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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 夏 夏の夜

2013年06月09日 | 日本古典文学-夏

夏月を 入道前太政大臣
手に結ふ岩井の清水底みえて影もにこらぬ夏のよの月
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

夏月
夏山の木間やくらくしけるらんもりくる月の影そ稀なる
(宝治百首~日文研HPより)

夏の夜は月待つほどにむすびおく夕露すずし庭の草むら
(法性寺為信集)

ゆふすすみねやへもいらぬうたたねのゆめをのこしてあくるしののめ
(六百番歌合~日文研HPより)

なつのよはやかてかたふくみかつきのみるほともなくあくるやまのは
(式子内親王集~日文研HPより)

夏暁雲
今見るも夢のわたりか月の舟雲浅き江にあくる夏の夜
(草根集~日文研HPより)

夏歌中に 藤原孝継
枕とてむすふはかりそあやめ草ねぬに明ぬる夏の夜なれは
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

五月の短夜、郭公の一聲の間に明けなんとすれども、あやめの一夜の枕、再會不定の契を結びて捨てて出でぬ。
かりふしの枕なりともあやめ草ひとよのちぎり思ひ忘るな
(海道記~バージニア大学HPより)

寛平御時きさいのみやの歌合のうた きのつらゆき
夏の夜のふすかとすれは郭公鳴一こゑにあくるしのゝめ
(古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

さつきやまをりはへてなけほとときすなつもふけゆくありあけのそら
(仙洞影供歌合~日文研HPより)

なつのよはたたくくひなのひまなさにほとなくあくるあまのとなれや
(六百番歌合~日文研HPより)

いと、さしも聞こえぬ物の音だに、折からこそはまさるものなるを、はるばると物のとどこほりなき海づらなるに、なかなか、春秋の花紅葉の盛りなるよりは、ただそこはかとなう茂れる蔭ども、なまめかしきに、水鶏のうちたたきたるは、「誰が門さして」と、あはれにおぼゆ。(略)
いたく更けゆくままに、浜風涼しうて、月も入り方になるままに、澄みまさり、静かなるほどに、(略)
(源氏物語・明石~バージニア大学HPより)

百首歌奉し時 前中納言重資
うたゝねにすゝしき影をかたしきて簾は月のへたてともなし
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

夏歌の中に 従三位盛親
はしちかみうたゝねなから更る夜の月の影しく床そ涼しき
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

みしかよはうたたねなからはやふけておくまてつきのかけそさしいる
(延文百首~日文研HPより)

夏夜といふことを 従二位為子
星おほみはれたる空は色こくて吹としもなき風そ涼しき
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

なつかりのあしまのなみのおとはしてつきのみのこるみほのふるさと
(夫木抄~日文研HPより)

をちこちの村の蚊遣火うちけふり水鶏なくなり森の木隠
(草根集~日文研HPより)

夏夜
五月闇くらき枕の蚊のこゑにいとふ煙もなかき夏のよ
夏夜短
夏衣たもとにとほる蚊のこゑを打ちはらふまに明くる夜はかな
(草根集~日文研HPより)

夏は、夜。月のころは、さらなり。闇もなほ。螢のおほく飛びちがひたる、また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。雨など降るも、をかし。
(枕草子~新潮日本古典集成)

車胤聚楽螢 晋代大臣也。河東人也。位至大司空。見晋書五十三巻。
車胤若リシ時コノミテ書ヲ誦ニ。家マツシクシテ。油ナカリケレハ。螢ヲアツメテ。絹ノフクロヲヌヒテ。ホタルヲ入テ。トモシヒトシテフミヲヨミケリ。後ニ司徒ニ至リニケリ。
 ヒト巻ヲヨミモハテヌニアケニケリ螢ヲトモス夏ノ夜ノ空
(蒙求和歌~続群書類従15上)

恋歌の中に 躬恒
さみたれのたそかれ時の月影のおほろけにやはわれ人をまつ
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

寛平御時きさいのみやの歌合のうた きのとものり
さみたれに物思ひをれは時鳥夜ふかく鳴ていつち行らん
(古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

女にいささか物申しけるに、ほととぎすの鳴きければ やせがはの衛門佐
ほととぎすこと語らはんほどだにもなくて明けぬる夏の夜半かな
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

臥すほどもなくて明けぬる夏の夜は逢ひても逢はぬ心地こそすれ
(源氏釈~バージニア大学HPの源氏物語より)

題しらす 小野小町
夏の夜のわひしきことは夢をたにみる程もなく明るなりけり
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

あひしりて侍ける中の、かれもこれも心さしはありなから、つゝむことありてえあはさりけれは よみ人しらす
よそなから思ひしよりも夏の夜のみはてぬ夢そはかなかりける
(後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

いかにせむみじかき夜半のうたた寝に逢ふもほどなき夢のちぎりは
(藤葉和歌集)

五月ばかり、「寝ぬ(に)なぐさむ」といひたる人に
まどろまで明かすと思へば短夜もいかに苦しき物とかは知る
(和泉式部続集~岩波文庫)

月あかく侍ける夜、人のほたるをつゝみてつかはしたりけれは、雨ふりけるに申つかはしける 和泉式部
思ひあらは今夜の空はとひてましみえしや月の光りなりけむ
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

さみたれ空晴て月あかく侍けるに 赤染衛門
五月雨の空たにすめる月影に涙の雨ははるゝまもなし
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

コメント (2)
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