今日祇園御霊会、院召次百余人騎馬行列
(永昌記)
雨猶不晴。祇園会也。笠風流無指示云々
(看聞日記)
祇園ノ御霊会今年殊結構。山崎之定(シヅメ)鉾。大舎人之鵲(カササギ)鉾。処々之跳(ヲドリ)鉾。家々笠ノ車。風流之造山。八ツ撥。曲舞。
(尺素往来)
これはこのあたりに住まい致す者でござる。某(それがし)当年は、祇園の会(ゑ)の頭(とう)に当ってござる。それにつき祭も近々(きんきん)でござるによって、いずれもを申し入れ、囃子物の稽古を致そうと存ずる。(略)
時雨の雨にぬれじとて、鷺の橋を渡いた、かささぎの橋を渡いたりや そうよの。
(狂言・煎物~岩波・古典文学大系「狂言集」)
おもしろや、祇園囃子にふく笛の、太こおほせ杖をつき、是ほど芸をする我を、目利(めきゝ)ならはみてとれ、此、目利(めきゝ)ならはみてとれ
(狂言・祇園~「大蔵虎明本狂言集の研究」)
祇園の会(ゑ)の時、若(もし)、御所の御前にや参るべき、内々用意の時、喜阿来りて、談合せられしは、異役人もなからんには、祝言一(ひと)うたひ過て、指示(さしごと)の序より謡ふべし。曲舞有(ある)上に、余の申楽(さるがく)あらんには、祝言一(ひと)うたひ過ぎて、軈(やが)て「人皇五捨代」と、曲舞(くせまひ)より謡ふべし、と談ぜられし也。
(申楽談義~岩波・古典文学大系「歌論集・能楽論集」)
其(その)次の日、終日(しゆうじつ)終夜(しゆうや)大雨降車軸、洪水流盤石、昨日の河原(かはら)の死人汚穢(わゑ)不浄を洗流し、十四日の祇園神幸(しんかう)の路をば清めける。天竜八部(てんりゆうはちぶ)悉(ことごとく)霊神(れいしん)の威(ゐ)を助(たすけ)て、清浄の法雨を潅(そそ)きける。難有かりし様(ためし)也(なり)。
(太平記~国民文庫)
承安二年菅行衡祇園会を見る事并びに牛狼藉の事
同二年、祇園会を菅博士行衡、三条堀河にてみけるに、車のうしろのかたを引てすぎける牛、鴟の尾のかたより車のしたに入て、車にかけたる牛の左の腹をつきてけり。行衡が牛おどろきはしりければ、つきたる牛もおなじく走けり。引てすぎつる童、うしろの方より綱をとりて、引返しける程に、車をうちかへさんとして、敷板も牛の角にあたりてやぶれにけり。不思議にあさましかりけることなり。
(古今著聞集~岩波・古典文学大系)