みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

源平花桃3~菊桃も咲きました/読書日記:上野千鶴子さん 社会をあぶりだす食卓

2016-04-13 20:30:02 | ジェンダー/上野千鶴子
昨日の午後からお天気が崩れるという予報だったので、
いそいで、まだアップしてない花桃を撮りました。

家の西のいちばん遅く咲く源平花桃

白、桃、赤、絞りとカラフルな混色です。
  
源平花桃の特徴で、
咲きすすむにつれて、赤が濃くなっていきます。


源平花桃の北側には、ピンクの菊桃。

花の咲き方と同じように、枝もピンと立っています。


  



市道の上の源平花桃は、まだ花が散っていなくて、
花にボリュームが出てきました。



けっこう長く咲いていますが、
きょうの春の雨に打たれて散り始めています。

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話しは変わりますが、
毎日新聞の「読書日記」。
今週は上野千鶴子さんの番でした。

料理研究者と料理本がテーマです。
「聡明な女は料理がうまい!」

  読書日記 今週の筆者は社会学者・上野千鶴子さん 社会をあぶりだす食卓  
毎日新聞 2016年4月12日 

 *3月15日〜4月11日
 ■小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代(阿古真理著・2015年)新潮新書・842円
 ■完本檀流クッキング(檀一雄+檀太郎・晴子著・2016年)集英社・3132円
 ■平成の家族と食(品田知美編著、野田潤、畠山洋輔著・2015年)晶文社・1836円
 ■おべんとうと日本人(加藤文俊著・2015年)草思社・1620円


 阿古真理さんの「小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代」に目のさめる思いがした。高度成長期から今日までの主婦と食卓の歴史を「料理本」を素材に、時代が求めたレシピと、それを伝える料理研究家の生き方を縦糸に、女性の主婦化や職場進出を横糸に、戦後女性史の織物を織り上げた秀作。目のつけどころがよい。

 本書には高度成長期にテレビ番組「きょうの料理」で「家庭の味」を宣教した江上トミ、手抜きOKの短時間調理術を伝授した小林カツ代、「カリスマ主婦」のアイデンティティーを大事にした栗原はるみ、「おふくろの味」を伝えた土井勝・善晴、辰巳浜子・芳子の親子、そして彼ら料理研究家のジュニアで「男子ごはん」を気軽に広めるケンタロウ、栗原心平、コウケンテツらが登場する。NHKの連続テレビ小説「ごちそうさん」のモデルは、小林カツ代と辰巳浜子だったとか。ちなみにわたしが海外滞在のたびに持ち歩いたのが「檀流クッキング」。その完本が檀一雄の息子とその妻の尽力で刊行された。舌で覚えた家族の伝統計177レシピ。壮観だ。

 主婦のつくる料理ベスト3が、カレー、野菜いため、ハンバーグだというデータを見たことがあるが、料理本やクックパッドがどんなに普及しても、食卓の実態に反映されているわけではない。それを知りたければ、岩村暢子さんの実証研究「変わる家族 変わる食卓」(中公文庫)をはじめとする3部作から、衝撃的な食の崩壊の現実を知ることができる。だが、岩村さんのデータからは調査の対象者がどんな階層に属するのかがわからない。

 味の素株式会社が1978年から蓄積した貴重なデータをもとに、食生活の変化を分析したのが品田知美さん編著「平成の家族と食」だ。このデータは年齢、学歴、職業、家族構成、年収などの詳細な情報を含む宝の山。研究をオファーされて断る研究者はいないだろう。わかるのは和食志向で、料理の品数が多く、行事食を重視し、健康コンシャスで、食費も高いのは高学歴・高経済階層だというあたりまえの事実。だが、「最も食卓に家族がそろわないのは片働きで夫の収入が高い世帯である」という皮肉な事実だ。しかも、「食事づくりの綿密さと、夕食中の会話の多さと、家族のだんらんの楽しさとは、必ずしも一致しない」という。妻の食事づくりは空回りしているのだ。

 加藤文俊さんの「おべんとうと日本人」はキャラ弁(キャラクター弁当)づくりにも言及している。べんとうを通じた日本文化論という才筆をふるう社会学者とは、かの加藤秀俊さんかと思ったら、1字違いの若い社会学者だった。内閣官房の公式ツイッターが「女性応援ブログ」と題して「キャラ弁」を紹介したところ、「キャラ弁づくりが女性応援か」と、そのカン違いにひんしゅくを買ったことがある。品田チームの分析によれば、弁当を「毎日つくる」のは、「つくらざるをえない」階層のひとびと、というミもフタもない現実。だから「お弁当づくりを楽しむ」余裕もない。

 「大人のいない食卓の風景画を子どもが描いたことに社会が衝撃を受けた80年代初頭から、大人の側に課されつつあった労働環境の変化を直視することなく、個人の意識改革と努力で対処させようとしてきた日本社会」(品田)を、食卓はあぶりだす。こわい本だ。
 筆者は上野千鶴子、松井孝典、津村記久子、松尾スズキの4氏です。

 ■人物略歴
うえの・ちづこ
 東京大名誉教授、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」理事長。「おひとりさまの老後」など著書多数。


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読書日記:上野千鶴子さん 帰還兵を苦しめる戦場の記憶/日野菜のさくら漬け

2016-03-17 21:32:49 | ジェンダー/上野千鶴子
ハウスにたくさんある日野菜カブで、さくら漬けを作りましょう。

さくら漬け、と言っても、桜を入れるわけではありません。
日野菜カブのほんのりピンク色を生かした漬け物です。

まずは、根と葉を分けて、
葉の部分はみじん切りに、

根の部分は、斜めの薄切りにします。
  
それぞれ、本の少しの塩でもんでしんなりさせておきます。
  
熱湯を回しかけて塩分を抜いてしぼります。


甘みに蜂蜜小さじ1、千鳥酢と柚子酢を好みで入れて、
さいごに白キムチ少し入れて、よく混ぜます。

漬け物器に入れて、一晩おけば食べられます。
3日ぐらいでなじんで食べごろになるので、
冷蔵庫に入れておけばけっこう長く食べられます。

薪ストーブでは安納芋の焼き芋づくり。
  

夕ご飯は、岐阜で買い出ししてきたお刺身です。


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話しは変わりますが、
火曜日の毎日新聞夕刊の読書日記の
筆者は、上野千鶴子さんでした。

上野さんが3冊目にとりあげてみえる、
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさんは、
「チェルノブイリの祈り」でノーベル文学賞を受賞、
この本も含めて、何冊か読んだばかりです。

  読書日記 今週の筆者は社会学者・上野千鶴子さん 帰還兵を苦しめる戦場の記憶  
毎日新聞2016年3月15日 夕刊

 *2月16日〜3月14日
 ■帰還兵はなぜ自殺するのか(デイヴィッド・フィンケル著、古屋美登里訳・2015年)亜紀書房・2484円
 ■精神疾患言説の歴史社会学−−「心の病」はなぜ流行するのか(佐藤雅浩著・2013年)新曜社・5616円
 ■戦争は女の顔をしていない(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著、三浦みどり訳・2016年)岩波現代文庫・1447円


 安倍政権の戦争法が昨年9月19日に成立した。それから毎月19日に、命日みたいに抗議デモが行われている。参加者は「あきらめない」と叫んでいる。戦争法の施行は3月末から。政権としては一刻も早く自衛隊を戦地に派遣して、既成事実をつくりたいだろう。わたしたちは戦後初めて「兵士の死」を経験するのだろうか? あまりのおぞましさに、想像するのも苦しい。

 兵士は生きて帰ってきても、平和な日常に戻れない。ご無事でお帰りなさい、終わり、というわけにいかないのが、いったん兵士になった者の「戦後」だ。なぜなら彼らは戦場という常軌を逸した非日常の記憶と共に、生きていかなければならないからだ。その消え去ろうとしない記憶に苦しめられる元兵士を、「戦争神経症」の名で呼ぶ。せっかく九死に一生を得て戻ってきたのに、平和の中で、自ら命を絶つ者たちがいる。

