山さとにこれかれまかりて歌よみ侍けるに、野草をよめる 藤原定通
やきすてしふるのゝをのゝまくす原玉まくはかり成にける哉
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
右大将定国四十賀に、内より屏風てうしてたまひけるに たゝみね
おほあらきのもりの下くさしけりあひてふかくも夏のなりにける哉
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
なつくさ
駒や来る人や分(わ)くると待つほどに繁りのみます宿の夏草
(蜻蛉日記・巻末家集~岩波文庫)
吹きわくる風のあとさへ見えぬまで夏野の草や茂りゆくらむ
(永享九年住吉社奉納百首)
夏草
しけり行く夏野の草の深緑なひく葉すゑの風そ涼しき
(宝治百首~日文研HPより)
わけて行くをしかもそれとみえぬまて夏野の草はたかくなるらし
夏ふかみ人も分けこぬ野へなれは跡みえかたき草の原かな
(建長八年九月十三日・百首歌合~日文研HPより)
分行は袖そ露けき夏草のしけさまされるもりの下道
(天正五年親王家五十首~続群書類従14下)
庭のままゆるゆる生ふる夏草を分けてばかりに来む人もがな
(建礼門院右京大夫集~岩波文庫)
題しらす 貫之
足曳の山したしけき夏草のふかくも君をおもふころかな
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)
たいしらす 相摸
あとたえて人もわけこぬ夏草のしけくも物を思ふ比かな
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)
水無月の比、萩の下葉にかきて人のもとにつかはしける 清少納言
是をみようへはつれなき夏草もしたはかくこそ思ひみたるれ
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
あとたえてしけりそまさるかれはてむのちをはしらぬのへのなつくさ
(文保百首~日文研HPより)