
ヒメサユリを見に千歳山に登った。5合目あたりから下の登山道は、ところどころに咲き、蕾はすべて開いていた。これから、頂上付近で咲くであろうか。花を見るにはちょうどいいタイミングであった。昨夜のの雨粒が、花弁に残り、清楚な雰囲気をいっそう引き立てていた。飯豊連峰や朝日連峰などの高山で見られる貴重種だが、千歳山など身近な山地に自生するので、この時期楽しめる花だ。細い茎に、2、3輪咲かせる姿は、乙女のような雰囲気で、山を登る人たちの疲れを癒し、多くの人から愛される花である。
天台宗大阿闍梨 酒井雄哉の『一日一生』という本がある。約7年をかけて比叡の山道を歩く「千日回峰行」という荒行を生涯に2回満行した高僧の書いた本だ。自分の一日1時間と少しの山歩きなど、この荒行に比すべくもないが、その心は覗うことはできる。
「今日一日歩いた草鞋を脱ぐ。明日は新しい草鞋を履く。今日の自分はもう今日でおしまい。明日はまた再生される。だから「一日が一生」と考える。「一日」を中心にやっていくと、今日一日全力を尽くして明日を迎えようと思える。一日一善だっていい。一日、一日と思って生きることが大事なのと違うかな。」
あと残されて日々が少なくなっていく身には、身につまされる言葉だ。こんな言葉には、触れるだけでも価値がある。一日一日を大切に生きていこう。今さらながら考えさせられる。