 フィンケルの「帰還兵はなぜ自殺するのか」によれば、アフガニスタンとイラクに派遣された兵士は約200万人、うち50万人がPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみ、毎年240人以上の帰還兵が自殺している。ある日戦地へ行った夫が帰ってくる。夫は抑鬱(よくうつ)と暴力とで、人が変わったようになっている。妻には、愛する夫の変貌がどうしても理解できない。夫は精神科に通い、苦しみ抜いて、その苦しみから解放されるために死を選ぶ。米陸軍には自殺防止会議がある。自殺対策は軍の重要課題なのだ。海の向こうの話ばかりではない。日本でもイラク派遣の自衛官のうちすでに29人が自殺している。国民の平均自殺率を超える異常な数字だ。戦死者は出さなかったのに、自殺者を出したのだ。

 思えばPTSDという概念が広まる契機の一つになったのは、ベトナム帰還兵士を扱ったアラン・ヤングの「PTSDの医療人類学」(みすず書房、2001年)だった。日本軍は「戦争神経症」という概念を知っていたが、それをひた隠しにした。皇軍兵士に、そんな惰弱な精神は許されなかったからだ。「神経衰弱」から「鬱病」までの日本近代の精神疾患言説のうち、それと知られていたのに大衆化することを阻まれた唯一の例外が「戦争神経症」であることを論証したのが、佐藤雅浩の労作、「精神疾患言説の歴史社会学」である。

 昨年のノーベル文学賞受賞者、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの「戦争は女の顔をしていない」は、独ソ戦に参加した赤軍女性兵士の記憶を辿(たど)ったものだ。ソ連軍やパルチザンに100万人以上の女性兵士がいたことは忘れられた。なぜなら、語ってはならなかったからだ。生きて帰ってきた男性兵士は英雄だが、女性兵士は「あばずれ」「男まさり」で、結婚相手には不向きだった。彼女たちは勲章を隠し、戦傷病の支援も受けず、ひたすら過去を隠して生きてきた。戦後30年以上経(た)ってインタビューに訪れたアレクシエーヴィチに、元女性兵士たちは堰(せき)を切ったように封印した記憶を語り出す。そこにあるのに聞かなければ届かない、その声をあらしめたアレクシエーヴィチは、ロシア語圏の石牟礼(いしむれ)道子ともいうべき存在である。彼女のもうひとつの著作「チェルノブイリの祈り」に「解説」を書いた広河隆一はこう言う。「私たちはいつか、フクシマで……アレクシエーヴィチを生み出すだろうか?」

 筆者は上野千鶴子、松井孝典、津村記久子の3氏です。
 ■人物略歴
うえの・ちづこ
 東京大名誉教授、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」理事長。「おひとりさまの老後」など著書多数。


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「保育園落ちた」親の怒り、政治を動かす/「もっと保育園を作れ」/女性の活躍 現実に目を向けてこそ

2016-03-13 18:40:35 | ジェンダー/上野千鶴子
「保育園落ちた日本死ね!!!」

ひとりのおんなの怒りの声が、それに共感するおんなたちの思いが、
あっという間に、日本中を駆けめぐった。

国会のおとこたちの、無神経さが、怒りに火を注いだ。
特に、首相と与党議員たちの認識がひどい。

なぜ「保育園に落ちて」怒っているのがおんななのか、
おとこは子育ての傍観者なのか。

ウン十年前、妊娠して出産当日まで働き、
うまれた子どもを預けるあても保育所もなく、
そのまま退職するしかなかった無念さを、いまだ忘れていない。

「どうすんだよ会社やめなくちゃならねーだろ。
ふざけんな日本。」

子を産み育てるものへの二重三重のねづよい差別こそを、
政治にたずさわるものは、法制度や政策として解消すべきだと思う。

 保育園落ちた日本死ね!!!(はてな匿名ダイアリー )

  社説:女性の活躍 現実に目を向けてこそ
2016年3月13日 朝日新聞

 「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名のブログが待機児童問題の深刻さとともに、為政者の無理解を浮き彫りにする事態となっている。

 投稿があったのは先月中旬。保育園の選考に落ちた母親が「一億総活躍社会じゃねーのかよ」「会社やめなくちゃならねーだろ」と、激しい言葉で怒りをぶつけた。

 国会で野党が取り上げたところ、安倍首相は書き込みが匿名であることを理由に「実際にそれが本当かどうかも含めて、私は確かめようがない」と答弁。与党の議員からは「本人を出せ」などのヤジも飛んだ。

 こうしたやりとりに、同じような悩みや不安を抱える人たちが強く反発。国会前での抗議活動や、保育制度の充実を求める署名活動へ広がった。政府・与党は慌てて、待機児童解消に向けた新たな対策の検討を始めたというのがあらましの経緯だ。

 あまりにお粗末だ。自民党内には「初動ミス」との声もあるが、ミスにとどまる話ではない。深刻な現状に対する認識を欠いていることが露呈した、と言わざるを得ない。

 今の仕事を何とか続けたい、共働きで働かないと生活が苦しい……。どの家庭にとっても待機児童の問題は切実だ。ブログへの共感と、政権への市民の反発がここまで広がったのは、長年の課題がいっこうに改善されない現状への強い怒りだろう。政府・与党はそこをしっかり受け止めるべきだ。

 安倍首相は「女性活躍」「すべての女性が輝く社会」を掲げている。しかし、その環境は本当に整っているだろうか。活躍を阻害しているものは、保育サービスの不足にとどまらない。

 国連の女子差別撤廃委員会は今月、日本政府に勧告をした。「過去の勧告が十分に実行されていない」とする厳しい内容で、雇用差別を禁じ、防止する法的措置を整えることや、国会議員や企業の管理職など指導的地位を占める女性を増やすことなどを改めて迫った。

 日本が女子差別撤廃条約を批准したのは1985年。99年には男女共同参画社会基本法が施行された。働く女性は増えているものの、非正社員が多いこともあり、男女の賃金格差はむしろ広がる傾向。男性の育児や介護への参加もいまだ低水準で、性別による役割分担の意識は根強く残る。世界経済フォーラムの最新の男女格差指数でも日本は101位と低迷したままだ。

 「女性活躍」を言うのなら、まず現実を直視することから始めてほしい。


【天声人語】「もっと保育園を作れ」
2016年3月12日 朝日新聞 

 社会学者の上野千鶴子さんには数々の名言があると、前に小欄で書いた。この度、その名言集が出版され、驚くと同時に喜んだ。『上野千鶴子のサバイバル語録』。「いまを生きる女たちに、もしかしたら役に立つかもしれないことば」が並ぶ▼語録という性格上、文脈を離れて自由に引くことをお許し頂く。例えばこれ。〈男は言葉を産み、女はいのちを産む、ですって? とんでもない。今や女は、子どもを産み、コトバも産む〉。まさに最近も、一つの痛烈な言葉が産まれ、風を起こした▼「保育園落ちた日本死ね!!!」と題する匿名のブログだ。もっと保育園を作れという訴えがネット上で瞬く間に広がった。荒っぽい口ぶりに批判もあったが、母親らの間で共感する声が響き合った。それほど怒りは深いのだ、と▼民主党の山尾志桜里(しおり)衆院議員が取り上げたのに対し、安倍首相は「実際に起こっているのかどうか」と冷淡だった。ならば「実際」の窮状を伝えようじゃないかと、保育の充実を求める署名運動も起こった▼子育てと仕事の間で悩む女性からの風当たりに驚いたのだろうか。自民党は昨日になって、待機児童問題の緊急対策チームを作った。ネット上の「声なき声」への目配りも強化するという。独り言のような書き込みが政治権力を動かした▼上野さんの語録から、もう一つ引用しよう。〈コトバは、現実ではない。むしろ、コトバが現実をつくる〉。保育をめぐる今回のいきさつをずばり言い当てる名言である。 


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  社説:「保育園落ちた」 親の怒り、政治を動かす 
毎日新聞 2016年3月12日

 「保育園落ちた日本死ね!!!」という匿名のブログがきっかけで、政府は待機児童の緊急対策に乗り出した。国会で質問された安倍晋三首相は「匿名なので確かめようがない」と素っ気なかったが、保育所の見つからない親たちの怒りが噴出し、姿勢を修正した。

