社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

在宅医療を支える施策-現状の視点から 佐方信夫(現代のエスプリ484 2007/11)

2008-05-05 10:49:23 | 施策・法律など
厚生労働省職員による論文。

・現在の年間死亡者数は約110万人。2040年には166万人になる見通しがあり、かつ超高齢社会になる。そのため、看取りを含めた医療のあり方が課題である。
・後期高齢者医療制度は、認知症への対応・緩和ケア・終末期医療について、何らかの取り組みが検討されていた。また「在宅(居住系施設を含む」を重視した医療」が掲げられた。


・後期高齢者医療制度は、高齢者側の負担についての問題ばかりに目がいっていたが、その制度に盛り込まれている計画や検討内容を確認する必要があるだろう。
「在宅での看取り」がどう認識されているのか、興味深い。
・筆者は、在宅医療は「疾患を治療する医療」だけではなく、「生活を支援する医療」としている。その具体的なものは、主治医制、多職種連携による援助などなどと記されている。「生活を支援する~」のであればなおのこと、ソーシャルワーカーのもつ視点は価値があるのではないか?その言及がないのが残念

この論文では、「終末期医療」と「緩和ケア」は別々に記されている。論文によってのこれらの定義はマチマチ。

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在宅緩和ケア-その現状とビジョン 鈴木央(現代のエスプリ484 2007/11)

2008-05-04 23:00:46 | 医学
開業医による論文。

・緩和ケアの最終目標は、良好なQOLを実現させること。そのため、末期に限らず、もっと早い病期の患者に対しても適応すべき利点がある。
・かかわる疾患はがんのみとは限らない。治療に反応せず、終末期と考えられたケースはすべて、緩和ケアの適応がある。
 →山崎章郎氏の定義とは少し異なる。あくまでも「終末期」と認定?された患者が対象となるようだ。

・「在宅では少なくとも不幸ではない」…病気になったことは不幸であるが、家族の暖かいケアを受けている現状は「少なくとも不幸ではない」と考えている。
そのため、家族によるケアを受けにくい病院で最期を過ごすよりも、自宅で過ごすことのほうが、「スピリチュアルペイン」は少ない。と位置付けている。
 →家族の機能が十分に機能していない場合は、その限りではない…とは記してあるが、在宅での看取りを美化させ過ぎている印象も受けた。


一人暮らしでの看取りについて、終日誰かがそばにいることで、不安が取り除かれ、安心を得ることができる。そのため、介護体制を確保しやすいシステムを構築するべきだと指摘している。
筆者は全体的に、「スピリチュアル」についてのサポートを重視しているようだ。確かにそれは基本であり、大切なことだが、それと同じくらいに、着替えや排せつ介助、食事の準備や介助をする「手」も必要であろう。それらも含めての「介護体制を確保しやすいシステムの構築」が望まれる。
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緩和ケアの流れを変える-病院から地域へ-ソーシャルワーカーの視点から 玉井照枝

2008-05-02 10:06:27 | 社会福祉学
『緩和ケア Vol.16 No.6 NOV.2006』

在宅ホスピスケアに携わるソーシャルワーカーの報告。
紹介先の医療機関との連携がスムーズにいかなかったために、退院=在宅ホスピスが実現しなかった事例を報告。

在宅ホスピスケアでのソーシャルワーカーの役割→「在宅療養への入口、退院調整」。退院に向けての不安があった場合は、入院先に訪問し、「不安を取り除く」ことができるように援助する。

引用「患者紹介の遅れや、状態の悪さから在宅不適応とされ、在宅医療という選択肢が医療者側の判断によって失われることがないように、病院と在宅医療のお互いの立場が理解されるような連携を深める必要がある」


引用について…それとは逆に、疼痛コントロールが不十分なのにも関わらず、「本人が帰りたがっているから」という理由で、退院日直前に在宅ケアの依頼をしてくる医療機関もあった(私の経験から)。
いずれにせよ、在宅でできることとできないこと。これを明示することで、在宅医療への理解を得られることにつながるだろう。
また「紹介をしたから」と、退院調整をマル投げするところもあった。ソーシャルワーカーがいたのにも関わらず…。「連携」は紙一枚や電話一本で済むことではなく、お互いに協力していくことではじめて実現するものだ!とつくづく考えさせられた。
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コミュニティケアの経過と実践活動-町田市で取り組んでみて- 西嶋公子

2008-05-01 22:43:17 | 医学
『ターミナルケア Vol.14 No.1 JAN 2004』

開業医として、町田市で在宅ターミナルケアを実践。その報告を中心に、在宅ターミナルケアからコミュニティケアへの転換について、提言している。

現在日本で行われているホスピスケアは、疾患が限定されるなど狭義のものである。
引用 広義のホスピスケアは、「生活者として地域で暮らす患者の社会性を尊重しつつ、包括的、継続的に見守り、必要な時に適切なサポートを提供していくケアを意味するもの」である。


筆者が定義したホスピスケアを実現するために、訪問診療のみならず、ケアセンターを作り、福祉的なサービスも提供できる体制をつくった。そのことで、疾患に限定することなく、そして「末期」から援助するのではなく、日常的に関わり、最終的に最期まで援助する…という体制が可能となっている。

本論文の町田市のみならず、秋田や広島など…地域でホスピスケアを実現させている例が増加している。
一つの法人でサービスを生み出していくだけでは限界があり、行政を含め地域を動かし、住民を巻き込んでいかないと、本当の意味での「在宅ターミナルケア」は実現しないんだなぁと、つくづく考えさせられた。
それって、在センの役割?社協の役割?でもあるのかな…
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