常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

立夏を過ぎて

2023年05月15日 | 日記
この季節草花の成長に目を見張るものがある。ベランダのプランターに水やりをしていたら、こぼれたアサガオの種が芽を出し、双葉になっていた。トマトの苗やカモミールの苗もぐんぐん伸びている。サンショウの小さな木が、新しい枝を四方に伸ばし、背丈も大きくなった。植物との対話は無言だが、成長に驚くのはひ孫のようだ。

朝顔の双葉のどこか濡れゐたる 高野素十

コロナが伝染病の5類に変更になって1週間が経つ。最近の起こっていることがらを見ると、これからの時代が見えてくる。aiの恐ろしいほどの速度の進化だ。若い世代が、強盗を働いている。日々の収入がない若者が増えたことが、事件を生み出す背景だが、aiの進化で繋がる通信の普及がそれを促進しているようにも見える。SNSのツールは便利で生活の必需品になっているが、悪用することも簡便になってしまった。

オンライで働く人が増え、一時東京の人口が減った。高齢化で人口の減少するこの国で、過疎の地域にも可能性が見えている。コロナの終息が見えてきて、この現象は逆に戻ったようだが、大きなトレンドは人口の分散が始まっているように見える。1990年ごろに出版されたピーター・メイル『南仏プロバンスの12か月』はいまなお、根強い人気を保っている。イギリスで広告代理店で働いていた人物が、南仏のプロヴァンスという田舎町に移住した記録文学である。移住ということへ人々の興味を引き付けたさきがけでもある。いまなお、この本が読まれ続けているのは、人々が移住に魅力を感じている証でもあるだろう。

移住した土地へフォースタンという男がやってきた。雑草を指さし、「ウマゴヤシ、兎の大好物だよ」と言った。この男は、兎の肉が大好きで、その餌になるウマゴヤシを必要していた。「欲しいならいくらでも持っていって」そのお礼にフォースタンがくれたのは取れたてのアスパラガス。

「アスパラガスの若い芽は半透明の薄色で、先端に小さな模様がある。私たちはこれを茹でて、熱く溶かしたバターで食べた。パンはその日の午後、老舗のパン屋から焼き立てを買ってきた。ワインは地物の甘口の赤である。ことほどさように、私たちが飲み食いする一口一口が地場産業に貢献しているわけであった。」

移住して食べる美味、面白い逸話。この本はそんな面白い話を12か月に分けて書かれている。眠りに就く前に読むのだが、つい面白すげて、眠気をなくしてしまう欠点がある。
コメント
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