徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

今年忘れられない話(1) ~受け念仏~

2024-12-13 20:13:55 | 日本文化
 今年聞いた話の中で最も印象深かった話はなんだろうと考えたとき、まず頭に浮かんだのは「受け念仏」の話だった。
 今年、父の二十五回忌を迎えた。命日の5月19日にはわが家に近親者のみ集まってささやかな法要を営んだ。最後に菩提寺ご住職から次のような法話があった。

――私の恩師がアメリカのシアトルに招かれて広島県出身の信徒に法話をされたことがあります。その時、今日、日本ではほとんど行われなくなった「受け念仏」が300人以上の信徒によって行われ、感動的だったそうです。「受け念仏」とは、説教者のお話の中で、聴き手が「いいお話をいただいた」と感じた時はその都度手を合わせ「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏」と唱えることです。その信徒たちは広島県からアメリカに移民として渡った人たちの三世・四世の人たちで、父母や祖父母などからそうするように教わって育ったそうです。日本では既に廃れてしまった宗教的風習が、遠く離れたアメリカの地に残っていたことに恩師は感銘を受けたそうです。――

 故郷から遠く離れたアメリカの地に渡り、おそらく筆舌に尽くしがたい苦労を重ねて今日を築いて来られた広島県出身の方々に、昔の日本人の風習が脈々と息づいていることに感動を覚える。
 ちなみに、今日、お笑いなどで「受けた」とか「受けない」などという「受け」の語源は「受け念仏」から来ているという。