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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 秋 九月尽

2013年09月30日 | 日本古典文学-秋

福原に侍ける比、人々長月の晦日の日わたにまかりて、海辺九月尽の心をよみ侍けるに 平経正朝臣
入日さす方をなかめて和田の原波路に秋を送るけふ哉
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

遠所にまかりける人のまうてきて暁帰けるに、九月つくる日、むしの音あはれなりけれは 紫式部
なきよはる籬の虫もとめかたき秋の別やかなしかるらむ
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

延文百首歌に、九月尽の心を 前大納言実名
かきりあれは夜を長月のともし火もかゝけつくして秋はいぬめり
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

今日、晦日になりにけりと思ふにも
したはれて心にかなふ身なりせば今日また秋に別れましやは
(和泉式部続集~岩波文庫)

九月尽に読侍ける 権中納言公雄
長月の日数はけふに過ぬとも心に秋やあすものこらん
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

秋の末つかた、建春門院入らせおはしまして、ひさしくおなじ御所なり。九月つくる、あす還向あるべきに、女官して、葦手の下絵の檀紙に、たてぶみて、紅の薄様にて、
帰りゆく秋にさきだつなごりこそをしむ心のかぎりなりけれ
かへし、うへ白き菊の薄様にかきて、たれとしらねば、女房のなかへ、知盛の中将のまゐられしにことづく。まことに、世のけしきなごりをしげにうちしぐれて、物あはれなれど、
たちかへるなごりをなにと惜しむらむ千年(ちとせ)の秋ののどかなる世に
(建礼門院右京大夫集~岩波文庫)

僧都光覚維摩会の講師の請を申けるを、たひたひもれにけれは、法性寺入道前太政大臣に恨申けるを、しめちかはらと侍けれと、又その年ももれにけれはつかはしける 藤原基俊
契をきしさせもか露を命にてあはれことしの秋もいぬめり 
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

九月尽
為経
なか月は名のみなりけり春夏のおなし日数にくるる秋かな
(宝治百首~日文研HPより)

 のちの九月つこもりの日 かねつなの中将
なか月の日かすまされる年たにもあかぬは秋の別なりけり
 かへし
秋のたゝ日数はそはてけふにかく別れぬ年のある世なりけり
(赤染衛門集~群書類従15)

コメント (1)
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