徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

師走の朔日

2024-12-01 18:34:15 | PC
 今日から師走。ということで朝食にお赤飯をいただいて朔日のお詣りに行った。藤崎八旛宮は摂社・末社の祭事もあり、例月の朔日よりも参拝者で賑わっていた。
 師走と聞くと、次の芭蕉の句を思い出す。

  節季候の 来れば風雅も 師走哉 (せきぞろの くればふうがも しはすかな)

 かつては師走になると「節季で候(せっきでそうろう)めでたいな めでたいな」と囃しながら、家々を回って歩く「門付芸人(かどづけげいにん)」がいたという。明治の半ばには姿を消してしまった門付芸の名残が俗謡「節季候(せきぞろ)」として阿波徳島に残っている。芭蕉の俳句から江戸中期には「せきぞろ」を唄う門付芸人たちがいたということがわかる。
 そしてその「せきぞろ」が門付芸人たちによって江戸に伝わり、花柳界で洗練されて「せつほんかいな」へと変わっていった。唄の中で囃子詞(はやしことば)として何度も「せつほんかいな」と繰り返される。「せつ」というのは「せっき」が変化したもので、「ほんかいな」というのは端唄でよく使われる「しょんがいな」と同じような一節を締める囃子詞と考えられる。
 下の﨑秀五郎さんが唄う「せつほんかいな」をお聞きいただきたい。



﨑秀五郎さんの唄う端唄「せつほんかいな」