うしになった おとこのこ/脚本・津田真一 絵・藤田勝治/童心社/2021年
ぐうたは、おっかあと ふたりぐらし。おっかあの仕事も手伝わないで、今日も、朝からぐーぐーねている ぐうたらなこ。
おっかあは、どうにか おもてにつれだして シバかりを てつだって というが、ぐうたは やまについたとたん こしをおろし、ごろんと 横になった。
しばらくして 目を覚ますと 見知らぬ男が 「ほれ、おきろ! お前は うしだ。働くんだ!」」という。ぐうたは、「・・ん? だれだあ? おらは、うしじゃねえよう!」といったつもりだが、口から出たのは、「モー」。どんなにさけんでも でてくるのは「モー!モー!」。
ぐうたのせなかに。刈り取ったシバがつまれ、なんどもなんども いったりきたり。はこんだシバが山のようになると、見知らぬ男が 干し草を、「ほれ、めしだ」という。牛のエサなんて くえるかよと、おもっていると、見おぼのある女の人が通りかかった。「モー!モー! モー!」(あっ、おっかあ! おっかあ! おらだよ、ぐうただよ!)とさけぶと、おっかあ がやってきて、めをまるくして こっちをみている。
うしになったぐうたは、おっかあが びっくりしていると思ったが、なんと、かえってきたのは、「ぐうた、なに いってるんだい?」
ぐうたは、夢をみていたにちがいないと思いましたが、シバをはこんだのは、ぐうただという、おっかあ。
こんなふしぎなことがあってから、ぐうたは、すっかり ひとがかわって 働き者に。
髭もじゃ、見知らぬ男は何者? どっしりとして存在感がありました。