ハリウッドの往年の大スター、カーク・ダグラスさんが亡くなった。少年時代から青春時代にかけて数々の作品で楽しませてもらった。出演作は大作、名作目白押しである。しかし、訃報を聴いてまず思い出したのは、小品とも言える「脱獄(Lonely Are the Brave)」(1962)という映画なのである。カーク・ダグラスさんが演じる時代遅れの孤高のカウボーイの背中には寂寥感が漂う。最初に観たのが高校生の頃だからもう50数年も前だが、この映画を観たという人に出会ったことがない。ところが10数年前、この作品がアメリカでは高い評価を受けているということを知って驚いた。60年代に一世を風靡したアメリカン・ニューシネマの先鞭をつけたとも言われているらしい。ご冥福と合わせ、この映画の再評価を祈りたい。
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「脱獄」のカーク・ダグラス
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「脱獄」のカーク・ダグラス