山かげにしげきよもぎのそまつくり我がすむいほのかこひにぞかる(弘長百首)
松虫のなくにまかせて山ざとの蓬が庭も秋はきにけり(洞院摂政家百首)
人の秋に庭さへ荒れて道もなくよもぎしげれるやどとやは見ぬ(平仲物語)
我ならでまたうちはらふ人もなきよもぎがはらをながめてぞふる(玉葉和歌集)
かひもなしとはで年ふる蓬生のわれのみしのぶもとの心は(続拾遺和歌集)
むぐら這ひ蓬がそまと荒れはててふりにし里は人かげもせず(永久百首)
我ばかりなほふるさとにのこりゐて蓬が庭の月を見るかな(新後拾遺和歌集)
人の世は思へばなべてあだし野のよもぎがもとのひとつ白露(玉葉和歌集)