 子育て支援に5000億円の財源を投じて取り組んでいる首相からすれば「こんなにやっているのに」との思いがあったのだろう。しかし、都市部の保育所不足は深刻だ。「1億総活躍」「女性が活躍する社会」を掲げるのであれば、もっと謙虚に親の怒りを受け止めるべきだ。

 保育園増設を求める約2万7000人分の署名を塩崎恭久厚生労働相に提出した東京都内の女性は、育休を延長して1歳2カ月の長男の保育所を探したが見つからず、夫と別居して千葉県松戸市の実家に移り、同市内の保育所を利用しながら1時間半かけて職場に通うという。

 首都圏の自治体に住む自営業の男性は1歳3カ月の長男を預けようとしたが認可保育所に落とされた。認可外保育所は13カ所申し込んだが全部ダメだった。仕方がないので一時預かりの保育所を日替わりで利用するか、非常勤職員の妻が仕事をやめて保育所に空きが出るのを待つしかないと考えている。

 ところが、自治体の基準ではいずれの場合も「待機児童」から外されることがわかった。もともと認可保育所は夫婦ともフルタイムで働く正社員の0歳児が優先され、翌年はその子たちが1歳児の定員を埋めるため、新規で申し込む1歳児にはほとんど枠がないことも知った。「福祉から見捨てられた。『日本死ね』の心境はよくわかる」と男性は嘆く。

 政府は2017年度末までに50万人分の保育の受け皿を整備する方針だが、非正規の夫婦共働きが増え、保育ニーズの高まりに追いつかないのが現状だ。首都圏では騒音や送迎による渋滞を理由に保育所設置への近隣住民の反対運動もある。地価が高く、認可保育所に必要な園庭の確保も難しい。賃金が低い割に仕事がきついため保育士の不足も深刻だ。

 スウェーデンでは保育所への申し込みがあると自治体に保育所確保の義務が課せられるため「待機児童」の概念がない。消費税25%で福祉の財源は潤沢と見られているが、高齢者の年金の支給水準を下げ、医療費抑制のため受診を制限するなどして次世代の育成を優先している。

 低所得の高齢者へ総額3900億円の給付金を配る安倍政権である。待機児童対策でやれることはもっとあるはずだ。安心して子供を産み、働けるようにしなければ、この国の未来はない。


 政府 ブログ受けて待機児童の具体策検討へ
3月11日 NHK

政府は、子どもが保育園に入れなかった不満を匿名で書き込んだブログをきっかけに、待機児童の対策を巡る議論が活発化していることを受けて、保育所を探す保護者の実態調査をしたうえで、各自治体と協力して、待機児童を減らす具体的な方策を打ち出せないか検討を進める方針です。

子どもを保育園に預けられなかったという人が、「保育園落ちた日本死ね」などと匿名で不満を書き込んだブログをきっかけに、与野党双方から待機児童の対策強化を求める声が出るなど議論が活発になっています。
政府は、ことし5月にも取りまとめる「ニッポン一億総活躍プラン」に、待機児童ゼロの達成に向けた対策を盛り込む方針でしたが、安倍総理大臣は議論の高まりを踏まえ、10日、「地域と連携し、早急に対策に取り組みたい」と述べ、対策を前倒しして進める考えを示しました。
これを受けて政府は、待機児童数が増える一方で定員に満たない保育所があることから、地域によって偏りがあるとして、小さな子どもを持つ保護者がどのように保育所を探しているかや、どのような負担を感じているかなどの実態調査を行う方針です。
そのうえで政府は、例えば東京23区内で、住んでいる区以外でも空きのある保育所があれば紹介する取り組みを強化できないか東京都と協議するなど、各自治体と協力して待機児童を減らす具体的な方策を打ち出せないか検討を進める方針です。


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【悩みのるつぼ】Qこの欄への相談を母に疑われ:A(上野千鶴子)この回答をお母さんに見せてあげて

2016-03-07 18:51:09 | ジェンダー/上野千鶴子
畑に芽キャベツがたくさんあるので、
つれあいに収穫してきてもらいました。

栄養価の高い芽キャベツをメーンの料理を作ろうと考え、
無農薬野菜たっぷりの煮込み料理に決定。

まずは芽キャベツとニンニクをオリーブオイルで軽くいため、
玉ねぎ、ニンジン、アンデスレッドと、白ワイン少々を入れて、
トマト缶1缶とブイヨンを入れて、ふたをして45分ほどことこと煮込みます。
  
さいごに、白ワインにつけておいたトリムネ肉を入れて混ぜ
鶏肉に火が通ったら出来上がり。、

つけ合わせは、白菜と生わかめのサラダ。
ひじきと揚げの炒め煮。

白菜の外葉のほうは、浅漬けにするために半日干しました。

翌朝は、芽キャベツのシチューをカレー味にして、
冷凍卵をのせました。

白菜の浅漬けもちょうどよい具合に漬かっています。

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ところで、
土曜日の朝日新聞beの、
悩みのるつぼの回答者は上野千鶴子さんの番。

この回答、ウエットに富んでいて、とてもおもしろいです。

さすが!上野さんならでは、ですね。

 【悩みのるつぼ】この欄への相談を母に疑われ
2016年3月5日 朝日新聞be

 ●相談者 主婦 50代半ば
 50代半ばの主婦です。
 83歳の母との関係について悩んでいます。母は小学校から薬科大学卒業まで成績優秀で、開業医だった父の商売も繁盛して経済的に成功したので、自分に絶対的な自信があります。親にも先生にも褒められて育ち、誰にも叱られたことはありません。自分は正しいと思い込んで決めつける癖があり、何を言っても私を信じてくれません。

 2010年夏、母と私が口論になった後、8月21日付の「悩みのるつぼ」を読んだ母は、「あなたは上野千鶴子さんに相談したわね」と決めつけました。「違う」と言っても「あなたに決まっている」と信じてくれませんでした(編集部注・「母が嫌いです」という30代主婦からの相談で、上野さんは「好きになれない母親をむりやり好きになることはない。問題は、娘が母を愛せない自責の感情から自由になれないことで、あなたに苦しみを与えているのはあなた自身の母の要求に応えたいと思うよい子意識」「性格が悪いけど困っている隣のおばさんに親切にするくらいの気持ちで十分」などと回答した)。

 先日、もう5年以上もたつのにいまだにそう思い込んでいる母に、「悩みのるつぼ」投稿の件を責められました。内容をしっかり覚えていて「私を隣のおばさんと思っているでしょ」と。私が投稿したのではありません。助けてください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ○回答者 社会学者・上野千鶴子 
この回答をお母さんに見せてあげて


 あるんですよねえ、こういう思い込み。お悩み相談のみならず、小説の登場人物が自分に違いない、と主張し、あまつさえ名誉毀損(きそん)だと騒ぐ人も。どんなに違うと言っても信じてもらえません。すみません、ご迷惑かけたようですので、責任とって回答させていただきます。

 「お母さんがそういうから、今度こそほんとうに投稿したわよ」とこの欄をお見せになってください。あ、わざわざ言わなくてもきっと毎回読んでいただいていそうですね。5年前からのご愛読、ありがとうございます。

 「あなたに決まっている」と責めるのは、お悩みの内容について、お母さんの側に自覚がある証拠です。セクハラも虐待も、最大の問題は被害者と加害者の認知ギャップ。加害者は自分が悪いことをしたとはこれっぽっちも思っていないのが、親子関係や男女関係のような非対称な関係の特徴です。それを思えば、お母さんは「思い当たることがある」という自省をお持ちです。自信たっぷりの人にはレア。きっと「母を愛せない娘」の相談が、あなたのお母さんのアキレス腱(けん)をぐさりと刺したのでしょう。

 「相談したのは私じゃないけど、世の中には似たような人がいるものねえ」「ウチに限らず、ヨソにも同じようなことがあるのね」とひとまず嫌疑を引き受けましょう。「で、この中の何がお母さんの気に障ったの?」と尋ねてみましょう。そこから母と娘の対話が始まるかもしれません。

 83歳の母。自信満々の人生でも、翳(かげ)りを感じて心弱くなる年齢です。不安が言わせたせりふかもしれません。この文面ではあなたにも「よい子意識」がありそうですし。どのみちこの相談が母の目に触れるのは確実ですから、「あなた、私をこんな目で見てたのね」「そう、それがつらかったのよ」「隣のおばさん扱いするなんて」「隣のおばさんでも、最後まで見捨てないから心配しないで。そのくらい責任感の強い娘に、あなたが育てたのだから。でも、『お隣』ぐらいに、ちょっと距離を置かせてね。距離のある関係が、互いに優しくなれるゆとりを生むって、上野センセイも言ってるから」なんていうやりとりができると最高なんですけどね。

