
しぐるるやだらだら坂の黒びかり 才一
持ちかへて軽きてっちりの菜 信
年忘れ歌仙で、丸谷才一の発句に、大岡信がつけた句だ。今日、スーパーで雑煮の具材を下げてきたが、寒さにかじかんだ手は袋を持ちかえることになる。なるほど、詩人の付句は、年忘れを巧みに表現していると感じる。
今年の歳末は、なぜか良寛の歌が心にしみる。
水やくまむ薪や伐らむ菜やつまむ
朝の時雨の降らぬその間に 良寛
や・・・むの三句は、時雨のこないうちに終わらせなければならないという切迫した気持ちをあらわしている。歳末の買い物に急ぐ人々は、そんな気にかられているのであろうか。年末でなければ、総菜の買い物などいつでもいい。