音声記録は公文書ではない?!情報公開訴訟で「請求を棄却」
/1.30福井地裁判決-1の記事に引き続き、
中日新聞、毎日新聞、読売新聞の記事を紹介します。
情報公開訴訟 原告の請求を棄却 県男女参画審議審音声記録「公文書に該当せず」 2008.1.31 中日新聞 県生活学習で2006年3月に上野千鶴子・東大教授らのジェンダー本など約150冊が一時撤去された問題で、同年11月の県男女共同参画審議会の音声記録(電磁的データ)を県が非公開としたのは不当として、上野教授らが処分の取り消しを求めた訴訟の判決が30日、福井地裁であった。小林克美裁判長は、今回の音声記録は「県知事が管理する文書とはいえず、公文書には該当しない」と判断し、請求を棄却した。 県職員が録音したMD(ミニディスク)が、県情報公開条例で対象とされる「実施機関の職員が職務上作成した文書、図画、電磁的記録で、同機関が管理しているもの」とする公文書に当たるかどうかが争点だった。 小林裁判長は、MDは職員が会議録作成のための備忘として持っていただけで、実施機関の県が管理する文書とはいえず、公文書の要件を満たさないと指摘。「音声記録を作成した時点で、既に公文書の一部」とする原告の主張について「条例の解釈上、そこまで広げるのは難しい」と退けた。 原告団代表の上野教授は、控訴する考えを表明した。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 判決「時代に逆行」上野教授痛烈批判 「時代に逆行し、きわめて保守的。承服できない」。男女共同参画審議会で職員が録音した記録は公文書に当たらないとして、原告の請求が棄却された福井地裁の判決。原告団代表の上野千鶴子・東大教授は、傍聴後に会見し、地裁の判断を痛烈に批判した。 「勝訴を確信していた」という上野教授。音声や映像といった再現性が高い電磁記録の重要性が高まる中、音声記録を公開する意義はきわめて高いとする持論を展開した上で、請求棄却の結果に「福井は、情報公開において全国のリーディングケースとなる機会を逃した」と述べた。 訴えが認められた県に対しては、「今後、(判決に)安心して隠ぺい体質に走らないように期待しする」と呼び掛け、県民に行政の監視を要請した。 県の大沢博総務部長は「県の主張が認められた妥当な判決と考える。今後とも適切に情報公開を推進していく」とのコメントを発表した。(宇井章人) (2008.1.31 中日新聞) ----------------------------------------------------------------------- 【社会】音声記録公開の請求を棄却 福井地裁、上野教授ら敗訴 2008年1月30日 13時52分(中日新聞/共同) 上野千鶴子東大教授らのジェンダー関連の著作が2006年、福井県の施設から一時撤去された問題に絡み、上野教授や市民団体メンバーら13人が県男女共同参画審議会の音声記録の公開を求めた訴訟の判決で、福井地裁(小林克美裁判長)は30日、請求を棄却した。 判決によると、06年3月に県生活学習館から著作約150冊が撤去されたため、上野教授らが、条例に基づく苦情申し出書を県に提出。同11月、苦情を議題とする審議会が開催された。上野教授らは審議会の音声記録の情報公開を請求したが、県は公文書でないとして、非公開を決定。上野教授らは07年2月、音声記録は公文書に当たり、非公開は違法として提訴した。 県は06年3月、男女共同参画推進委員から「家族の解体を目指すなど内容が不適切」との指摘を受け、著作を撤去。しかし、市民団体の抗議があり、元に戻した。(共同) ---------------------------------------------------------------------- 県生活学習館の性差書籍撤去:録音データ公文書でない 地裁、原告の請求棄却 毎日新聞 2008.1.31 ◇非公開取り消し請求棄却 県生活学習館が06年3月、ジェンダー(性差)関連書籍約150冊を一時撤去した問題で、審議会の録音データ非公開は違法だとして、上野千鶴子・東大教授(ジェンダー論)ら13人が県を相手取り、非公開処分取り消しを求めた訴訟の判決公判が30日、福井地裁であった。小林克美裁判長は、「今回の録音データは県が管理しておらず、公文書とは言えない」として原告の請求を棄却した。原告は近く控訴する。 訴状によると、06年11月2日、撤去の是非などを議論した県男女共同参画審議会で、職員が会議の様子を録音した。会議は公開され、同月6日、原告らは情報公開請求しデータの公開を求めた。しかし、県は「データは備忘録的なもので公文書ではない」とし、非公開処分としていた。【菅沼舞】 ◇「時代に逆行、保守的」--原告団危機感 判決を受け、原告団は30日午後、福井市内で記者会見し、「情報公開を進める時代の流れに逆行する保守的な判決だ」と憤りをあらわにした。 メンバーの一人の寺町知正さんは「県が文書規定に沿って管理しているデータではないので公文書とは言えない」とした判決理由に触れ、「管理の意味を狭くとらえすぎている」と批判。上野千鶴子・東大教授は「この判決で県職員が安心して隠ぺいに走ることがないようにしてもらいたい」と話した。 一方、県は「妥当な判決だと考えています。今後も適切に情報公開を推進していきます」とコメントした。【松井聡】 (毎日新聞 2008年1月31日) -------------------------------------------------------------------- 書籍撤去の審議会録音 「県の非公開は適法」 地裁判決 原告側請求を棄却 読売新聞 2008.1.31 2006年に県生活学習館(福井市下六条町)がフェミニズム関係の書籍を一時撤去した問題で、著書が含まれていた上野千鶴子・東京大教授らが、県を相手取り、問題の経緯を論議した審議会の録音データの非公開決定を取り消すよう求めた訴訟の判決が30日、地裁であった。小林克美裁判長は「(録音データを)県が管理しているとまでは認められないため、非公開決定は適法」として請求を棄却した。 原告は、上野教授や福井市内の女性ら計9都道府県の13人。審議会のやりとりを録音したミニディスク(MD)が、県の情報公開条例で定める公文書にあたるかが争点となっていた。 条例では、公文書を「職員が仕事で作成あるいは取得した、文書や図画、電磁的記録で、県が管理しているもの」と規定。判決では「職員が備忘的に所持しているMDは県の管理要件にあてはまらない」とした。 訴状によると、原告側は06年11月、審議を記録したMDの録音データを情報公開請求したが、県は「MDは職員が備忘的に所持しているもので、公文書にはあたらない」として公開しなかった。 判決を受け、県の大沢博総務部長は「主張が認められた妥当な判決。今後とも適切に情報公開を推進します」とするコメントを発表した。 ■「判決は後ろ向き」原告側が控訴へ■ 請求が棄却されたことを受け、原告の上野教授らは30日、福井市内で記者会見を開き、「大変残念。条例の運用にかかわる解釈が狭くとらえられており、後ろ向きで保守的な判決」として、控訴する方針を明らかにした。 記者会見で上野教授は、文字情報よりも音声記録の方が、再現性に優れている点を指摘。「公開を認めていれば、今後の訴訟をリードする画期的な判決になったはず。地裁は絶好の機会を逃した」と言い、「県が隠ぺい体質に陥ることのないようお願いしたい」と力を込めた。 (2008年1月31日 読売新聞) |
ちょっと疲れたので休みます。
判決および集会のレポートは、明日以降に書きます。
写真をクリックすると拡大。その右下のマークをクリックするとさらに拡大
最後まで読んでくださってありがとう
2008年も遊びに来てね
また明日ね