 親しい関係であるほど、なかなか正面から向き合えないもの。こんな第三者の介在があると、オトナ同士の対話が成り立つかもしれません。この回答がお役に立つことを、心から願っております。 


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「上野千鶴子のサバイバル語録」/上野千鶴子さん 老後、なんと独居が幸せ/「おひとりさま」で生きるとは

2016-03-03 19:13:22 | ジェンダー/上野千鶴子
上野千鶴子さんの最新刊『上野千鶴子のサバイバル語録』。
先日、東京に行ったときにいただいたのですが、
とてもおもしろくて、あっという間に読んでしまいました。

編集者が選んだ言葉(語録)ということですが、
著書ごとに、わたしの好きなことば、共感したことばが
はいっていたり、いなかったり。

上野さんの本は、折りにふれて読み返しているのですが、
この語録を思い出しながら読むのも、また楽し、ですね。

  

上野千鶴子のサバイバル語録(上野千鶴子/文芸春/2016年01月)  

毀誉褒貶のなか、長きにわたり戦い続けてきたフェミニストであり
人生お悩み相談の名手でもある著者による、初の「語録」。

過去30余年の著作群から抜粋した、名言の数々を収録。

「人生の勝負は、短期間では決まらない」

「万人に感じよく思われなくてもいい」

「人は、自分の器でしか理解しない」

「相手のとどめを刺さず、もて遊びなさい」

「どの年齢にも、よいことも悪いこともある」 ほか

家族との関係に悩んだら? 結婚、子育て、どう乗り越える?
会社と心中しないためには? ハラスメントに負けないためには?
老後、ひとりをどう過ごすか? 人生の優先順位をどうつけるか? など。

過酷な時代と人生を生き抜くための「140の金言」!


 【自著を語る】とどめを刺さず、もてあそべ。そのモヤモヤは上野千鶴子のひとことで解決~『上野千鶴子のサバイバル語録』 (上野千鶴子 著)(文芸春秋:本の話WEB 2016.01.29)


クリック してね 


  読書日記 ピックアップ 「上野千鶴子のサバイバル語録」ほか
毎日新聞 2016年3月1日 

■上野千鶴子のサバイバル語録(上野千鶴子著・文芸春秋・1350円)
 日本のジェンダー研究のパイオニアがこれまでの著作で語ってきたさまざまな“語録”を抽出。その言葉に著者自身の思いを添える。「助手席から運転席へ」「友情にはメンテナンスが必要」「人生の勝負は短期では決まらない」「50代で新しい分野に参入せよ」。数々の語録は女性のみならず男性たちにも勇気と知恵をもたらしてくれる。


 ■爆買いの正体(鄭世彬著、中村正人構成・飛鳥新社・1400円)
 中国人や台湾人に日本の薬やコスメ商品を紹介し、“爆買いの仕掛け人”と呼ばれる著者が、中国人や台湾人はなぜこれほど日本の薬や化粧品を求めるのか、「爆買い」の背景にある彼らの文化、さらに人気の日本商品とその理由を分析、解説する。品質が高くサービス精神にあふれた日本製品の人気はこれからも収まらないと断言する。

 ■個人を幸福にしない日本の組織(太田肇著・新潮新書・799円)
 組織論の専門家が個人の創造性や意欲を抑圧する日本の組織の在り方に警告する。「組織はバラバラなくらいがよい」「年功制が脳を老化させる」「厳選された人材は伸びない」。グローバル化、ハイテク化、少子高齢化が進む社会に適した組織を提唱する。 


  (北陸六味)上野千鶴子さん 老後、なんと独居が幸せ
2016年3月1日 朝日新聞

 新刊『おひとりさまの最期』(朝日新聞出版、2015年)を出した。『おひとりさまの老後』『男おひとりさま道』と続いて、「おひとりさまシリーズ」3部作が完結したことになる。

 刊行後、めちゃめちゃおもしろい本を見つけて、本を書く前に読んでおけばよかった、と後悔した。大阪府門真市の開業医、辻川覚志さんによる『老後はひとり暮らしが幸せ』(水曜社、13年)。60歳以上の高齢者460人を対象に調査した結果から、結論を引き出している。なにしろデータにもとづいているから説得力がある。

 それによると、独居高齢者の生活満足度のほうが同居者より高く、その満足度は心身の状況が変化しても変わらない。しかも子どものある人とない人とでは満足度はほとんど変わらないことがわかった。娘が近居していると満足度はやや高くなるが、それ以外では子どもの有無が老後の満足度に関係しない、という結果が出た。

 同居の家族数と満足度の関係を調べると、もっとも満足度が高いのはひとり暮らし、最低がふたり暮らし。この中には夫婦世帯が入る。あいだに緩衝地帯のないふたり暮らしはストレスが高そうだ。3人になるとやや満足度が高くなり、4人以上の3世代同居の満足度は、ほぼひとり暮らしに匹敵する。

 なら3世代同居がよいか、と言えば、同居者が増えるほど、反対に満足度を減点する「悩み」が増える。カラダの不調は家族に言っても詮(せん)ないことと、同居者のいる高齢者もあきらめがついている。悩みの出処(でどころ)はすべて家族から。ひとり暮らしにはその減点要素がない。なるほど。

 辻川先生の処方箋(せん)は以下の三つ。第一に、高齢になったら、生活環境を変えないことが大事。慣れ親しんだ家や土地を離れないことである。第二に、真に信頼のおける友を持つこと。心を開いて話せる友はたくさんは要らないし、遠くに離れていてたまに会うだけでもいい。反対に、近くにいて挨拶(あいさつ)を交わしたり助け合ったりする「ゆる友」ことゆるやかな交友関係では、互いに内面に踏みこむような話をしなくてもいい。

 第三に、ひとり暮らしの満足度の源は、なんと言っても家族に気を使わずにすむ自由な暮らしができること。同居家族がいればいるだけ、気を使う相手が増える。また期待した分だけ、期待がはずれると傷ついたりつらい思いをしたりする。それなら最初から期待しないで、ひとり暮らしをしている高齢者のほうが、穏やかな気持ちで暮らせるようだ。

 先生の結論はこれ。「満足のいく老後の暮らしを追いかけたら、なんと独居に行き着いたのです」

 ほんとはわたしもこの一言を自分の本に書きたかった……のに、おひとりさまのわたしがこう言えば「負け犬の遠吠(ぼ)え」になってしまう。その点、辻川先生の主張は、エビデンス(証拠)にもとづいているから、強い。この本を読んで、子どもと同居したり施設に入ろうかと思っていたが、やめた、というお年寄りもあらわれるだろうか。(社会学者) 


  「おひとりさま」で生きるとは 大阪YWCAで社会学者・上野千鶴子さんが講演
2016年2月29日 christiantoday

公益財団法人大阪YWCA(大阪市北区)は21日、社会学者の上野千鶴子さんを講師に迎え、「『私』を生きる~『おひとりさま』で生きるとは~」と題した講演会を開催し、約150人が参加した。「『おひとりさま』とはシングルで生きる人という意味ではなく、自立した個として生きていこうとする人です」と上野氏。会場では、女性の姿が目立ったが、夫婦で訪れたとおぼしき男性の姿もあった。

上野さんは元東京大学教授(現在は立命館大学特別招聘教授)で、女性学、ジェンダー研究の代表的な理論家であり、近年は高齢者の介護をテーマにした『おひとりさまの老後』『ケアのカリスマたち―看取りを支えるプロフェッショナル』など多くの著作を出版、2011年からは女性をつなぎエンパワメントするための認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」の理事長としても活動している。

冒頭「最近、家に民生委員の人から訪問の問い合わせがあって、自分が見守りの対象の独居老人であることを知りました」と語ると、会場からは大きな笑い声が起こった。全国の福祉や介護の現場を実際に訪ねて目にした実例を交え、シリアスでリアルながらも、時に関西弁も交えながらのユーモア溢れる"上野節"の講演に、参加者は熱心に耳を傾けた。

