大人と子どものための世界のむかし話6 ペルー・ボリビアのむかし話/インカにつたわる話/加藤隆浩・編訳/偕成社/1989年初版
みすぼらしい姿の者が、一夜の宿を乞うと、裕福なところでは、ことわられ、まずしい家にとめてもらうと、そこの家には、幸せ?がまっているという話。
このケチュア族の話では、ひとりの老人が、だれからも食べ物をめぐまれず、ふたりの男の子と三人暮らしの女の人にものごいをすると、女は老人を家に入れ、スープをめぐんでくれました。女の人は、しばらくゆっくりやすんでいくよう老人にすすめますが、老人は、女の人がくれた水で、のどをうるおすと、こしに下げた袋から、小麦粉をひとにぎりとりだし、ヒョウタンのうつわに小麦粉をいれると、たちさっていきました。
ブタの世話をしていた子どもたちがかえってきて、たべるものがないか たずねられますが、たべものは何もありませんでした。夕食のスープをぜんぶ、ものごいの老人にあげてしまったからでした。そのとき女は、老人がくれた小麦粉のことを思い出し、小麦粉で夕食をつくろうと台所に行って、ヒョウタンの小麦粉をとりだそうとすると、小麦粉は、うつわいっぱいの金貨にかわっていました。女と子どもたちは、その金貨のおかげで、たべるものにこまることはなかったという。
日本では、弘法大師などがでてきますが、この老人が何者であったのは 不明のまま。宿を断る理由がいろいろ出てくるものが多いのですが、たんに”ことわれた”と、さっぱりしています。