
小満が来て10日。ベランダに植えたトマト、キュウリの苗が20㌢ほど伸び、しっかり花もつけている。狭い場所でも、朝夕の水やりで植物たちとの会話もでき、季節の進み方も見えてくる。ここには、畑に来る青虫や害虫もなく、野菜づくりも手間入らずだ。バジルの苗も伸びてきたので、先端の葉を摘んで香りを楽しむ。先日買ってきたトマトとバジルの葉を刻んでサラダにする。山椒の木も枝を増やし、新芽を伸ばしている。時々採って、焼き魚に乗せて香りを楽しむことができる。ほんの少しのベランダ園芸だが、毎日の暮らしに彩りを添えてくれる。
ぱらぱらと開く宮沢賢治の詩集「春と修羅第二集」。題して夏。
木の芽が油緑や喪神青にほころび
あちこちの四角な山畑には
桐が睡たく咲きだせば
こどもをせおったかみさんたちが
毘沙門天にたてまつる
赤や黄いろの幡をもち
きみかげさうの空谷や
たゞれたやうに鳥のなく
いくつも緩い峠を越える(1924.5.23)
この詩集には、「小岩井農場」や「岩手山」、「早池峰山巓」、「河原坊」などかって歩いた場所の詩がある。その記憶をたどりながら、難解な詩の言葉を辿る楽しみ。一日の贅沢な時間だ。