死・看取りへの社会の関心の高まり
上野さんは、死や葬式、遺体など、以前は語ることがタブーだと思われていたことについてオープンに論じられることが増えたと述べた。『おひとりさまの老後』を出版して話題となった2007年から現在までの間にも、社会は大きく変わり、今や高齢者の4人に1人が独居している。いまや「おひとりさまは少数派から多数派になりつつあります」と語った。

独居の理由は死別、離別に加えて非婚化だ。統計では生涯非婚率(50歳まで未婚の人の割合)は、男性で約2割、女性は約1割に上る。上野さんと同世代に当たる団塊世代では、女性の非婚率は約3パーセント、ピークだった1960年代には生涯結婚率は男性97パーセント、女性98パーセントだったという。20年後にこの比率は、男性は3人に1人、女性は5人に1人になると推測されている。「全員結婚社会は終わりました」と上野さんは話す。

家族の形も急速に変わった。かつて日本では、女性は当然のように家族介護の担い手とされていたが、上野さんは「介護力としての嫁は、今や絶滅危惧種です」「息子の嫁に老後の世話を期待することもできなくなりました」と話す。

独居高齢者の数も増えている。社会学者の河合克義さんは「社会的孤立」の実数を調べる尺度として「正月三が日を一人で過ごしたか」を調査したところ、前期高齢者では男性61・7パーセント、女性26・5パーセント、後期高齢者では男性46・8パーセント、女性32・0パーセントが「はい」と答えたという。

いわゆる「孤独死」は男性が多く、特に民生委員による見守りの対象となる65歳以降の高齢者よりも、それ以前の50代後半から60代前半の高齢者直前の世代に集中しているのだという。

「おひとりさまの老後」の課題と新しい取り組み
一方で、女性で最大の問題は経済問題で、単身高齢者女性の貧困率は5割以上になるという。これは高度成長期の予測を超えた超高齢社会の到来に年金制度の整備が追いついていないこと、介護が家族頼みのものとして設計されていたことに原因があると上野さんは述べた。

しかし、さまざまな新しい老後の在り方も見られると、自ら訪ねた実例を紹介した。

高齢者は住宅弱者と思われているが、実際は持ち家率が高く(統計では65歳以上で8割以上)、人口減少社会を迎える中「住宅あまり現象」も生じている(空家率は全国で13パーセント、東京都で11パーセント、約75万戸)。施設ではなく「居住福祉」が注目され、民間ではパイオニア的なさまざまな取り組みが増えているという。新潟県の長岡市では、施設を解体し、地域の空いた土地や建物を活用して介護サービスをデリバリーし「住み慣れた地域」「家族の近くで暮らす」という取り組みを進めている特養があるという。

また、気心の知れた仲間と共にまず住まいをつくり、共に生活する「コレクティブ・リビング」という施設も生まれてきた。東京の日暮里には、中学校の跡地を利用した高齢者住宅とコレクティブハウスの入った施設があり「コレクティブクッキング」という共同食堂がある。ここにはシングルマザーも入居しており、年配の女性たちに子どもの世話を手伝ってもらえるため「こんなに子どもが育てやすいならもう一人産んでもいいわよ」という母親の声も聞いたという。

これら新しいタイプの事業には費用がかかるが、地域の250人から市民ファンドを募り、4億円を集めて施設を始めた女性など、日本各地の新しい動きが紹介された。一方でまだまだ施設によってはサービスの質の差も大きいとの課題もあるという。

死と看取りの選択肢
上野さんは、施設を訪ねるとき「お看取りはなさいますか?」と必ず聞くという。最期をどこで迎えるかは、人生の最後となる重要な選択だと考えるからだ。かつて日本では、ほとんどが家で最期を迎えたが、現在は病院が80パーセント、在宅死が13パーセント、そして施設が6パーセント。「死の病院化」が進んだ。

「現代の社会では在宅死の選択肢が(示されて)ないが、介護力があれば在宅死は可能です」と上野氏は話す。2015年に定められた「医療介護一括法」も、社会保障費削減の大勢の中、病床数や入院期間の抑制、介護老人施設の建設制限や民営化と同時に、在宅誘導を進めており「ほぼ在宅、ときどき病院」が国の方針なのだという。さらに近年は一人で老後を暮らすための制度ができ始めている。

「高齢者が家にいたいというのは、家族と一緒にいたいのか、自分の家にいたいのかをまず考えるべきです」と上野さん。多くの場合、高齢者が施設に入るかどうかの意思決定は、家族が握っているという。暮らし慣れた、思いの詰まった家で暮らしたくても、同居家族に迷惑をかけないようにと施設に入るお年寄りは多い。それならば、一人で最期まで家で暮らすことも尊重されるべきではないかというのが、上野さんの考え方だ。現在、がんの場合はペインコントロールの技術などが進み、すでに在宅看取り率95パーセントを達成している訪問診療所もある。
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読書日記:上野千鶴子さん 力の非対称が生む性暴力/「2020年女性管理職30%」の処方箋

2016-02-18 20:26:51 | ジェンダー/上野千鶴子
東京に行く新幹線の中、「のぞみ」の車窓から、
雪でまっ白な富士山を写しました。

今回は、上野さんにあって相談することがあったからと、世界らん展を見に行くために上京したのですが、
帰ってきたら、ちょうど、東京にいる日の毎日新聞夕刊に、
上野千鶴子さん執筆の「読書日記」が載っていました。

 
 読書日記:今週の筆者 社会学者・上野千鶴子さん
 力の非対称が生む性暴力
 
毎日新聞2016年2月16日 

*1月19日〜2月15日
■兵士とセックス 第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか?(メアリー・ルイーズ・ロバーツ著、佐藤文香監訳、西川美樹訳・2015年)明石書店・3456円
■戦場の性 独ソ戦下のドイツ兵と女性たち(レギーナ・ミュールホイザー著、姫岡とし子監訳・2015年)岩波書店・4104円
■日本人「慰安婦」 愛国心と人身売買と(「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター編・2015年)現代書館・3024円


 戦争と性暴力の関係を考えるための労作が、2冊つづけて翻訳された。メアリー・ルイーズ・ロバーツ著「兵士とセックス」と、レギーナ・ミュールホイザー著「戦場の性」だ。前者はアメリカ人のフランス史研究者による「ノルマンディー上陸後の米兵が同盟国フランスで何をしたか」、後者はドイツ人の女性史研究者による「ドイツ国防軍兵士がポーランドからソ連に至る東部戦線で女性に対して何をしたか」を歴史史料や証言にもとづいて詳細に積み上げたものである。頼まれて「兵士とセックス」に書いた推薦文がこれだ。

 「占領地で兵士は必ずセックスした。恋愛、売買春、強姦(ごうかん)……。それは偶然の随伴物ではなく、不可避の支配−被支配構造の一部だった。フランスの体験は、日本軍『慰安婦』と、そして占領軍『慰安婦』と、どこが同じでどこが違っていたのか? 戦争と性暴力の比較史にとって欠かすことのできない里程標となる労作。」

 興味深いのは、両書とも、アジア発の「慰安婦」問題が、研究の引き金になったということだ。戦争と性暴力の主題化は、アジアが世界に一歩先んじていた。しかもロバーツの著書は、「慰安婦制度」を正当化したことでバッシングを受けた橋下徹大阪市長(当時)が、サンフランシスコ市議会へ宛てた釈明文のなかで日本に初めて紹介されたといういわくつきのしろものである。

 橋下政権下の大阪市役所にも、海外の研究動向に通じた勉強家がいたらしい。そこまで海外情勢に通じているなら、国際的に通用しない橋下氏の「暴言」を抑えることはできなかったのだろうかとも思えるが。「ヨソでもやっている」ことは、日本の加害の免責にはすこしもならない。そのせいか、両書とも、監訳者の佐藤文香さんと姫岡とし子さんが、それぞれ長文の「解説」をつけて、日本軍慰安婦問題との異同について注意深く論じている。

