雨後夏月と云ことを 後京極摂政前太政大臣
夕立の風にわかれて行雲にをくれてのほる山の端の月
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)
夏月
ま木のとのあくるもやすき短夜にまたれす出てよいさよひの月
(宝治百首~日文研HPより)
題しらす 僧正覚信
夕立のはれぬる跡の山のはにいさよふ月の影そ涼しき
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
かけきよみなつのよすからてるつきをあまのとわたるふねかとそみる
(夫木抄~日文研HPより)
夏月をよめる 藤原親康
わすれては秋かとそ思ふ片岡のならの葉分て出る月かけ
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)
夏深くしげる青葉をもりかねてこのしたくらき杜の月かげ
(光経集)
にはしろくそてにすすしくかけみえてつきはなつとそまたおもはるる
(為兼家歌合~日文研HPより)
宇治前太政大臣家に三十講の後歌合し侍けるに、よみ侍りける 民部卿長家
夏の夜もすゝしかりけり月影は庭しろたへの霜とみえつゝ
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
同じ月の十余日に、月のいと明(あ)かきに
みな月は木(こ)の下(した)闇と聞きしかどさ月も明(あ)かき物にぞありける
(和泉式部続集~岩波文庫)
夏月
玉こゆるはすのうき葉にやとかりて影もにこらぬ夏の夜の月
(宝治百首~日文研HPより)
なつの夜の月といふ心をよみ侍ける 土御門右大臣
夏のよの月はほとなくいりぬともやとれる水に影はとめなん
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
かりそめのゆふすすみするうたたねにやかてありあけのつきをみるかな
(夫木抄~日文研HPより)
夏月勝秋月。 左金吾
月好雖称秋夜好。
豈如夏月悩心情。
夜長閑見猶無足。
況是晴天一瞬明。
(本朝麗藻~群書類従8)