常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

雪景色

2023年12月19日 | 日記
雪は一夜で戸外の景色を大きく変える。立ち並ぶ家々の屋根に雪が積もり、近くの山の樹々も雪を被った。12月にしては異常とも思われる高温が続いたが、一たん寒気が降りてくると市街は一面の雪景色だ。スキー場にも雪が降って、スキーを楽しむ人々の季節がきた。肘折の積雪が54㌢であったということで、朱鞠内、酸ヶ湯に続いて豪雪地の肘折も遅ればせながら登場である。やっと御三家が顔を並べた格好だ。

はじめての雪闇に降り闇にやむ 野沢節子

低気圧が抜けていくのか、夜ガラス戸を震わせる風が吹いた。イヤホンで聞く眠りを誘う朗読は「メリークリスマス」であった。作家の書いたショートだが、作者名は失念している。秋の名月の夜に、高層マンションのベランダで月を見ていた主人公に笑いかけてきたのは、マッチ棒ほどの小さな女だ。近づいて手のひらを差し出すと、小さな女がひらりと乗ってきた。女はじっと主人公の目を見つめ、眼で話そうという。目を見つめていると、自分の考えが相手に伝わる。その反応、女の子の考えも理解できる。深いコミニケーションだ。妻との間には失いかけているつながりが、この子と間に生まれる。この関係を失いたくない。

主人公は柔らかいハンカチでベッドを作り、タンスの引き出しにこの子を寝かせる。幻想だ、明日になれば、そこにこの子がいるはずもない。ところが、うれしいことに、次の日タンスの中にその子はいた。このふつりあいな二人の交流は次第に深まっていく。妻との間は、さらに強い隙間風が吹く。クリスマスの夜、突然、小さな女の子が宣言する。私の休暇は終わったわ、帰るね。別の星に行って、そこの生きものに教えなければならないのよ。そこでは私は神なの。そして、もう一人イケメンの小さな男の子が現れる。こちらの子は、同じ時期の主人公の妻の話相手になっていた。クリスマスの夜、地球に残された二人は、隙間をうめ、新しい夫婦の形をつくっていく。

おしまい。と数秒が流れ、別の話が始まる。「眠れる森の美女」。その話が始まると、睡魔が訪れる。いつ寝たのか、分からないまま眠りについている。
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