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清少納言の「枕草子」の「星は」の條に「星はすばる。ひこぼし。ゆふづつ。・・・」という一節がある。星と言えばまず「すばる」を挙げた清少納言の心のうちはわからないが、千年を隔ててもなお人は同じ星に願いをかけることに感動する。
ところで、清少納言は平安時代中期に肥後国司を務めた清原元輔(きよはらのもとすけ)の娘。昭和7年に出版された熊本市史には、清少納言が肥後へやって来た形跡がないか調べたような記述がある。残念ながらそれらしい史料は見当たらなかったようだ。彼女が10歳前後だった頃に父元輔が周防国司として赴任した時は同行したことがわかっているが、肥後下向の頃はもう20代半ばで、結婚、離婚などを経験している頃だから、おそらく肥後へ来ることはなかっただろう。彼女が一条天皇の中宮定子に仕え、「枕草子」を書き始めるのは父元輔が任地肥後で亡くなった後のようだ。
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清原神社(熊本市西区春日1)