常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

竹青

2018年11月26日 | 読書

病む妻やとゞこほる雲鬼すすき 太宰治

この春、妻が頸椎の手術をして、一人家を守

った。家事全般を司る妻に入院されると、家

事を行うにも相当の覚悟というものがいる。

太宰もまた妻に寝込まれて、おろおろとする

ばかりで、家事にも手を出せない様子が、句

から想像できる。

太宰治に『竹青』という短編がある。題に

「新曲聊斎志異」という副題がつけてある。

原本の『聊斎志異』に収められている「竹青」

は、カラスと人間の異婚譚である。太宰はこ

の怪異譚を翻案して、神の鳥である竹青に夫

婦愛の真実を教えられるという筋書きである。

貧書生の魚容という男がいた。科挙の地方試

験に落第して、途方にくれて呉王廟で、眠っ

ていると、烏の群れの一員になってしまう。

夢のなかの出来事か、現実か、はっきりしな

いまま物語は進む。そこで出会うのが、雌の

烏の竹青である。烏になって、餌を得たり、

空を飛んで洞庭湖から漢陽へ飛んだり、ある

時は、烏から人間に姿を変えながら話は進む。

この小説は昭和20年4月1日発行の「文芸」に

発表された。  

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