 戦場や占領のような圧倒的な力の非対称がある構造のもとでは、性暴力はかならず起きる。だがそのなかには、恋愛、売買春、強姦までのグラデーションがあり、グレーゾーンがあって境界は引きがたい。そしてどんな非対称な権力構造のもとでも、その過酷な状況を生き延びようとする女性の行為主体性がある……ことを思えば、韓国で刑事告訴されて問題になっている朴裕河さんの「帝国の慰安婦」の語る多様な慰安婦像にも、根拠がありそうだ。占領下の日本でも、米兵による強姦から、売買春、そして戦争花嫁まで、多様な関係があったのだから。「日本人『慰安婦』」もまた、愛国心から人身売買に至る女性の経験の多様性を描き出している。

 この3月12日には、勤務先の立命館大学で、佐藤さんと姫岡さんのおふたりを講演者に招いて、「戦争と性暴力の比較史」をテーマにシンポジウムを開催する予定。他に以前本欄でも紹介した「日本占領とジェンダー」の著者・平井和子さん、「パンパンとは誰なのか」の著者・茶園敏美さん、占領期の京都を研究している西川祐子さんにご報告いただく予定。コーディネーターは上野である。(詳しくは立命館大学国際言語文化研究所のホームページを参照のこと)。女性史の新しい一頁(ページ)がまた開かれようとしている。

 筆者は上野千鶴子、松井孝典、津村記久子、松家仁之の4氏です。
 ■人物略歴
うえの・ちづこ
 東京大名誉教授、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」理事長。「おひとりさまの老後」など著書多数。 


本をたくさん出していらっしゃるのはもちろんですが、
このところ、メディアへの出番が多い上野さん。
さいきんの記事を紹介しますね。

 上野千鶴子氏が語る「2020年女性管理職30%」の処方箋
なぜ日本では女性管理職が増えないのか(PRESIDENT Online スペシャル  2016年2月9日)
 


 上野千鶴子さん「もっと戦略的に生きなさい」 フェミバージン”の若い女性たちに伝えたい(東洋経済オンライン 2016年02月04日)

クリック してね 


かけ足の記録。

のぞみからの富士山。


上野さんもパネリストの夜のシンポジウムを聴かせてもらって、
そのままお泊まり。。


富士山の朝焼け


持参した無農薬野菜とたまご、チーズ、ハムなどの朝ごはん。

主食は、ホットプレートでつくる蕎麦粉のガレット。
  
たまごは、目玉焼きにしました。


   

窓からは、富士山がくっきり。


この日は、上野さんに「おもしろかったよ」とすすめられた、
五百羅漢像展(六本木ヒルズ)を見てきました。

世界らん展と五百羅漢像展については、画像を整理してから、
あらためてアップしますね。、 

 上野さん 立憲主義を説く 富山で憲法講演会
2016年2月8日

「国民が政治家に言うことを聞かせること」
 女性学研究の第一人者、上野千鶴子さん(上市町出身、東京大名誉教授)を講師に招いての憲法講演会が七日、富山市安住町のサンシップとやまであった。上野さんは立憲主義について語り、市民の政治参加を呼び掛けた。

 安全保障関連法に反対する県内有志でつくる「女性のレッドアクションとやま実行委員会」が主催し、市民ら約三百五十人が参加。上野さんは「決めるのはわたし 変えるのは私たち~『立憲主義』ってなんだ!?~」と題して語った。

 立憲主義について、「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」が昨年デモで展開したラップの一節「言うこと聞かせる番だ俺たちが」を挙げ「とても分かりやすい表現。国民が政治家に言うことを聞かせるということ。これが立憲主義だ」と主張した。

 また、今の日本は「泥舟の上でばくちを打っている状態」と独特の言い回しで表現した。その理由を「日本はじり貧になっていることを見ないようにしている。もう水は漏れているかもしれないが、その上で安倍政権は夏の参院選までは株価を上げとけば良いと思っており、年金という私たちの老後を株に使っている」と説明。それでも「誰に責任があるかといったら私たち。政治家を選んでいるから」と語りかけた。 (伊勢村優樹) 


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上野千鶴子氏が語る「2020年女性管理職30%」の処方箋 なぜ日本では女性管理職が増えないのか

2016-02-10 17:34:58 | ジェンダー/上野千鶴子

真紅の鹿児島紅(かごしまこう)が一輪、開花しました。




枝垂れ白梅は10輪ほど開花。
  



小梅(白)もちらほら。




明日からは暖かくなるので、もっとたくさん開花することでしょう。
楽しみです。



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ところで、
プレジデントオンラインに、
上野千鶴子さんのインタビュー記事がアップされました。
タイトルは、「2020年女性管理職30%」の処方箋 なぜ日本では女性管理職が増えないのか。

「現代日本において、本当に女性の活躍推進は可能なのか?」、
上野さんの現状分析と、明快なことばに共感します。

  上野千鶴子氏が語る「2020年女性管理職30%」の処方箋 なぜ日本では女性管理職が増えないのか 
2016年2月9日 PRESIDENT Online

2015年12月、政府は第4次男女共同参画基本計画を閣議決定した。2020年度末までに中央省庁の課長・室長職で7%、2020年の民間企業の女性課長職割合を15%など、各分野での女性登用目標を明記している。2015年の国家公務員の本省課長・室長職が3.5%、民間企業の課長相当職は9.2%ということを考えれば、相当取り組みを強化しない限り実現できない数字である。

しかもこの数字は、従来第3次男女共同参画基本計画にあった「2020年までに指導的な地位に占める女性の割合を30%にする」という目標に比べると、大きな下方修正と言わざるを得ない。また、こうした数字を決めて女性登用を増やすという動きについて、企業では「実力がない女性管理職が増えるだけだ」「おかしい」といった厳しい声も聞かれる。

世界経済フォーラムが毎年発表している男女平等指数(ジェンダーギャップランキング)の2015年版において、日本は調査対象145カ国のうち101位となった。先進国では最下位、G7+BRICsに限ってもかろうじてインドより上、という低位置にいる。そんな現代日本において、本当に女性の活躍推進は可能なのか? 女性学、ジェンダー研究のパイオニアである上野千鶴子さんに話を聞いた。
聞き手は、プレジデントオンライン編集部の吉岡綾乃。

罰則規定のないザル法で、数値目標など掲げても守れるわけがない
――男女共同参画基本計画の数値目標が、「2020年までに30%」から「中央省庁の課長・室長職で7%、2020年の民間企業の女性課長職割合を15%」と大きく引き下げられました。「そもそも無理な数字だった」「クオータ制(数字割当制)は今の日本では無理だったんだ」といった声も多いですが、どのように見ていますか。

クオータ制になっていないのに、守れるわけがないと思っていました。当然の結果というか。

――クオータ制になっていないというのはどういうことでしょうか?

数値目標を掲げているだけ、単なる努力目標なだけで、罰則規定もない、ザル法だということです。男女雇用機会均等法もザル法でしたし、男女共同参画社会基本法も理念法ですから強制力がありません。法律を作るんだったら、実効性がある法律にすべきです。

――法律を作っても、実効性がなければ無駄だし数値目標に届くわけがない?

口先だけなことが問題なんです。まず政党がクォータ制を実施すればよいのに、それもやらない。そんなもの、企業が守るわけがありません。実効性がなく、義務でもない。成果が出るわけがないでしょう。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

上野千鶴子氏。1948年、富山県生まれ。東京大学名誉教授、立命館大学特別招聘教授。NPO法人WAN理事長。女性学、ジェンダー研究、介護研究のパイオニア。


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【悩みのるつぼ】Q私の心に関心ない夫:A上野千鶴子 期待水準を下げてやり過ごせば/畑の葉野菜たち

