有明になりゆく月をながめても秋の残りをうちかぞへつつ(秋篠月清集)
ゆく秋のわかれにそへて長月の有明の月の惜しくもあるかな(玉葉和歌集)
長月のありあけの月に寝覚めしてのこれる秋のあはれをぞ知る(宗尊親王三百六十首)
ゆく秋の末葉のあさぢ露ばかりなほかげとむる有明の月(新後拾遺和歌集)
うら枯るる庭の浅茅の露のうへに秋のなごりのありあけの月(文保百首)
長月もいく有明になりぬらむ浅茅の月のいとどさびゆく(新古今和歌集)
ゆく秋のすゑ野の草はうら枯れて霜にのこれるありあけの月(新拾遺和歌集)
長月のあり明けがたの空の月こころぼそくぞかたぶきにけり(建仁元年仙洞五十首)
おほかたの秋のけしきは暮れはててただ山の端(は)の有明の月(拾遺愚草)
三日月の有明のかげにかはるまで秋のいく夜をながめきぬらむ(続古今和歌集)
いくとせをすぐしきぬらむ秋の夜の有明の月をわが友にして(永久百首)