
穏やかな新年である。昨夜は年越しそば、一夜明けて雑煮で餅を食べて変わりのない新年を迎えた。雲が多く雨模様でお日様は見えない。テレビのライブで富士山の御来光を見た。家の前の国道を走る車も少ない。以前はどの家にも門松を飾って新年を迎えたものだが、めっきりと少なくなった。散歩コースの店の前に唯一立派な門松があった。正月に家を訪れる年神様の依代、それが門松であった。冬も落葉しない松、成長が早く生命力の強い竹、難を転ずると言われるナンテン。加えて、厄を防ぐ注連縄。これらの縁起物が、年神様を迎える目印となる。
年神様とは。柳田国雄によると、一年を守護する神、農作を守護する田の神、家を守護する祖霊の三つを一つの年神として信仰する素朴な民間信仰、とある。こうも門松が廃れてしまっては、年神様は行先が分からず、路頭に迷うのではないか。一老人が心配したところで、どうなるものではない。賢い年神様は、すでに新しいテクノロジーを使って、WIFIに乗って家庭に入り込んでいるのかも知れない。
元日や神代の事も思はるる 荒木田守武