昨日、川辺を歩いていたら、紅葉した木に数
え切れぬほどの小鳥が群がり鳴き騒いでいた。
スズメ、ヒヨドリ、モズなどなど。そして川
の淀みにはカルガモの群れ。最近、鳥の姿、
なかでもスズメを余り目にしなくなったので、
この光景は不思議な気がした。冬に備えて鳥
たちも食欲が旺盛なのだろうか。陽だまりの
木陰には無数の羽虫が飛び交っている。この
虫を目指して鳥が集まるのだろうか。ベラン
ダの干し柿に、ヒヨドリが飛んできた。リン
ゴなどを置いて、食べる姿を見るのが楽しみ
だが、干し柿にはネットをかけて食べるのを
防ぐ。トンボが陽だまりにじっととまってい
る。小春の秋の風景はどこか懐かしい。江戸
の川柳に
赤とんぼ空を流るる龍田川
というのがある。龍田川は紅葉の名所で百人
一首でも詠まれている。赤とんぼが澄んだ秋
空を流れるように飛ぶ様子を表現したものだ。
トンボを川の流れるに見たてるところが川柳
の手法だ。
子が出来て川の字形に寝る夫婦
この句も、江戸の庶民の姿を映してほほえま
しい。柳多留には江戸の時代にタイムスリッ
プしなければ、理解できない句も多いが、庶
民の生活を垣間見られるのは楽しい。