「読み置く/詠み置く」という単語の日本国語大辞典・第二版の記載例よりも古い用例があるので、紹介します。
名に流れたる海人小舟、初瀬の山と読置ける、其川野辺の縁あるに、
(「玉鬘」)
西野春雄校注『新日本古典文学大系57 謡曲百番』岩波書店、1998年、271ページ
名にし負ふ難波津の、名にし負ふ難波津の、歌にも大宮の、内まで聞こゆあみきすと、網子調ふる、海士の呼び声と詠み置ける、古歌をも曳く網の、目の前に見えたる有様、あれ御覧ぜよや人びと。
(「芦刈」)~国文学研究資料館HPの岩波・古典文学大系本文データベースより
男の人の国にまかれりけるまに、女にはかにやまひをしていと弱くなりにける時、よみおきて身まかりにける
(巻第十六・哀傷、858詞書)
佐伯梅友校注『古今和歌集』(岩波文庫)、1981年、200ページ