2016-01-10 11:55:09 | ジェンダー/上野千鶴子
昨日の朝日新聞be「悩みのるつぼ」の回答者は上野千鶴子さん。

今年も的確で切れの良い回答で、
読むとスカッとします。

「悩みのるつぼ」楽しみにしています。

 【悩みのるつぼ】私の心に関心ない夫
2016年1月9日 朝日新聞be 

 結婚10年目の50代夫婦です。夫との会話が続かず、悩んでいます。私が彼に質問したり、好きそうな話題をふったりすれば続きますが、彼から私のことを逆質問したり、話題を提供したりすることが全くありません。
 単に寡黙とか口べたではなく、要するに彼は、私の気持ちや行動や人生に対してログイン前の続き全然興味を持っていないのです。
 興味がないから質問しない。相手の心に近づこうとする欲求が希薄。自分の心をわかってもらおうという欲求も希薄。私だけでなく、人間関係全般について同様で、親友もおらず、親兄弟にもそんな感じ。でもまじめな働き者で当たりもいいため、職場では同僚から信頼されて「いい人」の典型のような存在として通っています。・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・・・
 おそらく彼は「いい人」を保つために相手に近づきすぎず、興味も持たないという道を選んで生きてきたのでしょう。そんな彼を変えることはもう諦めて、私が変わるしかないと思いますが、どうしたらリラックスできるようになるでしょうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
○回答者 社会学者・上野千鶴子 
期待水準を下げてやり過ごせば


 ひとは自分について、よく知っているものですねえ。そう、あなたが的確に分析しているとおり「彼は、私の気持ちや行動や人生に対して全然興味を持っていない」のです。愛するったぁ、相手に関心を持つってぇことよ。要するにあなたは愛されていないのです。その現実をまず認めましょう。

 もちろん愛がなくても結婚できます。ひとが結婚を選ぶ理由はいろいろ。結婚10年で50代なら、結婚したときはすでに40代。あなただって、今さら惚(ほ)れたはれたで相手を選んだわけではありますまい。それにしてもすでにオトナの男女。結婚前に相手の性格を見抜けなかったんでしょうか。それとも10年努力してきて相手を変えられないと見極めがついたのか、10年ガマンしてきてガマンの限界に達したのか。ですが、「寂しい」くらいでは離婚の理由にはならないのでしょう?

 夫がまめなイクメンであるだけでなく、暮らしの安心と安定を供給してくれれば、それ以上「関心」まで期待するのは過剰な要求というもの。そもそもひとりの異性から、生活の安心、安定から、関心や愛情、知的刺激から性的満足まで……何もかも調達できると思う方が間違いです。

 わが身をふり返って、同じことを自分が誰かに提供できるかどうかを考えてみてください。だとしたらあとは用途別使い分けあるのみ。夫から調達できないものはよそに求めましょう。家庭を壊す気持ちがなければほどほどに。女友だちも承認を供給してくれます。

 聡明(そうめい)なあなたは「彼を変えることはもう諦めて、私が変わるしかない」とすでに答えを出しておられるのですから、夫に対する期待水準をぐんと切り下げて、結婚生活を継続なさることでしょう。相手が置物か壁紙だと思えば、気にせずにすみます。日本の多くの妻はこうやって結婚生活を維持するサバイバルスキルを磨いてきました。あなたも例外でないだけで。

 そのうち、定年で職場での居場所を失った夫が、妻に「かまって症候群」に陥ったときはすでに手遅れ。とはいえ、周囲に関心を持たない夫が、今度は「自分に関心を持ってくれ」と要求する可能性は低いですから、扱いやすい夫であるとも言えます。

 こうしてお友だちいない系の孤独な夫と、夫との関係をギブアップした外向きの妻とのカップルが、また一組増えることになるのは哀(かな)しいですが。


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例年なら、1月から3月までは青物が少ない時期にはいりますが、
今年は暖冬のうえに、ハウスの屋根をはりかえたので、
そのなかで、葉野菜がすくすく育っています。

お雑煮に入れる正月菜は、種を蒔いたのが遅かったのですが、
ちょうどよい大きさに追い付いて、毎日どっさり食べています。

グリーンサラダなどに入れる緑色の濃いマーシュ。
つれあいに収穫してきてもらったら、葉がしおれていました。
50℃洗いをしたら、ピンと生き返りましたが、
ハウスのなかで雨が降らないので、
水やりしないと、水分不足になるのです。
  
夕方ハウスに入って、ホースでたっぷり水をやりました。

おとなりのエンドウはもう白い花が咲いて、かわいい実もついています。
  
イタリアンパセリやチコリはハウスのすみっこで
大株になっていますが、あまり出番がありませんね。
  
水菜、正月菜、ホウレンソウなどの畝。
   
ホウレンソウは食べごろの大きさですが、
露地の野菜がまだたくさんあるので、まだ一度も食べてない。

南の畝には、年末に蒔いた野菜たちが、
順調に芽を出しています。
  
今年は春まで、葉野菜をたんのうできそうです。

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上野千鶴子さん:「ネトウヨ」とは何者か?/『差異の政治学 新版』『発情装置 新版』

2015-12-17 10:54:01 | ジェンダー/上野千鶴子
先日、マーサの丸善書店に行ったときに、
岩波現代文庫のシリーズ「上野千鶴子の仕事」の新刊、
『差異の政治学 新版』と『発情装置 新版』の二冊を買ってきました。

『差異の政治学』は読書会で一年かけて読んだ本ですし、
『発情装置』は人生が変わるほどの衝撃を受けた本。

どちらも新たな章が収録されていて、
最後に「自著解題」も書かれています。

読む側も少しは成長しているのか、
さいしょに読んだときとは、またちがった感動があります。

岩波現代文庫の「上野千鶴子の仕事」は、
『家父長制と資本制』『ナショナリズムとジェンダー』なども刊行されていて、
上野さんの思想と理論を知りたい人には、おススメです。

岩波現代文庫 11月の新刊

  


  『差異の政治学 新版』
上野 千鶴子
 
岩波書店(岩波現代文庫)

■体裁=A6.並製・528頁
■定価(本体 1,600円 + 税)
■2015年11月27日
■ISBN978-4-00-600334-0 C0136

「われわれ」と「かれら」,「内部」と「外部」との間にひかれる切断線.ジェンダーをとってみても,人種をとってみても,「差別のない区別」はなく,必ずそこに権力関係が生じる.その力学を読み解き,フェミニズムがもたらしたパラダイム・シフトの意義と,今後の可能性を提示する.


  

  『発情装置 新版』
上野 千鶴子

岩波書店(岩波現代文庫)

■体裁=A6.並製・384頁
■定価(本体 1,360円 + 税)
■2015年11月27日
■ISBN978-4-00-600335-7 C0136

ヒトが欲情するのは,そうさせる「文化装置」があるから――.援助交際・婚活殺人・「こじらせ女子」など時代ごとの性風景や,春画・写真・オブジェなど古今東西のアートから,発情を強いる「エロスのシナリオ」を大胆に読みとく.性からタブー・虚飾を剥ぎとり,アラレもない姿を堂々と示す,迫力のセクシュアリティ論.  


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本文中の写真をクリックすると拡大します。


昨日の毎日新聞の夕刊テレビ欄の下にも、
上野千鶴子さんの写真と共に「読書日記」の記事が大きく出ていました。

「『ネトウヨ』とは何者か?」に紹介された本、
わたしも読んでみたいと思います。

 
【読書日記】今週の筆者は社会学者・上野千鶴子さん 「ネトウヨ」とは何者か?

毎日新聞2015年12月15日 

*11月17日〜12月14日
 ■鈴木さんにも分かるネットの未来(川上量生著・2015年)岩波新書・972円
 ■奇妙なナショナリズムの時代 排外主義に抗して(山崎望編・2015年)岩波書店・2916円
 ■ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか(古谷経衡著・2015年)晶文社・1620円


 情弱こと情報弱者のわたしが読んでもわかる、ネットの本が出た。

 ニコニコ動画の発信元、ドワンゴの川上量生さんが書いた「鈴木さんにも分かるネットの未来」。「鈴木さん」とは、スタジオジブリのプロデューサー、鈴木敏夫さんのことだ。日本の伝統工芸のようなアニメには詳しいが、ネットには弱い。プロデューサーの勉強のために鈴木さんに師事した川上さんは、鈴木さんから代わりに、デジタルデバイド(情報格差)の上の年齢の「ぼくにもわかる」ネットについての本を書いてくれ、という要請を受けた。鈴木さんはわたしと同い年。鈴木さんにわかればわたしにもわかるだろうと思って、読んだ。

