常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

山岳展望

2023年01月26日 | 登山
寒波が居座っている。エアコンの暖房は、あまり気温が低くなると、霜取り運転にいこうするのか暖房が中断する。暑がりだった妻は、すっかり寒がりになっておいる。一歩外へ出ると、国道も雪で埋まり圧雪になっている。先日買った長靴が出番になった。こんな日は、家にいて、本を読むのにかぎる。深田久弥『山岳展望』が手元にある。山岳同定は、山登りのもう一つの楽しみだ。山登りを始めたばかりの人から、「あれは何という山ですか」と質問を受ける。勘違いして、反対の方角にある山の名を言って恥をかくこともしばしばだ。

深田久弥も東京から見える山に熱中し、地図と磁石と写生帖を持参して、高台に通って山岳展望にのめり込んでいった。そんな深田にも、山の名を間違えたことがあった。「いつか暁方早く、韮崎の駅から朝靄にぼんやり浮かんでいる茅ヶ岳を指して、ああ八ヶ岳が見えると愚かなことを言って赤面したことがあった。また北アルプスの平ノ小屋から雨に濡れながら刈安峠へ登って行ったとき、途中で同行の人が「槍が出てきた」と叫ぶので、振り返って見るとなるほど霧の間に尖った峰の穂が現れている。だが少し変だぞと思っていると、果たしてそれは槍ではなく烏帽子であった。

深田の時代は、山座を同定するには手間が要った。カメラ、磁石、地図、三脚。一抱えの荷物を持って、山に入る必要があった。パノラマ写真を撮って、地図に磁石を重ねて、山名を書き込んでいく必要があった。今は山座同定アプリがある。このアプリを起動して、見える山の方角にカメラを向けると、付近の立体地形図がダウンロードでき、一目で山名を知ることができる。上掲の写真には、現在地の南方に三吉山・葉山が見えているが、そのはるか南に小楊山。以前に登った山が特定されている。さらにそのもっと南に東大巓、吾妻山などが見えている。普段見ている風景が、こんな名山から形作られていることを改めて知らされた。
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