現」を取り締まろうとするものではなく(それに関してはすでに規定があり、現に取り締まられています)、「18歳未満に見えるキャラクターの肯定的な性表現」を取り締まろうとするものです。そのことはきちんと認識していただきたいと思います。 5、次に、「非実在青少年」規制というのは、児童ポルノ法に、画像を含めようとする流れの中で出てきたものだと考えられます。意思に反した、あるいは判断能力を失った状態で撮影された、現実の被害児童が存在する実写の児童ポルノ映像を根絶するよう務めるのは当然のことですが、そこに、実際の被害児童が存在しない画像まで含めようとするのは、はたして本当に児童を守ることになるのかどうか、真に慎重な議論が必要だと思われます。なぜなら、わが国の実際の性犯罪率は、性描写が広く行われてくるにつれて総体的には減る傾向にあると考えられ、表現に非常に厳しい規制をしいているアメリカの性犯罪率は、わが国の数倍に及ぶからです。 6、最後に、出版社ほか、ほとんどのメディアが東京に集まっている現状では、東京での規制は全国規制とほとんど同じ意味を持ちます。 にもかかわらず、今回の条例案が出されてから成立までのスケジュールは、異常とも言えるほど短く、当該の改正案が発表されたのは、2月24日、意見表明期間は25日一日のみ、3月3日に代表質問、4日に一般質問、質問は事前提出と、議員にも数日の猶予しか許されない日程で、18日の総務部委員会で事実上賛否が決定し、3月末に投票→成立というスケジュールです。 しかも、ジャーナリストでさえ、こうした条例改正案が出されていることをほとんど知らず、世間の目から隠され、論議もないままに急いで可決されてしまおうとしています。 民主主義の大原則に照らして、このような決め方に問題が大きいのは明らかです。 国の論議の場で問題点が指摘され、成立しないでいる表現規制(児童ポルノ法に画像を含めるかどうかの議論と単純所持の問題)を、東京都が先取りして実質的に決めてしまおうとする、これほど影響が広範囲に及ぶ条例が、このような手続きで決められていいはずがありません。この改正案を、今回、ほとんど議論が封じられた状態で成立させてしまうことは、民主主義の根幹を裏切ることだという認識を、どの会派の方々にも持っていただきたいと思います。都議会議員の方々の良識に期待します。 |
日本図書館協会も、いわゆる「児童ポルノ」をめぐるこれまでの議論を説明、
「子どもの性に対する判断能力の形成は、親が一義的に責任をもつもの」と
「子どもの権利条約」の条文をあげて、改正条例案を拙速に可決しないように、
都知事と都議会議長に、「要請」文を提出しています。
「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」について( 要 請 )
2010日図協第32号 2010年3月17日 東京都知事 殿 東京都議会議長 殿 社団法人日本図書館協会理事長 塩 見 昇 「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」について(要請) 平成22年2月24日に東京都知事が都議会に提出した「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案」(以下、「条例案」という。)につきましては、都民の有する表現の自由と知る権利を侵害することが懸念されます。 つきましては、今会期内に採決を急ぐことなく、ひろく都民および言論、出版はじめ関係団体の意見を聴取し、慎重にご審議下さいますよう要請します。 要請の理由 一.条例案は、「児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備」を掲げていますが、既に「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(以下、「児童ポルノ禁止法」という。)に基づく規制が行われており、屋上屋を重ねる過剰な規制となることが危惧されます。 二.いわゆる児童ポルノを規制する保護法益は、「児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害していることの重大性にかんがみ、児童の権利の擁護に資する」(平成11年4月27日、第145回国会法務委員会における同法案発議者、林芳正議員の趣旨説明)です。青少年の健全育成を目的として青少年の知る自由を制約する「東京都青少年の健全な育成に関する条例」は、いわゆる児童ポルノを規制することには馴染まないと懸念されます。 三.児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」の規定が主観的かつ曖昧であることは平成21年6月26日の衆院法務委員会でも指摘されています。私たちは国会における論議、さらには国民的論議を注視する段階にあると考えます。 四.条例案は、曖昧かつ広範な規定として論議されているいわゆる児童ポルノに該当しない「青少年を性的対象として扱う図書類」を「青少年性的視覚描写物」と名付け、その「まん延抑止」を東京都の「責務」とし、図書類の頒布を業とする事業者にそのために「適切な措置をとる」義務を課しています。都民に対しては「青少年が容易にこれらを閲覧又は観覧することのないように努める」としています。 このことは、青少年と性を扱う図書類一般を、公立図書館を含め社会から排除することになりかねず、深く危惧されます。 五.条例案は、都民に対し「児童ポルノをみだりに所持しない責務」を定めています(第18条の6の4)。これは単純所持を規制するものであり、現行の児童ポルノ禁止法が過剰な規制を抑制するために採用していない規制であって、条例案から削除されるべき規定です。 条例案には、「非実在青少年」として、コミックなど創作物も不健全図書として規制できるとしています(第7条の2ほか)。これは先に引用した児童ポルノ禁止法の保護法益とは無縁な規制であり、現行の児童ポルノ禁止法が過剰な規制を抑制するために採用していない規制であって、条例案から削除されるべき規定です。 六.条例案は、「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するおそれ」(第7条の2ほか)を不健全図書の指定基準に新設しています。 子どもの性に対する判断能力の形成は、親が一義的に責任をもつものであって、行政や警察ではありません。「子どもの権利条約」第18条の1「締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。」を尊重し、当該基準は削除されるべきです。 以上 |
公立図書館からのBL図書排除の問題では、わたしたちも、憲法、地方自治法、
「子どもの権利条約」違反の観点から、2008年に
「堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ書」を提出しています。
藤本由香里さんは、この「ジェンダー図書」排除究明原告団のメンバーでもあります。
「東京都青少年健全育成条例改正」問題は、とりあえず、3月議会では継続審査になりそうですが、推進側も必死です。
わたしも微力ながら、今後も情報発信を続けたいと思っています。
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