 思いがけない収穫は「ネトウヨ」と呼ばれるひとびとの生態について知ったことだ。ネット界の住民は名前も性別も年齢も不詳。よくわからないひとびとだが、まだネット界が開拓地だったころの住民たちは「リア充(じゅう)」を仮想敵としてヴァーチュアルな世界にニッチを求めた人々らしい。「リア充」とは「リアリティ(現実生活)が充実した人」の略称。男なら学歴があって職があって女にもてて、明るい生活を送っているひと。そんなひと、どこにいるんだ?と思うが、妄想の産物だからしかたがない。「非リア(充)」を自称するひとたちは正義を掲げるマスコミを「マスゴミ」と毛嫌いし、ことごとくそれと対立した。何であれ、マスコミと反対のことを言えばよいという風潮が生まれた。

 若手の政治学者、山崎望さん編の「奇妙なナショナリズムの時代」に収録された社会学者、伊藤昌亮さんの「ネット右翼とは何か」の分析によると、このネット界の空気が「嫌韓・嫌中」と結びついたのは歴史の偶然によるという。反マスコミの空気は2002年の日韓サッカー・ワールドカップを契機に「反日メディア」朝日新聞批判にも結びついたが、同時に韓流ドラマを過剰に放映する(と彼らには思えた)2011年のフジテレビへの抗議デモにも結びついた。その頃までは、ネット界の住民は自分たちがリアルの世界では報われない少数派だという自意識を持っていたようだ。

 だが、川上さんは、次の新世代のネットユーザーは、ヴァーチュアルとリアルとを区別しない相互乗り入れ型のネットの利用者たちであり、この層が膨大になったので、「ネトウヨ」世代はネット界でも少数派になったという。

 そのひとびとはどこに行ったのか? ジャーナリスト古谷経衡さんの「ネット右翼の終わり」はその歴史的変化について教えてくれる。「前期ネット右翼」から「後期ネット右翼」への移行は、川上さんや伊藤さんの分析と対応している。ネット右翼全般に理論武装を備給しているのは保守論壇だが、彼らから派生した「ネトウヨ」こと「狭義のネット右翼」はまともに本や新聞を読まずに扇情的な見出しにだけ反応する「ヘッドライン寄生」(うまいネーミングだ)をしているだけの人々なのだとか。保守論壇の影響下にある「広義のネット右翼」と、行動右翼を含む「狭義のネット右翼」とを区別して、「ヘイトスピーチ」を生み出す後者を激しく非難する。ふーん、知らなかった、という発見の連続だ。

 批判的知性とは、自分が不愉快な対象をも研究し理解しようとする姿勢のことだと、さる人が言っていた。周囲にそんな人がいないので理解できない「異文化」についても、時々は知っておいたほうがよい。

 筆者は上野千鶴子、松井孝典、津村記久子、松家仁之の4氏です。

 ■人物略歴
うえの・ちづこ
 東京大名誉教授、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」理事長。「おひとりさまの老後」など著書多数。  


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上野千鶴子さんの最新刊『おひとりさまの最期』(朝日新聞出版)/「在宅ひとり死」という選択 

2015-12-13 19:00:22 | ジェンダー/上野千鶴子
あすは新聞休刊日。
小さい子たちを預かっていたので、
あふれるエネルギーとどっぷりつきあって、
二日分の新聞がたまっています。

そうそう、
先週の日曜日の朝日新聞の読書欄「著者に会いたい」は、
上野千鶴子さんの『おひとりさまの最期』でした。

上野さんから届けていただいた本も読み終えたところ。


本を読んでから紹介しようと思っていて、
日がたってしまいましたが、紹介させていただきます。

「おひとりさま」の親族の女性が亡くなったばかりだったので、
深く考えさせられる内容でした。

 (著者に会いたい)『おひとりさまの最期』 上野千鶴子さん
2015年12月6日 朝日新聞

 ■独居のままでも家で死ねます 上野千鶴子さん(67歳)
 シングル女性らの老いを論じて、大ベストセラーになった「おひとりさまの老後」(2007年)の「完結編」。といっても、「おひとりさま」の意味合いは少々違っている。

 「女も男も、結婚してもしてなくても、長生きすれば最期は『おひとりさま』。独居高ログイン前の続き齢者は、いまや多数派になりつつあります。時代の変化の速さはすごい」

 子どもや孫がいたとしても、「おひとりさま」とは無縁ではない。子も親も、互いに同居を望まなくなってきているからだ。そこで提唱しているのが、施設や病院ではなく暮らし慣れた自宅で最期を迎える「在宅ひとり死」。訪問医療・訪問看護・訪問介護の「3点セット」を整えれば、独居者でも在宅死は十分可能なのだと説く。

 「在宅死をすすめるのは国の政策でもあるけれど、受け皿を整えないで放り出せば、病院でも施設でも死ねない難民化した高齢者が増えていくだけでしょうね」

 医療・看護・介護の現場での取材を積み重ね、実践的なハウツーも紹介するが、「ただのマニュアル本とは違います。私なりの死生観が反映していますから」。

 介護保険法とNPO法が成立した1990年代後半から、「なりゆき」で九州の生協が立ち上げた介護事業に深く関わった。自身の老いが始まる時期とも重なって、ケアや社会保障の問題が大きな研究テーマとして浮かび上がってきたという。

 その間には父を介護し、みとる経験もあった。「父にとっては娘の私がいてよかったかもしれないけど、でも子どものいない私はどうしたらいいの? 『おひとりさま』は、自分のために始めた研究でした」
 (朝日新聞出版・1512円)
 (文・樋口大二 写真・堀英治)


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 「身じまい」のおと
「在宅ひとり死」という選択=社会部編集委員・滝野隆浩/東京
 

毎日新聞2015年12月5日 

 女性学・ジェンダー研究の第一人者、上野千鶴子・東大名誉教授が最近、「在宅ひとり死」を提唱しているらしい。コミュニティネットワーク協会と鎌倉新書の共催で先月、講演会があったので聴きに行った。


 演題は「親も、私も、自分らしく最期まで生きる」。中高年の介護世代向けの講演なのだろうが、会場には赤ちゃんを連れた若いママも。聞けば「親の介護はいつか切実な問題になりますから」と言う。マジメに考えれば深刻なテーマ。ただ、先生の語り口は軽妙で、会場では何度も笑い声が響いた。

 「無縁社会」「孤独死」……。ここ数年、独り暮らしの高齢者が社会問題として取り上げられてきた。だけど、先生はまず「1人で死んでも孤独死とは呼ばれたくない」と訴える。いま高齢者の単身世帯は2割強で、同じく夫婦世帯が3割。夫婦はいつか死別するから「単身予備軍」である。ならば、日本は「高齢おひとりさま」世帯が半数の社会に近づいていく。その人たちはみんな無縁で孤独なのだろうか、と問う。

 本当は多くの人が「死ぬなら自分の家で」と思っている。しかし、実際は施設に入り、そしてそのあと8割が病院で亡くなる。高齢者は持ち家率も高いのになぜ? それは「子供と同居するから」と先生。共働きの子供夫婦は「1人で置いておけない」と考え始めて施設を探し出す。決定権は子供側。子供に迷惑はかけられないと、親も施設入所に同意して……。「皆さん、『一緒に暮らさない?』という子供の声は、悪魔のささやきなんですよ!」

 「在宅ひとり死」の条件について、上野先生は(1)本人の強い意思(2)介護力のある家族の存在(3)利用可能な医療・看護・介護サービスが近くにある(4)あとちょっとのお金−−を挙げる。でも、同居する家族がいないからと諦めないでほしい、と言う。(3)のうち一番重要なのは「介護サービス」。住んでいる地域で提供者をなんとか探し出す。お金は少しかかるが、「お墓を買うお金を残すなら、それは生きているうちに使いましょうよ!」。なるほどね。

 これらのことは、講演のあと出た先生の近著「おひとりさまの最期」に詳しい。社会学者らしくデータを挙げて説明し、そして実例がたくさん載っているから、ためになる。

 団塊世代で、いまや介護保険の1号被保険者証を持つ、自身「おひとりさま」の上野先生である。講演では一番最後に、「親も、私も」という演題に合わせて、本にはない子供側へのアドバイスもした。よく介護適齢期の世代から「親と同居すべきですか?」と質問を受けるという。先生は決まってこう答える。

 「同居はしないで、仕事も辞めないで。自分の家で逃げも隠れもできず、家は介護職場になってしまう。フルタイムでなくていい。家族はパートタイムでいいじゃないですか!」 



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