常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

月山がきれい見える日

2016年11月27日 | 日記


山頂に雪が積もり、青空に雲もない晴天の日、月山がくっきりとまじかに見える日がある。晴れていても、霞がかかっていたり、黄砂などがあっては駄目である。ほんとうに月山がきれいに見える日は、数えることができるほどしかないような気がする。昨日はそんな日であった。年の暮が近づいてくると、羽黒山で修行を積んでいる山伏が、法螺貝を吹きながら街中を歩いていた。最近はあまり見かけなくなったが、もう山伏が松の勧進に廻ることがなくなったのであろうか。

羽黒山では、大晦日から元旦にかけて松例祭が行われる。蜂子皇子が、火を放ってツツガムシを退治したという故事に基づいたお祭りである。ツツガムシの形をした松明に引き回して、これに火を放って、害虫の災いを除き、新しい年の五穀豊穣を祈る祭りである。年末に市中を法螺貝を吹きながら廻る山伏は、松例祭のお札、大黒天神の札を配る。市中の人々は、お賽銭を上げてお札を貰い、家の神棚や大黒柱に張るのが習わしであった。

月山の美しい雪景色と、山伏のお札を配る姿は、やがて雪の閉ざされていく、麓の村の人たちには無事その年が越せ、また来年も豊穣を祈るためのシンボルであった。古くからこの土地に根付いた山岳信仰は、これからも長く人々の心にとどまるであろう。

さ霧たつ月読の山のいただきに神ををろがむ草鞋をぬぎて 斉藤茂吉

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