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久しぶりに尾花沢に行く。降雪の予報が出ていたので、冬タイヤに変える。朝は日が射していたが黒い雪雲から、雪がふき出すように降る。幸い積雪に至らず、無事に尾花沢の寺内に着く。周りの山々は色づき、奥の林に着雪している姿が見えた。こんな初冬の風景は、一年疲れた精神を癒してくれるものがある。同時にこれから訪れる厳しい冬を迎えるための覚悟を促すようでもある。生まれた北海道で冬を迎える前に抱いた心境である。家の前に高く積まれて黒光りする石炭は、冬への備えであり、冬を迎える者たちへの精神安定剤の役割を果たしていたことをふと思い出す。
うしろより初雪ふれり夜の町 前田 普羅
この時期に尾花沢に行くのは、親戚の農家に植えてもらっているヤーコンを掘るためだ。今年のヤーコンは苗の成長が遅く、背丈の伸びも悪かった。根に着く芋は密集した状態でついていた。出来は上々といえる。冬から春にかけて、健康のためによく、おいしい貴重は食料である。裏の山に入って見たが、前年あれほど出ていたナメコはほとんど出ていない。かろうじて夕飯の味噌汁に入れるぐらいのものを見つけて満足する。
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帰宅していただいた柿の皮を剥いて、干し柿にするため、ベランダに吊るす。これも、毎年行う恒例の行事のもので、寒風に吹かれて柿は甘味を凝縮する。もう今年もひと月と20日を残すのみでである。