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山形県小国町にある温見平は、森の持つ癒し効果が実証されて、平成18年に森林セラピー基地に認定されている。新緑や高山植物のお花畑に触れると、人は自然に癒され気分が爽快になる。植物の生育によい環境は、人がそこにいても身体の活動を活発にするということだろうか。そもそも森林セラピーとは、森林の持つ音や風景が人間に与える効果を実証し、最大限に引き出そうとするものだ。高齢者や子どもたち、病気のリハビリなど、誰にでもその効果を享受できるのが、ここ温見平の自然環境だ。
その効果をあげると以下のようになる。
- 自然免疫:NK細胞活性が高まる
- 交感神経が落ち着く
- ストレスホルモン・コルチゾール抑制
- 血圧の低下
- 森林の香りフィトンチッドの効果
- 多様な生物に触れられる
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8月10日、山友会の希望者8名が、温見平の森林セラピーに参加した。熱中症アラートが発されるなか、標高がさほど高くない場所で暑さはどうか、気になるところだった。現地の駐車場でセラピストと待ち合わせ、挨拶をかわしたがフェーン現象で、生暖かい風のなか準備運動をおこなって活動を開始。入り口では、猿の集団が遊んでいる。清流のせせらぎを聞きながら、ブナ林に入ると、適度な風とと木陰が涼しい。トンボが飛び交い、ワシが空を悠々と飛ぶ。この基地を知り尽くしたガイドさんが、見どころや樹齢などを教えてくれる。訥々とした語り口が心地よい。
何よりも印象的だったのは、修理中の発電所だ。昭和18年に給電を開始したが、発電した水を再利用することで、5カ所ほどの発電所ができ、この地区の電気を賄っているほかに、東北電力に売電もしていることであった。自然環境を戦前から利用してきた山中の歴史に興味を持った。
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ガイドさんの説明で、セラピーには最高の条件とのこと。懸念されたアブなど害虫も出ず、爽やかな風に吹かれて、参加している全員が爽快な気分になった。昼食後、ガイドさん持参の敷物の上に寝て、樹々の梢から青空を眺めた。もっと時間があれば、10分ほどの昼寝もいい、との説明だった。全員が丸くなって寝ころんだ姿の写真は、一生の思い出になる。登山でもなく、ウォーキングでもない森林の新しい楽しみ、森林セラピーは年老いても続けられるアイテムだ。この日、石転び沢から、北俣の山並みがくっきりと見える。こんな稜線が見られるのは年に何回もないとのことであった。