monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

六月題詞

2021年06月14日 | 読書日記

 湿気は馬に乗り、泥(どろ)のなかにまつしろい凧(たこ)をあげる。眠(ねむ)りは急ぎ足して象眼(ざうがん)の淵にをさまりしづみ、こころよい忘却の肌によりそひ、古い胡弓の哀音のかげにまつはりつく。紅(くれなゐ)は黒(くろ)となつてほころび、緑は緋となつてくるひ、黄は群青となつて痴(し)れわらひする六月の霊の食器にあふれるおびただしい恐怖のあはあはしい微動。
(『限定版 大手拓次全集 別巻』(白鳳社、1971年、446~447p)より「季節題詞」)

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