長月のすゑの原野(はらの)のはじもみぢ時雨もあへず色づ きにけり(続後撰和歌集)
しぐれゆく櫨(はじ)の立ち枝(え)に風こえてこころ色づ く秋の山ざと(玉葉和歌集)
鵙(もず)の鳴くみかきが原の朝露にぬれて色こき櫨のもみぢ葉(草根集)
うづ ら鳴くかた野に立てるはじもみぢ散りぬばかりに秋風ぞ吹く(新古今和歌集)
ふるさとのみかきが原の櫨紅葉(はじもみぢ)こころと散らせ秋の木枯らし(新勅撰和歌集)
木枯らしのすゑ野にたてるはじもみぢ秋のかたみによきて吹かなむ(新撰和歌六帖)
木枯らしのすゑ野の原のはじもみぢかつさそはれて暮るる秋かな(夫木抄)
知るらめやわが園生(そのふ)なる櫨紅葉その色よりも深き思ひを(拾玉集)
※「はじ」は現代語の「はぜ(の木)」のこと。