ふけにけりなきてもとめよきりぎりすよもぎがすゑの秋の夜の月(洞院摂政家百首)
きりぎりすいたくな鳴きそ秋の夜のながき思ひは我ぞまされる(古今和歌集)
荒れぬとて鳴くかまがきのきりぎりすおのれさびしき蓬生のやど(明日香井集)
ひとり住むよもぎがやどに秋来てはきりぎりすこそともになきけれ(永久百首)
いとどしくおきふすとこの露けきにかべ近く鳴くきりぎりすかな(相模集)
きりぎりす過ぎにし秋やしのぶらむふるき枕の下に鳴くなり(土御門院御百首)
秋ふけぬいつまでとてかきりぎりすかべに生ひたる草に鳴くらん(宗尊親王百五十番歌合)
かべに鳴く秋のすゑ葉のきりぎりすいつまで草にすまんとすらん(久安百首)