熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

敵基地攻撃能力保有の問題点

2022-11-30 14:19:03 | 研修
東京新聞の記事です。

岸田政権が年内の決定を目指し、敵基地攻撃能力保有の議論を進めています。

その評価や懸念に対する柳沢協二・元内閣官房副長官補の見解が参考になりますね。

「最大の問題は、日本を狙う攻撃の着手を事前に認定できても、たたけば結果として日本が先に相手の本土を攻撃する構図になることだ。国際法上は先制攻撃ではないとの理屈でも、相手に日本本土を攻撃する大義名分を与えてしまう。確実に戦争を拡大させ、際限のないミサイルの撃ち合いに発展する」ことです。

「中国や北朝鮮は相当数のミサイル施設があり、一気につぶせなければ日本が報復される。相手を脅して攻撃を思いとどまらせる『抑止力』についても、軍事大国の中国に対し、ちょっとした敵基地攻撃能力を持っても抑止できるとは思えず、反撃を受けた場合の民間人防護の議論もない。論理として完結していない」と問題点を指摘しています。

「専守防衛とは日本は国土防衛に徹し、相手の本土に被害を与えるような脅威にならないと伝え、日本を攻撃する口実を与えない防衛戦略だ。敵基地攻撃能力を持てば、それが完全に崩れて専守防衛は有名無実化する」ことですね。

それでは、日本が取るべき道は。
「力には力で対抗する抑止の発想では、最終的に核武装まで行き着いてしまい、その論理は正しい答えではない。日本は国土が狭く、食料やエネルギーなどを全て自給できず、海外とつながらなければ生きていけない。少子化も進み、戦争を得意とする国ではない。武力強化ではなく、戦争を防ぐ新たな国際ルール作りに向け、もっと外交で汗をかかなければいけない」

世論調査では保有に理解を示す意見も多いのですが、
「ロシアによるウクライナ侵攻や台湾を巡る米中の緊張状態、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮など、安保環境は間違いなく厳しさを増している。国民に戦争への不安が広がるのは当たり前とも言えるが、敵基地攻撃という戦争に備える政策を選ぶのなら、国民にも被害が及ぶ恐れがあると政治家が伝えなければいけない。相手への攻撃ばかり注目されているが、日本も確実にミサイルを撃たれる。国民全体が戦争に耐え抜く思いになっているか疑問で、国民に都合の悪い事実を伝えていない」ことが最大の問題かもしれません。

ウクライナから日本が学ぶことは。
「ウクライナがなぜロシア本土に反撃しないかというと、攻撃すれば核も含めたより強力な反撃をされる口実を与えかねないからだ。軍事大国を相手にした戦争では、相手と同じことをしてはいけない」ということです。

国民一人一人が過激な意見に左右されないで、地に足をつけた議論をしないと子供や孫の世代に大迷惑を掛けます。

真剣に考えましょう。



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